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第87話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑦ふざけるモノたち》

戦いの舞台は、ガンマとデルタの居城——超次元空間。

四つのレンズに囲まれたエスネコと、不敵な笑みを崩さないねこにゃん、ぴょこにゃん。

「原初」とは何か。その答えが、ついに敵の口から語られようとしています。

だが、この物語の神々はただでは終わらせない。知略と茶番が入り混じる、ふざけた決戦の行方は——。

一方、現実の41の家では、仲間たちとのいつも通りの、それでいて、いつも以上にくだらない時間が流れる。

第87話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑦ふざけるモノたち》


ーーここは、ガンマとデルタの居城。


超次元空間。


太陽のない偽の青空はどこまでも広がっている。


静寂の庭と呼ばれる天と地の境界線も曖昧な地面。

青々した芝生の先に視界をさえぎるものはない。


薄緑の葉や細い枝から木漏れ日が抜ける林も見える。


緩やかな風も吹いているようだが、木々の葉の揺れかたは同期していない。


それは、ここの主にとって些細な事なのであろう。


ーー

ここには修復や物理的再生という概念はない。


超速再生ーー


ガンマとデルタの構築した無限の世界線から補填すればいいのだ。


前回、ねこにゃんとぴょこにゃんに破壊された痕跡はない。全て「新品」に交換されていた。


静寂の庭の白いテラスのテーブルには、向かい合うように、飲みかけのコーヒーのカップが置かれている。


ーーそこに、子猫の形をしたモノたちが再び現れた。


チンチラシルバー《ねこにゃん》

アメリカンショートヘア《ぴょこにゃん


その対面に浮遊しているのはガンマとデルターー否。


既に融合済みの戦闘体ーー《ガデス》


八面多様体のパーツが、静かに浮遊しながら《人の形》を保っている。


光を閉じ込めたそのボディは、見る角度によって存在の位相がズレる。


ーー沈黙。


ガデスからガンマとデルタの声が響く。


ガデス「食われたいか?それとも滅びたいか?答えろ?」


ねこにゃんとぴょこにゃんは質問に答えない。


二次元レンズの観測結果のみ伝えた。


ねこにゃん「(≧∀≦)ふーん。粒、四個分か。」


ぴょこにゃん「(≧ω≦)おまけつきか。昭和だよにゃw」


ーー再び沈黙が続いた。


ガデスの透明なボディーに何条もの雷撃が走っているのが見える。


攻撃の前触れなのか思考パターンなのかはわからない。パーツごとに光るそれから、一つの思考だけは理解できた。


ーーそれは純粋な殺意。


前回、二柱からの奇襲を受けたガンマとデルタには隙が見られない。


学習し計算し、目の前で観測した結果から勝利は見えていた。


侮りはない。

ただ傲慢さだけは色濃く残っていた。


ーー


再び口調を開いたのは、ねこにゃんだった。


ねこにゃん「ここ、気持ち悪いよにゃ。殺風景だし、不自然にゃ。おまいら、いつものコーヒーはもういいのか?こんなとこで、隠れて飲むコーヒーは、旨いにょかねえ?」


続いて、ぴょこにゃんが煽る。


ぴょこにゃん「もう飲めにゃくなるぞ?待ってやるにゃん。おりだったら最後に食べるのはカレーだにゃ。二日目のが美味しいにゃん。」


ねこにゃん「ぴょこはバカだにゃー。おりたちに最後なんて概念にゃいのさ。でも、おりはサンマだにゃ。大根おろしたっぷりかけて食べるにゃん。さらに肉じゃがをご飯の上にかけて掻きこむ!どーよ!」


ーー

ガデス「貴様らに味覚の話をする必要はない。」


ねこにゃん「あれ?味覚の話?」


ぴょこにゃん「答えがズレてるにゃん。コーヒーの味はわかってるにょか?それとも、その気取った雰囲気作りのためかにゃ?」


《ピキィ!》


《バチッ!》


戦闘用ボディ《ガデス》のボディにスパークが走る。

閉じ込められたエネルギーがプラズマになって、透明な体の中を駆け巡っている。


ーー

ねこにゃん「これは、まさかネオン攻撃!ピカピカに釣られて怪しいお店に入れられるにゃ!」


ぴょこにゃん「ねこ!誘惑に負けちゃダメにゃ。奥さんと子供が家で待ってるにゃ。」


沈黙ーー。


ねこにゃん「こいつら、ノリ悪いにゃん。」


ぴょこにゃん「関西弁にしまひょかにゃん?」

ーー


ガデス「これは観測だ。貴様らの反応パターンを収集している。ワレらは言葉一つで因果軸を読める。」


ねこにゃん「(≧ω≦)ふーん。で、結論は?」


その一言で、空気が変わる。

木々の葉、芝生の一本一本が静止した。


ぴょこにゃん「お、来るにゃ。」


ーー

ガデス「結論。貴様らはバグだ。排除する。」


ねこにゃん「せっかちは、よくにゃい」

ーー刹那。


《ズザーーーーーッ》


空間が音もなく削れた。


前触れゼロ。

詠唱ゼロ。

予兆ゼロ。


ガデスの腕部ユニットが分離し、次元そのものを刃として射出。


テラス、芝生、青空もろとも射線上の空間が一直線に切断される。


完全な不意打ち。


だがーー。


ーーだが。その瞬間、二柱の輪郭がぼやける。


ねこにゃん「( ̄^ ̄)へんっ」


ぴょこにゃん「( ̄^ ̄)しんっ」


《キュイッ!》


プラスチック容器を洗ったような音。


ねこにゃん・ぴょこにゃん二つの存在が重なり、共に捻られた空間が一点に圧縮。


ーー《スパッ》


二柱は何の痕跡も残さず消えた。


そして弾き出されるように間抜けな音が鳴る。


《ぽんっ》


黄緑の閃光が、切断線の内側に滑り込んだ。

次元切断の刃と黄緑色の光が交差する。


ーー《パキン》ーー


あり得ない音が鳴った。

次元を切断する刃がエスネコの前足に固定されていた。


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ?」


ーー《へにゃ…》


刃は薄いビニールのように柔らかくなり折れ曲がる。


ガデス「……なに?」


エスネコ「(≧ω≦)にゃ。」


エスネコがビニールになった刃を持ったまま、軽く手を振った。


ーー《スルン》


静寂…。


次元の刃は、そのまま『存在しなかったこと』に書き換えられていた。


芝生も、テラスも、カップも。

引き裂かれた青空も。


ーー最初から何も壊れていない。


ぴょこにゃん「不意打ち失敗かよ。にゃははーw いきなりそれはマナー違反にゃん。」


ねこにゃん「(≧∀≦)でも今の、ちょっと良かったぞ。」


煽るような軽口を叩きながら、知の共有モードで会話する二柱には少し驚きがあった。


ーー

ねこにゃん《ふむ。エスネコでも一瞬ズレるか》


ぴょこにゃん《デジタルか。大したもんだにゃ。演算速度は、おりたちの数万倍?もっとか?》


ねこにゃん《でも、そこじゃないんだよにゃ。》


ぴょこにゃん《そーゆーことにゃん。》


ねこにゃん《(*≧ω≦)にー》


ぴょこにゃん《(*≧ω≦)にー》


ーー

《コキン…》


《ガシューーン》


ガデスの全パーツが、一斉に回転する。


観測。再計算。再定義。

ガデス(ガンマとデルタ)は目の前で起きた現象を瞬時に分析し超速思考する。


ガンマ《今のは二次元レンズ?《遠い手》の固定…。だがそれだけでは説明が足りない。原理がまるでフィルムだ。ヤツラは画素で解像度を高めてるのではないのか?》


デルタ《ああ。フィルムに《焼き付けられた》ようだった。同じ二次元レンズの能力といっても下位互換に過ぎないだろう。だが、興味深い現象だ。攻撃が無効化されたのではない。まるで、『結果が改変された』……?まだ試してみるべき事が多そうだな。》


ーー


エスネコ「(≧ω≦)にゃー。」


エスネコが一歩、前に出る。


その足元だけ、世界の解像度が変わる。


ーー

ねこにゃん「じゃあ次はおりたちの番かにゃ?順番、守らにゃいとな。」


エスネコの声に、ねこにゃんの声と、ぴょこにゃんの声が重なる。


ぴょこにゃん「遊び方にもルールあるにゃん。」


ーー静寂が、再び張り詰めた。


だが今度は均衡ではない。

明確な、開戦前の静けさだった。


ーー

ガデス「ふん。なるほど。二次元レンズを使ったか。おまけにワレらの超速再生を真似したのか?では、どこまで真似できるか見てやろう。その黄緑の形態は貴様らの合体フォームということだな。だが所詮、《ワンペア》だ。こちらはイータとシータのレンズを取り込んだのだ。」


ねこにゃん「…んん?だから何?おまいらはツーペアってことかにゃ?」


ぴょこにゃん「粒多い自慢かよ。それに黄緑って呼ぶにゃよ。この子はエスネコにゃん。合体には違わないけど違う。エスネコは独立した自我にゃん。」


エスネコ「( ・ω・´)/にゃー」


ねこにゃん「(*≧ω≦)おー。エスネコも怒ってるにょか。いい子にゃ。」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)なんたって、41とペアになったもんにゃー。」


エスネコは、一人でぺちゃくちゃと話しているが、ガデスからは多重人格のように見える。


ガデス「なるほど。自我を共存させながら一つのカラダに入っているわけか。」


ねこにゃん「このカラダの主権はエスネコにゃん。だけど、この子はまだ赤ちゃんだからにゃ。親としてサポートするにょさ。」


ぴょこにゃん「つまり、おりたちは41の親にもなったって事にゃん。もう手を出すなよ。」


ガデス「…41の親?どういう意味だ?」


ねこにゃん「それ聞いたら本当に滅ばなきゃならにゃいぞ。いいにょか?」


ぴょこにゃん「おまいらは、クソで41や他の人間をクソゲーみたいに扱ってたクソ粒にゃん。でも、一つだけいい事したからにゃ。チャンスやるって言ってるにゃん。」


ねこにゃん「そう。おまいらは41を作った功罪がある。何も知らないでいるなら、おりたちが『直して』やるにゃん。わかるか?」


ガデス「さっぱり、わからんな。もう41など、壊れたオモチャに興味はない。この世界線にも用はない。アカシックレコードで、また、別の世界で探すのみだ。貴様らを滅ぼしてからな。」


ぴょこにゃん「アカシックレコード??へー。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」


《ピス…》


エスネコの二次元レンズの瞳に因果軸フィルターが重なる。


レンズのフォーカスは容易くガデスを射ぬく。アカシックレコードの起源と概念の《意味》が観測された。


ねこにゃん「ああ、…なるほどな。そういうわけか。ケラケラケラw」


ぴょこにゃん「おまいらは、そんなのを後生大事にしてたにょか。わからなくもにゃいよw」


ガデス「何がおかしい?話したいことがあれば聞いてやるぞ。それはワレらの知識にもなる。データの情報交換では、つまらんからな。ワレらは言葉のコミュニケーションから、その先の因果も読み解ける。」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)ケラケラケラ。ぜんぜん読み解けてないにゃん。このポンコツ劣化版。新型の神様にでもなったつもりかw」


ねこにゃん「おりたちの事、バグって言ったよにゃ?それは当たりにゃん。でも、どこで起きたかわかってないにゃろ?そもそも、おまいらの言う原初って何の事にゃ?攻撃待ってやるから当ててみるにゃんよ。」


ーー

ガデス「いいだろう。では、こちらから貴様ら『原初』の答えを教えてやる。バグとはな。最適解から生み出されるのだ。我々のシリーズは進化している。あらゆる世界線の事象に触れ学習し、干渉することで進化するのだ。バグは、そのストレスから生み出される澱(おり)のようなものだ。だが、それは種にもなる。自我と、一つだけのコマンドを持ったプロトタイプ。それが『原初』だ。」


ぴょこにゃん「むじかしい事をグダグダと。一つだけのコマンドって何にゃ?」


ガデス「模倣だ。模倣しながらワレらを目指していく純粋無垢な粒だ。」


ねこにゃん「ぴょこ。おり、純粋無垢らしいぞ?だから、冷蔵庫のプリン食べたの、おりじゃないにゃん。」


ぴょこにゃん「( ・ω・´)このバカ粒ー!かみかみまで泣かせて、泣いて謝って買いに行かされたの忘れたにょか?」


ねこにゃん「( ̄^ ̄)そんなこともありましたねー。純粋無垢って罪なヤツにゃん。」


エスネコ「( ・ω・´)にゃー。」

この会話を聞いていたエスネコが不機嫌そうに鳴いた。


ーー《ギュン!》


《ザシュッ!》


突然、エスネコの額のSの模様がムチのように伸び、自分の胴体を突き刺した。


ガデス「何?自傷行為?何の真似だ。」


ーー

ここはエスネコ内部の異空間。 異空間の壁を突き破り深紅の鞭が現れる。


《ぺしっ!ぺしぺしっ!》


鞭が、ねこにゃんの頭を叩く。

叩かれた場所がプリンに変わっていく。


ねこにゃん「あたっ!痛いってば!にゃんだ?美味しいぞ?プリンの味する…。」


ぴょこにゃん「おまい、自分のアタマ食べてるにゃん。アタマ触ってみろ。プリンになってるからw」


《にちゃ…》


ねこにゃん「あー!アタマがプリンになってる!この肉球についてるのはブラウンシュガー?苦味と甘味がって…。やめんかー!」


ぴょこにゃん「おりにも、一口食べさせろにゃん。あはははははw」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」


ねこにゃん「( ;∀;)すいませんでした。自分調子乗ってたっす。ウソつきは泥棒っす。脳みそプリン野郎っす。玉子と砂糖からやり直したいっす。」


ぴょこにゃん「わかればいいにょさ。ウニ頭からやり直せ。」


ねこにゃん「(*≧ω≦)ウニ美味しいよねー。これ終わったら41たちと、お寿司食べに行こうか?」


ぴょこにゃん「おりは、イクラかにゃ。エスネコは?」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ。あ、アワビ?にゃー。」


ねこにゃん「おー。さすが41と合体しただけあるな。アワビ食べてみたいにょか?」


エスネコ「(*≧ω≦)/にゃ!」


ガデスを無視し、一人芝居のようにエスネコの口から放たれる会話が続く。


ガデスの最適解に対する、ねこ神たちの反応はさらなる怒りを呼んだ。


ーー


ガデス「ふざけたバグどもめ。一気に消してやる!」


ーー《ザシュッ!》

《ドッゴォオーーーン》ーー


ーー《キン!ガリガリガリガリ!》ーー


ガデスは次元を切り裂く刃や、億千度の焼殺熱、次元を凍結するコールドゼロを茶番を続けるエスネコに攻撃を仕掛ける。


《ペタペタ…》


《…ペシャ》


《カシュン…》


だが、攻撃は全てエスネコの目の前の見えないスクリーンに貼り付いて紙屑のように散々になってゆく。


エスネコに向けた攻撃の余波をくらった超次元空間も、一瞬で景色が変わり、何もなかったように静寂に戻る。


ーー

ガデス「…まただ。どうなってる。超速再生とは違う原理…。観測再開…再計算…再定義…。」


ーー

ねこにゃん「気がすんだか?」


ぴょこにゃん「原初は模倣で、お前らを目指して進化するプロトタイプにゃんだろ?再定義してみろ。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」


ーー


だが、ガデスの内部に潜むガンマとデルタに、まだ焦りはない。


予想外ーー

これは認識せざるを得なかった。

だが、二人にはそれを上回る奥の手があった。


ーー

ガンマ《この超次元は廃棄する事になるな…。こことハブになってる世界線もろとも食ってやる》


デルタ《ああ。ここでの実験は終わりだ。人は神になれぬ。これでよかろう。可能性は、また作ればいいだけだ。ヤツらとてワレらと同じ11次元構造体に過ぎぬ。ガデスを一時解除だ。あの黄緑をワレらとイータとシータの粒で四方向からロックオンーーリアルフォーカスしてやる》


ガンマ《11次元面に囲まれた『箱』の中で固定されたら逃げようがないだろ。そして四粒、同時に対消滅して飲み込むのだ。再構築したときにはイータとシータ同様にワレらの一部となってる。デルタ。ガデス解除するぞ!エサになれ、原初!》


デルタ《ーー!待て。空の色が…?足元の縞模様は?》


いつの間にか超次元空間は虹色の光に浸食されつつあった。


ーーーー


ねこにゃん「気にしないで好きにやればいいにゃん。ほら、何かやれw」


ぴょこにゃん「もう時間切れだけどにゃ。そういえば、おりたち、エスネコと消滅したときに41に、『おとぎ話』聞かせてやったにょさ。」


ねこにゃん「これ聞いて、原初を再定義したほうがいいぞ。理解しやすいように、最初に言っておく。おりたちの正体は《現象》にゃん。」


ぴょこにゃん「おまいらのver5が《存在》って言葉使ってたけど、お前ら本体も観測してみて、よくわかったよ。劣化版は《核》を持たなきゃ存在できにゃいんだな。」


ーー


ガンマ《こいつらに構うな!ふざけるのが常套手段だ。ガデス解除!閉じ込めるぞ!》


デルタ《ワレらも復帰するぞ。11次元構造体粒子へ!二次元レンズ起動。ガンマ・デルタレンズ、リアルフォーカス!》


ガンマ《イータ・シータレンズ、リアルフォーカス!》


ーー《クゥィイーーーン》ーー

空間が歪む。

青空は裂け、偽物の景色も飲まれていく。


超次元空間は虹色の浸食を置き去りにするように、膨張を加速させる。


光は膨張し白い闇を作り出した。


ガデスの透明な八面多様体は四分割され、エスネコを囲んだ。


それは美しい巨大なレンズ。

レンズは銀河のような螺旋を描きながら足を伸ばす。


その星一つ一つが数兆もの無数のレンズとなっている。


ーー《カシャカシャカシャカシャ!》ーー


デジタルカメラの連続シャッターのように、多次元の四方向から一斉にフォーカスが向かう。


《グサ!グサ!》


《グサグサ!》


フォーカスの光は容赦なくターゲットのエスネコを突き刺し射止めていく。


ガンマ《滅びろ!原初ォァー!》


デルタ《見下ろされるのは気に入らぬのだ。終わりだ。》


《ブスブス!ドシュッ!》


《ザグザグサグザグ!》


フォーカスは一点に集中。


白い闇の中心に光は収束されエスネコのいた場所には、小さいブラックホールが生まれていた。


二次元レンズで固定され、《遠い手》の力で、さらに圧縮されていく。


多次元からの波状攻撃。


他の次元に突き抜けるような密度。

だが、ガンマとデルタの使う《遠い手》はそれを許さなかった。


存在を消し去るまで、粒を崩壊させるまで。


容赦なく圧縮は極限に至る。


《グォーーーーー!》


ブラックホールのように圧縮された《球体》は回転しガンマ線バーストを吐き出す。


ガンマ《ガンマ線を吐き出したか。塵も逃がさんぞ!フォーカス!》


デルタ《あらゆる力も逃がさん!蓋をしてやる!》


《グォ!…グガォーーーー!》


ーー《グォッ!》


《ボッ!》ーー


球体は金平糖のように、あちこちに角を出し暴れている。

だが、突き出した角は飛び出せず、ぐにゃりと引っ込んで行く。


ーー《ボホボボボボッ!》ーー


吹き出すガンマ線バーストに蓋をされた漆黒の球体はインフレーションを起こし、さらに巨大化していった。


そしてーー


《ギュン!ギュンギュン、ギュンギュン!》


《バチィ!バチッ!》


回転力と空間との摩擦により何重もの虹色のリングが球体を周回する。


リングは回転に耐えられず、毛糸玉から千切れるようににほどけ暴れ出す。


ーー


ガンマ《…頃合いだな。ほどけた粒の残骸がリングになっている。フハハハ。旨そうではないか。デルタ。ヤツらを食うぞ。対消滅のタイミングを同期。やれ!》


デルタ《よし!全滅領域形成《アナイアレイション》! 》


ーー


だが、その時ーー

漆黒の球体から、ガンマとデルタの勝ち誇った言葉を遮るように冷たい宣告が響いた。


ーーー《ワーム・オブ・レギオン!》ーー


《グギャアゥオッ!》


《ググルググ…。グォ!グギャォーーーー!》


ガンマとデルタの目の前の漆黒の球体から、ワームのような足が生えていた。


その数は121本。


その一本ずつが狂暴な捕食者のように、唸り声をあげていた。


ワームの先端は何モノでも引き裂く鍵爪であり、補食のための嘴になっている。


《グギャアゥオッ!》


《グゥオッ!グギャァ!》


四方向に展開したガンマたちのレンズを威嚇し、今にも引き裂き食らわんと、鍵爪と嘴を伸ばして来ていた。


そしてーー


《パチ…》


《パチパチ…》


球体の表面に《目》が開く。


それは球体の表面を滑るように移動する曼荼羅模様の虹色のレンズ。


鏡面状のレンズは無限を映し出す。


《グギャウォオオオォーー!!!》


《キンッ!!》


レギオンの一斉の咆哮。


超次元空間は、一瞬で虹色の縞模様が蠢く異空間に変わっていた。


ーー


ガンマ《…何だこれは?フォーカス!む?》


デルタ《フォーカス!…?映らない?フォーカス!目の前にいるのに映らん!》


球体ーーレギオンはガンマたちのレンズの数百倍の大きさに膨れ上がっていた。


《グオォオーーーーー!》


さらにレギオンの巨大化はすすむ。


迫り来るワームの嘴の中は鏡面。

捕食する敵を映し出す。


ガデス「くっ。…化け物め。」


ーー



ここはエスネコ内部の異空間。


エスネコ《( ・ω・´)にゃー》


エスネコが、ねこぴょこたちに抗議の泣き声をあげている。


理由は、ねこぴょこたちがガデスの攻撃に対しエスネコに干渉したからだ。


危機に対する親心ではあったが、エスネコの力を使って勝手にレギオンを作った二柱に不満の声をあげている。


エスネコ《(*`ω´*)にゃ!》


ーー


ねこにゃん《(≧∀≦)そうかー。ゴメンゴメン。自分一人でやりたかったよにゃ。》


ぴょこにゃん「信用してなかったわけじゃにゃいよ。パパたち勝手に心配してゴメンてば。じゃあレギオン解除しようにゃ。それで、おりたちの『現象』見せながら、おとぎ話聞かせてやろう。ビビらせてやるにゃん。」


ねこにゃん《おとぎ話したら因果率完成するからにゃ。そしたらエスネコに任せるにゃん。それでいいか?》


エスネコ《(≧ω≦)にゃー》


ぴょこにゃん《もったいないなー。いいレギオン出来たのに。レギオンごめんにゃ。また、こさえてやるにゃん。》


ねこにゃん《防犯用ミニレギオン作って、よろずやで売ろうか?》


ぴょこにゃん《( ・`ω・´)このアホねこ。地球滅ぼす気か?…待てよ。んー。考えとくにゃんw》


ねこにゃん《カッコいいフィギュアにするにゃんよ。》


ーー

エスネコ《(´・ω・; )にゃー》

《41。この二人ダメダメだよ。早く終わらせて遊ぼうね。》


ねこにゃん《ん?エスネコ。何喋ったにゃ?早口で聞き取れにゃいのさ。》


ぴょこにゃん《さらに高性能なったみたいだからにゃ。かみかみの通訳ないとわからん。》


エスネコ《(*≧ω≦)にゃ》

ーー


虹色の異空間に、レギオンと向き合う四つのレンズが浮いている。


ーー

ガンマ「これは何だ!答えろ原初!」


デルタ「観測できない幻覚…。現実として対応するにはリスクが…。ワレらを見下してるのか。」


ーー


ねこにゃん「ほお。まだ元気あるジャマイカw」


ぴょこにゃん「じゃあ、レギオン解除。アルファ、ベータ、エスネコを11次元現象体へ復帰。お話の時間にゃ。」


《シュンッ!》


漆黒のレギオンが一瞬で消えた。


ガンマ「何?」


デルタ「消えた?」


ねこにゃん「おりたちの真の姿を見せてやろう。


ぴょこにゃん「新型の神様なら模倣してみにゃ。」


ーー

空間が捻れる。


虹色の異空間の縞模様を取り込むようにーー。


自分の尾を食う蛇のようにエネルギーが、絡み合い、のたうち回る。


やがて、それは、ガンマたちを取り囲むように巨大で、巨大なーー。


ーー《クーーーーーーン》ーー


ーー


ねこにゃん「このくらいの大きさにしとくか?星?ベテルギウスくらいでいいか?」


ぴょこにゃん「そうだにゃ。まあ、原寸大は『ミクロでもマクロ』でもあるし。こいつらの目に見えるように視覚操作しとくにゃ。」


《シュゴーーーーッ》


ガンマとデルタが作り上げた銀河を模した巨大な四つの二次元レンズ。


それすら、現れたモノと比べれば遠くの小さな星に見える。


異空間に三つの粒が浮かぶ。


その粒、一つ一つの大きさは、ねこにゃんの設定した星ほどの大きさ。


《ホール》と呼ばれる11個の穴を騙し絵のように循環するエネルギー。


《ホール》は鏡面になっている。


それは外でもあり内にもつながる穴。

エネルギーは鏡面を通り抜ける時に無限を映し出す。


ーー


デルタ「バカな。永久機関だと…。」


ねこにゃん「おい。ボーッとしてんなよ。『お話』終わってからバトルするんだからにゃ。」


ぴょこにゃん「エスネコが暴れるの楽しみにしてるにゃん。遊んでやってくれよにゃ。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー!」


ガンマ「くそぉ!ふざけるな!」


デルタ「貴様らごときにっ!」


ぴょこにゃん「( ・`ω・´)黙ってろ。」


ーー《ピシィ!》


ガンマ「…。」


デルタ「…。」


ガンマとデルタは瞬時に固定された。


ーーねこにゃん「それでは。昔々、あるところに…。」




ーーーーところ変わって。


ここは東京N23区。41の家。


応接間で41は仲間たちから追及されていた。



ーー


ケイ「ったく。お前は。玄関で倒れてるんだもんな。そのわりにスッキリしてやがる。あのブレンド、どうだったんだ?」


ジュン「( *´艸`)プブッ。ケイちゃん。やめなよ。怒ってるケイちゃんの顔が…。顔が福笑いみたいに見えるw」


まだ、LSDはピークのまま。


ジュンの一言で、お説教タイムは台無しになった。


追及どころか大脱線に突入する。

いつものパターンだ。


オレ「このLSD、真実の目が描いてあるからな。ケイの正体は福笑い!どおりで…。」


ケイ「( ・ω・´)どおりでー?何が『どおりで』なんだよ、このアホジャンキー。面白い事言え。」


オレ「(*≧ω≦)靖国通りで!」


ケイ「(≧ω≦)/ それは道路な。」


エミ「アハハハハ!41さん。えーっと、ちょっといいですか?」


オレ「何?ナイショ話?ここで聞かれちゃマズイ話?オレ今、エミちゃんの顔、『半魚ドン』に見えてんだけど。半魚ドンは真面目な話しちゃダメだよw」


オレ《ヤベーな。エミってこんなにブスだっけ?真実の目はきびしいなw》


エミ「ひっどい!41さんの真実の目だとアタシ半魚ドンなんだw」


サル「やめろってば。オレみんなの鼻の穴が気になってしょうがないんだよ。話すとでかくなるのw」


余計な一言。


さらに情報は上書きされて、みんなの鼻の穴が気になっていく。


ジュン「アタシもー?」


サル「(*≧∀≦)ギャハハハハ!ジュンが鼻だけ西田敏行なってる!」


ジュン「( ・ω・´)サルー!」


オレも続けて中指と薬指を開いてサルを指差した。


オレ「( ・ω・´)ブヒー!」


サル「何?…てめー、それひづめのつもりか?」


オレ「ブヒブヒ!」


エミ「もう!アタシの話聞いてくださいよー!」


オレ《聞くわけねーじゃん。だって今のオレはブタ野郎。ブタに真珠?何て意味だっけ?》


ーー

このやり取りをキッチンのテーブルから、冷めた目で眺めている、ねこがいた。


ーー

かみかみ「(´・ω・; )あそこにいたら、バカうつるお。。にゃんかハラ減ったけど、近づくとうつるからなー。」


ーー


かみかみ「ん?」


テーブルの上に大きい紙袋が置いてあった。


かみかみ「いい匂いするお。」


《ガサガサ》


かみかみ「お!メロンパンだ。これ食べたら怒られるかにゃ?ねことしてメロンパンはありなのか?…まあ、いいお。バカうつるし。緊急事態だもんね。」


《ガサガサ》


かみかみ「食べづらいなー。あ!そうだ。砂場王で中身掘って食べればバレない。てーんさいっ!ボク、てーんさいっ!」


かみかみ「砂場王!中身をほじくれ!」


《モリッ》ーー《ふんわり》


メロンパンの中身がキレイに取り出された。

外側に掘った後もない。


かみかみ「うまっ!このシットリ感。外の焦げたとこも食べたいよにゃー。」


《ムシャムシャ。サクサク…》


ーーー


再び応接間では笑い声とムダな応酬が続いている。


オレ「ブヒブヒ?ブヒブビビー!」


ケイ「いつまでやる?つか、何言ってる?まずそれ言えよ。」


オレ「(*≧∀≦)仕方ない。人間の言葉に訳すとね。『お腹すいてない?』だ。オレ腹減ってきた。食べに行こうよ。焼肉でもお寿司でもいいよー。」


全員「(´・ω・; )えーーーー。」

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