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第80話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け②moon like a moon後編》

※前話からの続きです。

潜入したねこにゃんとぴょこにゃん。

目的は、41を取り戻すこと。

立ちはだかるのは、冷徹な合理性を持つ新型の神。

圧倒的な力を前に、二柱が仕掛けたのは、あまりにも大胆で、あまりにもねこぴょこらしい反撃だった。

月が砕け、星が燃え、超次元空間が炎に包まれる。

――《moon like a moon》

その言葉に隠された仕掛けとは?

そして、神々が恐れる《原初》の正体に、一歩近づく。

超次元空間バトルの結末は…。

第80話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け②moon like a moon後編》


ここは、ガンマとデルタの拠点である超次元空間。


ガンマとデルタの偽物のver5を構築し《糸》で潜入した、ねこにゃんとぴょこにゃんの二柱。


見えない敵の観測と見学だけのつもりだったが、神殿の中に飾られていた何万体もの人間標本《198X41》とナンバリングされた空のケースを見つけた二柱は、ぶちギレた。


ねこぴょこたちは、怒りに任せ《糸》で無理矢理、ねこボディを構築。ガンマとデルタに一撃を加えた。


だがガンマとデルタの知能は冷静かつ合理的。ねこにゃんとぴょこにゃんは、容赦ない攻撃を受ける。


二柱がカスタマイズした、ねこボディの特性によって攻撃に耐えきるが、これ以上、応急のカラダでの戦闘継続は困難な状態にあった。




ーーーーーーーーー


ねこにゃん「おりたちの用件だけ伝えるぞ。41はもらう。」


ぴょこにゃん「41が死なない設計のバックドアあるなら教えろ。そしたら、おりたちもこのままバイバイしてやるにゃん。」


ガンマ「41?そうか。貴様らが隠していたのか。あれはワレらの実験体。所有権も支配権も譲れぬな。それにワレは気に入っているのだ。あの欠陥品のオモチャをな。」


デルタ「バックドアだと?そんな設計ミスなどあるものか。滅べばリサイクルされる。…そうか、わかったぞ。41は願いを叶えた?そうだろ?ハハハハ。これは初めてだ。」


ガンマ「13回目にして願い成就か。これはいい。だが、神への覚醒に及ばなかったのだろう?フフフ。貴様らこそ諦めろ。リサイクルの輪廻には敵わぬ。」


デルタ「貴様らも41の幸福の毒に犯されたか?41も最後のリサイクルで幸せを掴んだか。いい仕事をしたな。貴様らというオマケまで連れてきてくれたわ。」


ーーねこにゃんの瞳に怒りはない。

想定内のクズだったからーー。


いやーー。

このやり取りも、必然を確定させる工程に過ぎなかった。



ーーーー


ねこにゃん「そうか。聞こえなかったのかにゃ?じゃあ、もう一度だけ言うぞ。41はもらう。逆らうなら滅ぼす。」


デルタ「41と貴様らはどういう関係だ。そもそも原初は演算のバグだ。都合のよい定義に過ぎぬはず。こちらこそ滅ぼされたくなければ41の《コア》の場所を教えろ。もう不意打ちや、このような手品も通じぬぞ。」


ガンマ「ver5をおとりにして、ここにたどり着いたのは、ほめてやる。しかし、ここからはもう出れんぞ。神殿のコレクションに骨董品として飾ってやろう。


デルタ「状態変化にハイ・ナノテクノロジーか。科学のお手本だな。11次元構造体とは言っても、よくよく観測してみれば中身はスカスカではないか。貴様らは《糸》の振動で動いているんだな。無駄なハイコスト、ローパフォーマンスが原初の実体なのか?だが原初の解析には興味がある。ガンマ。固定化するぞ。二次元レンズ起動!《フォーカス!》」


ガンマとデルタの二次元レンズにフルフォーカスされる二柱。逃げ場もない。

フェイクも見抜かれ、戦闘どころか、ねこボディ維持のエネルギーも尽きようとしていた。


ーーだが、それと二柱の特化した権能とは別だ。


ねこにゃん「ふん。《魔のつくものの全て》において反射の悪魔を構築!ーー《バリア》照準・月!」


ぴょこにゃん「《マッドサイエンティスト》の力において、時空間ナノエネルギー密度再構築!重力レンズに変換ーーロックオン反射軌道を月へ!」


《キュン!》


ねこにゃんが張ったバリアはガンマとデルタのフォーカスを月に滑らせる。

ぴょこにゃんの作った重力レンズは、ガンマとデルタの照準を月に反射させた。


ガンマ「何?観測が揺らぐ?月が写るぞ。このパラメーターは…定義外だ。」


デルタ「クソッ!どこまでふざけた能力があるんだ!ならば月を破壊すればよい!どうせ、元は役立たずのver5たちの成れの果てだ。コイツらの囮にされおって!」


ガンマ「月を握り潰す!」


《ガッ》


ガンマとデルタの《手》が月を鷲掴みにした。


音は届かない。


ただ、月の輪郭が歪み削れていく。


やがて圧力に耐えかねた月が、大きな亀裂を数本見せる。


ーー静寂。



次の瞬間、世界が爆ぜた。


《バキャッ!》


《ドッゴォオーーーーーーン》ーーーー


《ブワォ!ブウォゥン!》

押し潰すような衝撃波が幾重にも、天から伝わってきた。


《バキィッ!ザザザザザー!》


ジャングルの木々が衝撃波にさらされ、へし折れる。


月の破片は灼熱の隕石となり降りそそぐ。


それは絨毯爆撃のように超次元の天空から落ちてきた。


《ドッゴォオーーーン!》


《ドゴッ!ドドッ!ドッドォオーーーーン!》


爆発音や打撃音、破壊音が打楽器のように鳴り響く。


ガンマ「クソッ!この月の質量は何だ!どこまでリアルに再現させたんだ!」


デルタ「…まずい。乱反射だ!フォーカスがパノラマにされた!先ほどの宇宙は本物…?この夜空はどこまでフェイクなんだ。」


ガンマ「デルタ!破片を粉砕しろ!」


デルタ「やってる!貴様も焼き尽くせ!」


だが、月の破片の落下は直線とは限らなかった。


宙で舞い、方向を変え曲線を描き落下してくるモノもある。


デルタ「何だと?破片が逃げた?重力の強さも方向もランダムに設定されてる?いや…変えられたのは景色だけじゃない。この空間の重力密度まで!おのれー!」


ーーーー


ぴょこにゃん「ここまでバカだとはにゃ。ねこにゃん。帰ろ」


ねこにゃん「そうだにゃ。じゃあトドメさしてやるにゃん。擬態の悪魔よ。擬態を解除し爆弾になれ!」


ねこにゃん《ゴメンにゃ。後で再構築させてやるからな》


擬態の悪魔《派手にやります。マスターたちもご無事で。》


二匹はねこボディを解除。


逃走用に、姿を見えない《糸》に戻す。


二匹のねこの姿はガンマとデルタの前から、忽然と消える。


この《糸》は11次元を統べるモノにも見えないよう構築されている。


ーー

だが、姿を消した二柱からの声は、周囲の破壊音を無視するようガンマとデルタの頭の中にダイレクトに届いていた。


ぴょこにゃん「次、会うときは別の姿だろうな。それがおまいらの言う《原初》なのかもしれにゃいぞー。エスネコって名前に恐怖するにゃろ。じゃあな新型。」


ねこにゃん「新型?後発品だろ。次に会うとき、おまいらが滅びを選択するなら…。最後におりたちのことも、おまいらのことも教えてやるにゃん。」


ぴょこにゃん「ここの地獄は今から始まるにょさ。こんくらいで死ぬなよ。ねこ。合言葉にゃ。爆弾作動!言語キーを回すぞ。せーの!」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)プロミネンス!」


ねこにゃん「(*≧ω≦)フレア!」


《カッ!》


その時ーー

星が透き通るほどの閃光が走った。


超次元を白い闇が襲う。


降り注ぐ月の破片が発光して大爆発を起こしていく。

すでに隕石となって地上に落ちた欠片さえも、容赦なく再爆発していく。


ーーー《次元膜崩壊爆弾》ーーー


これは二柱が構築した爆弾。

それに擬態の悪魔を寄生させ、偽物のver5のガンマとデルタの粒に仕込んでいたサプライズ。


そして擬態の悪魔は月や森、動植物など、周囲の環境を擬態し構築していた。


次々と擬態は解け次元の膜を突き破る爆発を起こしていく。


《ドッ・ドッゴォオーーーーーーーン!》


《ドガッ!……。》


一瞬だけ音が消えた。


吸い込まれたように静寂…。


そしてーー

オーケストラのように爆発音が重なりあっていく。


《ドガッ!》


《バンッ》


《ドドドドドドッ!》


空間が裂け、火柱が天へ伸びる。

次の爆炎が世界を呑む。


ーー


二柱の発した合言葉。

《プロミネンス》ーー太陽を模す紅の冠

《フレア》ーー燃えさかる白い刃


超次元世界の爆発の嵐は二柱の言霊に従う。


太陽活動のような暴虐の爆炎が渦を巻き、楕円のコロナが空間を焼き払いながら走り抜けていく。


また、爆炎は超高熱のプラズマを発生。


《ゴゴォオーーーーー!》


青白い超高熱の炎が蛇や竜のようにうねり踊り、ガンマとデルタの超次元を蹂躙する。


爆発したのは月だけではない。


擬態の悪魔によって構築された天空の星や銀河、隠れていた猛獣たちも次々誘爆を繰り返す。


グルルルルル…。


《ドカーン!》


ホーポーホーホー。バサバサバサ。


《ドゴーン!》


猛獣の唸り声、鳥の鳴き声、羽ばたく音、


それは天の星や銀河まで及んだ。


ーー《moon like a moon》ーー

この一言から、突然現れた全ての景色は、爆弾が擬態したものだった。


ーーーー


デルタ「景色…全部が擬態だったのか!まさか環境そのものを爆弾化…!」


ガンマ「遊びで作る仕掛けじゃないぞ原初ァー!!」


そして、最初に爆発をした月の巨大な欠片は目標を定めてあったかのように、神殿に集中して激突。誘爆を起こし火柱があがる。


《ドゴッ!》

《ドガカガガガガッ!》

《ドーン!ドグワッ!ドッドォオーーーーン!》


ーー


デルタ「おのれー!神殿が狙いか。ワレらの数万年のコレクションが…。許さん!」


ガンマ「デルタ。ここにいては、まずいぞ!この爆発は次元膜を破る!ここは閉じよう。」


デルタ「ダメだ!ワレが次元凍結膜を張り巡らせる!ここは世界干渉のハブだ。簡単に放棄はできぬ!」


ガンマ「わかった。エネルギー消費効率補正。デルタとアクセス!」


ーー


ガンマとデルタは爆発を浴びながら、体の一部が吹き飛びながらも超速再生を繰り返す。


だが、デルタのヒューマンボディの純白のスーツは爆炎にさらされ汚れている。

それも初めての事。デルタの目には強い怒りが漲っている。


デルタ「ガンマ!手伝え!エネルギーを時間停止に注げ!次元凍結!超次元崩壊箇所に簡易ミラーリンク境界膜を!」


ガンマ「エネルギー消費効率など邪魔だ!リミッター排除!全エネルギーを時間軸凍結へ!止まれー!」


ーーーー


《ピタッ》ーーーー


ーーモノクロームの世界。


そこには、かつてあった穏やかで静謐な世界はない。


静寂の庭と呼ばれていたテラスには、次元膜を突き破った大小のクレーターが重なるように並び、その穴は鏡の膜で塞がれている。


ガンマ「…止まった。クソッ!いつからだ。いつからワレらは狙われていたのだ。」


デルタ「落ちつけ。ガンマ、見ろ。崩壊を止めた時間の中でも炎が揺らめいているぞ?これは貴様が、白のチンチラを燃やした炎か?」


ガンマ「…そのようだな。この炎はワレらの止めた時間軸にはおらぬということか。」


デルタ「…なぜヤツらは41に、こだわるのだ?あのような欠陥品に何の価値がある。」


ガンマ「41の肉体の居場所ならわかるのだがな。処分するか。…どうする?」


デルタ「ダメだ。肉体は魂の乗り物に過ぎぬ。肉体の死より魂の死の順番でなければならぬ。以前にも事故などの突然死で魂を戻せなかった例がいくつもある。」


ガンマ「ワレらの実験を知ってか、意図的に連れていった存在を否定できぬと…。《神》に愛された者たちか。それも想像に過ぎぬ。」


デルタ「神殿も破壊されてしまった。崇高な使命の痕跡を破壊された。この空間の自己修復は可能だが。神殿の再構築には…。」


ガンマ「データは残っている。手間と時間は別の話だ。いずれにしても、またやってくると言ってたな。エスネコとは何だ?」


デルタ「…顕現せよ。」


《スッ》


デルタの手に分厚い古文書が現れた。


紙は頑丈そうな素材でできている。

インクが滲むこともなさそうだ。


だが、本はどこをめくっても全て白紙のページでできていた。


デルタが本の1ページ目を指でなぞる。


デルタ「運命コードより《エスネコ》を示せ」


《スーーーーー》


指で置かれた場所より幾何学的な線が進んでいく。

それは分岐し複雑な迷路を描き出す。


線で紙が埋まるとページは勝手に次のページをめくり、迷路を描き出す。


《ス…》


そして、数ページ進んだところで線は止まり、全て消えた。


ーー

ガンマ「そこは?何が書いてあった?消える前の最後のページに、一瞬浮かび上がったのは何だ?」


デルタ「どういうことだ…。『アカシックレコード』が示した地点は、ここだ。浮かび上がったモノが何かはわからぬ。…解析結果はエラーだ。こんなもの存在するものか。貴様にもデータを送った。解析してみろ。」


ガンマ「何?めちゃくちゃだ。…121形状…多層立方圧縮次元?…。類似検索結果ーー。これは魔法陣なのか?」


デルタ「なめられたままでは終われぬ。ガンマ。修復を急げ。ヤツらはミラーリングを越えた。次元膜のペイントは音になって残る。エコーを追うぞ。」


ガンマ「色と音…。デルタ。逆だ!目印にされてるのはワレらだ…。」




ーーーー

ここは41の中の異空間。


そこには、あちこち焦げた、ねこにゃんとぴょこにゃんの姿があった。


かみかみ「ん?いきなり焦げたお?」


ねこにゃん「逃げ遅れたにゃん。まさか《糸》通して爆発に巻き込まれるとはにゃ。ぴょこ。何か言うことにゃいのか?」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)爆弾の分量多めにしましたにゃ。ドンマイ。」


ねこにゃん「(*≧ω≦)ドンマイ受領にゃ。まあ41助けるためにゃん。しっかし41がアイツらから生まれたとは思えん。41はバカだけどバカみたいに優しい子にゃん。それに直接見てわかったにゃ。アイツらの正体確定にゃろ。」


ぴょこにゃん「ああ。確かに新型にゃ。おりたちより低価格高性能ってヤツにゃろ?おりは41の見る夢が好きにゃん。そこに住まわしてもらってる義理もあるにゃん。」


かみかみ「41が好きなのはわかったけどさー。新型ってにゃに?深夜の、よろずやショッピングみたいだお。」


エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」


エスネコ《大丈夫、大丈夫!》


かみかみ「ホントかよ?まあいいお。ドンマイだおー。」

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