第72話《原初の粒vs新型の神 絶望設計⑤後発品》
分離された異空間。
ねこにゃん対ガンマ、そしてぴょこにゃん(&テン、クロノア)対デルタの激突。
自らを「新型の神」と称する者たちが持ち出したのは、予測を超える異質な力――二次元レンズ。
圧倒的な格差を誇示するかのように、ねこにゃんは空間に固定されてしまう。
だが、それは本当に「敗北」なのだろうか。
原初と後発品、交錯する観測と演算の果てに待ち受けるものとは――。
互いの意図が交錯する、緊迫の第72話。
第72話《原初の粒vs新型の神 絶望設計⑤後発品》
ここは、ねこにゃんの構築した異空間。
ねこにゃんはガンマと名乗る《粒》と対峙している。
未知の《粒》は、ねこにゃんに合わせ、ライオンの三次元ボディに変身し、ねこにゃんに攻撃を仕掛けている。
ーー
ガンマが変身したライオンの口から放たれるのは、陽子兵器ーー荷電粒子砲。
高速で加速された陽子が炎の螺旋を描き、ねこにゃんを襲う。
ガンマ「ガンマ・レイ!」
《ゴッ!ーガボゥッ!ーーグゴォーッ!》
吐き出されるのは青い炎を纏う光線。
吐き出される度にどんどん威力が増していく。
だがーー
ねこにゃん「あらよーっと」
《コン!》ーー《コン!コン!》
異空間に響き渡るのは、ねこにゃんの専用武器『ハンマー』の打撃音。
攻撃は全てハンマーで叩き潰され、ペラペラに引き延ばされた状態で、異空間の地面にめり込んでいく。
ねこにゃんが構築した異空間。
そこには、三次元ボディで戦うための工夫がされている。
ねこにゃんの足元には、常に鏡面の地面が現れる。
空中にいようが、戦う方向が360度変わろうが、その法則は変わらない。
その鏡面の地面に描かれるのは、めり込まされた敵の攻撃の《模様》とひび割れ。
それも、瞬時に修復されるのだ。
ーー
ねこにゃん「(*≧ω≦)おりはハンマー使い。異空間の鍛冶屋さんだからにゃ。何度やっても無駄にゃん。おりのこと、旧型だの言ってたわりに大した事ないジャマイカ。」
ガンマ「ふむ…。面白い武器だな。素材は中性子星の物質。それを重力操作して振り回しているのか。打撃の瞬間に平面化して、攻撃を叩き潰すわけだな。いちいち無駄が多い…非合理的な武器よ。やはり原初は旧型だな。」
ねこにゃん「無駄が好きにゃん。おまいの攻撃は、その無駄にやられてるジャマイカ。おまいは無駄がキライなのか?」
ガンマ「無駄など必要ない。ワレは貴様より進化した《存在》だ。原初の予測はしていたが、ここまでアナログだとはな。試してみてわかったぞ。」
ねこにゃん「…予測?《知ってた》んじゃなくて《予測》ねー。それに今おまいは《存在》って言ったよにゃ。それでいいのか?」
ガンマ「何の揚げ足だ?それにこの会話につきあってやってるのもわからぬのか。この星の基準で言うならワレは未来のIC。ワレが観測した貴様はトランジスタか真空管程度。そのハンマーも精一杯の工夫の代物なのだろ。」
ねこにゃん「あー。バカはやりづらいにゃー。それもいちいち上からにゃん。じゃあハンマーなしでやってやろうか?ねこ対ライオンの格闘でもいいにゃんよ。面白そうにゃん。」
ガンマ「もう、貴様などに興味はない。ワレらのオモチャはどこだ?まだ崩壊してないはずだ。大人しく渡せ。」
ねこにゃん「( ・`ω・´)うるさいにゃー。おまいの興味なんて、どうでもいい。おまいの言いぐさだと会話も無駄なんだよにゃ?でも、おまいの事は、この会話でだいたいわかったにゃん。」
ガンマ「…何の事だ?」
ねこにゃん「おまい、本体じゃないだろ?こっちがわざと観測させてたのも気づいてない。おりは会話の間に十分観測させてもらったにゃん。おりの《糸》に侵入されてたのも気づいてない。うちのクローンで言えばver5ってとこだにゃ。うちの店で言えば雑用係にゃ。」
ガンマ「ほざけ!ならば終わらせてやる。ガンマレンズ起動。フォーカス!」
《《ピタリ!》》
ーー
ガンマが使用したのは、ねこぴょこオリジナルの能力
『二次元レンズ』だった。
ねこにゃんのカラダが平面化された。
異空間を背景に貼り付けられた、ねこにゃんの口から言葉が漏れる。
ねこにゃん「う、動けにゃい…。おまいは単体でレンズを使えるのか…。」
ガンマ「41の居場所を教えろ。隠しているならスクリーンを解除しろ。やらないなら紙屑のように握りつぶしてやる。その三次元ボディは痛覚もあるのだろ?固定されてから《開く》事などできはしまい。ワレらの予測では原初の粒は畳むごとに《崩壊》するとなっている。その二次元化された姿で立方体や四次元体にしたらどうなるかな。さらに圧縮や膨張を加えてやろう。何兆回繰り返せば崩壊するか試してやる。貴様が崩壊すれば、対の粒も壊れる。その前にワレの対、《デルタ》が先に貴様のツレを壊してしまうかもな。旧型。哀れな事よ。ワハハハハ。」
ガンマの嘲笑が異空間に響く。
ねこにゃんは思考も止まったかのように、完全に固定された。
ねこにゃん「…」
ねこにゃんは切り取られた空間に二次元化され浮遊している。
それはまるで、空間と言う額縁に納められた1枚の紙だ。
だがその姿はーー。
ねこにゃんは最後の力を振り絞って、笑顔で『ねこぴーちゅ』をしていた。
ーーーー
一方、ぴょこにゃんの作った異空間。
ぴょこにゃんは専用武器『スプーン』で、デルタの攻撃に応戦。
ねこにゃんの構築した色の悪魔『クロノア・クロティカス』と『アルファ(ねこにゃん)クローンver10』は、デルタが連れてきた配下たちと対峙していた。
デルタの配下たちの姿は幾何学的多様体。
凹凸のある五角形のモノや、じょうろのような形で螺旋を描くモノ。
現代美術のアート作品のようだ。
クロノア「アルファクローン《10》様。何ですかコレは?サイコアートですか?」
アルファクローン「クロノア。アルファクローン《10》て呼ばれるの長いにゃん。おりのことは《テン》と呼べ。それより色の解析は?」
クロノア「テン様。解析は終わっています。ぴょこにゃん様が対峙している、デルタと名乗るモノの色も表示しますか?」
テン「おっけー。どんな見せ方にしようか。」
ーー色の悪魔『クロノア・クロティカス』
色の悪魔として構築されたが、その姿に色はない。
細身の長身。純白の髪。青白い肌。
黒の白目に白の瞳。
その瞳には細く赤い波形が流れている。
モノトーンのロングコートを羽織り、動きが加わるとカラダは水墨画のようなグラデーションを描く。
ーーテン《ぴょこにゃん様。色の悪魔の解析結果を表示します。見せ方はどうしますか?》
ぴょこにゃん《あっちにも、わかりやすく見えるようにしてやろう。クロノア。『あれ』でやってやれ》
クロノア「了解です。色数選定。12から36。」
《パカッ。パカッ。パカパカパカパカ!》
鉄の缶が開くような音。
ーーデルタ「何だこれは?」
デルタと配下たちの前に現れたのは、蓋が開かれた色鉛筆ケース。
それぞれ12色から36色入りの色鉛筆ケースが浮かんでいる。
ケースに並んでいる色鉛筆は本数も減り方も異なっていた。
ーーぴょこにゃん「デルタだっけ?良かったジャマイカ。おまい36色にゃん。それに、おまい本体じゃないだろ?おりたち相手に雑用係程度の分身送ってきたのか。なめられたもんだにゃー。」
ーー
ケースに納められた、色鉛筆の本数と減り方は、対象の能力素性と偏向、レベルを表している。
デルタ「色…?スペクトルか?いや違う…何だこの解析法は…!ふざけた真似を…。」
ぴょこにゃん「(*≧ω≦)おりたちは、そういう作りにゃん。ふざけないと言い答え出せなくてゴメンにゃw」
ーー
テン《ぴょこにゃん様。ザコから片付けますね。イレブン解除必要ですか?》
ぴょこにゃん《(*≧ω≦)ねこのヤツめ、沈黙してるにゃん。ザコは消せ。そこからにゃ》
テン《了解ですにゃ》
ーーテン「クロノア。ザコ狩りするぞ。デルタ以外の多様体をイコライズしてやれ。」
クロノア「わかりました。」
ザコ狩りと罵られた配下たちに言葉が伝わったのか、一斉にテンとクロノアに攻撃が放たれた。
重力、熱放射、振動など。
多様体の特性に応じた攻撃が遅い来る。
《ゴバワォーーーーーー!》
《ギュゴゥ!》
《ウァンウァンウァンワン!》
テン「あらよーっと。」
《コン!ココ、コンコン!》
アルファクローンver10は《ハンマー》の利用が許可されている。
配下たちの様々な攻撃は、均等に次々と叩き潰され異空間にめり込まされていった。
ーークロノア「では始めます。カラーイコライズ!ーー《色鉛筆削り》」
《ガリガリガリガリ…》
配下たちの目の前に浮かぶ色鉛筆ケース。
赤や黄色が減ってるのは、よく使う証拠だ。
熱や光を得意としているのだろう。
対して青や白の減りが多いのは、空間や温度操作が得意なのかもしれない。
そして、それは素体の構成率でもある。
色の悪魔は個体の特性を、スペクトル解析し調整する。
《ガリガリガリガリ…。》
全ての色鉛筆は均等な長さの《ちびた鉛筆》に削られた。
《ガリ…》
テンたちに対峙していた、配下たちの攻撃は止まり、沈黙した。
ーー
テン「クロノア。おまいが最後までやりたいか?」
クロノア「テン様。ぴょこにゃん様たちなら、どちらを喜ぶと思いますか?私は増やす方《暴発》を希望します。」
テン「(*≧ω≦)派手にやれ。ねこにゃん様もそうすると思う。」
クロノア「了解です。色彩位相《転》!」
《スー…カシャンスーカシャンーー》
均一に最小に削られた色鉛筆が伸びていく。
長さも並び方も逆になっていく。
敵のひとつの色鉛筆ケースを見るとーー
最初に収まっていた時に減っていた赤は伸び、減りが少なかった青は《ちびた鉛筆》から、さらに削られ、削りカスに変わる。
そして、右端に収まっていた白は左に並べかえられていく。
他も同様に長さも並び順も逆転されていった。
そしてーー
《ボンッ!》
《ガシャン!》
《ザシュー……。》
目の前の配下たちは、それぞれの崩壊の音を鳴らしながら消滅していった。
ぴょこにゃん《クロノア。おまい使えるな。ねこが作っただけはある。いい悪魔にゃ。》
クロノア「ありがとうございます。ぴょこにゃん様。」
クロノアは細い腕を胸に当て、ぴょこにゃんに頭を下げる。
白い瞳に赤い縦のスリットが入る。
喜びの波長なのかもしれない。
口元はニヤリと笑っていた。
デルタ「バカな…。」
ぴょこにゃん「バカっていうヤツは、その人がバカって、うちの子が言ってたぞ。さあ、残るは、おまいだけにゃん。こっちは三柱。おまいの攻撃は全てスプーンに掬われて当たらない。そろそろ足元掬ってやろうか。どうする?」
テン《ぴょこにゃん様。私にも活躍させてくださいよ。せっかく、ねこにゃん様にver10で構築してもらったんですから。イレブン限定解除使いましょうよ》
ぴょこにゃん《そうか。バージョン上がると本物に近づくんだにゃ。悪ノリ度高いのキライじゃにゃいよ。でも、このデルタは本体じゃないけど、どこまでやれるのか見てみるのもいいかもにゃ。新型って言ってるし》
テン《新型って何なんでしょうね》
ぴょこにゃん《おりたちの『後発品』て事だろ。後発品なんて、たいていコピーのパチもんかジャンクにゃん》
デルタ「貴様ら…。」
ーー
デルタ《ガンマ。そっちはどうだ?こちらは配下をやられた》
ガンマ《こちらは終わったぞ。レンズ単体で貼り付けられているわ。これから吐かせるか崩壊させるかだ。》
デルタ《単体のレンズでか。原初と言ってもワレら本体の性能には遠く及ばぬな。》
ガンマ《だが気になる。観測されてるのに気づいたか?ver5と言い当ててたぞ。ハッタリかもしれぬがな。》
デルタ《観測されてる?そんな気配感じぬぞ。ただ、ベータの配下が、おかしな能力を使っていた。解析不能。古すぎてわからぬ。まるでお伽噺のよう…遊びだ…。では、こちらもレンズを試してみよう。》
ーーーー
ねこにゃん「…」
ねこにゃん《(*≧ω≦)丸聞こえにゃん。早く、ぴょこ来ないかにゃー》




