第42話《マッドピエロ編 チープ・トリック,チープ・トリップ中編》
《マッドピエロ編》第42話――チープ・トリック,チープ・トリップ中編】
2階の「本気部屋(司令室)」で繰り広げられる、ジュンとの作戦会議。
不気味なピエロのLSDを手に、41はサルの危険な同行者・エミの真意を探る「イタズラ(観測)」を思いつく。
「ピエロにはピエロで挑むにょだ!」
重苦しく部屋を包む極上の煙、流れる80年代のポップミュージック。
罪悪感に沈むサル、そして神秘の虚空を見つめるエミ。
仲間を上階へ遠ざけ、一人静かに罠の核心へと歩み寄るジュピタンの仮面かぶった41。
自らを実験台にし続けてきた男が今、「観測者」へとモードチェンジする――!
第42話《マッドピエロ編 チープ・トリック,チープ・トリップ中編》
《タンタンタンタンタンタン》
オレの閃き悪巧み作戦会議をするために、ジュンと2階に上がる。
ジュンと《本気部屋》に入る。
さぅき、オレとケイがサルに怒鳴り散らかした部屋。
応接間はダラダラするとこだけど、ここはベースの修行したり、自分を実験体にしてヤクの研究する、『いつでもガチの部屋』だからね。今からここは司令室だ。
では、さっそく、ジュンにオレの作戦を伝えようとした、その時ーー。
ジュン「ねえ、あの子さー。おかしくない?」
先に言われた。
オレ「やっぱり、そうだよな。」
ジュン「ジュピタン。アタシがあんな感じだったらどう思う?」
『あんな風』か…。そりゃもちろん。
オレ「そのまま『危ないっ!』って、ジュンのおっぱい触る」
オレは『その時の』動きを見せる。
オレの手がジュンの胸に届く前に…。
《パチン!》
アタマ叩かれた。
オレ「( ;∀;)あいたー!」
ジュン「(*`ω´*)まーじーめーにっ!」
オレ「見せすぎって感じる。でしゃばるのとも違うしさ。…サルって自分の女、大事にしないのかなー。そこらへん、わかんねーんだけどさ。」
ジュン「ジュピタンさー、さっきここで怒鳴ってたでしょ?あの子にも聞こえてたはず。それ関係してる?」
オレ「まあねー。それはどーだか…。怒鳴ったのはさ、オレたちは、ここで完結してて、取引の相手教えちゃダメじゃん?そこよ。でもさ、自分の彼女が、あんなに露出してたら、オレはやだなー。」
ジュン「ジュピタン、えらいえらい。で、何聞いたのー?」
オレ「手短に言うと、サルは元暴走族。その昔の仲間が、『マッドピエロ』って名前で、女沈めるような悪さしてるグループらしい。その昔のツレにオレのヤク渡してた。ここまでいい?」
ジュン「えー。サル、ダメじゃん。マッドピエロなんて聞いたことない。…女沈めるって…。クスリ漬けにするってことー?」
オレ「そーなのかな。まあ、オレもよく知らないし。とにかく、サルが知り合いに『いい取引先があるって教えちゃった』。そこまでは別に、良くないけど、いいとしよう。オレの名前出してなきゃね。でも、エミちゃんに、『オレ』から仕入れてるって話をしちゃったんだよ。んで、オレんとこ、行きたいって言われて、ホイホイそのまま連れてきたわけよ。…でも順番がおかしい。その昔の仲間にヤク回してたら、突然、エミを紹介されたって事。ヤクのお礼に、女紹介するってあるかな?どんな世界?…オレの勘だけど、エミとマッドピエロって《グル》でしょ。コレ。どう思う?」
ジュン「ジュピタン、ヤクのIQ高いからねー。そう思う。」
オレ「(*`ω´*)ヤクだけじゃないよ」
ジュン「(*≧ω≦) IQ140でジャンキーってどーなのよ?」
オレ「それは別に自慢してないでしょー。ガキの頃だよ。親代わりの叔母ちゃんと、高校の進路相談行ったときに聞かされたって話したでしょ。知能テストでのIQ教えられて、こんなに頭いいはずなのに、素行は悪いし勉強しないから内申書も鳴けない。希望の進路もっと下にしたらって、ニヤニヤしながら言われたの。オレはいいけど叔母ちゃんまでバカにしてさ。その先生、オレの事嫌ってるのわかってたしさ。そいつって、クラスのみんなの前で、オレにイヤミ言っといて、最後に正義感ぶるようなヤツでさ。子供だからって舐めてんなーって、思って大キライだった。でも、小学校の時から知能テストは好きだった。問題じゃなくて、パズルみたいだったから。」
ジュン「ゴメン、ゴメン。そんなイヤな先生ってとこまでは知らなかった。ジュピタンは、アタマは悪くないと思うよー。バカなだけw」
オレ「その話はもういいってば。話戻すよ。…思い上がりかもしれないけどさ。エミちゃんは、そのマッドなんちゃらから、サルを利用して、オレに色仕掛けを仕掛けにきた《使者》じゃないかと?」
ジュン「はあ?そこまでやるー?…確かに。ちょっとムカついてたのよ。アタシの知り合いでもいたもん。いいネタ持ってたり、《上》の男に乗り換えようとする女。結局、捨てられると思うんだけどねー。」
オレ「(*≧ω≦)ヤキモチ?」
《パチン》
また叩かれた。
オレ「( ;∀;)あいたー。バカなっちゃうじゃん」
ジュン「バカでしょ?賢いバカ。バカのくせに賢い。どっちがいい?ねえジュピタン、チューしてあげよっか」
オレ「(*≧ω≦)うん!」
《チュッ》
軽くキス。リセット&仲直りだ。
オレもちょろい。
オレ「( ̄^ ̄)それでだな。それを確かめるために、ちょっとイタズラ(観測)をしてみようと思うのだ。」
ジュン「何すんの?エミちゃんに?」
オレ「( ・∀・)エミちゃん《にも》だな」
ジュン「(*`ω´*)早く教えなさいよー」
オレは引き出しの中からピエロのLSDを出した。
ジュン「(((*≧艸≦)ププッこれ、この前の…。幻覚メッセージノートも出すの?」
オレ「(*`Д´)ノ!あんなの人に見せられるか!」
ジュン「いいから、もう一回見せてよ」
ジュンが引き出しから、LSDで見た《幻覚格言》が書かれたノートを取り出す。」
ジュン「( *´艸`)キャハハハハ!最高!《悩み着せ替え当たる》だっけ?これやって下で占うのー?アタシはねえ、それより、《バンビ食いてえ、この通り!》とねえ…。これ!居酒屋みたいな定植屋さんの張り紙!《ロリザランロリホリ丼あり〼(ます)』だって!どんな食べ物ー。キャハハハハ」
オレ「あー。さーせんした。もういいすか…。」
ジュン「あー。お腹痛い。飛んでると余計にツボる、コレ。それでー?」
オレ「サルとエミの飲み物に、少しLを溶かして飲ませてみたら、どうなると思う?」
ジュン「えー。…わからないけど。ジュピタン、そういうとこ《悪魔》よねー。」
ジュン《ケラケラケラ》
笑ってる時点でジュンも共犯だからなー。
オレ「混ぜるって言っても半分の半分くらいだよ」
ジュン「このLSD、効くもんねー。それでどうするつもり?」
オレ「この前の『星形』のLの時、サルってバッド入ってたじゃん。これはオレの考えだけどさ。ヤクって神様がいて、真っ直ぐ向き合わないと御利益くれないと思うんだよね」
ジュン「いつも言ってるもんね。悪い事するなら腹くくってやれって。」
オレ「そう。だから罪悪感あるやつはバッドトリップすると思うんだよね」
ジュン「(*≧ω≦)サルも木から落ちる?」
オレ「座布団あげる!落とすんだけどね」
ジュン「エミちゃんは?どうなると思う?」
オレ「さっきから、サルの持ってきたハッパやってるじゃん。たいして効かないけどさ。エミちゃんは、たぶん、こっち系、まだ初心者。わざと副流煙かけてたけど、あれでも飛んでた。だからL混ぜても、アルコールとハッパ混ぜたから、こうなったんだなって考えると思うんだよね。これは出たとこ勝負。あと、これも勘だけど、あの子はスピードやってる気がする。前に会った事がある、シ◯ブ中のやつで、あーゆー肌してた。睡眠不足か栄養不足的な肌荒れ。」
ジュン「えー?覚醒剤?んー。確かにアタシも肌荒れてるって思ったわ。…で、どうするの?サル落として、エミちゃんは?ケイちゃんには?」
オレ「効いてきたら、オレと、落ちてるサルと、エミちゃん、この3人の状況にして。その間、2階でケイにオレのハッパとか出して遊んでていいよ。」
ジュン「( ・`ω・´)ジュピターン。エミちゃんにエッチな事でもする気?」
ーー女の勘て鋭いなー。
まあ、あんだけ目の前で無防備に胸チラとパンチラしてくる女には警戒するよね。
ーー時と場合による?
そういうのだって、次の手につなげる手段としてあるからさ。流れだな。
オレ「しねーよ。なんとなく情報引き出すだけだよ。ピエロにはピエロで挑むにょだ!」
ジュン「ジュピタン最近、語尾がたまに《ねこ》になってるよ。どしたの?」
オレ「…何でだろう?わからないにょだ!」
ジュン「変なことすんなよー」
オレ「いつも、出たとこ勝負だけど、外さないだろ。ジュン、ハサミ取って」
《チョキチョキ》っと。
オレは不気味なピエロのLSDを四分割した。
このちっちゃい紙なんてすぐ溶けちゃう。
さあ、どーなるかな。
ジュン「また、悪い顔してるよー」
オレ「また?そお?とりあえず行こっ!」
《タンタンタン》
足取りは軽い。ケイたちはいつもオレの、ドタバタ行ったり来たり見てるから気にしないだろう。
エミちゃんはどうかな?
ーー
オレ「お待たせー!」
ジュン「エミちゃんごめんねー」
ーーよく言うわ。
オレとジュンはサルとエミの二杯目のハイボールに、小さな紙(LSD)を入れた。
オレ《効くかなー?オレも酒にLまぜて飲むなんて、やったことねえから、わかんねえわw》
ケイに目配せする。
オレの渡した、極上のチョコレート(大麻樹脂)を出す合図。
これはオレでも、一服目でぶっ飛ぶほどの《極上》のネタだ。
少しちぎって、タバコの葉に混ぜて、ちょうどいいくらい。
これを上乗せすれば、サルたちは陥落するだろう。
ーー
ケイ「さて。41も戻ったし、オレの《特別品》出してやるよ。これやってみようぜ。」
オレのブツをケイが出したことにして、みんなに回す。
ケイが一服目をオレにくれた。
これは、リスペクトかな。
オレ「じゃあ、ごち!アムロ行きまーす!」
ケイ「バーカ。後でアムロに謝ってこい!」
オレはパイプに詰められた、チョコに火をつけ、じんわり吸い込む。
オレ《スー…。んんんんんんん、ん?》
《ヤバッ!めちゃ膨らむ。肺が押さえきれねえw》
《プッハーーーー!》
さらに部屋の視界は霞む。
オレ「はいよ。ケイ。こりゃ効くねー。ありがと。」
オレはケイにパイプを返す。
ケイも一服、次にサル。ジュン。エミ。
空気の質が変わっていく。
さっきのハッパより重く、息苦しく、ディープに。
一般人お断り。
「ここの酸素は毒入りです。快楽注意」
パイプは再びオレのとこに。
二周目まで回ってきた。
それをケイに返す。
オレ「なあ、ケイ。それ吸いきっちゃって、詰め直してくれる?ジュンに一服目吸わしてあげたい。」
ジュン「やっさしい!」
まだまだ二周目。三周目、四週目だってあるよ。
次は誰からスタートする?
ーー
オレ《あー。効くねー。音がピカピカだ…。》
また、ジュンが音を変えた。
この子は音楽に敏感。
自分の空気に合わせて音を流してくれる。
このテープは…。
ドライブ用ヒット曲集か。
デュラン・デュラン。
マドンナ。
コモドアーズにカジャ・グー・グー。
「ここはFMジュピタン放送局。
めちゃくちゃな選曲でお届けしています。」
全部好きな曲だから、いつだって、ちょうどいい。
ドラムの軽快なリズムは、現実とのタイム感を引き剥がし、音の時空に誘い込む。リズムは脳のクロック数と同期して、新鮮な感情の目を覚ます。
ベースは心臓の鼓動と呼吸と同期し、血流にグルーヴの波を立て、カラダを駆け巡る。ギターのカッティングはシグナル。
切り裂くように刻み、エフェクトされたアルペジオは、どこまでも遠くにエコーを残す。
オレ《持ってかれるー…。》
そして音の海の中から、ボーカルのメッセージが届く。
リフレックスーー
「反射神経は一人っ子。公園で待ってる。」
「反射神経は暗闇で宝物を探す係」
オレ《へー。そうなの?どーゆー意味だろ?》
目の前の景色は眺めるだけの虚ろに。
余所見した思考が、脱線し加速していく。
みんな好きなように音の世界に入り込めーー。
聞いてるし、効いてるよ。
それでも覚めてるオレの狙いはーー。
サルだけバッドに。
エミちゃんはキレイにトリップしてくれればいい。
ーーーー1時間後。
狙い通りサルは沈黙した。
ーー
オレ「おーい、サルー。平気かー?サルってばー。」
サル「…なーんか、さっきのケイのチョコと酒で重くなった…。ちょい休憩…。」
そりゃ無理もない。
オレ「具合悪かったら言えよ。部屋でゲロだけは勘弁してくれ。」
サル「…ああ。」
サルは木から落ちた。
たぶん小枝だったんだろう。
足場悪くしたのオレなんだけどさ。
ーーふと思った。
これ、同じこと、オレやられたらわかるかな?
ーーオレはわかるな。対応できる。
粉でも味覚で何かわかるし、ハッパもルックスで良いか悪いか判別できる。
これは年期。
それと適切な指導。いい『師匠』たちがいたからだ。
それに自分にいろんな人体実験してる。
これが、でかい。
何度も死ぬかと思ったけど、生還してる。
ーー
効き目もそうだけどさ。
麻薬ってそれにつけられた《名前》を知らないと、何でキマってるのかわからない人、多いんじゃないか?
「ハッパです。飛びます。なくなっても大丈夫です。」
「コカインです。スッキリします。切れるとイライラします。」
「ヘロインです。へろへろゾンビになります。切れると身体中痛みます」
「LSDです。幻覚見れます。落ち込むこともあります。」
まるで処方箋だ。
オレ《いけね!》
ーーーーまた並列した思考が加速してた。
ボーッとしてる場合じゃねえや。
ーーさて、エミちゃんは?
オレ《ぼーっとしてるなw》
ーーーー
オレ「エミちゃん。大丈夫?」
エミ「アタシ…けっこう、決まってます。あんまりダウナーってやらないんで」
ーーほら。当たりだ。
でも、サルみたいにバッドに落ちてはなさそう。
ーーチョロいなー。
もう、ひとかけらずつ用意したけどいらないな。
ケイ「41。ちょっと」
ケイが何か変だと気づいたみたいだけど、シカトしよう。
オレ「なにー?」
ケイが小声で囁いてきた。
ケイ「…このチョコまだある?もう少し分けられる?」
オレ《ーー( *´艸`)何だ。そっちかよーw》
オレ「悪い。もうジュンとやる分しかないよ。ホントちょっとだけなら、何とかかな。また次に同じの入ったら回すよ。ジュン。聞こえてたろ?ケイに2階でこれ…。」
ジュン「はーい」
さすが、ジュンだ。ケイも飲まれてない。
場数を踏んだエリートジャンキーたち。
こいつらも、きっとヤクの見立てやテイスティングできるだろ。
サルはちょっとタフじゃない?
いや、そんなことねえ。
おまえら、今まで会った中でも、全員化物クラスだ。
会わせてあげられないけど『師匠』たちにだって見せられるよ。
さーて、エミちゃんに見えないようにジュンにヤク渡そ…って。
もう見てないか。視線の先はどこ?
LSDが作った神秘の虚空でも見つめてるのかな。
ーー
ケイ「( *´艸`)さんきゅー!やったぜー。しししし。」
オレ「(*≧ω≦)この、美味しんぼジャンキー。死ねっ!ジュン。ケイと2階行ってきてくれる?」
ケイ「死ぬ前に美味いもの食うってキメてんだよ。」
オレ「ごもっとも。ジュンお願い。」
ジュン「わかったー。」
オレ「終わったら呼ぶから。それまで頼む。」
ケイ「何だよ。急に。」
オレ「いいから!ジュンに渡したから、上でブツもらって遊んできて。」
ケイ「はいはい。後で説明しろよ。」
ジュン「ケイちゃん。行こっ!」
《タンタンタン》
二人とも、足音喜んでるじゃねーか。
ジュンとケイが2階に上がり、いよいよ本格的に《異変》調査開始。
杞憂だといいんだけどな…。
めんどくさいのキライなんだよな…。
みんなの安全のためにも、そして何より幻覚のメッセージが何なのか気になる。
今度は『観測者』にモードチェンジだ。




