プロローグ編004/【丑与果】と少女とお人形
『くすんくすん・・・
くすんくすんくすん・・・』
誰かが泣いている。
どうやら小さな少女の様だ。
【丑与果】は近づき、
「どうした、お嬢ちゃん?
パパとママとはぐれたか?」
と声を掛ける。
少女は、
『パパとママなんて知らない。
でもお姉ちゃん達が喧嘩してるの・・・
くすんくすん』
と言った。
「姉ちゃん達がいるのか?
お嬢ちゃん、名前、なんてんだ?
わりっちが探してやるよ」
『【ふぇう゛ぁ】・・・』
「【へば】か。
個性的な名前だな」
『【へば】じゃないもん、【ふぇう゛ぁ】だもん。
この子は、【ふぇぬゅ】だよ』
「なるほど、その人形が【へぬ】だな?」
『違うもん、【ふぇぬゅ】だよぉ~』
「いやいや、言いにくいんだよ、お嬢ちゃん達の名前は。
【へば】と【へぬ】で良いじゃねぇか。
愛称、ニックネームってやつだ。
それで、良いだろ?
そいつで納得してくれ」
『・・・うん・・・
よくわかんないけど、わかった』
「すまねぇな。
それで、お嬢ちゃんの姉ちゃん達はなんてんだ?」
『【ふぇう゛ぁ】のお姉ちゃんじゃないよ。
【ふぇぬゅちゃん】のお姉ちゃん達だよ』
「え?
これの?
この不気味なくらい可愛らしい人形の姉ちゃんなの?」
『うん。
不気味は余計だけど、可愛らしい【フェヌュちゃん】には、半分ずつ、つながったお姉ちゃん達が居るの』
「半分ずつ?
異母姉妹とか異父姉妹って奴か?
いや、多分、姉ちゃん達の両親が離婚して、姉ちゃんの離婚した父ちゃんと別の姉ちゃんの母ちゃんが、再婚して生まれたのが【へぬ】って設定か?
そんで姉ちゃん達が妹を奪い合って喧嘩してるってか?
複雑な設定だな?
最近の人形にはそんな複雑な設定が盛り込まれているのか?
斬新だな」
『お姉ちゃん達は、どっちが【ふぇぬゅちゃん】とつながりが強いかで喧嘩してるの。
【ふぇぬゅちゃん】は仲良くして欲しいのに。
だから悲しくて泣いているの。
だから、【ふぇう゛ぁ】も悲しくなって泣いてるの』
「そっか、そっか。
じゃあ、わりっちが何とかしてやっから泣きやめ。
えぇ~っと・・・ちょうどいいや。
こいつを使おう。
こいつはな、折り紙って奴だ。
近所のガキンチョに頼まれて買ってきたんだが、そいつらにはまた、買えば良いや。
こいつをお前さんにやるからよ。
これをそれぞれ相手の姉ちゃんからのプレゼントだって渡せ。
そうすりゃあっという間に仲直りって寸法だ。
良いアイディアだろ?」
『・・・うん。
ありがと・・・
大好きだよ、おじちゃん』
「わりっちはまだおじちゃんと言われる年じゃねぇよ。
まぁ、お嬢ちゃんみたいなちびっ子からすればおじちゃんか・・・
まぁ、いいや
これで良いだろ?」
『うん・・・
また、逢おうね?』
と話した所で目が覚めた。
【丑与果】は、
「おう。
縁があったらな・・・って、あれ?
夢・・・だったのか?
まぁ良いや。
・・・てか、あんた達は誰だ?」
と言った。
目が覚める直前、【少女】とは別の声で、
『オトタマ、ダイシュキデシュ・・・』
とも聞こえた気がしたが気のせいだろうか?
その声が何となく、【人形】から聞こえた気がした。
だが、現在、そこには【人形】も【少女】も居ない。
幼い少女と人形の代わりに美女達が彼の目の前に居たのだった。




