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レスバの無双者 -ネットの匿名、全て見破ります!-  作者: シンザン34


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121/131

121. どっかで見た、シチュエーション

「な、なんだよ……お願いって…………」


「うん…………えっとねえ……」


「…………今、考えてるんじゃないだろな?」


「ち、ちち違うよお~~~~!」



 両手をパーの形で突き出して、全力で否定するタヒ子……。


 ……こいつぅう~~! ただの時間稼ぎで言っただけじゃないのか……?



「えっとおお…………。

 ペケゾー君、そこのベンチに寝てくれないかな?」


 タヒ子が公園のベンチを指差す。背もたれがなく、両側から自由に座れるベンチだ。



「……な、なぜ?」


「……お願い、仰向けに寝て」

 被ったニット帽を、なぜか耳が隠れるまで深く被った、タヒ子が言う。



「…………わかった」



 よくわからないままカケルはベッドに仰向けになる。タヒ子はというと……自身のスマホをなにやらいじっている……。



 プッ!



 ん……? なんの音だ?


 でも……どっかで聞いた音…………たしかカメラの……。



「え、待って……! タヒ子さん、配信は止めて!」


「配信はしてないよ……自分のスマホで確認してみて」



 ベンチに仰向けに寝ながら、自身のスマホからタヒ子のチャンネルを確認するカケル……たしかにタヒ子のチャンネルは、ライブ中にはなっていない。



 そんなカケルの前にタヒ子の顔。ベンチに寝っ転がり、2月の青空を見上げているカケルの顔を覗き込むように、タヒ子がカケルのすぐ横に立っている。右手にはスマホが見えた。




「ペケゾー君って、キスしたことある?」



「……あ、あるよ」


 カケルの脳裏には、もえに無理やり唇を奪われた、あの時のシチュエーションが浮かぶ……。

 あの時も、そう…………こんな風にキスの経験を聞かれ、そのあと…………。



 ……あれ? これって…………



「そう……わたしもキスの経験はあるんだ」



「そ、そうなの……」



 ………………タヒ子が胸上まで伸びた金髪の髪を首の付け根から、派手なスカジャンの奥へと突っ込む。



 ……なにしてんの? …………って、待ておい!!



 そうカケルが思った瞬間、タヒ子が仰向けになっているカケルの身体に覆いかぶさり、カケルの口に自身の口を重ね…………




 ……ようとしたが、カケルは間一髪! ベンチからローリングして……その結果、ベンチから転げ落ちて頭を打つことになるが、タヒ子に唇を奪われるということはなかった。




「いってーーーー!」とは、ベンチから転げ落ちたカケル。


「ぶへっ! ベンチにキスしちゃったじゃんかあ~~! もう!」

 と言ったのは、カケルを" 襲おう "と思ったが、ターゲットに逃げられてベンチに唇を押し付けてしまった動画配信者タヒ子。



「た、タヒ子さん……! なにしようとしたんですか!!」


「ちっ……!」


「今、舌打ちしましたよね!? どういう意味ですか、それーー!!」



 …………っぶねえ! 危うく、あの時のもえさんみたいに、キスされるとこだったわ!



 …………………………


 無表情で地面を見ながら、ブラブラと身体を揺らいでるタヒ子……。



「失敗したあ…………」


「なにが!?」


 ベンチから転げ落ちたカケルが、頭を抱え立ち上がる。



「ペケゾー君とのべろちゅう動画撮って、それネタにペケゾー君のこと、脅迫しようと思ったのに~~!」


「ふざけんな、ゴラァあ!! なにが脅迫だ! 

 さすが受け子で逮捕されただけのことはあるなあ~~! この犯罪者が!!」


「うう……そんな責めなくたっていいじゃん…………っていうか、ペケゾー君……よくかわしたね。なんか予め知ってたみたい……」


 …………前にされたこと、あったからな……。



 タヒ子は深く被ったニット帽を直すと、面白くなさそうな顔つきでカケルを睨む。


「あたし、女なんですけど!?」


「だからなんだ!!!」


「お、女の子がキスするぶんには、いいじゃん……」


「よくねえ!! 男女平等だ、ごら!!」


「なんでだよお~~!

 たまにネットニュースで、女の先生が生徒とエッチする事件が出るとお前ら、『裏山けしからん!』とか、『被害者いねえだろ!』とか言ってんじゃ~~ん!」



 ぐっ……! 

 …………言い返せない……。

「っていうか、おれしかいないのに、お前らって複数形使うな」


「だから配信の癖なんだよお~~。

 ペケゾーくうぅ~~ん、お願い! インタビューさせて……9分以上!」


「絶対やだ!! おれにキスしようとしたくせに!!

 さいてい! 子どもの敵!!」


「や、やめて……! 人を性犯罪者みたいに言うのは…………!」


「性犯罪者だ、お前は!」


「う、ううううぅう…………再生数稼がないと、飯が食えないんですう~~。

 社会の底辺に愛の手を差し伸べて!」


 泣き真似しながら、手を差し伸べるタヒ子……。



「……他に話題見つけりゃいいでしょ」


「……たとえばどんなのさ」


「とんなのって……」

 なんでおれがそんなこと考えないといけないんだ……そんなの自分で探せよ………………って、待てよ?



「……あるよ、とびっきりの話題!」


「え……? マジ!?」


「マジ、マジ! 成功すれば100万再生なんて余裕でいく! テレビでも取り上げられるだろうなあ~~。

 しかも、これ……タヒ子さんじゃないとできない話題!」


「あ、あたしじゃないと……? ま……待って、ペケゾー君! えっちなのはダメだかんね! だって、その…………あたしまだ処女だから!」


 …………聞いてない。美人なのになあ……中身ポンコツだから、経験できんのかな。



「いや、そうじゃない……。

 タヒ子さんじゃなけりゃ……と言ったのは、お兄さんの協力が必要だから」


「にぃ~にの?」


 にぃ~に……お兄さんのことだろな。いや、小学生ならともかく、20代なんだから普通にお兄ちゃんか、お兄さんって呼びなよ……。



 呆れながらもカケルはタヒ子に助言する。


「エイト06を持つお兄さんなら、きっと捜し出せるよ……。



 一ノ谷発言の当事者にて在在センの管理局長、一ノ谷雅彦さんをね!」

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