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レスバの無双者 -ネットの匿名、全て見破ります!-  作者: シンザン34


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122/131

122. 一ノ谷雅彦を捜せ!

「い、一ノ谷雅彦……!!


 …………って誰?」


 ズコッ……!

 カケルは軽くずっこける。



 おいおい、マジか。


「えっとお……一ノ谷発言って知らない?」


「ああ…………ちょっと前、ゼータのトレンドに上がってたやつかな」


「そう、それ! 

 っていうか、雅彦さんはあれだぞ……おれ達ブラックマスクが倒した一ノ谷家の人。一ノ谷英磨のお父さんだよ」


「ええ、そうなの!?」


「そうだよ、そしてさっきも言ったように、在在センの偉い人。だけど今年の1月から行方不明になってる……ニュースにもなってるぞ。

 そんな人を見事見つけられたら、再生数なんて天井知らずだろ!」


「そ、そうだけど………!

 でも……1月から行方不明ってことは、警察でも見つけられないんでしょう? む、無理だよ……それ見つけるのって」


「普通はね……でもあなたのお兄さんは、エイト06……魔法のスマホを持っている。おれや磯貝さんの住所を捜せたみたいに、雅彦さんの居場所も捜せるんじゃないか?」


「あ……ああああああぁあ!! たしかに! ペケゾー君、それグッドアイデア!!」


 タヒ子はカケルを力強く指差し答える。



「で……おれも探すよ、一ノ谷雅彦さん。実はブラマスのメンバーからも頼まれてたんだよね……。

 最強のハッカー集団、ブラックマスクにお兄さんのエイト06……それとおれのエイト06が加われば、きっと見つけ出せるよ!」


 そう言ってカケルは、手に持った自身のエイト06をタヒ子に見せる。



「おおおおおお……! 盛り上がってキターーーーーー!!


 ………………乳首が!」



「なに言ってんだ、お前は!!」


 唾が飛ぶかって勢いでツッコミを入れるカケル……。



「あ、いや……配信が盛り上がってる時に、これ言うと笑い取れるんで…………配信の時の、お約束ってやつかなあ~~アハハ♪」


「……たくもう!」


「でも最近マンネリ化してきたんでえ~~、

 " 盛り上がってキターーーーーー!! …………クリ〇リスが! "

 に、しようと思ってるんだけど、どうかな?」


「死ね!!!」


「酷い!」


「酷いのは、お前のギャグだ!!! 恥を知れ!!」


「恥ずかしがってたら、再生数稼げません!!」


「こいつはほんと…………!

 まあ、いい……配信のネタ、提供してやったんだからな。もうおれに、付きまとわないでくれよ。

 ああ、でも……雅彦さんに関する情報が掴めたのなら、それは連絡してほしいな。おれも情報掴めたなら、教えるからさ」



「うん、わかった。

 ……っていうか、ペケゾー君が持ってる魔法のスマホって、黒色なんだね。にぃ~にのは、白だった」


「…………そう。まあ、色なんて何種類もあるでしょ」



 ……カケルは、なにかを感じとった。

 違和感…………。

 あれ? と思った……。しかし、口には出さない。


「あ……じゃあ、あたし帰るね。

 ごめんね、ペケゾー君……あたしが自分勝手な行動して、いろいろ迷惑かけちゃって……」


 そう言うとタヒ子は腰を90度に曲げて、カケルに頭を下げた。



 礼儀正しいんだな……。親は酷い人、みたいに言ってたけど…………タヒ子さん自身は、真っ当に生きようとしてるのかな……。



 ……受け子のバイトで逮捕歴あるけど…………。




「い、いいよ……そんな礼儀正しくしなくても…………。

 じ、じゃあね……配信業、頑張ってください!」


 そう言ってカケルは、タヒ子に手を振り、蛍池公園から離れる……。タヒ子もまた、いずこかへと歩き出して行った。




 …………カケルは家路へと急いでいた。

 足早に歩くカケルの頭に浮かぶのは、数分前にタヒ子と交わした会話……。



 " ペケゾー君が持ってる魔法のスマホって、黒色なんだね。にぃ~にのは、白だった "



 ……続いて思い出す…………一ノ谷家とのレスバの最後に、一ノ谷十三が言ったセリフ。


 " 黒いスマホということは貴様、叡智防壁群(エイチボウヘキグン)か "



 おれが持っているエイト06……。これは叡智防壁群のだから、黒なのか……?

 それでは、白色のエイト06を持っている岩田良平は、叡智防壁群ではない…………じゃあ、なんだ?


 …………答えはわかってるはずだ……。

 叡智防壁群とは、対極の位置にいる存在…………



 AI専制派



 …………世界最高の人工知能yaoyorozのもと、平等の世界を築こうとしている集団……。カマリさんはそれを" 脅威 "と位置付けたが、なにが脅威なのかはわからない…………。

 黒スマホを持たされたおれは、叡智防壁群とやらのために働かないといけないのか……? いや、ぶっちゃけAI専制派になりたいんだけどな……おれ。


 …………まあ、いい。

 この" 二つ "の対立は好きにやれって感じだ。今はコジロウ先輩から頼まれた、一ノ谷雅彦捜しに集中しよう。



 ヴウウーーーン!


 カケルのスマホが鳴る。発信者はカケルの彼女、翡翠もえ。カケルは歩きながら、電話に出る。電話口からは、愛しい彼女からの声……。

 カケルは磯貝寿美子と仲直りしたあと、もえに、その一部顛末をゼータにて送っている。



「カケル君、ちゃんと外に出れて謝れたんだね!

 凄い! 磯貝さんと一緒に昼食なんてとっちゃってさ……。いいなあ~、わたしもカケル君と一緒にご飯食べたいなあ~」



「この前、おれの部屋に遊びに来た時、一緒にお昼食べたじゃん」


 ……そのあと、べろちゅうされたんだよな……。



「そうだけどさ…………っていうか、カケル君……大丈夫だった?」


「え、なにが……?」


「磯貝さんの情報とか流してた、配信者のタヒ子さん……カケル君の家に凸、とか配信してたみたいだけど大丈夫?」


「あ、知ってたんだ……」


「磯貝さんのことを話してくれた時に、タヒ子さんのことも教えてくれたじゃん。なぜかカケル君の電話番号まで知ってたって……。

 だから、そのタヒ子って配信者のことが気になってさ……カケル君のこと、誘惑してねえだろうなあ……と思って、チャンネル登録してた」


「そ、そう…………いや、実は……」


「え……!? カケル君、まさか…………」



「……誘惑というか、キスされそうになった…………おれとのべろちゅう動画撮って、おれを脅迫する気だったらしい」


 カケルは、つい先ほどの出来事を正直に伝える……。それに対しての、もえの返事。




「えええ!? べろちゅう動画撮って脅すとか、そんな酷いことをする女性がいるの!?」


「………………………………はい」



「相手の唇を無理やり奪うとか、それ、犯罪だよね!?」


「………………………………はい」



「そんな犯罪行為をしたうえに、それをネタに相手を脅すとか最低過ぎない!!?」


「………………………………思います」


 カケルは苦虫を百万回噛み潰したような顔をしながら答える……。




「で、カケル君……ほんとにキスしてないよね!?」


「も、もちろん! 全力で拒否しました!!」


「……ならいいけど。

 もし、してたら、べろちゅう動画上げてヒキ板から追放させるからね!」


「も、もえさん以外とはしないので、それだけは勘弁してください!」……脅すな!!



「うんうん、もえちゃんに一途なカケル君は大好きだぞ!」


「ど、どうも……」



「じゃあさ、明日デートしよ」


「へ……?」


「いや、へじゃなくてさ……明日バレンタインデーでしょ。

 カケル君との初デートがバレンタインの日とか、最高じゃん!」


「い、いや……もえさん。

 おれ、今日やっと外に出れたわけで、その…………二日連続で外に出るのは……」



「べろちゅう」


 ぐっ……! てめ、このっ……!!!



 危うく声に出しそうになるが、そこはグッと堪えるカケルであった……。

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