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第82話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け③託されたモノたち中編 さよなら準備中》

41の異変を感じ取る、ねこにゃんとぴょこにゃん。

守るべきモノのために、動き始める者たち。 一方、41自身もまた、説明のつかない違和感と、思い出せない何かに戸惑い始めていた。

いつも通りの仲間たちとの騒がしい日常。 笑い合う時間の裏側で、静かに進んでいく別れの準備。

そして、超次元空間では、ガンマとデルタが新たな一手を打とうとしていた。

41と同じ顔を持つ、もう一人の存在。 その登場が意味するものとは——。

第82話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け③託されたモノたち中編 さよなら準備中》


ここは41のアタマの中の異空間。


ーー

エスネコ「(*≧ω≦)/にゃ!」


かみかみ「ほらー。エスネコだってボクなら大丈夫って言ってるおー。なー。砂場王。」


エスネコ「( ・`ω・´)にゃー。」


かみかみ「ん?そうか。伝えるね。」


ーーエスネコの言葉は全て「にゃ」に聞こえる。


これは錯聴。ねこぴょこたちから分裂したエスネコという、新たな《粒》は、二柱の能力を転写したうえ、さらにアップデートされている。


早口すぎて「にゃ」になるのだ。


唯一コミュニケーションが取れるのは、かみかみだけ。二人は世界樹の根っ子通信でつながっている。


ーー


ねこにゃん「エスネコは何て言ってるにゃ?」


かみかみ「んーとね。41のタマシイが崩れそうなんだって。だから、あるふぁと、べーたんは早く合体してエスネコに変身してだってさ。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」


ぴょこにゃん「今度は?」


かみかみ「早く41のタマシイ食べたいって。」


ねこにゃん「わかったにゃ。そっか、エスネコも《粒》の形のままじゃ食べれないもんにゃ。ぴょこ。そろそろエスネコに変身するか?」


ぴょこにゃん「そうだにゃ。それにしても、まさか、《砂場王》が役に立つ日が来るとはにゃw」


ーー


かみかみが手に持っているのは金色のハンドシャベル。

ーー《砂場王》


これは、ねこにゃんとぴょこにゃんから、かみかみにプレゼントされたオモチャだ。


だがーーただのオモチャではない。


エスネコを追い、地球に降り立った、ねこぴょこの二柱。


そこは自我を持たぬ概念が、子猫の姿でゾンビのようにうろつく世界だった。


二柱は、ゾンビねこたちに自我を目覚めさせるために、街を作り《ごっこ教育》を始めた。


二柱は自分たちの拠点として雑貨屋アミューズメント《よろずや》をオープン。


よろずやの裏地をイチゴ畑にするというアイデアから始まった商品開発。


裏地を耕す道具として試しに作ってみた子供用のハンドシャベルだったが、悪ノリの果てに完成されたそれは、二柱でも扱えぬほどの災厄級グッズとなる。


二柱は元々謎の11次元空間に住んでいた《粒》である。

地球での活動用に構築した三次元ねこボディ。

さらに二柱は自らの概念を構築。


エスネコのオーバースペック対策として、ねこにゃんは《魔のつくもの全て》、ぴょこにゃんは《マッドサイエンティスト》の概念に能力を特化。


「二柱で無敵」の組合せを獲得したのである。


ーー

ただ、残念なことに、この二柱は最適解を生む工程で、ふざけシステムが発動してしまう。


正誤の判別さえも、悪ノリしないと答えにたどりつけない、不便な全知全能なのである。


その結果、ただのハンドシャベルは《魔》と《狂気の科学》の結晶として生まれた。


ーー


砂場王と名付けられたハンドシャベルの素材は、二柱の専用武器。


中性子星物質から作られた、ねこにゃんの《ハンマー》と、空間や次元さえ掬い削り取る11次元ハイナノテクノロジー合金で作られた、ぴょこにゃんの《スプーン》


ーー


完成した失敗作《砂場王》は破壊する事もできず、よろずやの非売品展示物として封印された。


ーー


ねこの姿をしているが、かみかみの正体は、ねこぴょこたちがエスネコ探索の際にたどり着いたニルヴァーナを囲む森《世界樹》の小枝の化身である。


かみかみは二柱が最初にニルヴァーナを攻略したときに折られた、世界樹の小枝。


小枝は森での再生を望まず、ふざけて冒険する二柱に憧れ、にゃんこシティを目指した。


かみかみは、ねこぴょこたちを見つけるために、あちこちのフリマで自分を売り物にしながら旅をしてきたのだ。


ようやく、たどり着いた《にゃんこシティ》


かみかみは、フリマでねこぴょこたちに出会えたのである。


ーー

ねこぴょこたちは、かみかみを子供として迎え入れる。


かみかみは、ねこぴょこの養子となったお祝いとマッドピエロ騒動の活躍でのご褒美として「何でも好きなものあげる」とプレゼントの約束を受けた。


だがーー


かみかみは、よろずやに飾られていたハンドシャベル《砂場王》に一目惚れ。


これだけは危ないからと、ねこぴょこたちは砂場王構築の過ちを、かみかみに話すが、かみかみは話の途中で飽きて寝てしまう。


「何でも好きなものあげる」という、かみかみとの約束に押しきられた二柱は、砂場王の危険さを体験させ諦めさせようと砂漠に向かったのだ。


ーー砂場王は使用者の能力や特性を喰らい、エネルギーに変換するという設計になっている魔道具。


砂場王は滑らかにどんな地面にも刺さる。そしてその先の地面を遥か遠くまで一直線に切り裂き、向けられた刃先はプラズマジェットで空をも裂く。


ーーーー

最初に試し掘りをした、ぴょこにゃんは、刺した地面から遠くの山を破壊。


交代した、ねこにゃんは、砂場王の刃先からビームを放出し、よろずやを半壊させる。


さらに刃先の軌道は空を割き、大気にプラズマを発生。


ビームがかすった、ぴょこにゃんも、肩を焼かれ火傷を負ったのである。


ねこぴょこたちは、大惨事を避けるために周囲50キロの安全地帯を作った砂漠に、かみかみを連れていった。


そしてーー


予想通り、かみかみが手にした砂場王は砂漠をモーゼの十戒のように割り、砂嵐を起こし静電気による雷撃が空間に満ちる。


ところが、かみかみは砂漠で大惨事を発生させながらもオモチャのように砂場王を使いこなしていた。


さらに呆然としてる二柱の回りに巨大な四角い砂岩をホイホイと積み重ね、ピラミッドで生き埋めにしようとするイタズラまで仕掛けたのである。


こうして、砂場王は、かみかみを主として認め、かみかみお気に入りのオモチャとなったのであった。


ーー

ねこにゃん「( ;∀;)あん時は死ぬかと思ったにゃん。」


ぴょこにゃん「古代ピラミッド作ったの、かみかみでいいんジャマイカ?」


ねこにゃん「かみかみー。41守ってくれるのはありがたいんだけどにゃ。それ現実世界で使ったら危ないにゃん。41の家どころか東京タワーまで倒れるにゃんよ?」


かみかみはピンクの肉球に張り付いた砂場王を、くるくると振り回すが。回りに危害は及ばない。


かみかみ「(*≧∀≦)平気だおー。」


ねこにゃん「ふむ。何も起きないにゃ。コイツ完全にコントロールしてるにゃん。スゲーにょさ。」


ぴょこにゃん「ハンドシャベル持ってる、ねこなんて見たことにゃいよ。」


ねこにゃん「おまいスプーン持ってるジャマイカ」


ぴょこにゃん「おまいだってハンマー持ってるジャマイカ。」


ねこにゃん「(*≧ω≦)にー。」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)にー。」


かみかみ「いつもこれで遊んでるから大丈夫だお。ねこにゃんたちにも、お城作ったの見せたおー。アムリアやヨーニャの土人形だって、ほめてくれたじゃん。」


ぴょこにゃん「あー。確かににゃ。かなり精巧なコントロールできるんだよにゃ。ねこ。コイツこの前、砂場で城塞都市みたいの作って遊んでたにゃん。」


ねこにゃん「砂場で城塞都市?箱庭とかジオラマかにゃ?」


かみかみ「古代インコ帝国ごっこしてたお。」


ねこにゃん「は?古代インコ帝国ごっこ?えー…。何ですか?そりは?」


ぴょこにゃん「見る価値あるにゃん。ちっちゃい人形まで作って動かしてたよにゃ。」


かみかみ「人形じゃないお。あれはインコ人だお。何考えてるかわかんにゃいけどね。」


ねこにゃん「(*≧∀≦)スゴいにゃん。そこまでコントロールできるにょか。砂場王で、ワケわかんない遊びしてるんだにゃ。楽しいか?」


かみかみ「楽しいおー!」


ぴょこにゃん「まあ、そこまでコントロールできるなら、任せられそうだにゃ。」


かみかみ「ボクと砂場王で41の身体守るお!」


ねこにゃん「さすがにガンマとデルタ相手じゃ、丸投げは危ないにゃん。守らせるにしても、かみかみに危険ないように作戦立てるにゃ。」


ぴょこにゃん「この異空間だって、エスネコごと、おりたち消えたら閉じるんだぞ?」


ねこにゃん「もちろん、わかってるにゃ。だから変身する場所は、あそこしかないにゃろ?」


ぴょこにゃん「あの、ボコボコにしてやった超次元か。ガンマとデルタにも宣言したしにゃ。アイツらの前で41の《コア》をエスネコが食べるわけだにゃ。」


ねこにゃん「(*≧ω≦)怒るかにゃあ?」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)健忘症か?ますます怒るにゃろ。」


ねこにゃん「あとは、タイミングだよにゃ。」


ぴょこにゃん「41がいきなり倒れたら、回りも大騒ぎになるしにゃ。41が寝る時が一番自然なんだよにゃー。」


ねこにゃん「それは無理にゃ。下界見てみろ。アイツら、これから盛り上がってくとこにゃ。」


ーー《キュイン》


異空間に丸い鏡が現れ視界が広がる。


そこには41の部屋が映っていた。


これは41の目を通して見えている景色。

もちろん音声つき。


ーー《ギャハハハハハー!》ーー


41の部屋は笑い声が飛び交っている。


ねこにゃん「(*≧ω≦)コイツら、いつ見ても、わちゃわちゃしてるよにゃ。」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)ああ、ケイの無事祝いか。」


ねこにゃん「それもあるだろうけどにゃ。コイツらは理由なんてテキトーにつけてるだけで、集まりゃ、いつもパーティーにゃん。それより本人も、異変に気づいてるみたいだにゃ。明晰夢の中で、おりに会った記憶も全て、夢の悪魔《ラミーノ》に消させたんだけどにゃ。」


ぴょこにゃん「なあ、ねこ。…人間て、《もう死んでもいい》って言葉使うよにゃ。でも、使うのは幸せの絶頂の時にゃ。」


ねこにゃん「…何が言いたい?」


ぴょこにゃん「41はいつもそうしてるって話にゃん。自暴自棄でもにゃい。今を最高に楽しんでるって感覚を、おりたちは知らなかった。死とか滅びがないからな。」


ねこにゃん「今か…。ぴょこ。今、おりは毎日楽しいぞ。おまいがベータになった瞬間も嬉しかったにゃ。《素数次元》の無限の檻から、次元を折り畳んで11次元に落ち着いたよにゃ?」


ぴょこにゃん「《都合の法則》でな。二次元レンズで観測してる時に、ねこ発見したのも嬉しかったにゃ。そこから因果軸つながったのか、つなげられたのか…。ねこ。おりも今、毎日楽しいし幸せわかるにゃん。時間軸ってシャボン玉みたいだよにゃ。おりはこの泡の世界大好きにゃ。」


ねこにゃん「泡か。この41のいる下界は今、《バブル時代》って呼ばれてるらしいぞ。これも因果だよにゃ。」


かみかみ「( ・`ω・´)ねえ!話長いとボク眠くなるお。わかる言葉で教えてくれなきゃ一人ぼっちなっちゃうじゃん!」


ねこにゃん「(*≧ω≦)かみかみ、ゴメンゴメン!話それちゃってたにゃ。まずは41助ける事が先にゃん。この《お伽噺》は後でゆっくり話してあげるからにゃ。」


ぴょこにゃん「エスネコが41の魂を食べたときにタイミングよくバックアップ入れられるかだ。とにかく保護しといた方がいい。ガンマとデルタが直接、肉体狙ってくる可能性ある。かみかみ。頼むぞ。」


ねこにゃん「41の肉体を人質にってか。アイツらならやりそうだよにゃ。」


ぴょこにゃん「あるなー。でも、不利なこと考えても仕方ない。不都合に見えても、都合よく収まるもんにゃろ。まずは眠らせる。そこからスタートにゃん。」


ねこにゃん「じゃあ、41の仲間ごと、全員気持ちよく、ぶっ飛んでもらおう。《魔のつくもの全て》の力において…。」




ーーーー


ここは東京N23区。41の家。


ーー《トントントントン!》


階段を下りる軽快な足音。

音に、41のゴキゲンが乗っている


ーー

オレ「(*≧ω≦)たっだいまー!」


ケイ「スゲー笑顔だなw」


ジュン「階段降りてくる音まで嬉しそうに聞こえたもんね。わかりやすいよねーw」


オレ「いいってさー。」


ケイ「何がよ?いっつも主語がねえ。」


オレ「オレに何かあった時に友達から連絡させていいかMちゃんに聞いたの。そしたらさー。あっちも、ちょうどオレの事話してるときに電話来たからビックリしてた。通り魔のニュース見てたみたい。」


ジュン「あ。それアタシもある。ジュピタンの事考えてたら電話来たとか。」


ケイ「ん?オレもあるな。41に電話しようとしたら、かかってきたとか。」


オレ「何なんだろうね?オレは…ないな。それってズルくない?不公平だブー!」


ケイ「お前がオレたちの事、考えてないからだブー。」


オレ「いつも思ってるブー!」


ジュン「うそブー!うそブーブーブー!ねえ。これいつまでやるブー?」


オレ「気に入ったブー。ケイのせいだブー。」


ケイ「(*≧∀≦)いいから。そろそろやめようぜ。これでいつも何話してたのか忘れちゃう。サルには電話しないのかブ?」


オレ「するブー。終わらねえじゃねえかブー。」


ジュン「もういいってば。するなら早く電話しちゃいなよ。呼ぶんでしょ?」


オレ「わかりましたにゃ。サルに電話しますにゃ。」


ジュン「( ・`ω・´)コラ。今度は猫やる気?」


オレ「(´・ω・`; )やらなーい。サルに電話するー。ジュン。そこの電話取ってよ。」


ジュン「ハイハイ。」


ーージュンが応接間のプッシュホンをオレの手元に持ってきてくれた。

うちは一階と二階の三部屋に電話を引いている。


引いていると言っても、コードとジャック買ってきて自前工事でつけただけなんだけどね。


ーー


オレ「サンキュー。えーと。サルの番号は3831の…」


《プルルルルル》ーー《ガチャ》


オレ《あ。出た》


オレ「(*≧ω≦)ブヒブヒ?」《もしもし?》


サル「(´・ω`・)はぁ?…誰?」


ジュン「(*≧ω≦)ちょw」


ーー《パン!》ジュンに横からアタマ叩かれた。


ケイ「(*≧∀≦)おまw」


ーー《ぺし!》ケイが立ち上がってアタマ叩きににきた。


ーー《ガリー》かみかみが後頭部に爪を立てる。


オレ「( ;∀;)ブヒーン」


サル「わかった。41だろ?いたずら電話かよ。バタバタ聞こえてるぞ。そっちで何やってんだw」


オレ「いつも通りふざけてただけだよ。もしもしをブヒブヒって言ったら全員から暴力受けた。豚差別主義者なんだよ。で、サルは今、何やってるー?暇なら来ない?ケイがさ。通り魔にやられて、うちに逃げてきたんだぞ。無事だったんだけどさ。」


サル「いつもだけど、お前の話は、さっぱりわからねえ!ああ。じゃあ行くかな。また《L》入ったんだけどいる?」


オレ「おー。欲しいわ。買うから持ってきてよ。」


サル「金なんていいよ。そっちは?」


オレ「まあまあだね。」


サル「まあまあか。よさげだな。…それとさ。話変わるんだけどエミが、ちょっとおかしいんだよね。」


オレ「おかしい?ん?まさか、またスピードに手を出したとかじゃねえよな?」


ーー


エミは元々《マッドピエロ》という、暴力とスピードと呼ばれる薬物で、人を支配する組織にいた女だ。


そこで騙され脅されながら性的搾取を受けてた女の子。


サルのチョンボもあるんだけど、オレの扱う薬物狙ってマッドピエロからエミは送り込まれてきた。


アタマに言われて、サルの偽の彼女になってオレに近づこうとして来た。早い話が色仕掛けだ。


多勢に無勢。

でも、友達がやられてムカついたのは間違いない。


オレは自分のやり方、ジャンキーの土俵で反撃してケリをつけたんだ。


ーーそれでエミも解放されたはず。


ーーエミもサルにも正直に話して謝ったらしい。


偽の恋人関係は解消したけど、たまにオレたちとも遊ぶようになった。


たまーにだけどね。


ーー


サル「ヤクは、自分でやってねえと思うよ。ハッパくらいならいっしょにキメたりするけどさ。…つーか、ジュンには言えねえけど、エミはお前の事好きなんだと思うぜ。」


オレ「( ・`ω・´)サルー。お前うちに来て、それ言ったらぶっ飛ばすからな。」


サル「言わねえよ。この前話したときに突然、田舎に帰るって言ってたんだ。事情聞いても答えないからさ。」


オレ「へー。お前連絡取り合ってるんだ。偉いじゃん。」


サル「まあ。タツに紹介されて押しつけられた彼女だったけどさ。最初から変だと思ってたけど、彼女してたんだ。それなりに情はわくじゃん。」


ーー


《タツ》はマッドピエロのアタマだった男。

オレはサルの家で会ったけど、それっきりだ。


逮捕されたって話も聞かないし行方不明。

マッドピエロも静かにフェードアウトしてったのかな?。


まあ、そもそも興味がないんで、どうでもいい。


ーー


オレ「…突然、田舎に帰るか。それもおかしいな。何ならエミも連れてこいよ。こっちもいろいろ変なんだよ。」


サル「わかった。エミにも声かけてみるよ。連れてこれそうならいっしょに行く。」


オレ「待ってる。お前より《L》をw」


サル「ざけんなよw.あとでな。」


ーー


ジュン「サルは?来るの?」


オレ「エミにも声かけて連れてくるかも。LSD入ったから持ってくるってさー。うししししw」


ケイ「アイツまだ、つきあってんのか?偽物の彼女だったんだろ?」


オレ「情の問題だとさ。あとはわかんねえ。」


ジュン「最初、ジュピタンに色仕掛けしてきたんだもんねー。」


オレ《色仕掛けしてきたから、エミのおっぱい触ってやったんだ。ジュンに言わなきゃ良かったなー。それ以上の事も…あわわわわ》


オレ「(´・ω・`; )もう、その話はいいだろ。それより、オレが感じてる変な違和感を解きたい。」


ジュン「話変えたー。でも違和感て?」


オレ「オレも含めて厄や不幸が来てるって感じかな?オレのせい?って思ってるの。」


ケイ「それはねえだろ。逆に守られてるとオレは思ってるぜ。だってよー。オレを通り魔から助けてくれた超美人だって変だ。テレビのニュースもオレが見たのとぜんぜん違うしな。…41。違和感て言えばお前自身も何か変だぞ。さっきの豚語はいつもの事だとしてさ。二階でMちゃんと話して降りてきてから、何か無理して、はしゃいでるみたいに見える。」


ジュン「ケイちゃんだって浮き輪つけて降りてきたじゃん。」


ケイ「それはさ、通り魔の後の、ここの日常が嬉しくて浮かれたんだよ。41。この前、祭りの時に耳が聞こえなくなったろ。あれ以来大丈夫なのか?」


オレ「…どうかな?うまく言えないけど、不自然に守られてる感じはする。それとさ。オレ明晰夢とか、ねこたちが遊んでる世界の夢を見るって話したろ?いつもだと覚えてるはずなんだけど思い出せない何かがある。ずっと思い出そうとして引っかかってるんだよなー。」


ジュン「ジュピタン。…黙ってどこかに行ったりしないよね?」


ーー《ドクン!》


オレ《!》


オレ《まただ。何だこの感じ…。心配されたり、心配したりするたび…。》


ケイ「どした?顔がマジだぞ?」


オレ「え?何だっけ?どこにも…。ああ。明日Mちゃんちに行くつもりだよ。」


ジュン「え?セッション?アタシも行ってみたいなー。この前の録音でギター弾いてた人でしょ?どんな人なの?」


ケイ「あれはスゲー。お前のベースもカッコよかったけど、一段ギア上がってる。いや、上げられたかな?」


オレ「えーと。ちょっと待ってね。確かこのへんに…。」


ーーオレは本棚の雑誌を取り出した。

音楽やベース専門のマガジンだ。


ーー


《ペラペラペラ》

ページをめくる。


オレ「あった!これ。この人。」


ーー

そこにはMちゃんの写真と所属してる著名なバンドが写っていた。


ケイ「はあ?マジかよ。オレでも知ってるぞ。この人、超有名だろ?」


ジュン「知ってるー!このバンドのレコード持ってるよ。カッコいい!この人ハーフなんだよね。モロ芸能人じゃない!ジュピタン、この人と友達なの?ビックリなんだけど!」


オレ「(*≧ω≦)えへへへー。今のオレを作ったのは、この人だよ。」


ケイ「マジかー。てことは、この人も、お前みたいってこと?」


オレ「( ・`ω・´)みたいって、何だよ。オレの道標だぞ!」


ケイ「(*≧∀≦)わりい、わりい。いい意味でだよ。何かいろいろ納得したわ。」


オレ「( ・`ω・´)勝手に納得するな。Mちゃんはオレの恩人なんだからな。」


ケイ「カッコよさ学んでるって意味だよ。お前の事誉めるのは、何かイヤw」


オレ「何だとー!」


ジュン「いいなー。アタシも会いたい。」


ケイ「この人とのセッション、生で見たいよな。」


オレ「そうだな。『最後になるかもしれないし』、Mちゃんにお前ら連れて遊びに行っていいか聞いてみるよ。」


ジュン「え?最後になるかもしれないって何?」


オレ「え?オレそんなこと言った?」


ケイ「言った。どういう意味だ?」


オレ「ちょっと待て。ぜんぜん言った覚えがない。何かあったときに…。あれ?」


オレ《最後になるかもしれないし?オレそんな事言ったか?》


ジュン「何かあったときって…。ジュピタン、やっぱ変だよ。無理に紹介してくれなくてもいいよ。連絡先だけで大丈夫だから。」


オレ「いや、違う。…最後になるかもしれないって言葉出たかもしれない。何でだ?」


ケイ「お前、平気か?ヤクのやりすぎって事はねえだろ?」


ーー《ドクン!!》


オレ《またこの鼓動。心臓じゃねえ。もっと深いところから…》


オレ《…わかんねえ》


ーー


オレ「…なあ。もしも。あくまでも、もしもの話な。変な話するけどさ。オレ消えないよな?」


ケイ「(´・ω・`; )はあ?」


ジュン「消える?」


オレ「…消えるじゃないな。何だろう。言語化できない。」


かみかみ「にゃん」《消さないよ。ボクが守るお。》


オレ「え?かみかみ。今、何て言った?」


かみかみ「にゃん、にゃ!」

《ねこにゃんとぴょこにゃんが作った、その耳なら聞こえるはずだお。》


ケイ「おいおい。もう勘弁しろよ。これ現実か?」


かみかみ「にゃい。」《ケイ》


ケイ「やべー。名前呼ばれた。」


かみかみ「にゅん。」《ジュン》


ジュン「アタシもだ!」


かみかみ「にゃーん。にゃお。にゃ!」


ケイ「41。今のは?」


オレ「…消えない。でも眠るかもしれないってエスネコが言ってる。眠った時は起こすからって。みんなにも伝えて?エスネコ?」


ケイ「エスネコ?六本木でいっしょに遊んだヤツの名前だよな。」


ジュン「ねえ。アタシ怖くなってきた。もう、やめようよ。」


オレ「そうだな。やめよう。でも、いろいろ話したくなった。Mちゃんの事も話したし、ついでにいろいろオレの話聞いてよ!コーク刻もう。ジュンはニルヴァーナ詰めといてよ。もうすぐサルもL持って来るだろ。楽しまないとヤクの神様怒っちゃう。」


ーー


オレ《…何が起こるんだ?ぜんぜんわからん。でも、今話しとかなきゃダメな気がする。絆の糸を強く結べって誰かが…。》


ーー


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」


エスネコ《もうすぐだよΝ(ニュー)。アルファとベータからΣ(シグマ)を生み出した人…。SとNの紋様と意味はシグマニュー完成されるから…》





ーーーー

ところかわって、ここはガンマとデルタの居城。

ーー超次元異空間。


ねこぴょこたちから受けた、次元膜崩壊爆弾の痕跡は修復されていた。


ーー超速再生。


この二人の神は破壊されたモノを修復する際、アナログ的な物理再生を行わない。


平行世界から破壊箇所をコピー、

あるいはそのまま切り貼りして修復する能力がある。


直すより新品に交換するのだ。


ーー二人の神は、静寂の庭と呼ばれるテラスで向かい合いコーヒーを嗜んでいた。


だが、修復を終えた超次元空間ではあったが、神殿の中に並べられていた標本の半数以上が消えたままである。



ーー

ガンマ「では、始めようか。壊れた魂など要らぬ。それでいいな?」


デルタ「愛着はあるがな。何万もの実験体から唯一リサイクルに耐えた《粒》だ。貴様だって同じであろう。今回のリサイクルの際に剥ぎ取った198X41の執着心や嫉妬心に影響されたのかもな。」


ガンマ「笑えるな。貴様が人のようなフリをするか。おそらく願いは叶ったのだろう。神に覚醒できなかった198X41の《粒》など不要だ。崩壊すれば戻ってくる設計は揺るがぬ。襲撃してきた、ねこたちもバックドアの有無を聞いてきただろう?ヤツらでも直せない証拠だ。」


デルタ「…あのような屈辱は初めてだ。原初なのかシリーズなのかも不明。それにエスネコとは何だ?アカシックレコードは、この場所を示した。迎え撃つぞ。」


デルタの瞳は青い怒りの炎をあげる。


《ピキィ》


超次元の紺碧の青空は凍結してひび割れた。


そして超速再生により瞬時に復元する。


ガンマ「ヤツらは来る。理由はわからぬが198X41が重要なのは間違いない。それが弱点だ。肉体を拐い人質にすればよいのだ。」


デルタ「卑怯な手は好まぬがな…。ただし手は抜かぬ。エスネコが何かは知らぬがワレらも本気でかかるぞ。見ろ。吸収した《イータ》と《シータ》で戦闘用のボディを構築した。これで破壊できぬものなど、この世には存在せぬ。」


ーーそこには透明なひし形のキューブが浮いていた。


縦長の八面多様体。

キラキラと音がするように光る。


それは磨きあげられたダイアモンドのような、屈折した乱反射を起こしている。


光は次元を貫くほどのエネルギー。


それが、外へ漏れ出さないように、

キューブに閉じ込められている。ーー


デルタ「起きろ。」


《カシャン》


小さな音を一つだけ立ててキューブは崩れていく。


そしてキューブは滑らかに分割されて人型に変わっていく。


頭部とボディ、腕部、脚部は分離して浮いている。


だがそのパーツ一つ一つは、獰猛な生き物のように光の乱反射の脈を打つ。


ガンマ「貴様との合体もやむを得ぬな。この化け物の名前は?」


デルタ「名前など、どうでもよいがな。…呼び名が必要なら《ガデ・ス》でいいだろ。」


ガンマ「ガデス。…デスは死。貴様と一文字ずつ取って死を与えるモノか。安直だが呼びやすい。よかろう。これを使って下界に行く気か?」


デルタ「バカな事を言うな。三次元でのフルスペックは想定していない。地球が壊れてしまう。41の肉体を拐いに行かせるのは『人間』だ。未来から持ってきた次世代モデル《298X41》にAP(人工人格)を乗せる。能力は…ver7にしておこう。」


ガンマ「ver7?本気か?ハハハ。APに制御できるかな。狂ったAIに超能力を持たせるようなものだぞ。」


デルタ「この世界線の下界など知った事か。神も生まれぬ。戦争も止まらぬ愚かな世界。ただ他の世界線と異なるのは、アカシックレコードが滅亡を示さぬ事のみ。」


ガンマ「わかった。生成してロールアウトしよう。シリアルナンバー《298X41》。貴様はどこの誰でもない。《198X41》ーー41の肉体を持ってこい。生け捕りにしろ。邪魔物は排除一択だ。」


《ズーーー》


ガンマの宣言と同時に空間が割れた。


その透明な裂け目が人型の輪郭を帯びてくる。


《ミチミチ、ミチ、ミチ…》


内臓、筋肉、神経、血管、骨、皮膚ーー。

そして顔や髪の毛、服の順に人型の輪郭に貼り付いていく。


中から裏返した人間を逆再生して直すように『それ』は姿を現していく。


ガンマ「三次元への位相変換完了。四次元軸の通過による反転現象も収束した。」


デルタ「ふん、相変わらず三次元に肉体を投射する様は不細工だな。内臓から裏返って組み上がるのを見るのは嗜好に合わん。」


そしてーー。


《ス…》


そこには一人の若者が立っていた。


ガンマ「たやすいものだ。《魂》の覚醒など待たずに、肉体サンプルのコピーに人工人格を乗せればすむことなのだがな。」


デルタ「愚かな事を言う。それでは《神》になれぬ。1000年後の人類は肉体も乗り換えてたいたではないか。」


ガンマ「人工人格とデータ化した人間の《魂》と何が違うのだろうな。」


デルタ「《神》になれるかだ。…結局、答えは出ぬままだがな。」


ガンマ「41の《魂》の耐久性は、次世代の実験に活かせる。《魂》が崩壊すればリサイクルできる。」


ーー現れた若者に表情はない。

能面のような無機質さ。


自分の創造主の会話に何の興味もないようだ。


だがーー。


298X41「…ナマエガ欲しい…。」


デルタ「ほう。面白い。APのくせに自我を持つか。…サトウ。では、『スズキ・サトゥー』と名乗れ。」


サトゥー「わかりました。ではご命令を実行します。次元ホールを新宿に。」


《スン》


超次元に下界とつなぐホールを開き出ていった青年。


それは41と同じ顔をしていた。

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