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第89話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑨めくれた世界 前編ーー圧倒現象》

虹色の縞模様が蠢く異空間。

神々と対峙する三つの「星」サイズの粒は、自らの正体を「おとぎ話」としてガンマとデルタに突きつける。

だが、超速演算と絶対的な論理を誇る神々はそれを拒絶し、最高傑作《ガデス》の圧倒的な力をもって「現象」を物質として再定義しにかかる。

一兆度の炎と次元凍結波のコンボ、そして「存在の固定と消滅の無限ループ」という冷徹な檻。

追い詰められていくエスネコと、ねこぴょこたち。

――しかし、その窮地こそが、彼らの描く「本当の物語」の罠だった。

すべてを巻き込んで響き渡る、静かな猫の鳴き声の意味とは――!?

第89話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑨めくれた世界 前編ーー圧倒現象》


ここは、ねこぴょこたちが構築した異空間。


周囲は虹色に輝く縞模様が蠢いている。


その中で、《星》ほどの大きさの三つの《粒》が、ガンマとデルタの戦闘形態《ガデス》を取り囲んでいた。


二つの粒はねこにゃん(アルファ)とぴょこにゃん(ベータ)。

虹色の縞模様の帯が11個の《ホール》をだまし絵のように循環しながら粒の形を取っている。


もうひとつはエスネコの粒。ねこぴょこたちと同じようにエネルギーを循環させながら粒の形を取っているが、そこに真紅の帯が走っている。


エスネコの粒は、生き物のように蠢きながらSとNへの変形を繰り返している。


ーー《ウワン…ワンワンワン…》


《ウワン…ワン…ワン…ワン》ーー


空間に満ちるエネルギー波のエコーが、遠くから鳴っていた。


ーーーー


ねこにゃん(アルファ)とぴょこにゃん(ベータ)は、ガンマとデルタに自分たちの正体を、おとぎ話のように明かした。


この世界はアルファとベータの模倣。


ねこにゃんとぴょこにゃんは自らが観測してきた情報を物語とともに視覚イメージに変換。


理解しやすいように、ガンマとデルタに入力したが、それはガンマたちの処理能力を越え、情報の洪水となる。イメージは像を結ぶ事はなかった。


物語に説得力はない。

既存の理論が当てはまらないからだ。


だが、ガンマたちの前に立ち塞がるモノたちは《現象》そのものである。


ーー


ガンマ《素数次元とは何だ?そこで発生した現象が自我を持ち、逃げてきただと…。》


デルタ《ゼロの向こう側に隠れる?…。バカな。虚数は数学的な論理だ…。》


ガンマ《ワレらの対消滅と再構築はヤツらの模倣…。二次元レンズの能力は存在したときから備わっていた。…何が違うのだ。》


デルタ《ワレらの対消滅と再構築は物質と反物質への変化だ。ヤツらのは違う。ヤツらには核がない…。それに、次元は跳躍するものだ。折り畳んできただと…。》


数字は数。

だが、目の前にいる《未知》たちは、そこから逃げてきた《自我を持つ現象》だと言うのだ。


ーーーー


ねこにゃん「よし。おとぎ話は《入った》よにゃ。ここまでにゃん。」


ぴょこにゃん「固定解除してやる。もう喋れるし動けるぞ。暴れてもいいにゃんよ。」


ねこにゃんとぴょこにゃんは、自分たちの《現象》の発生過程と、素数次元の弾性力『唯一無二』に抗い、次元を折り畳みながら逃げてきた事を《おとぎ話》のようにガンマとデルタに伝えていた。


ーー


ガンマ「ふざけるな。都合の法則だと?そんな物理法則があるものか。」


デルタ「《寂しさ》で分かれた?分裂の根元が感情だと言いたいのか?よく出来た作り話だ。」


ねこにゃん「まあにゃ。作り話も入ってるかもにゃ。おりたちの自我がどのタイミングで、今くらいクリアになったかは、おりたちもわからん。」


ぴょこにゃん「逃げるのに精一杯だったからにゃん。でも、状況から推測するとこうなる。


おりたちの根元の意識は『アルファでありベータでもある』だ。これが絶対にゃん。対消滅とゼロからの再構築も、これがなきゃできなかった。」


ねこにゃん「疑うのも無理はないよにゃ。証明するなら素数次元に連れていくしかないにょさ。それも、おまいらが耐えられればの話にゃん。おりたちの可能性計算上、おまいらには無理にゃん。それこそ消滅する。」


ガンマ「悪魔の証明か。《原初》の発生が、そんな人間臭いものか。笑わせるわ。」


ガンマ《バカめ。わざわざ正体を教えるとはな。こちらは頭脳が四つ。貴様らの《現象》の答え合わせなど必要ないのだ。》


デルタ《解析結果ーー『トライ』。現象ならば再現可能だ。》


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)/じゃあ、もう一つ笑わせてやる。この地球は、おまいらが知ってる地球じゃないよ。エスネコが衝突したときに、くるんとめくられたにゃん。そのきっかけは41にゃん。知らなかったにゃろ。クスクスクスw」


デルタ「…どういう事だ?」


ねこにゃん「(*≧ω≦)お。食いついた。やっと素直に話聞く気になったか?」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)ケンカの続きは話の後でいいにょかな?ボコボコにしてから聞かせてやってもいいんだけどにゃ。」


ガンマ「ボコボコだと?調子に乗るなよ、原初。この空間ごと焼き払ってやる!」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)あ。怒っちゃったみたい。」


ねこにゃん「(*≧ω≦)怒らせたの、おまいにゃんw」


《カシャッ!カシャンッ!》

冷たい連結音が響く。


《キュイィーーーーーン!》

歯医者のドリルのような不快な音を立てながら、エネルギーは膨張。


二次元レンズに変形し四つに分かれていた《ガデス》が再び合体。


ヒューマノイド形態に戻る。


ボディから分離した頭部、腕部、脚部のパーツに殺意の光が満ちる。


ねこにゃん「それは悪手。ちっちゃくなってどうするにゃ?こっちは『星』サイズだぞ?」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)人型になって《星に願いを》するんにゃろw」


ーー


ガンマ「何が星だ。こんなもの視覚操作した虚像に過ぎぬ。なめられてたまるか。多層次元焼却炉構築!《ガンマバースト!》」


デルタ「消滅せよ!」


《ゴゴォゥ!》

《バゴォーーーーー!》


ガデスを中心に巨大な熔鉱炉が現れる。


そこから発せられたのは次元の壁さえ焼き払う《一兆度》の熱放射。


異空間は灼熱の熔鉱炉と化す。


《シュゴオォオォーーーー!》


ガデスの回りに浮かんでいた、ねこにゃん、ぴょこにゃん、エスネコの《粒》も青白い炎の中に消えていく。


ーー


ねこにゃん「( ̄^ ̄)へんっ」


ぴょこにゃん「( ̄^ ̄)しんっ」


《シュキュン!》


青白い灼熱を螺旋に巻き込みながら、ねこぴょこたちは点に集束し一瞬で消える。


そしてーー


《ぽんっ》


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー!」


エスネコ「ギューーーー。」


エスネコがモノを握りしめる声を出した瞬間。


ーー《スパァッ!!》


幕を切り裂いたように、再び景色は虹色の異空間に戻る。


ーーーー《ワァン、ワン、ワン…》


《ウワン…ワン…ワン…ワン》ーー


静寂ーー


空間に反響しているのは波のエコー。

それ以外の音は聞こえない。


孤独と無限が遠くから呼びあうように鳴いている。


ーー


ガンマ「何が起きた!?」


デルタ「…超速再生じゃない。ヤツらはどこだ?…む?」


ーー


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ。」


異空間に浮遊するガデスの足元に、黄緑色の子猫が立っていた。


エスネコ「(*≧∀≦)にゃー。」《これあげる》


エスネコはガデスを下から見上げながら、握りしめた右手を上に差し出している。


そしてゆっくりと手を開く。


《パチ!…パチパチ!》


肉球の上に、青白いプラズマを放出している丸い虹色の紙が浮いていた。


《パチ!…パチパチ!》


プラズマから発せられているのは、線香花火のような音。


音と不似合いな高エネルギーの円盤を《歪み》が包み込んでいる。


丸い《歪み》の内側に向けて、灼熱の炎が吹き出している。


どこまでも薄い円形の紙の中で凶暴に揺らめく炎。


ガデスの《殺意》は空間ごと圧縮され、円盤の檻に閉じ込められていた。


ーー

ガンマ「まさか…。」


ねこにゃん「フフフー。その、まさかにゃ。おまいの熱は《遠い手》で握り潰したw」


ぴょこにゃん「エスネコの《ぐー》で、さらに圧縮したからにゃ。これ、何兆度あるんだろうにゃ?熱には上限ないからにゃー。」


ねこにゃん「一兆度の熱は『ゼットン』の火球にゃ。ウルトラマンは、それでやられたにゃん。」


ぴょこにゃん「エスネコはウルトラマンより丈夫にゃ。まだバカだけど。」


ねこにゃん「バカはこいつらにゃん。一兆度の熱なんて地球に置いたら太陽系ごと焼きつくされるにゃん。」


エスネコの口を通して、ねこにゃんたちの普段通りの軽口が出る。


エスネコと初めて接したら、多重人格のように見えてしまう。


実際、エスネコはねこにゃんとぴょこにゃんが合体した姿。

だがエスネコも独立した一つの自我を持つため、一つのカラダに三つの自我が入っている。


ーー


ぴょこにゃん「うちのエスネコ、すごいにゃろ?これがアナログ進化した《二次元レンズ》の力にゃん。」


ねこにゃん「エスネコ。それ食べていいにゃよ。」


ぴょこにゃん「熱いからフーフーして、食べにゃよーw」


《パチ!》


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー。」


エスネコ「( *´艸`)フー、フー。…ぱくっ!」


ガデスの攻撃は焼きたての薄焼き煎餅のように、一口でエスネコに食べられてしまった。


ーー


ガンマ《…なるほど。デルタ。観測したな。原理は不明だが、ヤツラの二次元レンズは現象を『なかったこと』にしている。》


デルタ《ああ。ならば、ヤツラの演算より、高速で『あったこと』に再定義するまでだ。」


ーー


デルタ「ならば、これはどうだ?同じ攻撃だぞ。《コールドゼロ!》」


ガデスの中からデルタの声が上がる。


《シュゴォゥ!》


ガデスの全身から次元凍結波の青い炎が吐き出された。

全方位殲滅攻撃。その威力は11次元先まで及ぶ。


ねこにゃん「ムダにゃん!…て、あれ?」


ぴょこにゃん「エスネコ!逃げろー!」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ!」


《スン!》


エスネコは、ぴょこにゃんの指示通り、単体で消滅し虚数空間へ消えた。


だがーー。


ガンマ「ムダはどちらかな。」


ガデスの両腕が開く。

その手が、凍てつく青い炎を指で引っ掻けるように鷲掴みにした。

そして圧縮した凍結波を《何もいない方向》へ放出する。


その時ーー


《スン!》

虚数空間に隠れたエスネコが攻撃の軸線に姿を現した。

いやーー《現された》のだ。


エスネコ「( ・∀・)にゃ?」《あれ?》


デルタ「そこにいろ。」


ねこにゃん「間に合わにゃい!ヤツラの方が早い!」


ぴょこにゃん「エスネコ!《41》の力を使えーー!」


《ドッゴオォーーーーーン!》


エスネコが直撃を受ける。

さらにーー


《パキィ!》

エスネコが凍結された瞬間のまま固定された。


ガンマ「《なかったこと》にはさせん。微粒子にもさせんぞ。」


デルタ「鈍重なアナログめ。ワレらの学習能力を見誤ったな。貴様らのタイムラグの間に《あったこと》に再定義されたのだ。」


ガンマ「何が《現象》だ。物質という《存在》に再定義すれば《核》ができる。」


デルタ「確かに『おとぎ話』だったな。消えろ!」


《ガシャン!》


エスネコが握り潰される。

だが、破片は飛び散ることさえできない。

粉々に砕かれた瞬間のまま固定され、丸い空間に閉じ込められていた。


その余波は、エスネコ内部の異空間にいる、二柱(ふたり)にも及んでいた。


エスネコと《糸》でつながった二柱に、歪みが走る。


ねこにゃん「うおっ!」


ねこにゃんの三次元ボディの片腕が吹っ飛ぶ。それは凍結した粒子にほどける。


ぴょこにゃんの全身が確定の光に焼かれて燃え上がる。


ねこにゃん「くっそ!再定義されたか。」


ぴょこにゃん「あじー!黒こげにされたにゃー。……ねこ。これ、まじでキツいにゃん。」


ねこにゃん「ああ。でも、まだにゃ。ここで、おりたちが圧倒するような切り札を出したら意味がなくなるにゃん。おりたちは百も承知で、アイツらに情報を渡す必要があった。」


ぴょこにゃん「エスネコ!学習するんにゃ。おまいの成分は、おりたちだけじゃない。41も入ってるんにゃ!」


エスネコ「にゃ…。」


ーー


ガンマ「旧型は、子猫一匹守れぬか」


デルタ「所詮、現象だ。形を持たぬものは、定義されれば脆い」


ガンマ「焼き尽くしてやるわ。《ガンマバースト》」


丸い空間の内側に一兆度の炎が放射される。炎は空間の内膜から中心へ吹き上がる。

次元さえ凍る《コールドゼロ》からタイムラグ無しに、次元膜さえ燃やす熱が襲う。


二次元レンズで固定された空間。

紫色に光る炎が、止まったまま熱を放射し続ける。


ガンマ「ワレらと同様、貴様らには《時間》などないのだろう?その熱は止まらん。その中で新しい『おとぎ話』でも作るんだな。」


デルタ「ガンマ。油断するなよ。この状態のヤツらを再定義するのだ。《あったこと》のまま消滅する無限ループの檻にな。オートフォーカス!」


ガンマ「ふざけたヤツらめ。貴様らのようにピントはズレぬよ。」


ーーだが。


デルタ「何?」


球体の炎の色が、紫から明るい黄緑色に変わっていた。


そしてーー


ーー《スン!》

球体は色の変化に気づかれた途端に消え去った。


デルタ「まさか…。ガンマ!再定義するのだ!」


《ボウッ!》

再び紫色の炎が凍りついた球体が現れる。


ガンマ「解析完了!トライだ。」


デルタ「ならば、《あったこと》と《なかったこと》を永久にループしていろ!《無意味》の定義付けしてやる!」


《スン!》ー《ボウッ!》

ハイスピードでの存在と消失の繰り返し。

球体の明るさは落ち、明滅の間隔がどんどん遅くなっていく。


ガンマ「おかしい…。予測と逆だ。」


デルタ「否定と肯定…。その先が…。」


ーー《にゃー…》


ガンマ「鳴き声?」


《にゃあん、あん、あん、あん…》

ねこの鳴き声がエコーのように響き渡った。




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