プロローグ編014/【覇七(はな/花)になる透け七猫(すけしちねこ)】の導き
寝る子は育つと言う。
【丑与果】は、毎日の夢で、日々成長している。
彼は何かを集める夢をよく見る。
何かもったいないと思うものがあり、それをたくさん集めていくのだ。
それはこれまで繰り返して経験した人生の記憶の欠片である。
残滓/残りカス、価値のないものなどでは絶対に無い。
必要な情報として彼は寝ながら学習をしているのである。
そんな時、決まって、
『にゃぁ~・・・』
と猫の鳴き声がする。
夢は大体忘れてしまうが、透明の猫が鳴いている。
それだけは覚えている。
その話を、【舞夢】に話すと、彼女は、
「そりゃ・・・
多分、【覇七(花)になる透け七猫】じゃないの?
あんた、それがマジなら、将来有望株筆頭になるわね」
と言った。
【丑与果】
「何だ、その【はなになるすけしちねこ】?とは?」
と尋ねた。
「覇者の【覇】って書いて、漢数字の【七】。
これは植物の【花】と言う意味も含まれているんだけど、【美女】って意味の隠語よ。
つまり、【美女】になる【透明な七匹の猫】って意味よ。
伝説級の英雄が誕生する時、夢の中で【透明な七匹の猫】が揃った時、すっぽんぽんの美女になって、英雄を導く。
って都市伝説よ。
じゃあ、伝説の英雄が女だったらどうなのよって話よ。
【イケメン】7匹が導いてくれる訳?
素っ裸で、7匹に迫られたら逆に怖いわ。
って事で、男目線で描かれた幻想よ。
気にしても仕方ないわね。
忘れなさい」
「すっぽんぽんは困るのだが・・・
目のやり場をどうすれば良いだろう?
女性は裸は恥ずかしいのだろう?
わりっちとしてもどう反応したら良いのかわからんから困るぞ」
「だから忘れなさいって。
そんな話。
猫の鳴き声がしただけでしょ?
透明な猫を確認した訳じゃあるまいし。
猫の声だけがしたって怪談なら山ほどあるしね。
それと勘違いしたのよ。
きっとね・・・」
「そうだな・・・
猫の鳴き声も今まで6種類しか聞いていないし、きっと勘違いだろう」
「ろ、6種類ってあんた・・・
泣き声の違いってわかるの?」
「あぁ。
恐らく6匹居ると思うぞ。
7匹目は確認出来なかった」
「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいって・・・
あんた、6匹の見えない猫の声、聞いているの?」
「あぁ、そうだ」
「な、何で言わないのよ?」
「聞かれなかったからだ。
だが、今、言った」
「いや、確かにそうだけど・・・
あんたねぇ・・・
何なのよ一体・・・」
「何なのと言われても・・・
わりっちは普通にしているつもりなのだが・・・」
「どっか、ズレてんのよあんたは。
天然なのね」
「天然?
自然児みたいなものか?」
「違うわよ。
ちょっと呆けているって事よ」
「そんな事はないつもりだが?」
「自分じゃ気付かないだけよ。
それより、7匹目、見つけたら報告するのよ」
「あぁ、わかった」
と言う話になった。
翌日、
「師匠・・・」
「何よ、こんな朝っぱらから・・・」
「7匹目を確認したら裸の女性が7名出て来たのだが?
どうすれば良い?」
「ど、どうすれば?って・・・
あんた、もう見たの?
それであんたどうしたの?」
「裸は寒いだろうと思ったら服が出て来てそれを渡した。
そうしたら、その7人は何故か呆れた様な表情をしていた気がする」
「そりゃそうでしょ。
おっぱいさわるとかしなかったの?
あんた、それでも男なの?」
「胸を触られたら女性は不快だと聞いたことがある。
無理強いは良くないと思うぞ」
「そうじゃないって。
都市伝説だと酒池肉林で・・・
ってあんた、そう言えば7歳のガキだったわね。
普通、7歳でこの都市伝説がって事ないんだけどね。
一般的なのは、力を極めた達人ばかりだから、英雄色を好むで、快楽を求めるものなんだけど、あんたには早かったか。
坊やだもんね、あんたは。
さぞや猫達も立場がなかったでしょうね」
「いや、何故か、【こんなの初めてよ】とか言って笑ったりしていたぞ。
それから、【ボク、お菓子食べる】とか言って、茶菓子を勧められた」
「・・・あ、そ。
何から何まで規格外って事かしらね?
あんた前世で何かしたの?
よっぽどの素質が無ければそうならないわよ普通・・・」
「そんなものなのか?
わりっちはよくわからんのだが?」
「まぁ、良いわ。
とにかく、あんた、英雄の素質があるって事だから、こんな所にくすぶってないで旅にでなさい。
超絶大冒険があんたを待っているはずよ。
あんたを引き取ってまだ半年足らずだけど、それなりに楽しかったわ。
私もあんたの超英雄への道を邪魔するほど、野暮じゃないわ。
引き留めるのは無粋ってものよ。
行きなさい。
あんたは動くべきよ。
動く時が来たのよ」
「そうか。
では世話になった師匠」
「大して世話はしてないわよ。
私が迷惑かけてただけ。
あんた生真面目だから悪い女に騙されない様に気をつけるのよ。
ぐすっ・・・
元気でやるのよ」
と送り出したのだった。




