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第85話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑤ Walk Away》

LSDとコークスクリューの渦巻く41の家。

歪む景色。噛み合わない現実。そして、目の前に現れた不気味な存在。

限界を迎えた肉体と魂が、音もなく虚無の闇へと崩れ落ちていく。

当たり前だったはずのつながりが断ち切られ、すべてが失われたかに見えた絶望の淵。

それでも、物語は止まらない。

小さな相棒の必死の叫びと、想いをつなぐ不思議な力が、静寂に沈んだ世界を揺り動かす。

やがて、研ぎ澄まされた感覚とともに再び瞼を開く41。 蘇った仲間たち。そして、新型の刺客サトゥーとの対峙。

ジェームス・ギャングの《Walk Away》が流れるなか、原初の粒と新型の神の戦いは、予測不能の局面へと突き進む――!

第85話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑤ Walk Away》


ーーここは41の家の応接間。


三人掛けの白革のソファーにジュンとケイが座っている。

テーブルを挟んだ向かい側の二人掛けのソファにはサルとエミが座っている。


オレは、かみかみに促され一本の注射器を取りにきた。


オレ《何だこりゃ?》


コークスクリューとLSDがピークに効いてるオレの視界は奥行きを失っていた。


オレ《あれ?写真?みんなが立体に見えないぞ?》


するとソファに座っていたケイが声をかけてきた。


ケイ「おい。お前が叫んだら逃げろって何の事だ?誰か来たのか?」


そう話しかけるケイの姿はソファから首だけが生えているように見えている。

それは隣に座っているジュンも同じだ。


彼らの服はソファの模様に見えている。


オレ「わかんねえ。かみかみが玄関の方向かって威嚇してるんだ。アイツ玄関に行っちゃったよ。」


ジュン「ジュピターン。サルが持ってきたこのLヤバイよ。コークスクリューが効き目増幅させてるし。アタシ動けないよー。」


オレ「ケイ。何かあったらジュン抱えて逃げてくれ。まあ、何にもないと思うんだけどさ。とりあえず玄関見てくる。」


ケイ「わかったけどよー。オレも今ピークなんだよ。ヘロヘロのぐにゃぐにゃだw」


オレ「(*≧ω≦)アハハハハー。わかる。オレもだよーん。みんなが写真に見えてる。つーかさ。誰だこのカセットかけたの?懐かしいの流れてる。」


部屋に流れる音楽はジェイムス・ギャング。


若き日のジョー・ウォルシュが咆哮する《ウォーク・アウェイ》


懐かしい歌詞ーー

を《オレには君が、ただ可愛い顔を向けて立ち去るだけに見える…》


ジュン「アタシがかけたの。ラベルに《原初》って書いてあったからさ。何が入ってるんだろうって。オールドロックのセレクション?原初って何?」


そう話しかけるジュンの姿もペラペラの紙のようだ。


真っ白なはずのソファーにジュンの服の模様が張り付いている。


オレ「これはさ。ジェイムス・ギャングの《ウォーク・アウェイ》。ジョー・ウォルシュ知ってる?今はイーグルスのギターの人だよ。オレが初めてコビーした曲。弾けるようになりたいって。そのカセットはオレの歴史だね。初心忘るべからずってつもりで《原初》って名前にしたの。だから、ロックからポップスまでマイヒット曲ごちゃ混ぜw」


サル「懐かしい曲だな。このテープいいじゃん。お前の歴史ってのもわかるよ。にしても、効いたー。41。お前がダブって見える。このL、オレが一人で試した時よりぜんぜん効いてるよ。コークスクリューに上乗せされたなー。」


エミ「41さん。ごめんなさい。アタシも無理そうです。この部屋の煙だけで効いちゃう。それにアタシも半分だけLSD食べちゃいました。TVが3Dに見えちゃってます。」


オレ「しょうがねーなー。弱っちいジャンキーどもだぜ。オレを見てみろ。」


と、言いつつ床のアイボリーの絨毯は、湖のような波を打ち、足を置くたびに波紋ができる。


《ポチャン…ポチャン…》


水溜まり歩いてるみたいな音も聞こえてる。


オレはそろりそろりとソファーの横を通り抜け、後ろの棚の上に置いてある注射器を取ろうとした。


ーー


ケイ「コラ。そこの不審者。お前、何を取ろうとしてる?」


オレ「さっき作ったブレンドであります。パワーストーンの前に置いといたから、そろそろ熟成したかなーっと。」


ケイ「ウィスキーかよ。」


オレ「お供え物だよ。」


ジュン「それ、どうするの?あ!コークスクリューの時みたいに防犯用に使うんでしょw」


オレ「ピンポーン!ヤベーやつが来たら、チューってかけちゃうw」


ケイ「ヤベー奴って?」


オレ「さあ?とにかく玄関見てくるわ。みんな。逃げろーって、言ったら逃げろよ。」


ジュン「無理!」


サル「死ぬ!」


ケイ「(´・ω・`; )この状態で?オレ昼間に通り魔に巻き込まれて、夜はこれかよ。はー…。」


オレ「ジャンキーだろ。しっかりせい!」


《ゴンッ》


オレ「( ;∀;)痛っ!」


応接間のドアの枠にアタマをぶつけた。


ーーだって、このドア捻れてるんだもん。


それでも注射器を握りしめてオレは玄関に向かった。


オレ「(*≧ω≦)かみかみー。おっ待たせー!にゃーっ!」


ーーーー


ところかわって、ここはエスネコ内部の異空間。


41の魂を補食し消滅したエスネコの内部も、無限の膜が剥がれ消滅しようとしていた。


《シュワワワワワ…》


炭酸の小さな泡が弾けるように異空間が溶けていく。


ねこにゃん「急ぐぞー。ぴょこ!『あれ』を使う!このまま三次元ボディから変形!消滅する前に捕まえるぞ。二次元レンズ起動!アルファ・ベータレンズを《マルチバースモード》に。目標、41の《コア》。」


《シュカッ!》


ねこにゃんとぴょこにゃんの三次元ボディは、瞬時に形を変えた。


彼らの真の姿は11次元構造体の対の《粒》


《粒》は変形し、半円形へと膨らみ、お椀のような滑らかな曲面と鏡面の平面を描く。


思考そのものを目標に、多層多次元に及ぶ因果を観測できる《マルチバースモード》を起動。


平面側の鏡面に浮かんでいた曼荼羅模様のレンズが球面側へと移動する。


《キュイン》


――微かな音とともに、構造が反転。


二つの粒の平面側の鏡面は互いに向かい合い、鏡写しの無限を映し出す。


半円側へと移動した11のレンズは、フラクタル模様の渦を巻き高速回転を始めた。


エスネコ内部の11次元異空間、全方位を覆い尽くし、二つの存在を中心に、多層・多次元・多因果の視界が開かれていった。


《クィーーーーーーーン》


《キュッ!クオゥーーーン!》


二次元レンズのフォーカスは生き物のように、あらゆる次元に侵入し、歪曲した軌道を描いて突き抜けていく。


《キュンッ!キュィーーン!》


ーー

ぴょこにゃん「次元フィルターを『素数』次元に!《イレブン》で刻むぞー。二次元レンズ、フルフォーカス!41の《コア》をトレース!」


《シバァッ!》


11対の二次元レンズがスナイパーのように41の魂を追う。


フォーカスは焦点であり《現象》を掴む。


そしてーー


ねこにゃん「あった!まだ消えてにゃい!リアルフォーカス!固定したぞ!」


ぴょこにゃん「《遠い手》よ。そーっと優しく包み込め!」


二次元レンズのリアルフォーカスで観測されたものは《遠い手》で、そのまま固定できる。


そしてーー見えたものなら時間軸や距離、次元さえ突破して、近づくことも引き寄せる事もできるのだ。


ーー

ぴょこにゃん「今おりたちが行くからにゃ。スリングショットー!」


《シュカッ!》


微炭酸の泡のように消滅してゆく空間を切り裂くように対のレンズは照準へと跳躍。


二柱は、レンズ形態のまま41との時間と距離を潰した。


ーーーー《プシューン!…》


《パタパタパタパタ》


41の粒の魂ーー《コア》を手にした二柱はレンズ形態を解除。


チンチラシルバーとアメリカンショートヘアの三次元ねこボディを再構築した。


ーーー《シュワワワワワ…》ーーー


エスネコ内部の異空間の崩壊は加速度的に進んでいく。


ーーーー


ねこにゃん「(*≧ω≦)間に合ったにゃ」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)当然にゃ。グリップしたら離さにゃいよ。」


ーー


二柱のねこ神は41の《粒》を見つめてる。


ーーそして、話しかけた。


ねこにゃん「41。おりたちにゃん。…聞こえにゃいかな…。大丈夫にゃ。よくがんばったにゃ。一人で行かせにゃいよ。」


ねこにゃんの手のひらに浮かぶ41の粒は、ハラハラとほどけていく。


止める事はできない。


ぴょこにゃんの手が頭を撫でるように、41の粒の上におかれた。


ぴょこにゃん「ねこにゃんさん?ここは、『死ぬときはいっしょにゃん』とか言うシーンですかにゃ?」


そう尋ねた、ぴょこにゃんの回りの空間もシュワシュワと炭酸の泡のように消えていく。


ねこにゃん「(*≧ω≦)おまい、いつでもふざけれるよにゃ。おかげで安心できるにゃん。でも、ここは違う。シリアスなシーンにゃ。『41。おりたちとエスネコと、いっしょに寝よう』だにゃ。これは賭けにゃん。41の魂はガンマとデルタには渡さなかった。これでいいだろ。」


ぴょこにゃん「そうだにゃ。お眠むの時間まであと少しか…。」


ぴょこにゃんが回りの空間を見渡す。


空間はシュワシュワと透明な細かい泡になっていく。

泡は容赦なく二柱に迫ってきていた。


ねこにゃんは、回りの景色など気にしていない。


両手の平の、肉球の上に浮かぶ41の魂を愛おしそうに見つめている。


いつの間にか、ぴょこにゃんの両手も41の魂を包み込むように、そっと添えられていた。


そして優しい目で話しかける。


ーー

ねこにゃん「41…。人が眠るのは起きるためなんだろ?おりたちには死も眠りもない。でも、眠りや夢は、おまいが教えてくれたにゃん。」


ぴょこにゃん「じゃあ眠る前にとっておきの物語を聞かせてやろう。これは誰も知らない。おりたちの、おとぎ話にゃ。」


そう言って二柱は、子供を寝かしつける時、絵本を読み聞かせるように41の魂に優しく語り始めた。


ーー


ねこにゃん「昔々、時間も場所も、何もない。空っぽだけど《割れない世界》がありましたとさ…。その世界は、その世界が持つ名前でしか割ることはできません。世界の名前は《素数》と言いました。その世界はボツンポツンと散りばめられて渦を巻き、放射状に広がっていきます。どこまで広がっていくのかもわかりません。世界の中は、ただの空っぽ。上も下もにゃいんです。だけど世界には、ゆったりと静かな波だけが揺らいでましたとさ…。」


ぴょこにゃん「…波はぶつかり合い、打ち消し合います。たまにポチャンと《水滴》のようなモノが跳ねます。水滴は、プカプカと波の上に浮かぶこともありました。でも、すぐ次の波の揺らぎに消えていきます。」


ねこにゃん「ある時、水滴はいつまで経っても元に戻らない事に気づきました。波も揺らぎも感じます。だけど、波には入って行けないし、揺らぎに混ざることもできませんでした。いくら待っても水滴は元通りになれません。水滴は回りに世界はあるのに、切り離され拒絶されました。このまま、ずーっと、プカプカふわふわ漂うだけ…。そして、それに気づいた時、最初に芽生えた気持ちは《寂しい》でした。でも、水滴は《寂しい》を言葉にする事も理解する事もできません。」


ーーー《シュワワワワワ》ーーー


異空間の消滅は、ねこにゃんたちのカラダに届いていた。


回りは白く光る闇。

その向こう側には本物の闇が広がっているようだ。


それでも二柱は話を続ける。


41の魂が不安にならないように。

優しく眠れるように。


ぴょこにゃん「水滴は言葉にならない気持ちを、わかってくれる相手を探しましたとさ…。でも、そこには揺らぎがあるだけです。果てを感じない無限の空間で一人ぼっち。たまに他に生まれた水滴もいましたが、みんな揺らぎに消えていきます。」


ねこにゃん「水滴は時間のない世界で長い時を過ごします。そして《寂しさ》は、一つの思考を持ちました…。『自分をわかってくれる相手は自分しかいない。自分がもう一人いれば一番わかってくれる』と考えました。」


ぴょこにゃん「そして水滴は自分の半分を使って、《もう一人の自分》を生み出したのです。割れない世界で《寂しい》は二つに別れました。」


ねこにゃん「水滴は初めて寂しさから解放されました。本来、寂しければくっつきたくなります。でも水滴は寂しさの力で離れたのです。」


ぴょこにゃん「水滴たちは、その時に最初の自我を持ったのです。」


『自我はアルファでありベータでもある…。』


《シュワワワワワ》ーー


ーー《スッ…》


ねこにゃんとぴょこにゃんは、41のハラハラと崩れていく粒を持ちながら泡のように消えていった。


ーーーー同じ頃。地上。


エスネコが41の魂を「食った」瞬間——


超次元を貫いていたすべてのリンクが、唐突に断ち切られた。


それは、あまりにも静かな断絶。


だが次の刹那、因果の糸を失った世界が悲鳴を上げる。


ーー

ここは東京N23区。41の家の前。


深夜の住宅街で、41を守る《夢・色・音》の三柱の悪魔たちと、サトゥーの戦いが無音の中で繰り広げられていた。


ーーーー


サトゥー「どけ。時間の無駄だ。私は高次元とリンクしている。そしてこの次元で、その力を行使できるのだ。」


そう語った男は、41の肉体の捕獲を命じられたハンター


シリアルナンバー《298X41》《サトゥー》


41の顔を持つ肉体には、魂の代わりにAP(人工精神)が乗る。


ねこにゃんとぴょこにゃんと同じ11次元構造体の粒ーーガンマとデルタによって作られた41の次世代モデルだ。


本来、41が死んだ場合に41の粒の魂は、その耐久性のみ抽出され廃棄される予定だった。


ガンマとデルタは、その耐久性を活かした新しい粒の魂を作り出し、次世代モデル《298X41》に乗せるつもりだった。


1000年後のヒューマンボディ。


41の粒は前のリサイクルから1000年経っても目覚めを拒否し、100年に圧縮され強制的に目覚めさせられた。


その魂の圧縮は不可逆の時間を遡るものとなり、ガンマとデルタも過去の時代に41をロールアウトする事になったのだった。


11次元構造体のガンマとデルタには時間軸がない。

本の前のページをめくるようなものだ。


ガンマとデルタは41を作る以前から過去に干渉し《人は神になれるのか》という実験を繰り返してきた。


一つの時間軸だけではない。

別の世界線でも実験は繰り返されてきた。


過去と未来。別の世界線。合わせれば数万年の時間。


その中で次々と送り出される数万にも及ぶ実験体の中で、神に覚醒する人間は生まれてこなかった。


能力を与えても発狂か堕落で終わる実験体たち。

死産で生まれてくるものもいる。


粒の魂は本来、死を迎えた場合、ガンマとデルタの元に戻り自己修復しリサイクルされるように設計されている。


しかし、魂は壊れ崩壊するのみ。

廃棄となる。


玩具のように扱われる数万体の犠牲の中で唯一、13回ものリサイクルに耐えた魂。


それが《198X41》である。


ーー


《キンッ!》


突然、三柱の悪魔の肉体を、目に見えない次元の衝撃波が貫いた。


ソノリス「……っ!」


ソノリスの膝が激しく震える。


クロノア「エネルギーが……切れる……」


クロノアの輪郭が、夕立の後の虹のように淡く崩れ始めた。


ねこにゃんの消滅により、《魔のつくもの全て》の能力のリンクが切れた悪魔たちの実体は、もはや陽炎よりも薄い。


ラミーノが、消えゆく意識の淵でかすかな笑みを浮かべた。


ラミーノ「41様……」


声は、宇宙の裏側から届くほどに遠い。


ラミーノ「……お友達は任せて。私たちの全てで守るから心配しないで。……」


三悪魔は最後の魔力を振り絞り、現実の隙間に幻覚の回路を編み上げる。


ソノリス「音の魔力をラミーノに譲渡。ラミーノ。先に行くわね。ま、た、会え…。」


クロノア「色の魔力をラミーノへ譲渡。頼みましたよ…。」


《ピチャッ!ピチャッ!》


ソノリスとクロノアのエーテル体は水滴となり音もなく消えた。


ラミーノ「…サヨナラ。終わらない夢を作ったら、すぐアタシも行くから。インビジブル・サイレントドリーム『ループ』…」


《ピチャッ!》


ラミーノも水滴となり消えていった。


仲間たちを守るために夢素で構築した最終防壁——《ループ》


夢の魔力に、音と色の魔力を合成。


LSDの幻覚と夢と愛おしい記憶の澱が混ざり合った、偽りの安息。


応接間には温かい光が満ち、くだらない冗談の笑い声が響く。


ケイ、ジュン、サル、エミ。


彼らはそこにいた。


ゴキゲンな音楽が流れ、他愛ない話と、いつもの笑い声。


ラミーノが作った幻覚の41と肩を並べ、仲間たちは終わらない日常をループしている。


ーー


サトゥー「ガーディアンたちが消えた?41の家にいた人間の気配も。転送…。いや、どこにもいない。」


41の愛する仲間たちの存在は、サトゥーの非情な知覚から完全に消失した。


ーーーー


妨害は消えた。


サトゥーは、冷徹な歩みで前進する。


サトゥー「…木造建築の一軒家。これが1980年代の住宅か。」


そして、物質の壁など存在しないかのように玄関のドアを透過した。


屋内。静まり返った廊下。


その奥から、ふらりと一人の男が現れる。


41だ。


手には「特製ブレンド」を満たした注射器を持っている。


ーー


オレ「……は?」


突き当たりの廊下、そこに「自分」が立っていた。


全く同じ顔。同じ背格好。同じ服装


だが、その男には「色」がない。「温度」がない。


存在の輪郭が、死体のように冷たく沈んでいる。


LSDのピーク。


視界は極彩色に波打ち、壁が生き物のように呼吸し、床がゆっくりと溶け出す。


だが、眼前の男だけは完全な「黒」。


世界中のあらゆる色を吸い込んだような虚無の黒だ。


オレ《ドッペルゲンガー……》


古い言い伝えが脳裏をよぎる。


ーー「見たヤツは死ぬ」。


ーー

オレ《怖っ!幻覚にしちゃあ……リアルすぎるだろ。…夢?オレいつ寝た?いや、起きてる。LSDで幽霊見たってのは聞いた事あるけど、これは…。》


オレ《(´・ω・`; )何だ?どーしよー。予想外過ぎて追いつかん。それに視界はまだ二次元のままだ。…鏡?鏡の幻覚?考えろー…。》


オレ《あのLSD…。エジプトの真実の目が描いてあった。…ヤクには名前がある。役割やシグナルもある。オレは何の真実を見てる?》


オレ《これは、逃げろって言えないやつだ。オレのイカれた脳が見せてる幻覚。自分で消化しねえと。》


41が思考を加速してるとき、サトゥーが、無機質に手を伸ばしてきた。


ーー

サトゥー「198X41。お前を連れていく。神の部品(パーツ)としてな」


オレ「幻覚がしゃべった!マジでドッペルゲンガー?お前…。誰だ?」


オレ《変なナンバーで呼ばれた?もういいや。なるようにしかならねえだろ。このリアルな幻覚。SFの茶番か?最後までつきあわないと、終わらないし逃げられなさそう。いつもの明晰夢みたいなもんだろ。後で、みんなに教えようっと。》


サトゥー「フン。意外と冷静だな。だが思考が読めぬ。テレパシー拒絶。《ファイブ》の力か。」


オレ《(´・ω・`; )はあ?テレパシー?《ファイブ》って何?シンナーやってた頃のオレでも、こんなにアタマ沸いてねえ。この注射器で攻撃できる?…幻覚にヤクって効くのかな?それともオレが打つ?試してもないのに?》


ーー

サトゥー「外にいたガーディアンも貴様が構築したのか?」


オレ《はあ?ガーディアン?ラミーノの事か。構築…。これが夢や幻覚ならオレが作り出したってなるけど…。こいつが敵?何でオレの姿なんだ?…こりゃ悪夢だなー。》


《ブチ》


コイツ偉そうだよな。

何かアタマにきた。


悪夢には真っ向勝負。


オレ「( ・`ω・´)うっせー!知らねえよ。つーか何の用だ?面白がらせにきたのか?なら、笑ってやる。消えろ。」


オレは明晰夢の中にいるように振る舞う。


怖がったら恐怖に飲まれる。

強気が大事だから。


サトゥー「面白いのは貴様だよ。」


一歩。死の影が迫る。


その瞬間——。


《ぽて》


床に柔らかい肉球が当たった音。


かみかみ「しゅたっ!だお!」


床を鳴らした音は《ぽて》じゃなく《シュタ》らしい。


かみかみ「(  ・`ω・´)待てだお!!」


二人の間に、小さな影が弾丸のように飛び込んだ。


黄金のハンドシャベル《砂場王》を構えた子猫。

かみかみだ。


二足でサトゥーの足元に立ち、見上げている。


かみかみ「あれ?敵が41の顔……?」


一瞬驚くが、かみかみは、すぐに砂場王をサトゥーに向けた。


ーーますます現実離れしていく世界。

LSDの幻覚を越えていく。


オレ「(´・ω・`; )はあ?かみかみが立ってる。かみかみー。どこまで現実なんだこれ?」


かみかみ「言ったでしょ。げーんじーつっ!いいから!全く紛らわしいお!」


《パンッ》


オレは両手で自分の頬を叩いた。


オレ《痛え…。夢じゃねえ。怖がれないならもう、面白がるしかねえ。》


オレ「(*≧ω≦)そっか。かみかみ、がんばれー。」


オレ《あはははは。もう、どうでもいいわ。おもしれーし。》


かみかみ「緊張感足りないよなー。だからボクがしっかりしないとだお。」


オレ「ね、ねこに注意された。あっはははは。行けー。かみかみーw」


かみかみ「言われなくても行くお!


ーー


かみかみの黄金のシャベルが閃光を放つ。


かみかみ「砂場王起動!!」


《ザンッ!!》


空間が裂けたのではない。

崩れたのだ。


世界の構造そのものが「砂」へと変換され、サトゥーの身体は砂人形のように崩壊し、両断された。


オレ「え?」


ーー

オレの玄関の向こうには月光の砂漠が広がっていた。


遠くには闇。


だが、それもオレの目には写真のように見えている。

ーー奥行きがない。


オレ《はあーーー?絶対、夢だろ。お向かいの愛須さんち消えちゃってるじゃん…。空も広い…。》


オレ《遠くに出かけたら帰ってこれなさそうだ。これじゃケイたちに逃げろなんて言えない。アメ車じゃ砂漠なんて走れないしな。》


オレは混乱しながらも冷静に目の前の景色と出来事を眺めていた。


覚めていく脳。冴えていく思考。気持ちも冷めていく。


コークスクリューとLSDの効き目で加速された思考は、さらに研ぎ澄まされていく。


目の前の景色ーー遠くまで一直線に砂塵が舞っている。


かみかみの攻撃の余韻だ。


オレ「砂漠?…だよな?」


ーー


オレ「かみかみ。やっつけたの?」


かみかみ「まだみたいだお。」


オレ《何だこのやり取り。これが今の『フツー』なのか。これに慣れるしかないよな。》


あまりのリアルさに、逃げ出したい気持ちも萎える。


ーーだが、その時。


《ザザザザッ!》


《ザブッ!ザザーーッ!》


水飛沫のような音を立て崩れた砂が逆流を始める。


その中から肉を引きちぎるような不快な音が響いてきた。


《ミチミチミチミチ…》


肉が組み合わさり、骨が鳴り、サトゥーが再び目の前に立ち上がった。


ーー

オレ「げーっ!キモッ!特撮ホラーかよ!」


かみかみ「しぶといお! なら、これだお!」


《ドォォン!!》


かみかみがシャベルで床を叩いた瞬間、玄関の空間が物理的に陥没した。


巨大な砂の渦。


ーー《蟻地獄》


《ズザアァーーーーーーー!》


高速回転する渦。


床も壁も、底なしの砂地獄に飲み込まれていく。


サトゥーの身体が絶望の淵へ沈んでいく。


ーーオレ「……」


41は注射器を握ったまま、夢心地でそれを見ていた。


オレ《最高じゃん》


ーー視界は万華鏡。猫が砂の王となり、世界を砂場に変えている。


オレ《何かトリップの頂点に来たみたいだ。最高で最恐の最終地点…。》


オレ「これ。元に戻るのかな?かみかみ。直せる?」


かみかみ「知らないお。」


オレ「(´・ω・`; )えー。」


ーーその刹那。


胸の奥で、強烈な《鼓動》が鳴った。


《ドクン!!》


魂が引き裂かれる衝撃。


世界が遠のき、音が消える。


ーーオレ《あれ……ヤバい。ぶっ飛びすぎた?オーバードーズ?このオレが……?》


色が溶け、意識が白濁していく。


オレ《あれ?……やっぱり……。オレ死ぬのか?たまに鳴ってた鼓動はカウントダウン?》


仲間の顔が浮かぶ。


オレ《あ…。Mちゃん…ミーサ…。ジュン、ケイ、サル、エミ……。みんな笑ってる。その笑顔掴めないよ…。手も伸ばせない。声も出ない。みんな、助けて…。オレ、消えちゃいそうだよ…。》


オレ《…くっそ!負けてたまるか!ヤバイ。いきなり何だよコレ。しっかりしねえと!意識が…。意識を手放しちゃダメだ。オレ。しっかりしろってば…。カラダに力が入らない。感覚が…。手も足もついてるよな?隣にアイツらいるのに。くっそ…。倒れてたまるか…。》


《ガクンーー。》


オレは跪く。そのまま横に倒れた。


オレ《天井…。電気…。寝っ転がって玄関の天井なんて見た事ない…。フフ。こんなときなのに、まだLSD効いてるんだな。視界が写真のままだ…。ダメだ。みんな、わりい。…ちょっと、行ってくるだけだか、ら…。》


オレの意識は薄れ螺旋状に落ちていく。


オレ《怖い…。すごいスピードで落ちてく…。オレが消えてく…。怖い、怖いよMちゃん…。ケイ、サル、ジュン…。ママ…。お祖父ちゃん…》


《無音》


《白い闇…》


呼吸もない。心臓もない。


ただ、「自分の全てが泡のように溶けていく」という感覚だけがあった。




ーーー《パリンッ!》


意識の底で、何かが爆発した。


ーーヨーニャ「死なせねえぞ、41!」


音と共に現れたのはエーテル体のヨーニャだ。


ヨーニャは、ねこにゃんとぴょこにゃんが構築した41の中の異空間から飛び出した。


その異空間も炭酸の泡のように消えようとしている。


ヨーニャが抱えているのは、《バックアップ・ソウル》。


それは、41が見ていた夢——《にゃんこキック》。

概念として存在する、ねこ神たちの集合体。


そこには、41の《知識・経験・感情》のすべてが詰まっている。


ヨーニャ「かみかみ。そのシャベルでオレごと、この《バックアップ》を41の中に埋めてくれ。この中にはアムリアたちも入ってる。急げ!肉体まで死んじまう!」


エーテル体のヨーニャの輪郭も、ぼやけ始めている。


腕に抱えた虹色の球体《バックアップ・ソウル》の光がヨーニャを通り抜けて光っている。


ヨーニャは41のカラダに覆い被さった。


ヨーニャ「急げ!やれ!かみかみ!」


かみかみ「わかったお!うりゃー!」


《パンパンパン!》


シャベルでヨーニャごと41の胸を固めるように叩く。


ヨーニャと虹色の光は41の中に埋まっていく。


かみかみ「砂場王!埋めろー!とりゃーっ!」


《ぱんっ!》


かみかみは叫びとともに、空っぽになった魂の器へ強引に、ヨーニャごと《バックアップソウル》を叩き込んだ。


ーー

かみかみ「ふー。間に合ったよな?平気かなー。」


だが、かみかみが瞬きをした間に、それは起こった。


肉体の死は防いだ。


ーーはずだった。


かみかみが呆然とする。


かみかみ「……え?」


そこには、何もなかった。


倒れていたはずの41の肉体が、粒子となってサラサラと空気中に溶け、完全消滅したのだ。


ーーかみかみ「…ウソだ。41ーー!どこだお!?」


かみかみは叫び、41の名前を呼び続ける。


かみかみ「41! 41ってばー!戻ってきてよー!」


だが、その時。


最も聞きたくないイヤな音がした。


《ザザザザッ》


蟻地獄の底から、サトゥーが這い上がってくる。


だが、その演算回路は狂い、瞳は壊れていた。


サトゥー「……41は消えた。ならば、私が完成された41だ。《298X41》の私が、神となる」


狂気の笑み。


サトゥー「……そうだ。私は《41》だ」


かみかみ「狂ってる…。違うお……」


小さな声。

だが、それは神の演算を撥ね退ける強度を持っていた。


かみかみ「おまいは41じゃないお! 41の代わりなんて、どこにもいるもんか!」


サトゥーの耳に入る音は、「にゃあ、にゃあ」と鳴いてる子猫の声だけだ。


絶望的な沈黙。


かみかみ「にゃー。にゃーん」


かみかみ《( ;∀;)41ー。助けたと思ったのにー。》


ーーかみかみ《あ!》


かみかみは、エスネコから託された言葉を思い出す。


かみかみ「41も、エスネコも、ねこにゃんも、ぴょこにゃんも。アムリアも、にゃんこ世界の概念たちも、みんな消えた…。消えちゃったよ…。」


かみかみ「( ;∀;)グスン」


今にも涙が溢れそうなのを、こらえシャベルを握る。


かみかみ「……だったら、ボクが呼ぶしかないお!」


かみかみは砂場王で床を掘る。

必死に。狂ったように。


《ザクザクザクザク!》


玄関の床に次元の穴が開いていく。


ーー


かみかみ「砂場王!掘れ!探せ!もっと深く掘るんだ!届くとこまで!」


《ズオォオゥーーーーーン》


砂場王に掘られた床の底に虹色の光が見えてきた。


かみかみ「あそこまで!もっと、もっと!」


《さくさくさくさく》


かみかみは懸命にシャベルを振るう。


サトゥーが嘲笑う。


サトゥー「何の芸だ?愚かな猫。私のペットになるか?」


サトゥーには砂場王で、かみかみが掘った穴が見えていなかった。


サトゥーの目には、ただ、子猫がトイレの砂を掻くように床を引っ掻いてるようにしか見えてない。


かみかみ「うるっさい!!邪魔するな!約束したんだ!」


ーーーー


エスネコとの約束。

その時はわからなかった。


エスネコが41の《粒》を抱き抱えながら、かみかみに話しかけた


ーーエスネコ「(*≧ω≦)にゃ」

《かみかみ。41か消えたらボクも消えちゃう。その時は、この言葉で起こして、》


ーーかみかみ「消える?消えちゃうって何で?」


ーーエスネコ「(*≧ω≦)にゃー」

《『起きにゃよ。そして起動せよ』だよ、かみかみにしか頼めない。》


かみかみ「キドウせよ?」ーー


ーーーー


かみかみ「起きにゃよーー!」


かみかみは必死で砂場王で空間を掘り続ける。


《ザクザクザクザク!》


するとーー。

黄金のシャベル『砂場王』が、かみかみの感情に呼応して輝きを増す。


そして咆哮をあげた。


砂場王「ウオォーーーーン」


かみかみ「41ーー!エスネコーー!『起きにゃよーー!』」


その叫びは、本来ただの猫の鳴き声に過ぎない。


だが今、その言葉には「真の名前」が乗っていた。


かみかみ「ボクはペットじゃないお!! 41の相棒だお!ボクは世界樹の子供——『三神神神(みかみかみかみ)』だおーー!!」


土。水。生命。


三つの力が共鳴し、空間に巨大な光の回路が浮かび上がる。


その叫びは、次元の壁を突き抜け、虚数空間の深淵で眠る「粒」へと届いた。


かみかみ「起きにゃよ!そして起動せよ!」


かみかみ「起きにゃよーーっ!そして起動せよ。エスネコーーー!」


ーー虚無の暗闇。


その中心でシステムボイスが響く。


「起きにゃよ」ーー《目覚めよ》ーー《アウェイク》


「そして起動せよ」ーー《リブート》


ーー《合言葉を現象に変換!》


《グイィイイィーーーーン》


虚数空間ーー


ゼロの向こう側で消滅していたエスネコの《11のホール》が開く。


それは鏡写しの無限を映す鏡面の穴。


深紅と虹色に輝くエネルギーが騙し絵のようにホールを通り抜ける。

ウロボロスの蛇は粒の形を取る永久機関。

捻れた螺旋が発火する。


エスネコの粒は虚数空間のエネルギーを食らいながら猛烈に循環を始めた。


《ギュン!キュッ!クオォーーーーーーン!》


エスネコ《(*≧ω≦)にゃーーーーー!》


《ボワァーー!》

目覚めた粒は異空間を生み出す。


虹色の縞模様がうねる異空間は、虚数空間を補食しながら無限に広がっていく。


ーー


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」《アルファもべーたんも起きにゃよ。》


エスネコが再構築させた異空間。


その中心で、ねこにゃんがカッと目を開いた。


ーー


ねこにゃん「よし!きたー!」


続いて、ぴょこにゃんも目覚める。


ぴょこにゃん「成功にゃ!」


ねこにゃん「やっぱりにゃ。エスネコは41の対。41がおりたちと同じ力で生み出したんにゃ。」


ぴょこにゃん「《寂しさの力》か。エスネコを生み出した時点で41の願いは叶ってたんだにゃ。」


ねこにゃん「これで、エスネコの粒は完成したにゃ。」


ぴょこにゃん「対消滅でも自我は発動した。次はこの虚数空間から再構築にゃ!」


ねこにゃん「エスネコ!41と一緒に帰るぞ!」


ぴょこにゃん「今度はお前が41を生み出せ。ゼロからの再構築。できるよにゃ。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃーーー!!」


《パッキィーーーン!》


虚数空間が弾け、極光が溢れ出した。




ーーーー再び、幻覚の世界。


真っ白な無音の空間。


41が、ゆっくりと瞼を持ち上げた。


床に座り込んで手には注射器を握っている。


オレ「……ん?」


オレ「これ、打とうとしてたんだっけ?いや、違うな…。」


首をかしげ、自分の手とポンプを交互に見つめる。


ぼんやりとした意識が少しずつ輪郭を取り戻していく。


オレ「あれ?オレ……死んだんじゃなかったの?」


体を見回すと、あちこち光ってるように見える。


目がおかしいんじゃない…。


どんどん脳の解像度が上がってる気がする。


それにつれて体の感覚も鋭くなっていく。


肌も指先まで空気に触れてるのがわかる。


オレ《スー!…。ハー!》


深呼吸。


肺まで新鮮な《空気の味》を感じてるような気がした。


オレ《…?新品になった?》


世界の真実が裸で見えてる気がする。


オレ《オレ、一度死んだよな…、あれは『死』だ。そこから目覚める幻覚?そうじゃない。本当に死んで生き返ったのか?わからねえ…。》


鋭敏な感覚と混乱が入り交じっていた。


ーーその時。


《トン!》


突然、目の前に黄緑の子猫が姿を現した。


オレ「ん?」


アタマはギザギザの鬣。


額に稲妻象の深紅のSの模様が刻まれている。

胸からお腹にかけては、緩やかなカーブを描いた深紅のNの模様が描かれていた。


座り込んでる41の前にちょこんと立っている。


立っているのはエスネコ。


二次元レンズのその瞳は、すべてを見通すように優しい。


ーー


オレ「ん?…ぬいぐるみ…?ずいぶん可愛いじゃん。死んだと思ったらファンタジーでしたってか?どうなってんだ、この幻覚…。」


エスネコ「(*≧ω≦)/にゃ」

《死なせないって約束したよね》

《ボクを『寂しさ』の力で生んだ人》


オレ「は?にゃ?喋った?ねこなのオマエ?」


ーーー《フワッ》ーー


優しい熱に包まれる。


そして光が広がり、世界の再定義が始まる。


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」

《ボクたちは完成したんだ。対消滅からの再構築。》

《ΣΝ —— エスネコ/ 41》


エスネコは静かに、だが誇らしげに告げた。


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」

《SとNの意味も完成したよ。——さあ、概念の物語を作って》


オレ《(´・ω・`; )ぬー。言葉がわかるぞ?何?つい…しょうめつ?シグマ?ニュー?エスとエヌの意味?言葉わかるけど意味わからん。幻覚プラス幻聴…。》


オレ「なあ。オマエって何なの?」

さ

エスネコ「(*≧ω≦)/にゃっ!」

《じゃあ、行ってくるね》


ーー《ぽんっ》


間抜けな音を残して黄緑のねこは消え去った。


オレ「消えちゃった…。」


オレ《何だったんだ?》


かみかみ「( 。゜Д゜。)41。お帰りだおー。ホントよかったお。グスン。」


オレ「なあ、かみかみ。《ぽんっ》って消えたぞ。あれはタヌキか?」


かみかみ「エスネコだお。ボクとだって話してるじゃん。このジャンキー、往生際悪いお。」


オレ「説明不足すぎ!」


かみかみ「でも、ボクは今嬉しいんだお。」


オレ「(*≧ω≦)そっか!」



ーー


41とかみかみが、サトゥーに背を向けてへんてこな会話をしてるが、サトゥーは動けずにいた。


サトゥー「貴様ら…。消えたはずでは。」


エスネコの復活と共に、ねこにゃんの《魔のつくもの全て》の力も復活。


サトゥーの前には消滅したはずの三柱の悪魔が、41とかみかみを守るように立っていた。


ラミーノ「こんにちわ、偽物さん。また会えたわね。アタシたちもバージョンアップしたのよ。」


クロノア「ククク。あなた。色がつきましたね。《欲》という汚い色が。」


ソノリス「あら。この曲。この場面にピッタリ。」


応接間から流れてくるのは《原初》のテープ。


曲はチャカ・カーンの《アイ・フィール・フォー・ユー》


ーー《あなたを想ってる》

《だって、あなたを愛しているから》



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