第45話《マッドピエロ編 本体と影》
《マッドピエロ編》第45話――本体と影
よろずやオープンカフェで開かれる、11次元の観測者たちとヤクのねこ神・ヨーニャのお茶会。
語られるのは、この狂った世界の構造と、現実世界から投影された「本体」と「影」の真実。
「ここは地球だけど、この世界は『地球』じゃない」
夢と現実が交錯し、発狂と進化の境界で「本体」を蝕もうとする謎の存在《道化》。
本体が切望する「冷たい武器」を作るため、ねこぴょこたちは二次元レンズと世界樹の糸を起動する。
機械的で、どこか愛おしい「ムダ話」の果てに――世界のチート解析が始まる。
第45話《マッドピエロ編 本体と影》
ここは、よろずやオープンカフェスペース。
アンティークのティーテーブルとチェアが5脚。
テーブルには、それぞれ好みの飲み物とお菓子が置いてある。
ねこにゃん、ぴょこにゃん、アムリア、かみかみ。そして、新たに現れた青いねこ、《ヤク》の概念のねこ神・ヨーニャの5柱がくつろいでいた。
ねこにゃんとぴょこにゃんは、ヨーニャが眠りについていた間の出来事を、一通り説明し終えたところである。
ーー
ヨーニャ「(´・ω・`;) で、おまいらの正体は、どこかの異空間に住んでた《粒》で、分裂したエスネコっつーのを探しに来たってわけね? その間に、この街を作ったってのか。」
ねこにゃん「(*≧ω≦) ざっくり言えばそーゆーことにゃん」
ぴょこにゃん「(*≧ω≦) 丁寧に言っても変わらないにょさ。住みやすくなったにゃろ?」
かみかみ「ボクは、ねこにゃんたちのおかげで生まれたんだお。ねえ、エスネコ見たい?」
ねこにゃん「かみかみ、ちょっと待つにょさ。次はヨーニャの話聞いてからでもいいにゃろ?」
アムリア「アンタたち、変身しても背中のファスナーで解除できるようにしたんでしょ? かみかみが見たいって言ってるんだから、見せてあげなさいヨ 。 ねー、かみかみー」
ぴょこにゃん「(´・ω・`;) んー、そしたら外でやってもいいかにゃあ? 変身するたびに、パワーアップしてるからヤバイにゃん」
ねこにゃん「アムリア、この前店内で変身させたときのこと覚えてないにょか? よろずや半壊したにゃん」
アムリア「大丈夫よー。お店はアンタたちが作り直せるし、店員もアンタたちのクローンやゴーレムちゃんたちでしょ」
ねこにゃん「かみかみ、話し終わったらエスネコに変身してあげるから、待ってほしいにゃん」
ぴょこにゃん「パパたち、大事な話あるにょさ。話し終わったら、エスネコとメロン号で遊んできにゃよ。おまい、いい子だからわかるよにゃ」
かみかみ「わかったおー」
アムリア「( ̄^ ̄) しょうがないわねー」
ヨーニャ「…そろそろ、オレの話してもいいかな?」
ねこにゃん「もちろんにゃ」
ヨーニャ「まず、この世界なんだけど……最初から自我と概念の力があったのは、オレとアムリア。それと、しばらく会ってないが《音楽》の仲間たちが何人かいた。《ベース》ってやつもいたし、《M》って名乗るヤツもいた。みんな名前と色持ちだ。さっき起きたときに目薬で見たが、そいつらはそいつらで集まってるみたいだ」
ぴょこにゃん「目薬?」
ヨーニャ「ああ。オレは《ヤク》に関するものなら何でも創造できるし、それを自分にも他者にも使うことができる」
ねこにゃん「さっき、猛スピードで走って来たのもそれなにょか?」
ヨーニャ「そうだ。あれはスピードと言われる麻薬だ。オレは、さらにそのヤクの名前の力を使うことができる。たとえば、《アイス》って名前で作ればスピードの効果に氷の力も加わる」
ぴょこにゃん「さっき医者って言ってたのは、その力か?」
ヨーニャ「ああ。ブレンドできるからな」
ねこにゃん「すごい便利にゃん。でも麻薬なら中毒性あるんじゃにゃいか?」
ヨーニャ「毒も薬になるし、薬もやりすぎれば毒になるってやつだ。だから悪い部分を消して作れる。お前らが来る前に《依存》って概念のヤツにも会った。そいつは自我を持ってなかったが、病んでいたんだ。だから直してやった」
ねこにゃん「どゆことにゃ?」
ぴょこにゃん「そいつがしっかりしちゃうと、もっと依存強くなるんじゃないか?」
ヨーニャ「ある程度、依存は大切だろ? ここの客たちもアムリアにも依存してる。お前らはさっき、自我がしっかりしてないゾンビ状態のヤツラを《ごっこ遊び》で教育したって言ってただろ? やり方違うけど、同じことだよ」
ねこにゃん「おりたちは、ゾンビに囲まれてるのイヤだったからそうしたまでの事にゃ。それとエスネコ見つけるまで、快適な暮らししてみたかったにょさ」
ぴょこにゃん「ずっと《粒》のままだったからにゃー。地球快適にゃん」
ーーそのとき、ヨーニャが真顔になる。
ヨーニャ「ここは地球だけど、この世界は『地球』じゃないぞ」
ねこにゃん「確かに。そこ謎だったにょさ。だからヨーニャ探してたにゃん。アムリアも原初だったけど、わからないって」
アムリア「アタシ、最初から『アタシ』だったわよ。ヨーニャは違うの?」
ヨーニャ「…たぶん違う。確信はないけどな。オレはここで、自然発生したと思えない。何より違うのは《眠り》だ。お前ら、寝なくても平気なんだろ?」
ねこにゃん「スリープ状態はあるけどにゃ。枕とかベッド知ってから《睡眠ごっこ》で寝ることはあるにゃ」
ぴょこにゃん「ヨーニャの話聞いてると、時間の流れもズレてるように思えるにゃん。おりたちが着陸した環境や気候に合わせてるからにゃ。ここには四季もあるし、昼も夜もあるにゃん」
ねこにゃん「でも、確かに、ここで半年寝るヤツはいないにゃあ。新しく生まれてく《概念》もいるけど、いなくなるヤツもいるしにゃ」
ヨーニャ「(@_@)! お前ら、ここの住人全員把握してるのか?」
ぴょこにゃん「…全員ではないね。説明難しくなるから簡単に言うと、レーダーで捕捉してるかどうかだけにゃ。にゃんこシティのテリトリーで新しいのは感知するけど、すでに捕捉済みで消えてくヤツはそのままかにゃー。興味や必要があれば探すって感じだにゃ」
ヨーニャ「お前ら、機械みたいだなー」
ねこにゃん「( ・`ω・´) 心持ってるにゃ!」
ぴょこにゃん「(`;ω;´) 人情に弱いにゃん」
ヨーニャ「(´・ω・`;) なるほど。お前らって、変なとこつつくと、めんどくさくなるんだなー。悪かったよー」
ねこにゃん「まあ、ハズレでもにゃいよ。そういう作りにゃん。この地球も生命も、大きく循環しているにゃろ?」
ぴょこにゃん「おりたちも、いつから自我持ったとか知らないにゃ。いつの間にか世界にいた。その世界を動かしてたシステムに近いかにゃー」
ヨーニャ「なるほどな……。オレは自分が誰だか知らないが、現実世界から投影された影だ。そいつのアタマの中の世界がここだと思う。もしかして、そのエスネコが分裂したのも関係してるんじゃないか?」
ねこにゃん「ぴょこ。あの時の視線じゃにゃいか?」
ぴょこにゃん「エスネコの分裂。おりたちに干渉できたやつ……それがヨーニャの本体ってことか?」
ヨーニャ「どうやってかは、わからない。ただ、オレが《ヤク》の概念だからな。ヤクで見た幻覚で干渉したのか、それともこの世界自体が、本体の幻覚なのかもしれない。…お前らに干渉できたってことは、逆もできるってことか?」
ねこにゃん「それは、やってみなきゃわからにゃいし、人の世界に干渉しようとは思わないしにゃあ」
ヨーニャ「意外だなー。お前ら、面白がってちょっかい出してると思ってたわ」
ぴょこにゃん「街作る時に、この地球の情報を参考にしたにゃ。過去も現在も、たぶん未来も戦争やるにゃろ。悪も正義も曖昧だからにゃ。関わるの、めんどくさいにゃん」
ねこにゃん「だから、ここでは《にゃんけん》で決めるってルール作ったにょさ。不条理要素入れての勝負の方が公平だからにゃ」
ヨーニャ「人の世界なんて、大きいこと話してるつもりじゃない。でも、今のお前らの話聞いてて思ったことがある。お前らは観察者として、ここがフツーなんだろ?でもな、そもそもオレにはこの世界がマトモに見えない。面白いけど狂ってるって感じかな。夢の中の狂気のストーリーの住人になってるって感じてるんだよ」
ねこにゃん「おりたちには現実。ヨーニャには夢の世界って事にゃのか。じゃあこれは?」
ぴょこにゃん「おりもやる。これは?」
《ガリガリ》《ギュー》
ねこにゃんがヨーニャの右腕を引っ掻き、ぴょこにゃんが左腕をつねった。
ヨーニャ「( ・`ω・´) 痛っ! 突然何すんだよ!」
ねこにゃん「夢じゃにゃいにゃん」
ぴょこにゃん「もう一回やってみるにゃ?」
ヨーニャ「( ・`ω・´) そんなの自分でも、とっく試したわ! 伝わらないかなー…」
ねこにゃん「ゴメンにゃ。おりたちも、触って確かめたかったにゃ。ヨーニャのカラダは、この世界の住人と同じアストラルボディの実体化にゃ。整理するにゃんよ」
ぴょこにゃん「考えられるのは──ヨーニャの本体は、この世界をヨーニャを通して《夢》として見てる。そして、ヨーニャとしてこの世界に住んでるから、ヤクの力で医者としても干渉もできる。だけど、無自覚に願望がある」
ヨーニャ「願望?」
ねこにゃん「夢をコントロールする事にゃん。簡単に言えば、自分の好きな夢見たいってことにゃん」
ヨーニャ「オレたちは、そいつに作られて踊らされてるってわけか?」
ぴょこにゃん「全部じゃないにゃん。ねこにゃんと、おりは、ここで生まれてにゃい。だけど、そいつの夢、もしくは幻覚に干渉されてシンクロした可能性はあるにゃん。エスネコは偶然の産物だとしても、生まれてからは、『そいつ』の夢の住人にゃん」
ねこにゃん「まだ、夢をコントロールできてるわけじゃないにゃん。映画や続き物のドラマ見てるって感じかもにゃ」
ぴょこにゃん「そいつ、他の夢も見るだろ。そこでは、ある程度コントロールできるようになってるかもにゃ」
ヨーニャ「すると、どうなる?」
ねこにゃん「フツーの人間の脳みそなら発狂するにゃん」
ぴょこにゃん「夢と現実の区別がつかなくなる。そしたら、コントロールできる方がいいって思うだろにゃー」
ねこにゃん「そしたら寝たまま起きなくなるか……もしくは……モンスターなるにゃん」
ヨーニャ「モンスター?」
ぴょこにゃん「夢を現実に持ってくるってことにゃ。そんなの、神様の領域にゃん。お前の本体なら、ジャンキーの神様なっちゃうにょさ」
ヨーニャ「……それは考えたくないなー」
ねこにゃん「夢の中のヨーニャの方が実体に近いのかもにゃ。本当は常識人なんだろ」
ぴょこにゃん「とにかく、その真相、確かめるにゃん。ターゲット見つけることができれば、できるかもにゃ。どういう風に干渉できるかは、見てみないとわからないにゃん」
ヨーニャ「半年眠ってる間に、断片的だが夢を見るんだよ。そいつと同じ夢を見てる気がする。それも明晰夢ってやつだ。どれも狂った世界で、腐って終わる。破滅を暗示してるのか、望んでるのか……それとも受け入れてるのか。そこまではわからんが、夢を楽しんでるみたいだ。そして、オレは目覚めたときに、オレの自由意思とは別に使命みたいな、自分のやらなきゃいけないことが決められてる気がする…。」
ねこにゃん「おまい、ヤクのやりすぎじゃにゃいのか?」
ぴょこにゃん「いや、ヨーニャが『影』だとしたら、『本体』がやりすぎにゃんだろ。…末期、あるいは進化?」
アムリア「破滅だとしたら、それ止められないの?」
ヨーニャ「……オレの役目は《手伝う》感じだな。そいつの意識を受けて、ここで概念がおかしくなってるものを直して、インスピレーションで返す……っていうのか……」
ねこにゃん「ふーん。それこそシステムだにゃ。本体と影が補完してるにょかな。ヨーニャの話聞いてると、そいつ人の形をしたヤクに思えるにゃん。合理的で、どこか無機質な……人ってそんなもんなにょか?」
ヨーニャ「……オレもそう思う。どこかお前らに似て、何か異質なモノを感じるよ」
ぴょこにゃん「( ・`д・´) 遺失物!」
ねこにゃん「( ・`д・´) 悩み着せかえ当たる!」
《パチン! パチン!》
アムリアが、どこから出したのかハリセンが飛んだ。
アムリア「( ・`ω・´) エスネコにするわよ! まじめに!」
ねこにゃん「(*≧ω≦) 話の続きを聞こうジャマイカ」
ぴょこにゃん「(*≧ω≦) にゃんでも協力しますにゃ」
ヨーニャ「(´・ω・`;) はあ……どこからでも、ふざけスイッチ入るんだなー。まあ、先の話はいい。今、相談したいのは……本体が《武器》を欲しがってるってことだ」
ねこにゃん「武器? 本体ってことは、ジャンキーの武器にゃ?」
ぴょこにゃん「何と戦うにゃん?」
ヨーニャ「オレが持ってるイメージは《道化》らしい。それが何なのかわからないが、本体を蝕もうとしてる。そいつらを無力化するヤクが必要だ」
ねこにゃん「ヨーニャ。一度アクセスさせてもらえにゃいか?」
ぴょこにゃん「ヨーニャの本体も、この世界のことも解析したいにゃん。最適解出すにゃん」
ヨーニャ「アクセス?……そんなことできるのか?」
ねこにゃん「こう見えても全知全能だったにゃん」
ぴょこにゃん「過去形は気にすることにゃいぞ。二粒の世界での過去の栄光にゃん!」
ヨーニャ「スゲー不安なってきた……」
かみかみ「……ボク、手伝えることあるかも」
ねこにゃん「ほー? 言ってみにゃ」
かみかみ「ボクの葉っぱと種、使えない?」
ぴょこにゃん「それだ! 戦うにも『防御』は必要にゃん。さすが《世界樹》の子だにゃ。かみかみエライぞー!」
かみかみ「(*≧ω≦)えへへへへへ」
ヨーニャ「……また置いてきぼりなんで、アクセスでも何でもしてもらえないかな? ちんぷんかんぷんだ」
ねこにゃん「1秒もかからにゃいよ」
ぴょこにゃん「説明するより早いにゃん」
ヨーニャ「なんで最初からそうしなかった……スゲームダな時間取った気がする……」
ねこにゃん「システムじゃないからにゃ。ムダじゃにゃいよ。話せて楽しかったにゃん」
ぴょこにゃん「ふざけたりする時間やムダが大切にゃん」
ヨーニャ「……そうだな。オレの本体もそうみたいだ。だから、変になる前に助けたいんだよ」
ねこにゃん「じゃあ、侵入させてもらうにゃん。ぴょこ、二次元レンズ起動!」
ぴょこにゃん「かみかみの糸を同期。エスネコよりチート解析。ヨーニャにフォーカス!」
ヨーニャ「機械じゃねえか!」
ねこにゃん「この宣言が言霊になるにょさ」
ぴょこにゃん「ムダに思えたら大間違いにゃん」
──ねこぴょこの二柱は、ヨーニャとかみかみにアクセス。
世界の謎解きと、ヤクの武器の構築に取りかかった。




