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第69話《原初の粒vs新型の神編 絶望設計②余韻と予兆》

Mちゃんやミーサ、かみかみと過ごした横浜でのあたたかな夜の余韻を胸に、41は自宅へと帰還する。

疲労に任せてソファーで眠りに落ちる41。家に訪れていたジュンは、そこで彼が残したカセットテープに収められた音楽の魔力に圧倒されていく。

一方その頃、41の魂のコアにダイブしていた「ねこにゃん」と「ぴょこにゃん」のもとに、一通の緊急連絡が入る。

睡眠に入った41の「新しい明晰夢」へ向け、謎の干渉者が迫りつつあるというのだ。

そして、夢の中で目を覚ました41の視界に飛び込んできたのは、異様な気配を放つ「あの」の和室だった。

第69話《原初の粒vs新型の神編 絶望設計②余韻と予兆》


ここは東京N23区。41の家。


今日は日曜日。午後3時過ぎ。


やっと家についた。


もうクタクタ。


カトラスからベースとかみかみを降ろす。


オレ《あいててて。腕も肩もだりい。やべー。調子乗って遊びすぎた。筋肉痛始まってるよ》


ーー


ゆうべはMちゃんちに泊まり朝までセッション。


朝帰るつもりだったけど、Mちゃんの娘・ミーサの泣き落としにあって帰れなくなって今だ。


ミーサは大喜び。

泣き落とし作戦成功である。


ミーサはちっちゃい子供とは言っても女の子だ。


「41は泣けば落ちる。チョロいな」って思われてたりしてね。


それでも十分。

真っ直ぐ好かれてる証拠だ。


愛されてるのはいい気分。


ーー


結局、お昼ご飯までご馳走になって、ミーサのお昼寝の時間に解放された。


それでも、お昼寝する前に釘刺されたもんな。


ミーサ「よーいち。ミーサ起きたらいる?」


オレ「(´・ω・`; )いやー。よーいちも明日お仕事だからねー。今日はよーいちも、おうちで寝なきゃ。来週また、かみかみと来るよ。約束。」


ミーサ「(*≧ω≦)ホント!じゃあいいや。約束ね。バイバーイ。」


オレ「ミーサお休み。またねー。」オレ《じゃあいいやって何w》


ーー


子供は食べて遊んでいっぱい寝るのが仕事です。


ミーサも昨日、寝ないでオレの事待ってたし、朝から、たくさん遊んで疲れてるんだろう。


オレとかみかみはミーサに引き止めてられ独占される。


ミーサはオレが教えてあげた「にゃんけん」を何回もやって、夢中でケラケラ笑ってた。


にゃんけんは、オレがよく見る夢ーーにゃんこたちが住んでる街の遊び。


絶対のルールでもあるらしい。


そこのにゃんこたちは、揉め事でも何でも、じゃんけんの進化形《にゃんけん》で勝負してるんだ。


オレも、にゃんけんをそこで覚えた。


夢から持ってきた遊びーー変な話だ。


ーー


フツーの「最初はグー」から始める「じゃんけん」とは違う。


ーー何が違うか。


まずグーチョキパーの三手じゃない。


スーパーグー・オーケーパー・ねこぴーちゅ・ねこぴーちゅキラーの四手、四すくみの不条理なルール。


最強は最弱に負け、最弱は最強にしか勝てない。


さて、あとの二つはどう出すか。


勝ち負けより勝ち方にこだわってる。


まあーーにゃんこたちの話はおいといてだ。


オレはミーサが喜ぶように、わざと大げさにやってるんだけど、にゃんけんを繰り出す動作が、子供には面白いらしい。


「にゃーんけーん…」の時に、腕をぐるぐる回したり、タイのキックボクサーみたいな変な振りをつけたりしてから「ぽいっ!」って出すんだ。


要は、かめはめ波みたいに気合い入れて出すわけだ。


「波ーっ!」が「ぽいーっ!」になる。


にゃんけんは気功砲。


さらに、勝った方が負けた方にちょっかいを出す。


例えばオレが勝ったらーー


オレ「ねこぴーちゅキラーの勝ちー!ミーサの、ねこぴーちゅをパクパクパクー。こちょこちょこちょー。」とか指をパクパク食べちゃうみたいに握ったり、首や脇の下をこちょこちょしてやる。


そうするとミーサは子供特有のケタケタケタケタ笑いになる。


当然、ミーサも同じことやってくるから、オレも「ギャー!負けたー。食べられちゃうよー!くすぐったい。まいったー」」ってリアクションを取る。


もう、大喜びだよ。


だけど、勝ち負け関係なくオレのHPはみるみる減っていく。


無敵のジャンキーとはいっても体力は人並みだもん。

ぶんぶん腕回してりゃ、そりゃ疲れるわ。


ーーそして、即興で《にゃんけんの歌》まで作ってあげた。ノーサイドの歌。


じゃれあった後に健闘を称えあい、首を左右に振って歌う。もちろんオレの演奏つきだ。


ーー


うた

《にゃんけんはー。しょうがないー。そーなのねー。そーなのよー。にゃんけんにー負けたらならー、しょうがないー。そーなのよー。》


※サビ※

 にゃーんけーんに負けたならー。勝負の心ー。にゃんけんはー、しょうがないー。そーなのねー。そーなのよー。》


ーー

もはや何の遊びなのか、作った本人もわからない。


何かアタマの中でオレに変なインスピレーション与えてるやつがいそう。


そうでも思わなきゃ、自分のアタマがマジでおかしい事になる。


ーー不安だーw。

(*≧ω≦)けど面白いからいっかな。


子供ってひとつハマると「もう一回、もう一回やろ!」ってなる。


おかげで肩や腕がだるい。

にゃんけん運動による、にゃんけん筋肉痛。


ーー


Mちゃん「よーいち。お前、変な遊び教えるなよ。お前が帰ったらオレが、ミーサと、にゃんけんしなくちゃならなくなるだろ。それに幼稚園でミーサが他の友達に、そのじゃんけん違うよってなったら、おかしく思われるだろw」


オレ「( ̄^ ̄)そこは、大丈夫。逆にオレは子供たちに、いや、世界に、にゃんけんを広めたいのであります!それにミーサも、にゃんけんは、よーいちと勝負するから面白いんだもんねー?」


ミーサ「にゃんけんは、よーいちとパパとママとやるの。ねえ今度、お友達も連れてきていい?」


M「(´・ω・`; )ほらー。こうなるー。お前がいない間、オレがミーサの友達に教えて、にゃんけんするのかよ。これ、けっこう体力使うぞ。」


オレ「( ;∀;)そーなんだよね。オレもへとへとっすー。もう筋肉痛なってる…。」


ミーサ「(*≧ω≦)よーいちー、もう一回やろ!」


オレ「( ・`ω・´)よーし。来たなー。挑まれたら断れんな。勝負の心だ。いくぞー。にゃーんけーん…。ポイポイポイー!ギャー!負けたーw」


ミーサ「(*≧∀≦)よーいちの負けー。パクパクパク!こちょこちょこちょー。ケタケタケタケタ」


オレ「(*≧ω≦)まいったー。やめてー!助けてー!あははははw」


M「(´・ω・`; )勝負の心ねー。子供に変な日本語教えるなよなー。」


オレ「Mちゃん。そろそろ代わって。ミーサ。今度はパパと勝負の心してみ。」


ミーサ「じゃあ、パパやろ!」


M「( ・`ω・´)よーし。ミーサ、パパと勝負だ。パパはウルトラスーパーにゃんけんで勝つ!」


オレ「(*≧ω≦)…ノリノリじゃん」


かみかみ「(*≧ω≦)にゃんにゃん」


ーー


横浜からの帰りは眠気との戦い。


途中コークで覚まし、やっと帰ってこれた。


ーー


オレ「ただいまー。あれ?靴がある?」


家に帰るとジュンが来てた。


スーファミやりながらオレを待ってたみたい。


ドラゴンボールスーパー武闘伝。

ジュンはベジータ使い。

オレはいつも勝てない。


ーー


オレ「あれ?来てたの?」


ジュン「遅い!かみかみまでいないし。どこ行ってたのよ。」


オレ「音を出しに、友達のとこ行ってた。子供に引き止められて今になっちゃったんだよ。」


ジュン「ふーん…。じゃあ、しょうがないか。まあ、勝手に来たのアタシだし。」


かみかみ「(*≧ω≦)にゅーん」


ジュン「かみかみー。お帰り。お腹減ってない?」


オレ「なあ、この前、作った曲あるじゃん。FUNFUN In The Night。それを友達のとこ持ってって録音してきたんだよ。最初に作ったのってギター弾いてるのオレじゃん。オレ、ギターはへたっぴだからさ。弾き直してもらったんだ。っていってもジャムセッションだからね。オレも最初のと違うベースラインでテキトーに弾いてるし。ついでに、友達の子供に歌ってもらって録音してきた。聞く?」


ジュン「あれね。この前はカラオケボックスで録音したんだもんね。あれも、みんなでワイワイしてる感じで好き。ダビングしてもらったやつ、家でも聴いてるよ。」


オレ「でね。オレ届いちゃったの。」


ジュン「何によ?」


オレ「説明するのむずかしいなー。一人合点かもしれないけど理想的なプレイできるようになったっつーか。…願いが叶ったって感じ。」


ジュン「へー。願いとかジュピタンと話した事ないからさ。ジュピタンて説明下手だからねー。主語ないし。よくわからないけど、かけてみてよ。」


オレ「はーい。」


カセットや装備一式が入ってるバックを手に取る。


《ガチャガチャガチャガチャ。》


バッグをひっくり返してミキサーやらリズムマシーン、エフェクターやカセットが絨毯に散らばる。


ジュン「ホント、雑よねー。ていうか、これ全部?120分テープが、いちにー、さんしー…8本!こんなにやってきたの?」


オレ「あー。でもこれ4トラックのミキサーだから片面60分だよ。ドラムとギター。ベースと歌で四つでしょ。聞くならミキサーでつないで聞いてみて。カセットの裏面聞くと逆再生なっちゃうからさ。」


ーー


一般的にカセットは両面ステレオで聞ける。


それはテープを四分割してるからだ。


A面とB面で左右二つずつ。


4トラックのカセットのミキサーは、片面で四つ使ってミキシングするんだ。


ーー


ジュン「わかった。で、届いたってのは?」


オレ「えーとねー」


《ガチャガチャガチャガチャ。》


床に雑にばら蒔かれた機材たちからカセットを探す。


オレ「これかな?違うな。ラベル貼ったやつは、えーとー…。」


オレ「全部いいけど。これだね。」


オレは《ミーサ》と書かれたラベルが貼ってあるカセットをジュンに渡し、そのままソファーに倒れこむ。


オレ「はー。疲れたー。」


ジュン「遊びすぎでしょw」


ジュンがステレオにミキサーをつないでくれてる。


オレはドーっと疲れが押し寄せる。


オレ《あー。もう無理…》


するとステレオから、ミーサが歌う『FUNFUN In The Night』が流れてきた。


オレ《(*≧ω≦)…フフフ。楽しかったなー…》


オレ《音が気持ちいい…。意識が静かに遠のいてく…音の船に乗って…。時間が逆再生されてくみたい…》


ジュン「わぁ!ねえ!このギター誰が弾いてるの?上手すぎでしょ。イントロからカッコいいなー。ホントに、これでジャムセッションなのー?このノリ!この歌ってる女の子もまだ、ちっちゃいよね。これメッチャいいよ!」


オレ「…」


ジュン「ジュピタン?」


オレ「(*≧ω≦)…スヤスヤzzz」


ジュン「( *´艸`)…何なの。この人。ニコニコしたまま寝てるw」


オレは流れてくる幸せを子守唄にして眠りについていた。


ジュン「(*≧ω≦)ジュピタン寝ちゃったよ。かわいいなー。この人。子供みたいw…それにしても、この演奏スゴイな。ジュピタンの《届いた》って意味わかった。ベースでギターの人と喋ってる…笑ってる…。あれ?二番に移ったらまた変わった。ベースが歌ってるみたいに聞こえる。グルーヴのうねり方。でも…何だろうな。ギターの人が引き立ててるから?…違うなー…。ジュピタンの力を引き出してる。熱い演奏なのに冷たい。でも聞いてて幸せになる。…不思議な感じ。カラダの中から深くて重い振動が生まれてくるみたい…。低すぎて聞こえない周波数?これ聞いてると、このグルーヴに閉じ込められちゃう。これじゃ音が止まるまで出れない。まるで檻だよw…あ!わかった。いいの思いついた。ジュピタン起きたら言ってあげよっと。これ、聞いた人を音で吸い込む《ブラックホールミュージック》だよってw」


オレ「(*≧ω≦)ぐーぐーzzz」


ーー


《ここは41の魂の中》


ねこにゃんとぴょこにゃんは、エスネコから、41に危機が迫っていると聞かされる。


さらに41は誰かに作られた生きてるオモチャだと告げられた。


二柱はその謎解きと危機に対応するため41の《コア》にダイブしている。


ねこにゃんは《魔のつくもの全て》の力で夢の悪魔を構築。


41の特長は精巧な明晰夢を見る事。


ねこにゃんは、ここに41の魂の設計者が干渉してる事を予測。


夢の悪魔に干渉の痕跡と捕獲を命じた。


一方、ぴょこにゃんは《マッドサイエンティスト》の力《リバースプレイバック》を発動。


人と異なる《粒》の形をした《41の魂》の設計工程を探っていた。


ーー


ねこにゃん「なあ、ぴょこ。このリバース・プレイバックの景色は何なんだ?41は《ファイブ》だよにゃ?この中の景色、おりたちの住んでた異空間に似てきてないか?」


ぴょこにゃん「ああ、そうだ。色彩も変化してきたな。ヨーニャは《カラード》だったろ。それは41がダークブルーのカラードだったからにゃん。そしてリバース・プレイバックが進むにつれて色が増えてる。これ虹色まで行くのか?この色の意味を知る必要があるにゃ。フツーの人の《コア》と比較して、魂の色の意味を調べてみよう。」


ねこにゃん「じゃあ、おりが《色の悪魔》構築して調べさせようか?」


ーー


《ピンっ!》


緊急の思念通信が入った。


夢の悪魔《ねこにゃん様。ラミーノでございます。すぐ、こちらにこれますか?》


ねこにゃんが構築した夢の悪魔《ラミーノ・モルフェ》から連絡が入る。


ねこにゃん「わかった。すぐ行く。それでどうしたにゃ?」


ラミーノ「41様が睡眠に入りました。これから新しい明晰夢を見ます。そこに干渉しようとするモノの気配がございます。」


ぴょこにゃん「ねこ。お前が先に行け。おりはリバース・プレイバックから今、離れられにゃい。行く前に《色の悪魔》とお前のクローンを作ってくれ。クローンはフルサイズで頼むにゃ。」


ねこにゃん「わかったにゃ。《魔のつくもの全て》の力において《色の悪魔》を構築。色の悪魔に命ず。ぴょこにゃんの指示に従え。人の魂の色の意味を探り41と比較せよ。」


ぴょこにゃん「仕事、早っ!いつも、そーあるべきだにゃ。」


ねこにゃん「うっさいにゃー。緊急にゃろ。もういっちょう!アルファクローン構築!クローンアルファよ。お前はフルサイズ・Ver.10にゃ。もしも、お前が破壊される危機に直面した場合は、イレブンの限定解除を許可する。頼んだぞ。」


クローンアルファ「マスター。わかりましたにゃ。ご安心ください。」


ぴょこにゃん「おりもリバース・プレイバックを安定させたら向かう。ねこ。ここは一旦おりに任せろ。その明晰夢ヤバイ予感するにゃ。頼んだぞ!」


ねこにゃん「了解!行ってくる!」


ーーー


《バチリ》



あれ?ーー和室…?。


オレは布団で寝てたのか?

ハッキリ目が覚めた。


木目が見える板の天井。


あの吊り下げ型の照明器具…。


ーーオレは布団から体を起こす。


襖の上の壁に薙刀が掛けられている…。


板の間に置かれた飾り棚…。


上に乗っかってるのは何だ?


ーー干し首?二つ並んでる…。

何の頭だ?人?


ーー


まさか。いくらなんでも…。猿?だよな…?


目と口が縫われてる…。


テレビで見た首狩族の頭みたいだ。


オレ「…ここは?」


オレ《オレはMちゃんちから帰って、ジュンにセッションを録音したカセットテープ渡して…その後…。覚えてない。…寝たのか。》


だとしたら…。


ーーこれは明晰夢。


オレ《いや。…この部屋、覚えてるぞ》

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