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第33話《ニルヴァーナ編 暗雲と王冠》

地球を突き破り、めくりあげた痕跡——ウランとダイヤモンドで構成された「水冠状の山脈(クラウン)」。

毒と嵐の極悪な外壁を突き抜けた先に広がっていたのは、光り輝くライムグリーンの林と幻想的なサークルだった。

そこに潜むのは、ねこぴょこたちの能力を盗み、自らを121層の多次元構造で封印した『アタマは空っぽ』の神・エスネコ。

11個のレンズを全解放し、ニヤリと笑う二柱の挑戦が始まる第33話!

第33話《ニルヴァーナ編 暗雲と王冠》


ぴょこにゃん「上空の暗雲をフォーカス。レンズに宇宙放射線フィルター。放射元とされる《エスネコ》予測地点観測、映像化するにゃん」


ーー


ねこにゃん「( ・`ω・´)…あんにょやろー」


ぴょこにゃん「( ・`ω・´)なめられてるにゃん」


レンズのフィルターを通して見えたもの。


山脈の向こう側に「S」の文字が回転しながら浮かび上がっていた。


ーー「これ見えるー?」


挑発というより、おちょくってる。


エスネコはねこにゃん(アルファ)とぴょこにゃん(ベータ)より分裂した新型の《粒》


エスネコは二柱の《知》と《能》が転写されているが、何も冷やさない高性能の冷蔵庫のようなモノだ。


自我はある。だが『アタマは空っぽ』


しかし、ねこぴょこたちの、ふざけながら最適解を生み出す超高速並列循環思考《ふざけシステム》まで転写されているようだ。


そして、ねこぴょこたちをイラつかせたのはその文字の下の矢印。


矢印は「ここ、ここ!」と言うばかりに下を指してぴょんぴょん踊っていた。


だがその間の抜けた目印と相反する破壊的なエネルギーが渦を巻き、空に吹き上がっている。


暗雲に見えていたものは、宇宙のガス星雲のようなモノだった。


そのガスはエスネコの出すエネルギーをエサに、不安定な重力と摩擦による静電気を生み出す。


それが宇宙に飛び出していかないのは、ある力で押さえられているからだ。


《遠い手》ーー二次元レンズの能力の一つだ。


レンズでリアルフォーカスされたものを掴むことができる機能。


エスネコは自分のエネルギーで生み出すガス星雲を掴み、見えないようにしていた。


地上に降り注ぐ《毒》は世界樹の「森」がブロックし、吸収している。


ーー


ねこにゃん「なるほどにゃー。《傘》作ってかくれんぼか。こりゃ衛星からも見えなかったはずにゃん。」


ぴょこにゃん「地球を汚染する分を森がガードしてたってことかにゃ」


森から声が聞こえた。


ーー《…扉を開くモノたち。扉を開けば、この拮抗は終わる。》ーー


ねこにゃん「拮抗?」


《バキバキバギバキ…》


《ゴゴゴゴゴゴ…》


ーー返事の代わりなのか再び森が閉じていく。


ぴょこにゃん「言いっぱなしかよ!メロン号飛べ!」


ねこにゃん「さっきの矢印まで一気に突っ込むにゃん!」


《バッ!》ーーメロン号が光を放つ。そして急上昇。


《キュン!》


ーー《シュイィーーーーーーーン!》ーー


重力と慣性制御可能な機体は《落ちる》ように飛ぶ。


ーー《ドブゥッ!》


メロン号が暗雲に飛び込んでいった。


ーー


ねこにゃん「(*≧∀≦)これ、ラビュタだよにゃ?」


ぴょこにゃん「なぜ笑顔にゃ?」


ねこにゃん「だってもう、あるのわかってるから…」


かみかみ「お外が真っ黒だおー。」


その時ーー《バリバリバリバリ!》


《ピシャーーーン!》


宇宙放射線の雷撃が襲う。


一瞬メロン号の中が白い闇になったが衝撃はない。


雷撃は《滑っていった》


かみかみ「まぶちー!ビックリしたおー」


ねこにゃん「(´・ω・`; )うわわわわ。何も見えにゃくなった」


ぴょこにゃん「((*≧∀≦)雷撃対策は成功にゃ。おりが《ツルツルコーティング》したからにゃ。メロン号。全天モニターにサングラスシールド。そして、おりたちの二次元レンズにカメラをリングするにゃ。


視界が開け、別のものがモニターに映し出された。


《空間の荒波、渦、歪み…》


それらは全て二次元化され、パラパラ漫画のように映し出される。


ねこにゃん「よーそろーにゃ。最適航路選択。重力干渉拒絶!」


メロン号は進路に向かって上下前後ジグザグに激しく移動するがコックピット内は快適そのもの。


メロン号の慣性制御はねこにゃんの《魔のつくもの全て》の力でグレードアップされている。


かみかみは。変化する回りの景色をメロンジュース飲みながら楽しんでいる。


かみかみ「スゲーお!世界ってこんな景色あるんだね!」


ねこにゃん「(*≧∀≦)こんな景色はめったににゃいよ」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)3D録画してあるから、後で楽しむといいにゃん。」


ねこにゃん「ぴょこにゃん。矢印のぴょんぴょん補正するにゃん!」


ぴょこにゃん「ぴょんぴょん補正。未来予測。範囲誤差1キロまで絞るにゃん」


ねこにゃん「あっちも《遠い手》使うなら《遠い手》は、こっちが本家にゃん!なめるにゃよー」


ぴょこにゃん「よし、今にゃ!リアルフォーカス!」


ーー《ピタリ》!!


かみかみには見えていないが、二人の二次元レンズはエスネコの位置を固定した。


二次元レンズにリアルフォーカスされたものは、二次元化され《遠い手》で捕まれる。


ーーねこにゃん「このまま、一気に抜けるにゃん!」


ぴょこにゃん「掴んだぞー。スリングショット。メロン号パチンコ玉モードにゃー!」


スリングショットーー。《遠い手》にゴムのような弾性力をつけて、固定した目標に一気に近づいたり、引き寄せる事ができる能力だ。


それは時空、次元さえ突破する。


《バッビューーーーン!》


ーーーーーー


ーーー《ふわり…》


一気に暗雲を突き抜けメロン号は着地した。


ねこにゃん「あれ?メロン号。サングラスシールド解除。全天モニターを通常に戻すにゃん。」


メロン号ーー《YES》


ーーそこには草原が広がり空は雲ひとつ見えない。


ぴょこにゃん「ラビュタにゃん」


かみかみ「ラビュタってにゃに?」


ねこにゃん「その話もう触れるにゃ。後々めんどくさくなるからにゃ。後で教えるにゃん。メロン号!大気状態確認するにゃ。」


メロン号ーー《YES》ーー


ーー《解析終了》


メロン号の全天モニターに《正常》の文字が浮かぶ。


ーーぴょこにゃん「ここが、中央部だけど…前の林は何にゃ?それに回り見るにょさ。」


そこには。凶暴な森や毒の暗雲に囲まれているとは思えない景色が、広がっていた。


大地は平坦な草原。


かみかみ「きれいだおー!」


草原は低い峰で囲まれていた。


クレーターの痕跡ではない。


水に水滴が「とぷん」と落ちた瞬間ーー


ハイスピード撮影された水冠状の山脈だ。


エスネコが地球を突き破り、めくりあげた痕跡がそこにあった。


目にも見えない小さい粒から出来たとは思えない景色。


その峰は地殻から飛び出たウランとダイアモンドで構成されている。


暗雲と峰の隙間から入る日差しが、ダイアモンドを乱反射させている。


エスネコにデザインされた幻想風景がそこにあった。


ーー


ねこにゃん「なるほどにゃ。だから《王冠》にゃのか。」


かみかみ「お弁当食べながら絵日記描きたいおー。」


ぴょこにゃん「メロン号。かみかみに幕の内弁当ひとつ!とりあえずメロン号から降りるにゃん。たぶんエスネコはあの林の中にゃ。かみかみは残るか?危ないかもしれにゃいし」


メロン号《かみかみ。お待たせしました。どうぞ、お召し上がりください》


かみかみの前に幕の内弁当が出される。収納場所は不明。運んできたのはメロンのシワで出来た触手だ。


かみかみ「えー。ここまで来て留守番なんてヤダおー。エスネコ見たいお。お弁当持ってくおー!」


ねこにゃん「かみかみ。エスネコは見えない《粒》にゃん。おりたちから分かれた《かけら》って話したよにゃ?」


かみかみ「それが、よくわかんにゃいよ。ねこにゃんたちも《粒》にゃんでしょ?」


ぴょこにゃん「確かに言う通りにゃ。でも、エスネコって猫っぽく呼んでるのは《粒》の形が「S」とか「N」に見えたからそう呼んでるだけにゃん。まだ顔も体も名前もにゃいよ」


ねこにゃん「アタマは赤ちゃんみたいなもんにゃ。でも、おりたちと同じ能力持ってるにゃん。」


ぴょこにゃん「それも、おりたちより上にゃ。だから厄介にゃのさ。」


かみかみ「(T^T)グスン…。一人はやだお…。行きたいおー。」


ぴょこにゃん「ありゃ。ゴメン。泣かせちゃったにゃん」


ねこにゃん「わかったにゃ。かみかみ、いっしょにおいで。その代わり危なくなったら、すぐメロン号で逃げるんにゃぞ。」


ぴょこにゃん「おりたち、置いてでも逃げるにゃん。約束できるか?」


かみかみ「(T^T)グスン…。できにゃいお」


ねこにゃん「(´・ω・`; )はー。そーなるよにゃー」


ぴょこにゃん「おい、メロン号。話聞いてたにゃ?危なくなったら、よろずやまで、かみかみ連れて逃げるにゃん。絶対命令にゃ」


メロン号ーー《YES。必ず守ります》


かみかみ「( ;∀;)えー。ヤダおー」


ねこにゃん「おまいに何かあったら、おりたちだって泣いちゃうにゃん。約束したにゃろ?アムリアにも怒られるにゃん。それににゃ、おりたちは危なくても死なない。というか、失くならないにょさ。だから大丈夫にゃ。」


ぴょこにゃん「何かあっても、おまいが先に戻るだけにゃん。心配する事にゃいよ。さあ、行こう」


かみかみ「…わかったおー」


ねこにゃん「(*≧ω≦)ほら。おりたちの間に入りにゃ。」


ぴょこにゃん「(*≧ω≦)手をつなぐにゃん」


かみかみ「( ̄^ ̄)わかればいいんだお。ハイ。」


二柱(ふたり)は、かみかみの手を優しく握る。


ねこにゃん「ふざけるの上手くなったにゃ」


ぴょこにゃん「うちの子だもんにゃ」


かみかみ「ボク誘拐されたお」


ねこにゃん「(*≧ω≦)天才かよ」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦)いや、バカにゃん」


かみかみを挟んで手をつないで歩き出すーー


林は鮮やかなライムグリーンの葉で覆われていた。


ーー


かみかみ「(*≧∀≦)わー!キレイだおー!」


かみかみは手を離しぴょんぴょんと走り出した。いつの間にか小枝を出してタクトのように振っている。


ねこにゃん「きれいだにゃ。かみかみ、この葉っぱたち、おまいの目の色にも似てるにゃ」


かみかみ「(>ω<)そお?」


若葉色の、かみかみの瞳が、日に照らされた林の光で、よりキラキラと輝いて見える。


ぴょこにゃん「おまい、ここ似合ってるにゃ。世界樹っていうより、ここから生まれたみたいにゃん」


かみかみ「(*≧д≦)そんなことないお。。」


ほめられて素直に照れる姿も可愛い。


ねこにゃん「やっぱり連れてきてよかったにゃん。ほらもう一度、手を繋ぐにゃん」


ぴょこにゃん「おりともにゃ」


3人で林を進んで行くと開けた場所に出た。


直径100メートルほどの円形の原っぱだ。


ライムグリーンの林に囲まれた不自然なサークル。

《粒》を隠すには大きすぎる蓋だ。


ーー


ねこにゃん「…ここだにゃ」


ぴょこにゃん「油断するにゃよー」


《スー…》


ねこにゃんが息を吸い上げて叫んだ。


ねこにゃん「ι(`ロ´)ノコラー!起きんかー、バカねこー!」


ぴょこにゃん「( ・`ω・´)/ 死なにゃい、おりたちでも死ぬかと思ったんにゃぞー!」


するとーー。


ふたりの呼び声に反応するかのように、中央部に陽炎のようなモノが浮き出てきた。


それを見たねこにゃんとぴょこにゃんが、瞬時に《知》の共有モードにチェンジする。


こうなると、この二柱(ふたり)は、ほぼ知性があるシステム体になる。


《二次元レンズ。11レンズ全解放》ーー


《時間軸固定。次元フィルター『ビショップ』》


ーー《形状把握。具象化…。成功!》


ねこにゃん「見つけたぞ!」


ぴょこにゃん「コイツ…。」


ーー


ねこにゃん「間違いにゃいね。」


ぴょこにゃん「稲妻形の真っ赤な《S》マークが見えるにゃん」


ねこにゃん「多層…立方体、多次元構造で…魔法陣?これは《魔のつくもの全て》で構築した封印?…こいつ、今の、おりたちの能力まで転写してるにょか!」


ぴょこにゃん「地球に降り立った時にゃ。三次元ねこボディを構築したとき盗まれたにゃん。やるにゃー。」


ねこにゃん「上等にゃん。こんな封印絶対解いてやるにゃん!」


ぴょこにゃん「…待て。よく見ろ…。こいつ《自乗倍》に重ねてるにゃ。」


ねこにゃん「11次元の自乗倍。121層を複雑に絡めてるわけか。ふん。やってやるにょさ」


ぴょこにゃん「能力も知も転写されたけどにゃ。甘く見るにゃよー。ねこにゃん解くよ。」


ねこにゃん「かみかみ。時間かかるかもしれにゃいから、お腹すいたらメロン号で何か食べてきにゃ。ひまならテレビも見れるから。」


ぴょこにゃん「ちょっと待ってにゃよー。パパたちがんばるにゃん」


かみかみ「紅白歌合戦の録画見たいお。モグモグ…。あとは、お茶だぬ。」


真剣に取り組む二柱をよそに、かみかみは幕の内弁当をたいらげていた。


ねこにゃん「(´・ω・`; )それはメロン号に頼みにゃ。緊張感なくなったにゃ」」


ぴょこにゃん「( *´艸`)おまい緊張とかするわけー?」


ねこにゃん「( ̄^ ̄)緊張の夏。日本の夏にゃん」


ふざけながらも真剣に。


エスネコの封印解除が始まった

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