第48話《マッドピエロ編 アクセス ザ ダークファンタジー後編》
※初めて読む方へ。これはこの物語の4~6話と並行したお話です。
空想の新宿、そして1980年代の原宿・表参道を思わせる退廃的な夢の世界へ――。
ヨーニャの本体《41》が持つ明晰夢に潜入したねこぴょこたち。
そこで明かされたのは、新興勢力「マッドピエロ」の脅威と、大切な仲間や文化を守るために41が企てる「毒にも薬にもなる武器」の真意だった。
「目覚めよ。そして起動せよ」
過去と現実。そして未來の夢が一気に繋がり出す。
第48話《マッドピエロ編 アクセス ザ ダークファンタジー後編》
※初めて読む方へ。
これはこの物語の4~6話と平行したお話です。
ここは、にゃんこ世界における《ヤクのねこ神》ヨーニャの本体が見る明晰夢の中。
ねこぴょこたちは、本体の夢の中の
モブ住人としてヒューマンボディを構築。
空想の新宿の雑踏の中に紛れ込み
ヨーニャの本体を追跡していた。
ねこにゃんはサラリーマン風のおっさん。
ぴょこにゃんは地味な感じの若い女性。
アムリアとかみかみは若いママと男の子。
ヨーニャは…。
ヨーニャ「( ・`ω・´)何でオレだけホームレスなんだよ」
ねこにゃん「一番、見向きもされそうにない姿にゃん。ヨーニャの気配が一番、気づかれそうだったからにゃ」
アムリア「アタシたちデパート行ってきてもいい?」
ぴょこにゃん「かまわないにゃん。ここの街の再現度がどのくらいなのか、見てきてほしいにゃん。」
アムリア「わかったー。かかみかみ、行くわよー」
かみかみ「屋上遊園地あるとこね!」
ーーアムリアとかみかみは、
デパートらしき建物に走っていった。
ねこにゃん「ここの街の再現度は、大したもんにゃん。しょっちゅう遊びに来てるのか、実際住んでるとこも近いんだろうにゃ」
ヨーニャ「オレは何すればいいんだ?」
ぴょこにゃん「ウロウロしててくれればいいにゃん。意識はつながってるから、交信可能にゃ」
ヨーニャ「お前らは?」
ねこにゃん「アイツにマーキングしてくるにゃ。そして性能とか、…できれば《正体》見てくるにょさ」
ヨーニャ「性能?正体?」
ぴょこにゃん「ヨーニャの半年の眠りの理由も、ここに来て見当ついたにゃ。ここに入ってから5分…まあ10分もたってないよにゃ。人がひとつの夢を見てる時間なんて、そんなに長いもんじゃない。それも、だいたい断片的にしか残らないもんにゃ」
ねこにゃん「断言するには早いかもしれないけどにゃ。本体が眠ってる時間がヨーニャの休眠時間にゃ。」
ヨーニャ「…オレたちの暮らす、あそこでの半年が、つまりアイツの6~8時間くらいの睡眠がオレの半年間の休眠てことか?」
ぴょこにゃん「たぶんにゃ。リンクして見ないとわからないけど、これだけ精巧な夢を作るとかありえないにゃん。他にもいくつか明晰夢見てるんだろにゃ。」
ヨーニャ「アイツ、寝る度にあちこちの夢の中で、半年暮らしてるのか?」
ねこにゃん「たぶん思考が加速してる。だから、興味あるにゃん。ヨーニャ見てても、本体が、ただのジャンキーでドラッグ楽しんでるヤツって感じでもなさそうにゃ。ヤクは何かの手段、目的があって使ってるのかもにゃ。」
ぴょこにゃん「まあ、リンクできればわかることにゃん。ん?そういえば忘れてた。エスネコは?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ」
ねこにゃん「大人しくしてたにょか?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃ?」
ぴょこにゃん「今の《にゃ》は疑問系か?」
ねこにゃん「(´・ω・`; )何か怪しいけどにゃー。何もいたずらしてないよにゃ?」
エスネコ「(*≧ω≦)にゃー」
ぴょこにゃん「(´・ω・`; )わからん…後でかみかみに解読してもらうにゃ。とにかく何もするにゃよ」
ーー
実はすでに行われていたエスネコのマーキング。
手遅れだったのか、先手だったのか。
これは世界線によって変わる。
ーー
ねこにゃん「…気配消せ!視線に気づいてるにゃん!」
ぴょこにゃん「んー?アイツ今、視線、撥ね飛ばさなかったか?」
ねこにゃん「…アイツから、ドラゴンボールのイメージ伝わってきたにゃ。自分で《気》を発してバリア張ったような…。なるほどにゃー。悪夢にならないような対策持ってるのかも。夢の生活慣れたもんにゃんよ」
ぴょこにゃん「敏感てわけか。気づかれないように見えない《糸》を侵入させないとにゃ」
ねこにゃん「ぴょこにゃん。オレがわざとエジキになる。アイツの横歩くから、後ろから行ってほしいにゃん。」
ぴょこにゃん「エジキ?」
ねこにゃん「並走するにゃん。ヨーニャが言ってただろ?アイツに意識向けられると、動き止められて景色にされるって」
ぴょこにゃん「なるほどエジキって囮か。おまいが見られる役で二次元化されてる間に、おりが後ろから《糸》つけとくにゃん」
ヨーニャ「糸って?」
ねこにゃん「糸電話の糸みたいなもんにゃ。ヨーニャも本体と結ばれてるにゃん。おりたちのは、もっと高性能だけどにゃ。」
ーー隣にいたサラリーマン風の男がヨーニャの本体《41》と並んで歩く。
ねこにゃんーーさあ、ヨーニャの本体。おりを見るにょさ。この夢の中での支配力見せてみろーー
ーーーーーーーーーーーー
ーー41「…そうか、この夢は、だるまさんが転んだの世界なのか。なるほどね。オレが見ると止まるのね。オレはカセットのポーズボタンだ。それじゃあ、いつもの実験してみよう。夢か夢じゃないか実験スタートだ。」
ーー41は右隣を歩いてる人を見る。
スーツを着たサラリーマン風のオジサン。
ーーこれはねこにゃんが化けた姿だ。
41「《じー》え?止まった!?止まったよ。オイ。後ろは?」
振り向くと、立ち止まってるオレを避けようとする女が、右に進路をずらす。
ーーこれは、ぴょこにゃんが化けた姿だ。通りすぎるときに《糸》を侵入させた。
作戦成功。
これで、この夢をハブとして探ることができる。
ーーー女ぴょこ《ねこにゃん。つけたぞ。成功にゃん》
ーーサラリーマンねこ《了解にゃ。引き続き性能テストしてみるにゃん》
ーーーーーー
41が振り向いた時に、ねこにゃんが化けたサラリーマン風の男は少し先を歩いていた。
41「あれ?目を離してたら先歩いてる。もう一度見てみよ。《じー》」
ーーねこにゃん《さあ、おりを止めて見るにょさ。どのくらいのもんか見せてみにゃ。こっちもレンズでカウンター当てるにゃんよ》
41「あ、また止まった。見すぎると二次元なるんだな」
ーーねこにゃん《…まだ、景色くらいか。ぴょこにゃん、全員集まれ。ハブが出来たにゃ。》
一気に全員が、集められた。
アムリア「何よー!今、上のレストランでチョコパフェ頼んだとこなのにー!」
かみかみ「( ;∀;)お子さまランチきたとこだったおー!」
ねこにゃん「まあ、怒るなってば。ここはもうメモリしたにゃ。それで、建物の中はどうだった?」
アムリア「フツーのデパートね。中にもたくさん人が歩いてたわよ。かみかみ、迷子になりそうだった」
ぴょこにゃん「すごい再現度だにゃあー!でも、そろそろ、この夢終わりじゃないか?街の景色崩れてきたにゃん」
ねこにゃん「今、わかったことは本体の名前は41。いろんな呼び方されてるみたいだ。それと、明晰夢になってはいないが、トラブルが起こりそうな夢を見ている。この街の夢の、先に見てる夢だ。そこにアクセスして《武器》が欲しい理由も、どんな《武器》が必要かわかった」
ぴょこにゃん「夢といってもまだ、ハッキリとしたもので見てない。イメージの断片だけどにゃ。…《武器》が欲しい理由もわかるにゃん。ヨーニャ安心するにょさ。ジャンキーはよくないけどコイツはそこに執着してないよ。」
アムリア「それ、アタシたちも見れるの?」
ねこにゃん「ジャンキーの気持ちとか、戦い方はわからないけどにゃ。その夢は不安と葛藤と決意。それと悲しい決断。そんな内容にゃ」
ヨーニャ「その夢の中にオレも入れてくれよ。どんな理由で武器が欲しいのか見てみたい、今、ここは41の夢の記録のひとつなんだろ?オレは、さっき起きたばかりだけど、アイツが寝たら半年間、何もできない。その夢に《武器》のヒントがあるはずだ。」
ぴょこにゃん「かみかみには、教育上あまり見せたくない夢なんだけどなー。」
アムリア「ちゃんとダメなものは、ダメって教えるから大丈夫よ。ね、かみかみ」
かみかみ「ボク、大丈夫だお」
ねこにゃん「…。じゃあ《道化》の夢へ侵入!」
ぴょこにゃん「対抗策考えるにゃ。ヨーニャ行くぞ」
ーーーー41のアタマの中にある無数の目。
そのひとつが《遠い手》でこじ開けられた。
ーーーー
そこは、本体の41のイメージの世界。
不安と不穏の重い空気に満たされた夢。
核戦争後の世界のようにも見える
退廃した街。
元々の街並みは原宿に似てる。
表参道の交叉点。
その角にマッドマックスに出てくるような城塞がある。
入り口から全て《サイコ》なデザインの店。
壁には人骨と思われるスカルや白骨化した腕が埋め込まれ、鉄パイプや金属バットが突き出ていた。
それらは全て真っ赤なペイントで彩られている。
どんな常連が集まってるんだろう。
店の前にボディチェックとガードをする兵隊がいる。
その兵隊は大きな鎌を持ったピエロの仮面を被った死神たち。
暴力・死・呪いが絶対のルールの大軍勢。
人の痛みや弱味を利用し、仲間を増やす新興勢力だ。
仲間にされたものは
死神の焼き印を押され忠誠を誓わされる。
ーーーー
41は小さいが歴史ある王国の主。
それでも家族のような仲間や友たちと、
平和で温かい昔ながらの文化を守ってきた。
その昔からの文化を守る小国群の経済圏は小さくとも、公平に平等に人を傷つけることのないよう
幸せに暮らしていたのである。
だが、41の大切な一人の親友がその組織に騙され、女を盾に41を裏切らせ、懐柔しようとしている。
目的は41たちの伝統的で優良な資源。
マッドピエロは野蛮で最も人を狂わせる禁断の武器である《スピード》という麻薬を使う。
その武器を与えられた兵士は洗脳され依存性を持つ。
その中毒性を忠誠心に変え、道化と死神の兵隊、奴隷たちを作り出しているのだ。
戦うとしても多勢に無勢。
そもそも争う理由もない。
本来、関わる事も交わる事もない。
お互い迷惑をかけなければ不干渉でいいはずだ、
だが、仕掛けられてきたなら別だ。
本来、仲良くできるはずなのに。
ーーーしかし41には信念がある。
《仲間を傷つけるのは許せない》
《この文化は楽しむもので遊びを越えちゃダメだ》
《オレたちは快楽の先にあるものを見たくて道を外さないようにしてたんんだ》
《それがオレたちのジャンキーゴール。しがみつくのはダサい》
《ドラッグに操られたり、それで操るヤツなんてクソだ》
ーー《目には目を歯には歯を。安い策略には高尚で緻密な戦略を》
恐怖に縛られた集団なんてアタマを潰せばいい。
41はそこを押さえれば、疑心暗鬼でマッドピエロは崩壊していくと考えている。
救いを求めるなら、こちら側のルールを守って暮らせばいい。
楽しくやれるはずだ。
ーーただ、こちらに来れるかは、
その者の資質次第だ。
暴力の土俵では勝てない。
ましてや犠牲者なんて大切な仲間から出したくない。
一撃必中。
アタマ同士の勝負にする。
必要とされる《武器》はヘロイン・コカイン・マリファナ・LSDというクラシカルな資源と、仲間は売らないという文化、
そして資源の活用法の知識の結晶から生み出すのだ。
そして41が小国の主であっても、長く守ってきた歴史と伝統はある。
この経験からの知恵と策略で戦う。
これを全て、タイミングも含めてブレンドする。
《これ以上、近寄らせないし、二度と近づきたいと思わせないような武器を…敵には毒に。味方には薬に》
ーーーーーーー
《ゴポゥ…》
沼から足を抜くような音が鳴った。
全員がマッドピエロの夢から戻った。
ーー
ねこにゃん「見たか?本体の夢はこんな感じにゃ。」
ヨーニャ「なるほど。だいたい見えたぞ。」
アムリア「アタシ。女戦士なのね!」
ぴょこにゃん「(´・ω・`; )ちげーよ。」
ヨーニャ「すぐ、戻ろう!上から降ろす最高のブレンドを考える!それこそ、相手によって毒にも薬にもなるってやつだ。」
ねこにゃん「おりもにゃ。41だからこそ効果が出せるよう、《魔のつくもの全て》の力で精神性に手を加えるにゃん。」
ぴょこにゃん「おりは《マッドサイエンティスト》の力で最適化する。配合は任せろにゃん。夢のレシピにゃ。」
かみかみ「ボクは?」
ねこにゃん「おまいに、大事な事頼むにゃ。それは解毒。だから世界樹の力、貸しておくれ」
かみかみ「わかったおー」
ぴょこにゃん「時間の流れも違う!急ぐぞ」
一行はヨーニャの本体へリンク成功。
41の夢の世界を、あとにする。
ーーだが、ねこぴょこたちのアタマには、さらに謎が深まった。
それにしても、こいつ人か?ーー
二柱に残る疑問。
ーーー神の欠陥品、いや不完全な神か。
こいつは、何を持って生まれてきた?
ヨーニャには伝えられなかったが、41は何かと引き換えに破滅する。
助けられるかどうか、確信は持てない。
ーー
ねこにゃんとぴょこにゃん、二柱だけのやりとり。
ねこにゃん「こいつにメッセージ伝えておこう」
ぴょこにゃん「こいつなら気づく。わかるはずにゃ」
ねこにゃん《目覚めよ。そして起動せよ》
ーー正しく動くにゃんよ。
ぴょこにゃん《種を撒け。育てよ》
ーー待ってろ。助けが向かうにゃ。
ーー
41「種?」
41「忘れ去られた何かの種?」
ねこにゃん《今の幸せは、神からの前借りだ》
ぴょこにゃん《オマエはそれを知らず、幸福の蜜に溺れた》
ーーヨーニャとにゃんこたちが、ついてたからにゃ。
それは、お前の力でもある。忘れるな。
41はアタマの中の『自分』に囁やかれてる気がした。
ーー41「わかってるよ」
ねこにゃん《だがやがて、代償が始まる》
ぴょこにゃん《現実が裂け、痛みが押し寄せる》
41の内側に、別の世界が立ち上がっていく。
41「それもわかってるよ」
ーーーー
ねこにゃん「こいつなら、これくらいでわかるはずにゃ」
ぴょこにゃん「ああ。未来を修正できるだろ」
ーーーー
この二柱の気づかぬところで、
もうひとつのメッセージが飛んでいた。
ーーー我はキミに起こされたモノなり。
エスネコ「(*≧ω≦)……起きにゃよ」




