↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
More than meets the eye -強い馬がわかる俺の馬主生活-  作者: oldenhaldt
受け継ぐもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/37

クダンウイング②

 期待のS判定馬、クダンウイングのデビュー戦が決まった。


 木場厩舎で陽菜ちゃんが担当している。


 9月、中山の牝馬限定戦。芝1600m。


 結果は5着だった。


 直線では伸びていたが、前の馬を捕まえるところまではいかなかった。



 次走は距離を延ばし、東京芝2000mとなった。


 前走より楽に好位を追走したクダンウイングは、直線で先頭に立つと、外から迫った馬を半馬身差で退け、初勝利を挙げた。


 レース後、中野騎手から話を聞く。


「今日みたいに2000mくらいか、もう少し距離があっても良さそうです」


「やっぱりそうですか」


「それと、ポジションを取れるセンスがあります。そこはちょっとムーンを思い出しました。

 ただ、ウイングは使いながら良くなるタイプかもしれません」


 距離については、木場先生たちも同じ見立てだった。



 ところが、クダンウイングにソエが出た。


「無理をさせる必要はありません。放牧に出します。次走は戻ってきた時に考えましょう」


「わかりました。お願いします」


 俺に異論はなかった。


 厩舎を出て、陽菜ちゃんとランチに出かける。木場先生も誘ったが、「2人で行ってきてください。3人で食事するのは、まだ早いです。早い」と断られた。


 交際を認めてもらえたし、将来のお義父さんとも仲良くなりたいんだけれどな。


「あー、残念。せっかく強い勝ち方をしたのに」


「そこまで強かった?」


「着差は半馬身だけど、余裕はありそうだったよ。陸がSって言うだけあるかも」


「そう聞くと、余計に残念だな」


「でも、残念がってても仕方ないよ。今はちゃんと治すのが先」


「桜花賞に無理して間に合わせる必要もないしな」


「うん。戻ってきたら、その時また考えればいいよ」


◇◇◇


 明けて3歳春。


 結局、クダンウイングが帰厩したのは3月。


 復帰戦は、桜花賞が阪神で行われる週の中山開催、山藤賞芝2000mだった。


 前走時440kgだった馬体は、462kgまで増えていた。


『先頭はサウスダコタ!ダコタが逃げる!クダンウイングが迫る!ダコタかウイングか!ゴールイン!接戦です!』


「差し切ったかな?」


「そう見えましたけど……」


 仲町くんと着順が出るのを待つ。


 やがて着順掲示板に数字が点灯した。


 1着、8番。クダンウイング。


 ハナ差だった。


◇◇◇


 後日、木場厩舎で木場先生や陽菜ちゃんたちと次走について話した。


 といっても、この時期に3歳馬が出られる2勝クラスはない。


 クダンウイングは1600mより2000mの方が良かった。距離とレース間隔を考えると――。


 府中2400m。優駿牝馬――オークス。


 重賞にすら出たことがないのに、いきなりオークス。


「賞金は足りますか?」


「出られそうです」


「レースを使った反動も」


「ありません」


「先生と陽菜ちゃんは、どう思います?」


「今の状態であれば、使うべきでしょう」


「GⅠに出られそうなのに尻込みしてたら、バチが当たっちゃう」


「わかりました。では次走、オークスでお願いします」


「承知しました」


 話がまとまると、陽菜ちゃんがクダンウイングの首を撫でた。


「ピカピカに磨き上げて出走させちゃうんだから」


 クラシックを急ぐつもりなんてなかった。それが、気づけば次走はオークスだ。


 トップレベル相手に、今のクダンウイングがどこまで通用するんだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。