↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/96

第28話《サキュパスとプレデターが来る家 後編》

第28話《サキュパスとプレデターが来る家 後編》!

「友達とボンドやってる時に見た幻覚」という奇妙な共通点で意気投合する41とMちゃん。

しかし、深夜の本牧で起きる現象は、冗談では済まない“本物の異常”だった——。

第28話《サキュパスとプレデターが来る家 後編》


Mちゃんと二人でジャムセッション。リズムボックスでテキトーに選んで弾く。


ーーミキサーで録音したモノを聞いてみる。


オレ「(≧∀≦) ここらへん! あはははは」


Mちゃん「(≧∀≦) ここだよね。あはははは」


オレ「しゃべってるなー。ちょうど飽きてきて、雰囲気変えようよってとこだよね」


Mちゃん「そう。目が合った」


オレ「Mちゃんのここのリフ、カッコいいな。このタイミングばっちり」


Mちゃん「41もここでスバっと変えたもんね。考えてたの?」


オレ「いや、ぜんぜん。なんとなくこうしたら、このリフ入ってきたんで、切れ味いいのに変えちゃおうって」


Mちゃん「息止まるね、ここ」


オレ「そーした。無駄な雑味入れないで、スペース作ろうって思って」


Mちゃん「41のグルーヴ独特だよねー」


オレ「そう?」


Mちゃん「んーと、なんか違う」


オレ「変かな?」


Mちゃん「わざとやってるの? コレ」


オレ「わざと? んー…ずっとリズムマシーン相手だったから、わかんない。ズレてる?」


Mちゃん「いや、リズムは正確だよ」


オレ「でも、そう言われて聞くと変かも…。Mちゃんもこのグルーヴに合わせてるんだもんね」


Mちゃん「(*≧∀≦) うねうねしてる」


オレ「(´・ω・`; ) うねうね…?」


《よくわからん…》


ーーーー

途中、休憩入れながらも半日以上弾きっぱなし。


ロック、ソウル、ファンク。ジャズっぽくフォービートや、ミニマルミュージックみたいのまで。


途中で他の楽器試したり、エフェクターかけて不思議音楽みたいのもやって大笑い。


そろそろネタも尽きて、さすがに飽きてきた頃──


ーー


Mちゃん「なあ、プレデターって映画見たことある?」


オレ「突然、映画の話? あるある。面白かった。会った頃《遊星からの物体X》Mちゃんちで見たよね。エイリアンとか正体不明系のヤツ、好きだよ」


Mちゃん「さっき、“もっとヤバイ話ある”って言ったじゃん。それがプレデターっぽいんだよ」


オレ「Mちゃん、実はさ……これ、誰にも話したことないんだけど、映画のプレデター見たとき《こいつ見たことある!》って思い出したんだよ。中学生の時なんだけどね」


Mちゃん「え!? 41も見たことあるの?」


オレ「《も》って何? Mちゃんも見たことあるの? オレ、ガキの頃友達と『ボンド』やってる時に見たんだよ。幻覚。輪郭がボヤけた透明な人みたいのがさ、オレの前をゆーっくり通りすぎてったの。こんな風に…」


ーーオレは立ち上がって、手足をゆっくり動かして歩く動作をした。


オレ「さらに言うとね、ちょっと、こっちの視線に気づいた気がするんだ。そいつがゆっくり移動しながら、横向いてオレを見たように見えたの。怖くて“見えてないフリ”したら、通り過ぎてった」


Mちゃん「いるよね!」


オレ《はあ!? いるのー?》


オレ「Mちゃんも見たことあるの?」


Mちゃん「ある。41と同じで、ガキの頃、あんパンやってる時の幻覚で見た!」


オレ「おー! 目撃者増えた! やっぱりいるんだ」


Mちゃん「絶対いる!」


オレ《何この連帯感…。でもLやって首都高走ってる時にジュンたちも同じ幻覚見たしな…》


オレ「もしかして、夜中の2時頃来るって、“プレデター”が来るの? めちゃ怖いんだけど」


Mちゃん「んー、プレデターっぽいって言うのかな…。41、玄関のカギ閉めたよな?」


オレ「閉めたよ。でも、念のためもう一度確認してくる」


ーー

玄関はしっかりカギがかかってた。

部屋に戻ってMちゃんに伝える。


オレ「カギ閉めてあるよ」


Mちゃん「もう少ししたら来るよ。待っててみ」


オレ「ねえ、何があったの?」


Mちゃん「夜中にマリちゃんを訪ねてくるヤツがいるんだよ。マリちゃんって、普段台所でテレビ見てるじゃん? そいつと夜中にマリちゃんが話してるのが聞こえるの。オレも最初、“こんな夜中に誰だ?”って思って台所行ったら、マリちゃんしかいないんだよ。でもまた部屋に戻ると、会話が聞こえてくるの。不思議だろ?」


オレ「相手の声も聞こえるの?」


Mちゃん「聞こえる。でも何話してるかまではわからない。ボソボソって、ノイズみたいな感じ。でも、マリちゃんの声はしっかり聞こえる。フツーに友達と会話してるみたいに、笑い声まで聞こえてくるんだよ」


オレ「…マリちゃん、変なのに取り憑かれてる? いつからなの?」


Mちゃん「正確には覚えてないけど…。41、そろそろ静かに待ってな。そして、そこの小窓見ててみ」


ーー小窓というのは、Mちゃんの部屋の扉の灯り取りの曇りガラス。玄関の廊下の明かりが見えている。


オレ「あそこ通るの見えるわけ?」


Mちゃん「そう。よく見えるように、この部屋の灯り暗くして待とう。入ってくるから」


Mちゃんの予告した2時を過ぎる。


オレ「…Mちゃん?」


Mちゃん「シーっ」


オレとMちゃんは気配を消して《プレデター》を待っていた。すると――


《ガラガラガラガラ…》玄関の開く音。


《ギッ、ギッ…》床を踏む足音が聞こえる。

そして、小窓を人のアタマの影が横切っていった。


オレ「…? Mちゃん…?」


Mちゃん「まだ、待ってろ」


小さな声で話す。


《ギッ! パタン!》

玄関から突き当たりの台所の扉を開けて閉まる音。


ーー

マリちゃん「あー、いらっしゃい」


オレ「…どういう事?」


Mちゃん「だから、わからないんだってば」


さらに、Mちゃんの言った通り、台所からマリちゃんが会話してるのが聞こえてきた。


オレ「ヤバくない?」


Mちゃん「41。もう少ししたら見てきてよ」


オレ「(´・ω・`; ) オ、オレぇ? 行っていいものなの?」


Mちゃん「だって、オレ何回か見に行ってたら、マリちゃん不機嫌になっちゃってさ。41なら、“飲み物取りに来ました”って言えば大丈夫だよ」


オレ「そのために呼んだだろ? ふ、不思議検証してくる隊員?」


Mちゃん「(≧∀≦) お前なら行ける!」


台所は、会話が弾んでるように感じる。


Mちゃん「ほら、行け!」


オレ「何か、Mちゃん楽しそうだなー。じゃあ、そろそろ突撃してくる!」


Mちゃん「(≧∀≦) 行ってこーい!」


オレはMちゃんの部屋を出て、まず玄関のカギを確かめた。


オレ《閉まってる。それに、この家のカギかける時は“カチャッ”て音するよな…。それに…靴もない》


静まり返った玄関。

台所からはMちゃんの部屋にいたときより、会話が大きく聞こえる。


オレ《(´-ω-`)これ突撃して良いもんなのかな?ビビって帰っても、またMちゃんに突撃させられるよな》


オレ《よし!》


オレは台所のドアを、何事もないように開いた。


《ガチャ》


オレ「マリちゃん。飲み物取りに来たー。」


オレ《う!誰もいねー…でも何か会話を中断させたような雰囲気…》


マリちゃん「(*≧∀≦)好きなもの持ってっていいよー」


台所のテレビが深夜の通販番組を映してる。

音なんて出てない。


ーー

オレ「じゃあ、またJAVATEA持ってくるね。お邪魔しましたー」


オレ《ヤバッ!つい「お邪魔しました」とか言っちゃった。まだ帰るわけでもないのに……》


マリちゃん「またなくなったら取りにおいで〜」


オレ「ありがと!また来ると思う」


そーっと早足で台所を後にした。


扉は背中側。

少したつとまた、中断した会話がかすかに聞こえてきた。


オレ《オカルト現場に私はいる?》


Mちゃんの部屋に戻ると、Mちゃんがニヤニヤして待ってた。


Mちゃん「(*≧∀≦) な? いないでしょ」


オレ「鍵も閉まってたし、誰もいないよ。……何なのこれ?」


マリちゃん「んー、マリちゃんが何か呼び寄せてるのかもだけど、よくわかんないね〜」


部屋に戻ると、台所からマリちゃんと“誰か”の話し声が聞こえている。


オレ「……これは、アレですね」


Mちゃん「アレとは?」


オレ「友好的なプレデターということで、いいんじゃないかと」


Mちゃん「41、連れて帰ってよ。さっきサキュバスにお願いしてたじゃんw」


オレ「男はやだよー。……ん?性別不明か」


Mちゃん「オレが最初に、マリちゃんが“夜中に男連れ込んでるんじゃないか”って思っただけだよ」


オレ「謎すぎる……」


Mちゃん「けっこう参ってたけど、41が来てくれたから楽になったよ」


オレ「オレ一人だったら、ビビってたかも」


Mちゃん「だろー?」


オレ「気分転換に音出そうか? ヘッドホンでさ」


Mちゃん「夜中だしな……」


オレとMちゃんは、謎のプレデターから目を背けるように、ジャムセッションを再開した。


——しばらくして。


《バタン!》


台所の扉が閉まる音がした。


思わず小窓に目を向けると、アタマの影が通り過ぎた。マリちゃんの声が聞こえる。


マリちゃん「またねー」


ギッギッと足音がして、カギを開け閉めする音もなく、「ガラガラ……ガラガラ、パタン」と玄関の扉が閉まる。


オレ「Mちゃん!オレ見てくるわ……」


オレ《やっぱり、カギは閉まってる》


Mちゃんの部屋に戻る。


オレ「プレデター、帰ったみたい」


Mちゃん「そーなんだよ。41、もう一度台所行ってきて。マリちゃん見てきてよ、飲み物もw」


オレ「やだよ〜!怖いって!タイミング不自然だし!」


Mちゃん「(*≧∀≦) にゃんけんで決めよう」


オレ「……ならば、仕方あるまい」


オレ・Mちゃん「にゃーんーけーん、ぽいっ!」


オレ「ねこぴーちゅキラー!」


Mちゃん「スーパーグー!」


オレ「( ;∀;) 一番悔しい負け方した……」


Mちゃん「(*≧∀≦) 勝負の心、ってやつよ」


オレ「行ってきまーす……」


台所で、マリちゃんはテレビを見てた。


オレ「また飲み物もらってくね」


マリちゃん「多めに持ってっとけば?……あ、ぬるくなっちゃうか。お腹すいてない?」


オレ「お腹はすいてないよ。うどん美味しかったし……」


《……あれ? キッチンテーブルにコップが二つある》


《それに椅子も、誰か座ってたみたいに引いたまま……》


《誰か来てたの?》


《聞いてみたい。でも、こええ〜……》


部屋に戻って、Mちゃんにコップのことを話した。


Mちゃん「コップの飲み物、減ってた?」


オレ「そこまでは見てなかった……」


Mちゃん「(*≧∀≦) じゃあ、もう一度見てきてよ」


オレ「じゃあ、またにゃんけんやる?」


Mちゃん「(*≧∀≦) 今日のところはこれでいいんじゃない? あはははは」


オレ「41は“悪魔”ってたまに言われるけど、Mちゃんの方が悪魔だよね」


Mちゃん「あ!それオレも言われたことある!41といろいろ被るね。ガキの頃のプレデターの幻覚も、さっきのも一緒に見たし!」


屈託のない笑顔。


この笑顔に、信者たちはやられるんだろうなー。

男も女も、Mちゃんに《恋》して、嫉妬するんだろ。


一人占めしたくなって。


——さっきのプレデターも。


友達とばかり遊んでるMちゃんへの、マリちゃんの嫉妬が作り上げた“幻”なのかもしれないって思った。


オレ《ん?》


オレ「ねえ。Mちゃん。話変わるけどさ。ニルヴァーナばっかり聞いてたって言ったよね?」


Mちゃん「ん?ああそうだよ。何で?」


オレ「何で…?何だっけ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。