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(ファーブラ・フィクタイズム7)【ファーブラ・フィクタ・フィーニス・プハンタシア】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編018/【存現化粧術(そんげんけしょうじゅつ)】継承者の少女

 【丑与果】は、動き出した。

「さて、何処へ向かうか・・・」

 と言っていると、

『ここを通りたければ金目の物を置いていきなさい』

 と言う言葉が。

 女の声だ。

「どう言う意味か?

 わりっちはこの通り何も持ち合わせておらんが?」

『嘘を言うんじゃ無いよ。

 私は見ていたんだからね。

 あんたが果物を美味しそうに食べていた所をね。

 それは、盗んできたとでも言うのか?』

「違う。

 わりっちの【異能】で手に入れた物だ。

 盗んだ訳では無い・・・と思う。

 正確には何処から持って来たのか不明だから解らないと言うのが正解かも知れない」

『じゃあ、その【異能】とやらで私に食べ物・・・を・・・』

 と会話があった所で声が途絶えた。

 【丑与果】が辺りを探すと岩場の影に【丑与果】と同じくらいの年頃の女の子が倒れていた。

 【丑与果】は、

「なんだ行き倒れか?」

 と聞くと、女の子は、

「・・・」

 と言葉にならず、口をパクパクさせていた。

 どうやら何らかの【異能】を使って、しゃべる気力も無い彼女の代わりにしゃべらせていた様だ。

 【丑与果】は、

「仕方ない・・・

 【食料】だな。

 だが、何が出るか保証は出来んぞ。

 【ギフトシャボン】」

 と言ってまた【シャボン玉】を作った。

 だが、今回も前回と同じですぐに来るとは限らない。

 とは言え説破詰まっている様子だったので、先ほどの【ギフトシャボン】で保存用に取っておいた【果物】を食べさせた。

 食べる力も無い様なので、口でかみ切って、それを口移しで、食べさせた。

 こうする事によって【丑与果】の生気を彼女に分け与えるためだ。

 女の子は、

「・・・む・・・むぐう・・・」

 とばたついた。

 【丑与果】が、

「何だ?

 何なんだ?」

 と言うと、

「よ、よくも・・・

 私の唇を・・・

 将来の結婚相手のために取っておいたのに・・・

 返せ、私の・・・ファーストキス・・・」

 と力無く抗議した。

 【丑与果】が、

「ファーストキスとは何だ?

 わりっちはお前さんに咀嚼する力も無いと思って、口で果物を噛んで食べやすくしてお前さんに食べさせただけだが?」

 と言った。

「ふ、ふざけるな・・・

 お、乙女の唇を奪っておいて・・・

 この強姦魔が・・・」

「強姦魔?

 何の事だ?

 わりっちは人命救助をしただけだが?」

 と会話がかみ合わない。

 まだ7歳の子供の【丑与果】にとっては【恋愛】や【キス】、【結婚】などと言う言葉は想像が付かない物になっている。

 【名前】を付ける時に覚えていた【漢字】などは古い記憶の物だが、事、【恋愛面】に対しては全くのチェリーボーイであった。

 女の子は、

「せ、責任取ってもらうからな。

 私を嫁にしろっ」

 と言った。

 【丑与果】は、

「責任があれば取るが、嫁にしろとはどう言う事だ?

 お前さんがわりっちの運命の相手だと言う事か?

 すまん。

 理解が出来ない。

 もう少し、わかりやすくわりっちにも解る様にかみ砕いて説明してもらえないだろうか?

 見た所、お前さんはわりっちに対して怒っている様に見える。

 わりっちは何かお前さんに失礼な事をしたのだろうか?

 わからん。

 全くわからん。

 今の行動の何処にわりっちがお前さんへの無礼につながる行為があったのか?

 すまん。

 本当にすまん。

 失礼を働きながらそれが何だかわからない。

 それは大変失礼な事だと思う。

 そもそも、わりっちはお前さんの名前を知らない。

 わりっちは、【寿絶(ずだち) 丑与果(うしよか)】と申す。

 済まないが、お前さんの名前を聞かせていただけないだろうか?

 わりっちも名前すら知らない者を嫁に取るのは何かと不便だと思う故。

 お前に名乗る名前など無いとは申されずになにとぞ、教えていただけないだろうか?」

「私の名前は、【池原(いけはら) 千寿(ちじゅ)】よ。

 一子相伝、【存現(そんげん)化粧術(けしょうじゅつ)】の宗家の娘よ。

 正当継承者でもあるわ。

 だから私の唇を奪ったあんたには、私と、【池原家】を盛り立てる役をしてもらうわ。

 私の唇は特別なのよ。

 私の唇を奪った者とは結ばれ無ければならない。

 そう言う決まりなの」

「待ってくれ。

 わりっちにも役目があるのだ。

 わりっちは、【運命のパートナー】と【宇宙世界】を【創世】しなくてはならないという譲れない使命があるのだ。

 【池原殿】・・・」

「【千寿】でいいわよ。

 私もあんたの事、【丑与果】って言うから。

 夫婦になるんだもの、下の名前で呼び合わないとね」

「いや、待ってくれ。

 【千寿殿】に【宇宙世界】を創世する力があれば問題ないが、無い場合、【千寿殿】と結ばれる訳には行かぬのだ。

 少しテストをさせてもらえないだろうか?」

「私の唇奪っておいて、選択出来る立場だと思って居るの?

 あんたに選択の余地は無いのよ。

 責任取ってよ」

「他の事で責任を取ると言う訳には行かぬのか?

 【千寿殿】も好きでも無い男と結ばれるのは不本意であろう?」

「好きよ。

 好きになったわ」

「いやいやいや・・・

 【千寿殿】とは今しがた逢ったばかりではないか」

「でも、好きになったんだから仕方ないでしょ?」

「それはまことなのか?

 そんなにすぐに好きになるものなのか?」

「そうよ。

 悪い?」

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ。

 落ち着いて欲しい。

 とりあえず、お試し期間を設けていただけないだろうか?

 わりっちとしてもよくわからない女性と結ばれる訳には・・・」

「何よ。

 私を振るつもり?」

「申されておる事がよくわからん。

 頼むから冷静になってくれ」

「私は至って冷静よ。

 納得して私と結婚しなさいよ」

「いや、だから待って欲しい」

 と言う平行線の会話がしばらく続いたのだった。

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