第61話《マッドピエロ編 最終章 祝福を掴め②動き出す祝福オペレーション》
11次元の異空間で可動する「オペレーション祝福」。
厳重に封印された41の《魂》という異質な謎が浮上する中、過去と未来の世界線が強制的に書き換えられていく。
赤坂の煙に巻かれた焼肉屋で、ふと過る幼少期の記憶と「死」の予感。だが、41の目の前には、お互いを思い会う温かい日常があった。
いつも通りの仲間とのノリで名付けられた《薬物強化人間フォーティーワン》ーー41たちが向かうのは、友人サルの家。そこには焦燥と狂気の瞳を光らせるマッドピエロの頭目・タツが来ている。
「ジャンキーの世界なら、オレの土俵だ」
相手の度量を冷徹に見極めながら、静かに打ち込まれる、容赦なきコークスクリュー。四毒の知られざる解毒の果てには何が待っているのか。
神々の企みと人間界の狂気が、いま完璧に噛み合う。
第61話《マッドピエロ編 最終章 祝福を掴め②動き出す祝福オペレーション》
《ここは41の中の異空間》
ねこにゃん、ぴょこにゃんが二次元レンズをフル稼働させている。
ーーいくつもの世界線。
そして過去の描き変えによる未来線。
リアルフォーカスで固定し《遠い手》で捕まえた《祝福》の未来。
ねこにゃん「この現実でこれを置き換えると、未来はこうなるにゃん。ここの切り貼りできるか?」
ぴょこにゃん「救済には代償必要にゃのさ。それなりに取り立てないとな。」
ねこにゃん「よーし。この未来に確定させるにゃん。」
ぴょこにゃん「まだにゃ。もう、ここまできたら徹底的にやるぞ。コンタクトしたマッドピエロたちより《被害者》《犠牲者》情報取得。加害者サイドの言い訳、言い逃れを選抜しリストアップ。全部辻褄を合わせるにゃん。」
ねこにゃん「あー。さらに祝福がまた変化したにゃん。途切れるー。オートじゃ遅すぎて枝分かれしたの追えない。マニュアルモードにするぞ。《遠い手》よ。祝福を追え!離すなよー」
ぴょこにゃん「ねこ!おまいはフォーカスだけに集中しろ。おりが《遠い手》を動かす!」
ーー
11次元では全知全能の二柱。
高次元では可能であっても、低次元では制約がある。
この世界線で救済できなければ祝福にならない。
パラレルワールドでは意味がないのだ。
そんなとき、二柱がいる異空間に深紅色の稲妻が現れる。
《ジッ》
ねこにゃん「あれ?これは、ニルヴァーナで見たような?」
ぴょこにゃん「エスネコのかくれんぼ封印?」
《ぱかっ》
そこから蓋が開いた。
現れたのは、深紅色と虹色に光る11次元構造体『エスネコ』
《粒》の形をとりながら、稲妻形のSやNに変形する。
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
ねこにゃん「エスネコ!おまい、どこにいた?」
ぴょこにゃん「(´・ω・`; )あー。41の明晰夢入った時から、何か怪しいと思ってたんだよにゃー。かくれんぼしてたにょか?今、忙しいにゃん。」
エスネコ「( ・`д・´)にゃ」
エスネコは自分が出てきた蓋の中を《粒》から伸ばした《糸》で指差す。
ねこにゃん「何かあるにょか?」
二柱が覗き込んだそこには、自分たちに似た《粒》があった。
ぴょこにゃん「これは、もしかして41の《コア》?《魂》なのか?」
エスネコ「( ・`д・´)にゃっ!」珍しくキリッとした返事だ。
ねこにゃん「人の《魂》と違う?何だコイツは…。」
ぴょこにゃん「エスネコ。もしかして、おまいがかくれんぼしてたんじゃなくて、これを隠してたにょか?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
ーーそうみたいだ。
ねこにゃん「おまいと意思共有モードにできれば話せるんだけどにゃあ…。」
ぴょこにゃん「…隠してた理由は何だろう?」
ねこにゃん「いや、待てよ。もしかして、何かから守ってたにょか?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」
ぴょこにゃん「当たりみたいな感じだにゃ。じゃあ、わかった。エスネコこれはおまいの封印で隠しとけ。」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
《ギュッ。パタン!》
再び蓋をしたのは、かつて自らを封じてた「121形状多層立方圧縮11次元エスネコ魔方陣」
ねこにゃん「…そんなに厳重に守らなきゃならないのか?」
エスネコ「( ・`д・´)にゃっ」
ぴょこにゃん「これは、また面白くなってきたぞ。41の正体を暴くのは次にゃ。それより、今はこれにゃん。エスネコ。おりたちが、何やってるかわかるか?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
ねこにゃん「おー!ぴょこ!エスネコかまってるうちに、また未来動いたにゃ!あっちにゃ、あっちに手を伸ばせー!」
ぴょこにゃん「エスネコー!おまいの力も貸せー!」
エスネコの《粒》が稲妻型のSに変わり、くるくると回る。
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
《ピタリ》
ねこにゃん「え?…固定されたにゃ。」
ぴょこにゃん「捕まえたぞ。祝福の未来!」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」
ねこにゃん「つながってる。過去も未来も全部切り貼りされてるにゃん。」
ぴょこにゃん「あとは、この通り現実を動かせばいいのか。エスネコよくやった。えらいぞー。」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
ねこにゃん「よし。このスケジュール通り動かすぞ。」
ぴょこにゃん「時間合わせるぞ。3.2.1.ゼロ!オペレーション祝福開始!場所を41たちのいる焼肉屋にかぶせるぞ。」
二次元レンズより放たれた未来が、白い光となって東京を覆い固定した。
これにより、過去、現在、未來は代償を経て救済に。
絶望は希望に。
マッドピエロの死神の呪いは、ねこぴょこたちの描いた祝福に置き換えられる。
白い光は焼肉屋の煙に変わっていった。
ーーーー
ここはM12区赤坂見附。
地下鉄を上がってすぐの焼肉屋。
店の中は焼肉の煙で霧がかかってる。
美味しそうな匂いの霧。
店に入った途端、この景色と熱気にワクワクさせられる。
昔ながらのコンロが置かれたテーブル。
最近は炭火とか無煙とかが主流になってきたけどね。
焼肉行ったら、美味しい匂いつけて帰るのが当たり前だろ。
41、ジュン、ケイの三人組は、それぞれの作戦通り焼肉を楽しんでいた。
ーーまあ、一気に頼んだだけなのだが。
オレ「食うぞー!」
ケイ「ほらー。これ焼けてるぞ。固くなっちゃう。やっぱ最初はタンだろー。」
レモンで食べるアイデアはホステスさんが考えたとか。
オレ「さんきゅー。オレさー。小さい頃、タンは牛のベロって知って食べれなかったんだよ。」
ジュン「タンシチューも?」
オレ「いや、それが食べられるようになったきっかけ。お祖父ちゃんに専門店に連れてってもらってさ。子供の頃に美味しいモノ知っとかないと舌がバカになるぞって言われたから。そっからだな。見た目とか気にしないでなんでも食べてみようって。」
ケイ「オレもだよ。見た目でウニが苦手だったけど、食べてみて今まで損してたって思ったw」
オレ「話変わるけどさ。赤坂見附来るたび、あのホテル火災思い出すよ。」
ケイ「(*≧ω≦)肉焼きながら話す話じゃねーだろ。このアンポンタン。」
ジュン「あー。窓から逃げてしがみついてた人いたもんね。ほらジュピタンたちも食べなよ。」
ジュンがレバ刺しとユッケの皿を出す。
テーブルの上にはタンにカルビにロース、サンチュにナムル、キムチなど置ききれないほどの皿で溢れてる。
これからビビンバや冷麺もやってくる。
早く平らげないと置く場所がない。
ーーオレ「オレ、これ一枚食べてみようっと」
オレは生のロースをそのまま口に入れた。
オレ「あー。ライオンの気持ちがわかる。ここのロースは旨い。保証する!」
ケイ「お前、焼肉屋来ると絶対それやるよな。」
ジュン「(´・ω・`; )アタシ初めて見たとき引いたわー。」
オレ「何で?生のロースを叩いたのがユッケじゃなかったっけ?こうやって生で食うと、その焼肉屋が美味しいかどうかわかるんだってば。あー。やっぱここは旨い!」
ケイ「それも、お祖父ちゃんから教わったの?」
オレ「これは、母方の叔父さんだな。戦争行って来た人でさ。そばは、ちょんとつけて早く食えとか、寿司の旨い食い方は、口にこう入れろとかさ。うるせーんだよ。うまくできないと、そんなんじゃダメだとか怒るし。まだ箸もうまく使えない、ちっちゃい子供にだぜーw でもそんな叔父さんが粋でカッコよく見えたんだよね。」
ケイ「あー。お前が、寿司横向きに食うのってそれかー。でもお前から身内の話するの珍しいな?」
オレ「…そうかもね。でも、こういうのは別だろ。人に押しつけてるわけじゃねーよ。流儀を引き継いだって話。」
《ジュー》
オレはしょっちゅうひっくり返すのがキライ。
待つのも楽しい。焼きすぎて固くなるより、生焼けで食う方がマシ。
話をしながらも手は止まらない。焼肉は忙しいんだ。
ケイ「江戸っ子でいってか。」
ジュン「山手っ子でしょ。」
オレ「ほら。サンチュ巻いたぞ。食え。」
ケイ「ほら、41。お前の好きなカルビ焼けてる。」
それぞれが焼肉管理者。
焼けたら人に先に出してあげる。
置かれたらすぐ食べて、また焼いてって。
中華料理店の丸テーブルもそうだよな。
長いお箸の意味を教えてくれたのもお祖父ちゃん。
ーーいや、そう呼ばされてた《お父さん》だったな。
走馬灯?最近、やけに昔の事思い出す。
オレ死んじゃうのかな?ーー
ジュン「ほら、ジュピタン!またどっか行ってるよ!帰っておいで!これロースね。」
お皿にいい焼き加減のロースが置かれた。
ケイ「こいつ、いきなりボーッとするからな。何光年先まで行ってた?」
オレ「ロースうまっ!木星帰りの男であります。」
ジュン「そっか。ジュピタン、昨日、木星のTシャツ着てたもんね。」
ケイ「木星帰りじゃ、ゼータガンダムのパプティマス・シロッコじゃんw だったら、アタマに輪っか乗っけとけ。」
オレ「じゃあ、メッサーラに乗らなきゃ。ジュンもカルビ食え。ほら。」
ケイ「お前が乗ってるのはカトラスだろ。」
オレ「夢のない事いうなよ。クワトロ大尉。」
ケイ「髪の色で言ってるだろ。これは塩焼け。」
ケイはサーファー。
塩で傷んでるけど、サラサラのロン毛。
太陽の下で金髪に見える。
こいつの女関係知らないけど、モテるんだろうなー。
ジュン「ねえ。アタシは?」
オレ「アタシはとは?」
ケイ「キュベレイだろ。ハマーン様だよ。」
ジュン「じゃあ、二人にファンネル飛ばすw」
オレ「ジュンがガンダムネタいけるの今知った。」
ジュン「でも、ジュピタンはシロッコじゃないなーw」
ケイ「オレわかっちゃったw」
オレ「オレもわかった。強化人間て言いたいんだろ。薬物で作られた疑似ニュータイプ。」
ジュン「あったりーw」
オレ「ゼータに出てくる強化人間のフォーは女だもんな。じゃあ、41あらためフォーティワンにしよう。」
ケイ「41番目の実験体か。完成度高そうだな。」
オレ「じゃあ、これ食ったら出撃するぞ。サイコガンダムMk41乗ってく。」
ケイ「どこに?」
オレ「このままサルの家に決まってるじゃん。美味しい匂いつけて、敵を撹乱するのだ。」
ジュン「(´・ω・`; )やっぱりねー。これケイちゃんのせいだよ。」
ケイ「(´・ω・`; )ガンダムネタ失敗した。バカのニュータイプ目覚めさせちゃったよ。」
オレ「どんどん焼けー!愚民ども。うわははははは。」
三人の姿は焼肉の煙に白く霞んでいく。
ーーーー
ここはS22区サルの家。
電話で約束した通りタツが来ていた。
もちろん、サルも夕方のニュースを見て、違法賭博摘発事件がマッドピエロである事を知っている。
上がり込んできたタツは明らかなオーバードーズ状態。脅迫観念と疑心暗鬼に満ちた目つき。
サルは何か刺激しようものなら刃物でも出しそうと、内心ビクビクしていた。
サル《あー。タイミング悪い。タツが来たのは41が電話させたからだ。まったくもう。これ、どうすんだよ…。》
サル《この事件。41が絡んでるような気がするんだよなー。でも薬物反応が出てないって話だし。マッドピエロが違法賭博やってたなんて知らなかった。つーか、タツは何でこんなに焦ってんだ?》
タツ「サル。これがお前に頼まれたスピードだ。お前ダウナー持ってねえのか?そしたら、これタダでいい。」
サル「…持ってねえ。」
タツ「ウソつけ。じゃあ、何でお前そんなにフツーにしてんだよ。スピードしかやってねえのにおかしいだろ。」
サル《41に救助されたなんて言えない。もう、これ以上アイツに迷惑かけたら、オレがつきあい切られちまう》
サル「メシ食って寝たんだよ。タツお前もそうしろ。何日も食ってねえし寝てねえんだろ。」
タツ「食いたくねえし、食えねえんだよ!そんなのスピードやってりゃわかんだろ。」
サル「人んちで怒鳴るなよ。捕まった仲間も薬物反応出てないってニュースでやってるじゃねえか。何、そんなに焦ってるんだよ。スピード持ってきてくれてありがとな。これ代金。もう帰って寝た方がいいぞ。」
タツ「ダウナー持ってるヤツ知ってるんだろ?友達助けると思って今すぐ連絡しろよ。じゃなきゃ41に連絡して、もらってこい。会えなくてもいいから、ネタだけでも回せよ。」
サル「無理だ。お前に41の名前出したのは間違ってた。変に期待させて悪かったな。お前とも古いけど、それとこれとは別だ。」
タツ「あん?なめてんのかてめえ?サルの分際でよー。早くしろよ。オレが暴れたらどうなるか見てきてんだろ。」
タツはサルに詰め寄り、血走った目で睨みつけた。
サル《…ヤバイ。バキバキの目。怒りむき出し。今にも殴りかかってきそうだ。》
サル《それに…汗臭いし息も臭え。…オレも41が助けてくれるまで、こんな風に見えてたのかな。…でもアイツは見下してこねえ。それに…一対一で向き合った時なら41やケイの方が怖いw》
《プッ》
サルは、41やケイが起こしたケンカに巻き込まれた事がたびたびある。
「筋が通らない、気に入らない」で、すぐキレる。
そしてアイドリングなしで即戦闘だ。
何で始まったケンカなのかもわからない。
後から理由を聞いても「忘れちゃった」とか「正義だったから」とかワケわからない答えが返ってくる。
しまいには「ケイが危なかったから」とか「41が負けそうだったから」とか言い争ってじゃれあいになる。
このデタラメな二人に比べりゃ何て事はない。
サル《オレにはアイツらがいる。そして、絶体仲間は売らねえ》
サル「…別になめてねえ。それでもお前には理由もわからず何回か殴られた事がある。ケンカしても、オレが一方的に負けるだろ。オレは《族》の頃のお前のケンカを見てきてるからな。お前が鉄パイプや金属バットで、倒れてるヤツをいつまでも殴ってたの見てて正直怖かったよ。殴りたきゃ殴れよ。それで帰ってくれ。」
タツ《殴りたきゃ殴れ…?エミも同じこと言いやがった。どいつもこいつも、なめやがって。》
タツ「てめー、何で今笑った?」
サル「ああ。ついな。デタラメな友達の事思い出しちゃってさ。お前の事笑ったわけじゃねえ。悪かったな。」
タツ「何かいつもより、ずいぶん強気だな。マッドピエロにも紹介してやったし、エミも紹介してやった。スピードも分けてやってんだろー。オレたち友達じゃねえのか?」
サル「恩着せがましく言うなよ。女だって頼んだわけじゃねえ。タメなのにお前はいつも上からだ。そういうの、もうウンザリなんだ。何もいらねえ。来てくれたのはありがとな。金だけ払うからスピードは持って帰っていいよ。」
タツ「てめー!」
《プルルルルル》
タツがサルに殴りかかりそうなタイミングで、電話が鳴った。
《フルルルルル》
タツ「出ねえのか?鳴ってるぞ。」
サル《もしかして41たちか?タツが来るって知ってるのにタイミング悪いなー。それともエミ?》
サル「出ねえよ」
《プルルルルル》
タツ「じゃあ、オレが代わりに出てやるよ」
サル「やめろよ!」
サルは受話器を取り、そのまま切った。
ーーーー
ここはS22区。
サルの家の近くのコンビニ。
公衆電話から41はサルに電話していた。
《ブロロロロロロロ》
41の愛車カトラスから、8ビートのエンジン音が刻まれている。
1973年式《カトラス442》
V8スポーツクーペ。
4~4~2はフォーキャブレター。
4速ミッション。デュアルエグゾーストを表す。
真っ白なボディー。
カトラスとは海賊が使っていた剣の名前らしい。
41がカトラスを選んだ理由はシンプル。
「真ん丸お目目のヘッドライトが可愛い」
まあ、こんなヤツが乗るのがふさわしい車なのだろう。
ーーーー
《ここは41の中の異空間》
ねこにゃんとぴょこにゃんは、描いた運命線が正しい軌道を通ってるか監視中。
ねこにゃん「よし。時間の誤差なし。予測通り電話切られたにゃ。会話の温度もタイミングも、ばっちりにゃん!強化人間41。発進シーケンスに移ります、」
ぴょこにゃん「さあ、41が寝るまでに全てケリつけるぞ。《ねこ隠し》準備オーケー。ゲートオープン。」
ねこにゃん「時間圧縮と膨張でパラレル化制御。祝福の未来はきっちり固定されてるにゃん。」
ぴょこにゃん「さあレールに乗ってるからな。救済・代償を連動。即時、祝福の記憶へ変換する。細いレールにゃ。41。脱線すんにゃよー。」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」
ねこにゃん「なぜ、おまいが返事するにょか?」
ぴょこにゃん「おまいも41のつもりなんだね。いっしょにがんばるにゃん。」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ!」
ーーーー
再びここはコンビニ前。
オレ「サルにガチャ切りされたー。」
41たちは焼肉屋からサルの家に直行。
サルの自宅近くのコンビニの公衆電話からサルに電話したところだ。
ケイ「タツが来てるんじゃねーか?41どうする気だったんだ?」
オレ「間に合わなかったかー。焼肉屋行く前に電話しとけばよかったー。」
ジュン「さすがノープランw」
オレ「経験は思考から生まれ、思考は行動から生まれるのだ。」
ケイ「お前、それよく使う言葉だけどさ。意味わかって言ってる?」
オレ「いや。意味不明。とりあえず動いてから考えようって事じゃない?」
ジュン「物は言いようよねー。で、どうするつもりだったのよ?カトラスの中でも焼肉とサイコガンダムの話しかしてなかったじゃない。」
ケイ「こいつは《サイコパス》ガンダムだろ?」
オレ「おー。無敵っぽいじゃん。それにしよう。」
ケイ「つーかさ。カトラスのエンジン音、近所迷惑じゃね?へたなバイクよりうるさいぞ。」
オレ「電話してタツが来てなかったら、そのままサルをさらって約束すっぽかさせちゃおうって思ってたんだよ。」
ケイ「それ、もっと前に思いつけよなー。」
ジュン「もう一回電話してみる?」
オレ「このままサルの部屋まで行っちゃおうか?」
ケイ「えー?タツってやついるんだろ?会いたくねえよー。」
ジュン「アタシもー。ジュピタン一人でサルさらってきなよ。」
オレ「えー。一人じゃ恐いよー。」
ケイ「ウソつけー。昨日、マッドピエロの店行ってきたの誰だ?41なら大丈夫。一人でおつかいできるだろ?」
ジュン「昨日みたいにやっつけちゃえば?コークスクリュー持ってきてるんでしょ?ニルヴァーナはアタシのブラに入ってるから、今出すよ。人肌だよw」
オレ「じゃあ強化人間フォーティーワン。サイコパスガンダム出まーす。」
ケイ「ちょっと待て。ここから歩いてくのか?カトラスは?」
オレ「まさか。サルの家まで行くよ。お前ら本当に降りないの?」
ケイ「パス!」
ジュン「がんばれー!」
オレ「わかったよ。…ところでさ。フォーティーワンて名前でいいの?」
ケイ「木星帰りのシロッコだろ。オレはクワトロ。」
ジュン「( ・`ω・´)/いいから、早く行ってこい!ケイちゃんもいちいち、つきあうな!めんどくさいわー。おうちで、かみかみと遊びたい。」
ーーー
ここはサルの部屋。
《ブウォーーーーン》
サルの家の外から重たいエンジン音が近づいてきた。
そしてーー止まる。
《ブロロロロロロロ》
V8のエンジン音。
アイドリングでも8発のリズムがわかる。
サル《V8。ケイ?41か?》
《ブォン!》
サル《最後にアクセル踏んで切るのは41の癖だ。》
サル《さっきの電話も41か。タイミング悪いと思ったけど違う。さすがだよ。いいときに来てくれた》
タツ「誰か来たのか?誰だ?」
サル「たぶん、上がってくるだろ。」
《トットットットッ》
軽快に階段を上ってくる音が近づいてくる。
《ガチャ》
オレ「サルー。迎えに来たぞ。あれ?お客さん?」
サル「ああ。」
タツ「アンタ、誰だ?」
オレ「いきなりアンタ呼ばわりかよ。初めまして、こんばんわ!じゃあ、オレの名前は《アンタ》でいいよ。」
タツ「今、オレがサルと話してるんだけど。」
オレ「サル。まだこの人と用事あるのか?ないなら行こうぜ。」
タツ「なあ。アンタってもしかして41さん?」
オレ「そうだよ。今はシロッコって名前になってる。」
タツ「え…。あ、オレはタツって言います。一度会ってみたかったんで、サルに頼んでたんですよ。」
オレ「何だよ。気持ち悪りいな。名前知ったら、いきなり敬語かよ。オレに?何で?サル知ってる?」
サル「…お前のネタが欲しいんだってよ。」
オレ「なーんだ。オレじゃなくてネタが目的か。」
タツ「いや、どんな人なのか会ってみたかったんです。」
サル「タツ。オレとはずいぶん、態度が違うんだな。41。いや、シロッコだっけ?オレいっしょに行くよ。タツじゃあな。」
オレ「待てサル。この人の言った事気になる。何でオレに会ってみたかったの?」
タツ「何度かサルに、41さんのネタやらせてもらったんですよ。面白い話も聞いてて。」
オレ「ん?オレと友達になりたいの?」
タツ「はい。できれば。」
オレ「ふーん。なあ。マッドピエロって連中の話をサルから聞いたんだよ。君ってそれなの?」
タツ「はい。そうです。41さん、よかったらオレもスピードなら用意できるし、女も紹介しますよ。」
オレ「いや。スピードはほとんどやらないし、女もいらないよ。つーかさ。マッドピエロって都市伝説的に聞いてたけど、本当にいたんだ。原宿あたりで、すごい悪いことしてる怖いヤツらがいるって。」
タツ「あー。オレはそこまでは知らないですね。」
オレ《すっとぼけやがって》
オレ「タツさんだっけ?君、目がバキバキだけど大丈夫?それスピードだよね?」
タツ「そう…ですね。」
オレ「ずいぶん、キツそうだね。じゃあサルは連れてくけど、少しだけダウナーやらせてろうか?今、持ってるし。サルは下に車停めてるから先に乗ってて。」
サル「わかった。タツ、じゃあな。」
サルは部屋をあとにする。
オレ「じゃあ、腕をまくれよ。打ってやるから。」
タツ「え?ダウナーってハッパとかじゃないんですか?」
オレ「んー。ハッパは後だな。君はスピードしかやらないんだろ?オレは何でもやる。でも、ジャンキー的にやる順番があるんだ。」
タツ「順番て何ですか?」
オレ「ごっちゃごちゃ、男のくせにうるせーなー。やらねえなら、オレも帰るわ。」
タツ「…大丈夫すかね?」
オレ《コイツ…違うんだな。オレなら興味が先に走る。アタマはってるくせに、ビビってる。まあ、フツーはそんなもんか。》
タツは脅迫観念に疑心暗鬼の状態。
さらに選択を迫られる。
マッドピエロのアタマとしての度胸も試される。
だが、41はそんなもの気にもかけない。
ーーすでに昨日潰したからだ。
ーー
オレ「じゃあ、オレから打てばいいんだよな。毒味だ。順番も見せてやる。」
オレはインスリンの小瓶に入れてある、液体のコークスクリューを愛用のガラスのポンプに抜き、自分に打ってみせた。
流れるような作業。躊躇いもない。
熟練したジャンキーの所作。
ーーオレ「(*≧ω≦)おー。効くわー。じゃあ、トドメだな。本当はもっとこの状態を楽しんでから、一服するのがいいんだけどよ。《初心者》に手本見せなきゃならねえからな。」
オレはジョイントにしてきた《ニルヴァーナ》に火をつける。
《スーーーーーーー》
オレ《(*≧ω≦)……。よし!》
ーー《プッハー!》
サルの部屋中に幸福の香りが満ちる。
オレ《もし、ニルヴァーナの匂いのお香あったら売れるだろうねw》
タツは《初心者》と言われた時点で、反抗的な目をした。だが、この香りだけでスピードの焦燥感が和らいでいく。
タツ《この野郎。下手に出てりゃ、オレに対して初心者だと。マッドピエロのアタマって知らねえからか。ダウナーで落ち着いたらしめてやるか》
タツ《…それにしても何だ。いい香り。落ち着いていく…。これマリファナか?こんな匂い嗅いだ事ないぞ。》
オレ《さあ。どうだ?初心者呼ばわりでプライド傷ついたか?ほら、乗ってこい。》
ーー
オレ「おい。下で友達待ってるんだよ。これはアロマじゃねーぞ。匂い嗅いで終わりか?」
タツ「…やります。」
タツは腕を差し出した。
オレ「じゃあ、自分のポンプも出しな。消毒してやるよ。アルコールはオレが持ってるから。」
オレはタツの状態を見極め、適量を吸い上げる。
オレ《ぺーぺーの初心者だからな。このくらいだろ。それでも驚くなよw》
オレはタツにコークスクリューを打ち込んだ。
打った直後、タツの表情が変わる。
タツ《…え?こ、これがダウナー?オレは何を打たされた?これは何だよ?》
ーー螺旋が血液をめぐる。虚脱感。軽い…重い…。
スピードで暴走していた思考が冷えていく。
冷えて…冷えてーー自分が塗り替えられていく不安が蠢きだす。その不安がまたスピードの焦燥感を起こし加速させる。
タツ《目も変だ。景色に違和感…ここは今までいた部屋と同じなのか?目が重い…視線に重力かかかる。…この目の前にいるヤツは誰だ?41?…知り合いの誰かに似てる。入ってきたときから、こんな顔してたか?》
オレ「(*≧ω≦)おい。まだ入れたばっかりだぞ。ボーッとしてんなよ。これ効くだろ?まずは落ちつけ。」
オレの言葉『落ちつけ』にコークスクリューが反応する。
タツは無理矢理《冷静》に書き換えられた。
ぎこちない現実。
その違和感を感じつつも、先ほどの恐怖への入り口への違和感よりましと受け入れる。
ぬか喜びならぬ『ぬかハッピー』
おめでたいとは、こういうことだ。
タツ「これは…。」
オレ《何も知らない女たちに無理矢理スピード打ってたんだろ。その子たちの怖さがわかるか?》
オレ《コークスクリューよ。コイツをばっちり楽しませてやれ。マッドピエロが何だってんだ。ジャンキーの世界ならオレの土俵だよ。タツ。最後にお前を沈めて終わりにしてやる。》
オレ「じゃあ、次はニルヴァーナ吸わせてやるよ。」
タツ「え?どうなっちゃうんてすか?」
タツはすでに混乱状態だ。
タツ《落ちつけと言われたら、さっきまでの焦燥感が消えた。だけど、何かが動き出すのを待ってる。》
オレ「(*≧ω≦)知らねーよ。自分で楽しめ。」
ーーーー
《ここは41の中の異空間》
ねこにゃん「41がコークスクリュー装填。発射確認したでありますにゃ」
ぴょこにゃん「続けてニルヴァーナ。打ちーかたー、初め!」
ねこにゃん「さらに、ねこにゃんよりタツに短距離反省ロケット発射。コカインどーん!」
ぴょこにゃん「ぴょこにゃんより後悔ミサイル発射。LSDの幻覚波状攻撃に移ります。《サル》ゾーン作戦終了まで残り5分。タツの思考加速始め!」
ねこにゃん「ねこにゃんよりエスネコへ。かみかみと共にマッドピエロ残党確保に協力せよ。」
エスネコ「(*≧ω≦)/にゃっ」
ぴょこにゃん「ぴょこにゃんより、かみかみへ。オペレーション『祝福』は41の就寝にて作戦終了とする。エスネコとのコミュニケーションは、おまいしか取れない。作戦はわかるな?エスネコへの指揮を一任するにゃ。」
かみかみ「了解だおー!エスネコ。おまいはボクの中に入るんだお。みじも、うまい棒も41の家から持ってくからな、それと虫取網持ってくお。うまく捕まえられるように手伝ってくれよにゃ。それじゃついてこーい。」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」
ーー
ねこ神「4柱」と人間「1人」。
オペレーション祝福は《41》の名前と符号した。




