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レスバの無双者 -ネットの匿名、全て見破ります!-  作者: シンザン34


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120. 残念美人、タヒ子

「確認させて……! 君、ペケゾー君だよね?

 神楽坂カケル君」


「…………そうだよ。

 そういうあなたは、岩田(イワタ)葉亜兎羅舞(ハアトラブ)さん……ですよね!?」


「あ……やっぱ、あたしの本名知ってんだ。恥ずかしいなあ~~アハハ。

 っていうかさ……神楽坂君、ロン毛なんだねえ~。" にぃ~に "から貰った写真だと、もっと髪の毛短いんだけどなあ」



 ……在在センに登録されている、おれの写真を見たんだろうな。

 在在センには本人の容姿登録として、学校卒業時の写真や運転免許証、マイナンバーカードの写真などが自動で記録されるみたいだし……タヒ子が見たのはおそらく、おれの中学卒業時の写真だろう……。



「……人の髪型なんて、どうだっていいだろ。それより、なんの用だよ」


 身体中から警戒心というオーラを出しまくるカケルだが、タヒ子はそんなカケルのオーラなどまったく意に介さずに、満面の笑みで話しかける。



「一ノ谷家をぶっ潰した、ブラックマスクのペケゾー君のインタビュー動画を撮りたいんです! だから……」


「お断りします!」


「なんでーーー!! ネットのヒーローになれるよ!?」


「別にヒーローになんか、なりたくないし……! そもそもおれ、ブラマスのメンバーじゃねえし!」


「え、そうなの?」


「そうだよ! おれはハッカーじゃないし……ハッカー集団、ブラックマスクのメンバーでもない。一ノ谷家の件は、ブラマスメンバーから誘われただけ」


「テレビ見ると、ペケゾー君がブラックマスクのリーダーみたいになってるけど?」


「まったく、マスコミはよお~~!

 一ノ谷家の件でのリーダーは、美月さんだよ……って、ちょっと待て! 今のナシ!!」


「ペケゾー君待って! 録音するから!!

 美月さんって誰!? 新キャラ登場だあ~~!」


「配信しないって約束でしょ!!」


「配信じゃなくて、録音! 動画だよ!

 ちゃんとペケゾー君の許可取ってから、ネットに上げるからさあ~~。いいでしょ?」


「だめーーーーー!!!」


「ぶう~~~!! なんでよおお~~~~!」


「そりゃ、こっちのセリフだ! なんでおれに付きまとうんだよ!」


「ううぅ~~……だってさ、再生数稼げるんだもん。ペケゾー君って、今話題の人だし……。

 この間の磯貝さんの動画も、一日待たずに10万再生いったしさ…………美味しいです!」



 ……人を食い物にするな。


「は、配信者の事情は知りませんけど……おれにもプライバシーってもんがあります!

 勝手に撮られたくありません!」


「だから、許可取るんで……!」


「い、いや……許可なんかさせません! はっきり言って、その……め、迷惑です! やめてください」


「…………再生数稼げないと、あたしの収入が減るんです……」


「いや、知らんわ、そんなの!!」


 ジト目でカケルを睨むタヒ子に、漫才師のボケ役の如く返すカケル。それに対してタヒ子が再び口を開く。



「登録者数10万未満の雑魚配信者は、再生数稼ぐのに必死なんです!! そこんとこ、わかって下さい、皆の衆!!」


「皆の衆ってなんだよ! おれ一人しかいないだろ!」


「配信してる時の癖なんですぅう~!!

 ペケゾー君、ほんとお願い! 9分だけでいいから……!」


「……なんだよ、その中途半端な数字」


「8分以上の動画だと、動画の途中に広告入れられるから、収益が増えるんです」


「……知るかよ、もう。

 とにかく……! もう付きまとうのは止めてください!

 それでも付きまとうなら……タヒ子さんがオレオレ詐欺の受け子で逮捕されたこと、ばらしますよ?」


「ああ……いや、それ…………みんな知ってるし」


「……は!?」


「いや、" 受け子のバイトで捕まったことあるけど質問ある? "ってタイトルで配信したらさ…………めっちゃ受けてさあ~~♪ 同接5000人までいったんだよね!

 いやあ~~あん時は気持ち良かったなあ…………受け子のバイトして良かった~~って初めて思いました」


「思うな、アホ!!!」


「アホとか、やめて下さい! 一応わたしのほうが年上です!」


「受け子のバイトする奴なんて、アホに決まってんだろ!!」


「ううぅ……彼氏に言われて、仕方なく行っただけだもん。断ると殴るから……」


「…………別れなよ」


「別れたよ……というか、少年院から出たら彼氏、刑務所に入ってた」



 しょうもない…………顔は美人なのになあ……中身が残念過ぎるだろ。



「タヒ子さん、美人なんだから顔出し配信すればいいんじゃないですか?

 そうすれば登録者数、絶対増えますよ。逮捕歴あるから顔出ししないのかと思ってましたけど、公表してるんだったら、別にいいんじゃないですか」


「ああ、それはダメ! 絶対!」


「……なんで?」


「ウチの親、毒親なんだよ……あたしが金持ってるって知ったら、絶対タカリに来るもん! 子供の時のお年玉も全部取られたし…………。

 ペケゾー君の親ってお医者さんでしょ? いいなあ……親ガチャ成功の勝ち組は……。ウチの父親なんて廃品回収屋だよ、それも無許可でやってたって最近知った」



 ……なにが親ガチャ成功だよ、クソ!

 たしかに親は金持ってるけど、だからといってガチャ成功じゃねえし…………! こっちだって……こっちだっていろいろあるんだ。



「あれえ~~ペケゾー君、なんか機嫌悪そう……」


「……おれの機嫌なんて、どうでもいいじゃないですか。もう帰ります……!」



 歩き出すカケル…………。家に帰りたいが、その方向にはタヒ子がいるので、仕方なく反対方向に向かって歩き出す……。


「ま、待って! ペケゾー君!」


 タヒ子が呼び止めるが、カケルは歩くのを止めない。タヒ子は、そんなカケルの腕を掴んで歩みを止めさせるが、カケルはそれを振りほどこうとする。



「や、止めてください! おれ……動画なんて出ないです!」


「わ、わかった……! インタビューは、もういいよ…………ただ、最後に一個だけお願い聞いて!」


「…………なんですか?」



 カケルは歩みを止める……不審に思いながらも底辺動画配信者タヒ子のお願いに、とりあえず耳を傾けた。

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