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第29話《ニルヴァーナ編 ボロボロに負けてきた無敵たち》

新章《ニルヴァーナ編》開幕!

第29話《ボロボロに負けてきた無敵たち》をお届けします!

概念たちが暮らす《にゃんこシティ》。

行方不明の「エスネコ」を探すため、伝説の聖地ニルヴァーナへと飛び立ったねこにゃんとぴょこにゃん。

しかし、万能宇宙船メロン号で向かったふたりを待っていたのは、空へ一斉に伸び上がる巨大な《世界樹の森》だった——。

第29話《ニルヴァーナ編 ボロボロに負けてきた無敵たち》


ここは、世界がめくれたあとの地球。


人とは異なる次元にある街《にゃんこシティ》には、ねこの姿をした《概念》たちが暮らしている。


あの日を境に、現実と概念の境界が反転し、《見えなかったもの》が街を歩きはじめた。


一見、風景は人の街と変わらないが、この街は「ねこにゃん」と「ぴょこにゃん」という存在によって再設計されたもの。


彼らが営む雑貨屋《よろずや》は、にゃんこシティでも屈指の人気スポットだ。


店長は《恋》の概念を持つねこ「アムリア」。


店員は、ねこにゃんの「魔のつくもの全て」とぴょこにゃんの「マッドサイエンティスト」の能力によって作られたクローンやゴーレムたちだ。


よろずやに集められた、まだ自我を持たないゾンビ状態のねこたちは、アムリアに恋をしていく。


《アイドル推し》ごっこ、《お店屋さんごっこ》で社会性を学ぶ。ごっこ遊びはゾンビねこたちの教育方法だ。


よろずやの店内には国家級ヒット曲《フンフン in the night》が流れる。


上階の《異次元DISCO》では、音楽に特化させたクローンのDJが、ねこぴょこ厳選のゴキゲンな曲を次々流している。ここで好きなだけ踊り明かすことも可能だ。


こうした「ごっこ遊び」を通して、ゾンビねこたちは徐々に自我を獲得し、自身の存在意味である《概念》の個性が芽生えていった。


やがてその様子を見届けた「ねこにゃん」と「ぴょこにゃん」は、店をアムリアに任せ、本来の目的である《エスネコ》の探索へと旅立ったーー。


彼らは、地球の地図・軍事衛星・あらゆるデータへ侵入し、エスネコの痕跡を探るが、決定的な場所は特定できなかった。ついには伝説や神話、アトランティス、ムー、古代文明に至るまでを調査。その中で、ある伝承に辿り着く──


滅んだ部族の掟。

シャーマンが精霊より言い伝えられたタブー。


「あの山の向こうは、あの世だ」


「行った者も帰った者もいない」


「この世には、見ることも立ち入ることもできぬ場所がある」


それが、地図に記されていない《聖地ニルヴァーナ》。


彼らは万能構造体《メロン号》を開発。


外見は巨大なメロンだが、水陸両用、重力や慣性を制御し宇宙航行可能。


異空間エネルギーで稼働し、ふかふかソファのコックピット、全天モニターを備える。


触手状に変化する外皮の《シワ》は、手足にも武器にもなる万能構造の機体である。


だが、ニルヴァーナに向かったふたりを待っていたのは――。


ーーそれは想像を超える敗北だった。


《エスネコ》を見つけるどころか、ボロボロにされ撤退してきたのだった。


ーー


よろずやに帰還した満身創痍の二人。


チンチラシルバーのボディを持つ、ねこにゃんの輝く体毛はボサボサになり泥だらけ。あちこち焦げている。


また、アメリカンショートヘアのボディを持つ、ぴょこにゃんの美しいシルバータビーの模様はほどけたように、ささくれ立ち、何かに巻きつかれたような螺旋状の傷が全身に広がっている。


ーー

アムリア「おかえりー。って、なによそのボロボロな姿……珍しいじゃない」


ねこにゃん「ただいまにゃん。ニルヴァーナ探しに行ってきたんだけどにゃ。ニルヴァーナどころか、あの森ヤバいにゃん。何かを隠してるか守ってるか……おりたちでも歯が立たなかったにゃ」


アムリア「あの森ってにゃによ?」


ねこにゃん「ニルヴァーナだと思われる場所が巨木の森に囲まれてたにょさ。…いてててて」


ぴょこにゃん「近くの部族には《世界樹》って呼ばれてたけど、ただの木じゃないにゃ」


アムリア「どういうこと?」


ねこにゃん「その森の向こうに《王冠》て呼ばれる山があるらしいんだけど、森が深すぎて姿も見えにゃい」


ぴょこにゃん「おまけに、森が襲ってくるにょさ」


アムリア「森がー!?メロン号で空から行けなかったの?」


ねこにゃん「メロン号の高度まで木がバレーボールのブロックのように、一斉に空へ伸び上がってきたにゃん。まるで“飛行を拒絶する意思”みたいだったにゃ。そして上空は真っ黒な雲と雷撃、放射能の嵐。たまらず墜落したにゃん」


ぴょこにゃん「ギリギリ軟着陸したけどにゃ。それで森に入ったら、迷わされるし、攻撃されるし……」


ねこにゃん「おりたちにもメロン号にも、ダメージ与えられる存在がいるとは思わなかったにゃ」


アムリア「クローンとゴーレム使わなかったの?」


ぴょこにゃん「もちろん使ったにゃん。でも、偽物と判別された瞬間、《木》や《土》にされるにゃ」


ねこにゃん「だから本体で突入したんだけど、通せんぼされるし、ちょっとでもカラダが触ると「木」が怒るし…進めなかったにゃ」


ぴょこにゃん「絡みついてきて、体を土に分解して根を生やそうとするし、鞭みたいに叩いてくるにゃ!」


ーー木々はまるで《見張る者》のように目を光らせ、根は《捕らえる手》のように伸びてきたーー


アムリア「( *´艸`) アンタたち、木に負けたの? 弱っw まあ、無事で帰ってきてよかったけどネ。」


ねこにゃん「(´・ω・`; )無事ねー…。ただの木じゃない。それにあのフィールド、おかしいにゃん。力が弱体化するにゃ」


ぴょこにゃん「あそこにエスネコ眠ってるとしたら、そのエネルギーの影響で、森が変質してるかもにゃ……。いまだにヒリヒリするにゃ」


ねこにゃん「( ;∀;) おりもにゃ。頭もバシバシ叩かれたにゃ……」


アムリア「ぴょこにゃん。アンタの体、ぐるぐる模様の傷ついてるわよ。どしたの?」


ぴょこにゃん「おり、小枝に巻きつかれて動けなくなったにゃん。そしたら熱と酸と放射能で焼かれたにゃ。まるで「焼き付き印」を押されるみたいに焼かれたにゃ…。あちち…。痛むにゃあ…。ねこにゃんが《ハンマー》出して枝を折って助けてくれたにょさ。」


※《ハンマー》とは──ねこにゃん専用の武器。中性子星から削り取った超重量・超硬質の素材で作られている。「魔のつくもの全て」の能力により、出し入れ自由。ピコピコハンマーのように扱えるが、威力は異次元。


ねこにゃん「そしたら森がめっちゃ怒ったにゃ。猛ダッシュで逃げて、メロン号に乗って脱出……でも、メロン号まで絡まれたにゃん。」


ぴょこにゃん「そういえば、おまい逃げるとき、何か投げてなかったか?」


ねこにゃん「10円玉にゃ。《ギザ10》にゃ。あれでメロン号とおりたちのパラレル作って、ごまかしたにゃ。上手くいってよかった。マジ危機一髪。ラッキーだったにゃ」


ぴょこにゃん「(*≧∀≦) 慰謝料10円。余計怒らせたにゃん!」


ねこにゃん「( ・`ω・´)でも何とか逃げられたにゃ。次は攻略方法を考えるにゃ。リベンジ!」


ぴょこにゃん「(´・ω・`; )リベンジ…、できるかにゃあ…?」


ねこにゃん「(´・ω・`; )んー。今んとこ、メロン号の強化くらいにゃ……」


アムリア「(((*≧艸≦)ププッ アンタたち、『無敵』とか言ってなかった?w」


ねこにゃん「(´・ω・`; )えーと…」


ぴょこにゃん「(´-ω-`) そのー…」


アムリア「(*≧∀≦) ボサボサのチンチラと、模様ほどけたアメショー。いったいどんだけボコられたのよw」


ぴょこにゃん「( ;∀;) そーでしたね…」


ねこにゃん「( ;∀;) 自分、思い上がってたっす。世間知らずっす。…粒からやり直したいっす…」


ぴょこにゃん「でも、あそこにエスネコいるって確信したにゃ。あの奥に気配は感じた。でも、すっごい隠れてる感じ。たぶん自分で封印してるにゃん」


ねこにゃん「厄介だにゃー。森抜けた後に封印か。アイツとの、かくれんぼに鬼ごっこは全敗してる。その続きなら、封印は落とし穴とか《罠》みたいなもんだろうにゃあ…。まずは森の攻略だけど、エスネコのエネルギーは、地球にとって《毒》にゃん。それを木がガードしてるとか…?」


ぴょこにゃん「宇宙放射線を防ぐ《木》があるってことかにゃ?」


ねこにゃん「(´・ω・`) わからんにゃ…あの放射線量で生きてるものなんて、普通いないにゃん。遺伝子バラバラになるにゃ。」


アムリア「(`・ω・´) なに小難しいこと言ってるのよ、それより次の曲作りなさいよ。ファンが待ってるんだから!」


ねこにゃん「そうだ! アムリアって、なんでも《恋》に落とせるんじゃないのか?」


アムリア「木と恋愛??イーヤーよっ。…そうだ! その折った小枝ってどうしたの?」


ぴょこにゃん「どうしたもなにも、逃げるので精一杯だったにゃん。」


ねこにゃん「アムリア、どうしてにゃ?」


アムリア「だって、その森って生きてるんでしょー? 折った小枝を人質にすればいいんじゃない?」


ぴょこにゃん「天才かよ、木を人質? もくじち?」


ねこにゃん「それ面白いけどにゃ…。木に感情あるなら…。アイデアとしてはいいけど、戻るの大変にゃ。生きてるなら意志があるし、さらにボコボコにされそうだにゃ。」


ぴょこにゃん「おまいが投げた10円玉って、おりたちのパラレルにゃんだろ? あの木が意思あるなら、根っこで世界中にネットワーク張ってる可能性あるにゃん。」


ねこにゃん「……何が言いたいにゃ?」


ぴょこにゃん「おりたちを見つけて、仕返しに来るとか?」


ねこにゃん「小枝の逆襲…?」


ぴょこにゃん「そしたら、かもネギにゃん。」


ねこにゃん「(*≧∀≦) かもネギね。そんな上手くいけばいいにゃあ。験担ぎにゃ。かもネギで、おそばでも食べよっか?」


アムリア「アタシも食べたい。アタシのアイデアだからね。アンタたち、鴨そば作りなさいよ。」


ぴょこにゃん「まず、カラダの修理と食事だにゃ。」


ねこにゃん「あんだけ鉄壁だからにゃ。エスネコが隠れてる可能性は高いにゃ。」


ぴょこにゃん「森は立ち入り禁止にする役目か。」


ねこにゃん「あの森、越えたらもっとヤバそうだけどにゃ。」


アムリア「ねえ。鴨そーば! 忘れたのー?」


ぴょこにゃん「そーだったにゃ。そば食べて出直しになるか、仕返しも可能性に入れて作戦会議にゃん。」


アムリア「( ・`ω・´)おそば食べてる時、作戦会議なんてやめてよね。それよりアタシの新曲考えましょ。」


ねこにゃん「お姉ちゃん! 鴨そば上がったよ!」


アムリア「いただきまーす。」


ねこにゃん「ぴょこにゃん、まず食べるにゃん。」


ーーーーアムリアの何気ない一言。

折られた世界樹の小枝に、異変が起きていた。


「この10円玉で、探しに行ってくる!」


森の奥から、小さく呟く声が聞こえた。

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