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第52話《マッドピエロ編 夢幻からの使者ー奇妙な迷い猫 前編》

アメ車のリンカーンを走らせ、壊れたサルを41の家へと連れ戻したケイと41。

サルの腕に残る凄惨な注射痕に、41の《職人としての手腕》が冴え渡る。極上のスピードを流し込み、一度サルの精神をフラットに戻したことで、徐々に本来の空気を取り戻していく居間の仲間たち。

そして、41の脳裏に突如として訪れる電撃的なインスピレーション。

「全部混ぜたらどうなる……?」

コインランドリーの残像と重なり合い、高次元のねこぴょこたちとシンクロしたその時、新たな薬物の概念《コークスクリュー》が産声を上げる!

一方、高次元では「かみかみ」の現実降臨用アバター《メインクーン・イエロー》が完成し――物語は決戦の地平へ向けて一気に加速する

第52話《マッドピエロ編 夢幻からの使者ー奇妙な迷い猫 前編》


ここはケイの運転する車の中。


ケイの車はフルサイズのアメ車。

リンカーン・コンチネンタル。


こんな、でかいので裏道や抜け道を、

レールあるみたいに、スイスイ走っていくんだ。


でも、ぜんぜん怖くない。いつも安心して乗れる。


ーー


オレ「ケイ。相変わらず運転上手いな。道幅いっぱいじゃんか」


ケイ「ここら辺は地元だもん。ガキの頃からチャリでも走ってたからなー。散歩してるようなもんだよ。お前だって、でかいの乗ってるじゃん。慣れだよ、慣ーれw」


オレたちは今、壊れたサルを搬送中。


オレは助手席から後部座席の患者に話しかける。


オレ「サル。外の空気はどうよ?」


サル「ああ。いいよ。さっきの安定剤も効いてきた。何か足が軽いよ。」


ケイ「サル。出て正解だったろ?」


サル「…。悪かったな…。」


オレ「何だよ。オレたちに何か悪いことしたのか?」


サル「いろいろ、心配かけたって事だよ。」


オレ「(*≧ω≦)まだ過去形じゃねーぞー。これからオレんちで治療だ。いろいろってとこは、治療終わってから取り調べしてやる。」


ケイ「(*≧∀≦)41。さっき料理もできるって言ってたじゃん。カツ丼作ってやれよ。」


オレ「( ・`ω・´)サル。故郷のお母さんが泣いてるぞ。カツ丼食わしてやるから、正直に全部吐くにょだ」


サル「(´・ω・`; )えーと…。」


ケイ「41刑事。こいつだんまり決めてますぜ。つーか今、お前の語尾おかしくなかったか?にょだ?」


オレ「( ・`ω・´)黙秘権は認めないにょだ、」


ケイ「(*≧∀≦)流行ってるのそれ?」


サル「いっぺんにギャーギャー言われてもついていけねえよー。オレさっきまでマジ狂いそうだったんだからよー。少し落ち着いたけど今だってハカハカしてんだよ」


オレ「(*≧∀≦)ギャハハハー。戻ってきたって感じするだろ?これが正しく狂った世界だよ。おかえりー!」


ケイ「もう少しで着くぞー。」


オレ「(*≧∀≦)サルさん!気を確かにしてね。もう病院つくからねー。ケラケラケラケラ」


サル「(´・ω・`; )ハハ…気が狂いそう」



ーーここは東京N23区。


救急患者はオレの家に無事到着した。


オレ「ケイ。駐車場入れろよ。庭乗り上げてもいいからさ。オレたち先に出ないと出れない」


ケイ「わかった。後から行くよ」


ーーーー


オレ「あれ?玄関に電気ついてる?」


《ガチャ》


玄関のカギを開けたら、居間からジュンが出てきた。


ジュン「ジュピタンおかえりー。どこ行ってたのよ?え?サル?」


オレ「そう。往診に行って、そのまま拐ってきた。」


サル「よお、ジュン久しぶり。…おじゃましまーす…。」


ジュン「何それ?サル。アンタ、ヤバくない?痩せたし目がバキバキ。あがんなよ」


オレ「あがんなよって…。ここ、オレんちなんだけど。ジュンこそいつ来たんだよ?」


ジュン「電話しても出ないから。さっきタクシーで来たのよ。洗濯物しまっといてあげたから。」


ケイ「おじゃまー!って、ジュンもいる!」


オレ「というわけだよサル。とにかく上がれ」


いつもの居間の、

いつもの配置。


オレは先に2階に上がり、

自室から厳選した《食材》を持って降りてきた。


ケイも準備中。

ジュンも飲み物やミネラルウォーター。

消毒用アルコールを準備してる。


サルは手ぶらなんで、見てるだけだ。


ーー


オレ「(*≧∀≦)じゃあ、サルくんに乾杯しよう。サルは何飲む?」


サル「じゃあ…ビール」


ジュン「サルー。アンタずっと食べてないでしょ?それ、スピードやり過ぎ!見た目で捕まるわよ。何か食べる?」


ケイ「41がカツ丼作るってよw」


ジュン「カツ丼?わかった。サル、取り調べ受けるんでしょ。早く吐いた方がいいわよー。41刑事怖いからw」


オレ「(*≧∀≦)まず。みんな沈まれ。じゃあとりあえずカンパーイ!」


《ゴクゴクゴクゴク》

冷えたバドを流し込む。


オレ「じゃあ、早速なんだけどさ。サル。今、何欲しい?」


サル「…スピードばっかりやってたから、…スピード持ってる?」


オレ「(*≧∀≦)うちに無いモノはないよ。よろずやだからね。じゃあ、いったんそこから始めてやるよ。後はオレのお品書きでいいな?」


サル「ああ。任せる。……41、ありがとうな」


ケイ「( ・`ω・´)オレには?」


サル「ケイも、ありがとうな。会いに来てくれたの嬉しかったよ」


オレ「( ・`ω・´)オレとケイ。どっちが嬉しかった?」


《パチン》ジュンに叩かれた。


ジュン「何で、いっつもめんどくさい方に持ってくのよー」


オレ「( ;∀;)叩かれた!そういう作りなんだと思います」


ジュン「昭和製品は叩いて直すの!」


オレ「じゃあ、サル腕出せ。チクチク打ってやるから。ん?」


サルの両腕は内出血だらけだ。下手くそな注射痕…。


オレ「ひでえなコレ。お前自分で打ってたの?こんなに下手くそだっけ?」


サル「…入らなくなっちゃってさ。あちこち打って失敗してた。あと、昔のツレが打ってくれるんだけど下手なんだよ」


《ツレーーそいつがマッドピエロなんだな。》


オレ「いいから腕出せ。オレ上手いからちゃんと入れてやる。」


ーーサルの上腕部にバンダナでしばる。


パケからリクエストされたスピードを

スプーンの上に置いて定量のミネラルウォーターで溶く。


《これ、濃いかもな。もう少し水足そう。四人分余裕》


新品の針付きシリンジの袋を開ける。

小さく丸めた脱脂綿をスピードの水溶液に入れ、

そこに針をのせて一気に吸い上げる。


アルコールでサルの腕と針を消毒。

流れるような所作。


玄人ですからね。


オレ「サル。チクッとするぞ」


《スー》


滑らかに針が静脈に入っていく。


新品の針はチクッとなんてしない。

少しシリンジを引くと血が吸い上がる。


《ハイ、当たり》


巻いたバンダナをほどいて、

スピードをサルの静脈に流し込む。


《ハイ、終了》



ーー



サル「おーーー。これヤベエ。あー。楽になる。」


オレ「(*≧∀≦)これ効くだろ?まだ《虫》見えるか?」


サル「効く!今まで回されてきたのと全然違う。マジ、生き返った。《虫》とか言ってて恥ずかしいよ。もう見えない。41、ほんとうにサンキュー!」


ケイ「そんなにスゲーのか?41のとこでスピードってやったことない。オレにもやってくれよ」


ジュン「えー。アタシも試してみたい。」


オレ「わかった、わかった。それよりもサル。お前、着替え持ってきたんだろ?しゃんとしたんなら、ちょっとシャワーでも風呂でも入ってサッパリしてこい。お前の顔とか腕もベタベタだよ。」


サル「わかった!テキトーにタオル借りるな。行ってくる」


オレ「しっかり洗ってこいよ。ばっちーのはダメだかんな」


ーーサルが浴室に向かう。


シャワーの音が聞こえてきた。


ーー


ケイ「サルが別人になった。つーか普通になったぞ?虫の話もしねえし。」


ジュン「虫?何それ?」


オレ「まあね。いいヤツ打ってやったってだけだよ。お前らだってわかるだろ。効かないヤツは、効かないんだ。量じゃないんだよ。質の問題。効かないハッバを、効かねえ効かねえってどんどん吸っても効かないだろ。安く出回ってる国産とかさ。ヤクは、そのモノのスペックが大事なの。」


ケイ「41のそのネタは良質なんだな。ますますやってみたい」


オレ「ああ、いいよ。二人とも腕まくりな。」


オレはスプーンに残ったスピードを二人に打ってやった。


ーー


ケイ「おー!こりゃスゲエ。これ欲しいわ」


ジュン「うーん。これはハマるわねー。ジュピタンこんなの持ってたの?」


オレ「一応ね。つきあいで乗ってやったって感じ。何種類か持ってるよ。コレクションかな、」


ケイ「サルはマッドピエロからもらってたわけか。」


オレ「そうだろな。じゃあもう、このスピード味見してわかっただろ?全員、バキバキなのは勘弁だ。落とすぞ。ケイ。さっきの《ブッダ》出せよ。サルもこっち側に連れてこなきゃ直らねえ。」


ジュン「何があったんだろうね?」


オレ「まあ。サルに聞けばわかるだろ。」


ケイ《プッハー》


《ブッダ》の香りが部屋に満ちる。


オレ「音無し、はないだろ。ジュン、何か音楽かけてよ」


ジュン「ゲホッゴホッ!これスゴい肺で膨らむー」


オレ「おーい。気づいてるかー。まだオレだけジラフだぞー」


ケイ「(*≧∀≦)ほら。ブッダあげる」


ジュン「(*≧∀≦)アタシもお土産ある。帰国子女経由でもらったの。《アフリカン》てやつ。ハッバが黒いんだよwほら」


オレ「じゃあこれ次やろう。その次はオレの他のコレクション出すよ。


ケイ「何出すの?」


オレ「ローリング・ストーンズ。《ブラウンシュガー》だね」


ケイ「サルには?」


オレ「あいつは、スピード抜きさせる。」


ジュン「(*≧∀≦)…まさかの?」


オレ「(*≧∀≦)ゾンビからやり直しだな。」


ケイ「( *´艸`)この病院ヤバイw 」


ーーーー


この他愛ない、

やり取りの中、試してみたいアイデアがあった。


ーーサルの様子から見る限り、

あっちの戦力はスピードのみ。


それもあの注射痕から見るとド素人っぽい。

サルだって草とかダウナー入れられるはずなのに、

スピードオンリー強いられてた。


オレたちとのつながりや、アイツの他の仕入先とか、

がんばって隠してくれてたんだろう。


ーーーー


今からオレたちは種類を変えていろいろ楽しむ。

スピードの解毒剤にヘロインとハッパ。


またシャキッとするならコークもある。

サルにはさっき安定剤も飲ましたしな…。


とにかく、

閉じ込もって苦しんでたサルを日常に戻してやらなきゃ…。


ん?ーーーーふと、思いついた。。


オレ「…いっぺんに全部混ぜてみようかな…。どうなるんだろ?」


一人で、つぶやくと、頭の奥で何かがカチリと音を立てた。


毒と薬と祝福が、

一本の螺旋に絡み合う情景が浮かんだ。


それは脳髄の闇に描かれた麻薬の曼荼羅だった。


ーー

さっきのコインランドリー。


様々の色が回る。


かき回してほぐして乾かす。


何でもドライに…。


あのイメージ。


血流を駆け抜け、心臓を打ち、骨の髄にまで染み込む螺旋。


もう一度、名を呼べと囁く声がする。


《コークスクリュー》…、


小さくつぶやいた瞬間、

背中をなぞるような冷たい波が走った。


言葉が意味を持ち、化学と肉体と精神をひとつに封じる

呪文になった気がした。


名を得た混合物は、もう単なる薬じゃない。


何だ?

このノリ知ってるような…。 


これは《アイス》ってヤツだよって、名付けられたスピードは、ノリがクールに感じた。


《赤ネタ》ってヤツは、いかにも悪い人が作ってるって効き方だったし。


ヘロインもそうだ…。

そんな思い込みも名前に期待持って遊ぶから?


ーーこれは回路だ。


現実と、何か別のものをつなぐための言霊の力。


引き寄せの力。


麻薬はポジティブな思考で、

恐れず希望を持って臨めば、効能やご利益ある。


ーーよし。


ーー

全部混ぜてみたら、どんな世界が拡がるだろう?



いつもは、ダウナーで和んで、

アッパーで上げてスッキリしたら、

また違うダウナーでダラダラして。


この一覧の流れが、ルーチン。

ジャンキーとしての自己管理。


ーーまあ。これで正気を保ってるんだけどさ。


ん?でもさ、それってオレ、

守りに入ってないか?


最初にこの世界に憧れたのは何だ?


亡くなった天才が触れたものに近付いてみたい。

感じてみたい。


口ばっかりでーー。届いてないじゃん…。


これじゃ、

ちっちゃくまとまってる、サラリーマンジャンキーだ。


サルを助けるとかいい気になってないか?


サルは良くも悪くも極限行ってきた。


冒険して体験してーーオレはまだ現役なのに。


安全にって隠居するには、まだ早い。


ーーそれに、


敵と戦うなら、もう一段階ギアあげるチャレンジしてもいいよな。


でも、混ぜるなら、どんな割合?


効果がケンカして打ち消しあったら意味ないし。


全部効いて、何が効いてるのか、わかんないようなブレンド。


でも、気持ちでミックスしたり、選別できるようなら面白い。


ヘーゼルナッツにミントチョコ。

それにバニラアイス乗せてもいい。


食べたいとこを食べて、混ぜて食べて、食べ比べてさ…。


ーー


麻薬のジェットコースター。


ーーよし。


今晩、自分を実験台に試してみるか。


《コークスクリュー》


思い付きの名付けだったが、

毒と薬と祝福の色彩が浮かんだような気がした。




ーーーー


ここは41のアタマの中の異空間。


ねこにゃん「よーし!41へのインスピレーション送信完了。完成時に《言霊》の魔力発動。トリガーを41に。この同期を経て最適化作業をぴょこにゃんに譲渡。頼むにゃん」


ぴょこにゃん「受け取ったにゃ。41の《言霊》より、敵とする対象へのA10神経干渉と、ドーパミン分量、発狂リミッター構築。最期のピースとして、かみかみを召喚」


ーーーやるぞ。


《ねこにゃん・ぴょこにゃんの名においで宣言構築》


《かみかみの現実対応ねこボディ構築》


世界樹の権能より「《木・土・生命》の適応能力に全極振り特化!


・地球生命体の骨格構造と筋繊維を解析。 

食料捕食効率を極限まで最適化


・地球の風・水・土・火の循環パターンを吸収し、

物理攻撃/環境適応を同時強化


・3次元構造を一時解除し11次元捕食空間へアクセス


・全生態系情報に侵入、獲物と脅威を即時判別可能に。


・エーテル体を食料捕食特化アストラルボディへ変換


・状態変化&攻防一体型ねこボディ

《メインクーン・イエロー》に再設計にゃー!



《トンッ》

ーーかみかみのアバターが出来上がった。


それは、概念の世界の《かみかみ》をそのままに…。

レモンイエローの子猫。


自然界にいる色ではない。


特殊なアルビナか、

虐待を受けて黄色く染められたのかーー。


そう思うモノもいるだろう。


だが、ねこぴょこたちの渾身の設計だ。


不自然を越えた自然さが、そこにある。


その見た目の愛くるしさに、

心を鷲掴みにされるのは間違いない。


ーーーー


ねこにゃん「よし。これで《器》は完成にゃ。こりゃ可愛いにゃん」


ぴょこにゃん「よく、出来てるにゃー。こんにゃの、一人占めしたくなるよ。いつでも、かみかみ起こして精神リンクさせれば現実にゃんこだね。」


ねこにゃん「次は、サルからマッドピエロの情報にアクセスするにゃん。殲滅作戦たてるにゃん。」


ぴょこにゃん「41本人が、いい方法、閃きそうだけどにゃ」


ねこにゃん「おりたちのバックアップ必要ないにょか?」


ぴょこにゃん「個人的興味もあるにゃんよ。夢見たにゃろ?現実のマッドピエロ。死神タトゥー軍団、気になるにゃ。どんな思考回路か見てみたいにゃん。」



ーーーー


そして、41のアタマのさらに深く、121層の封印に隠れているのはエスネコだ。


ねこぴょこたちの懸念と興味には全く関心を持たず、エスネコは既にマッドピエロを11次元視点で観察していた。


だが《生命》としては見てない。

レンズで観察してるだけだ。


エスネコ「(*≧ω≦)にゃ?」



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