第23話《幻聴テレパシー》
第23話《幻聴テレパシー》!
ここから舞台は一気に198X年東京・新宿ダウンタウンの現実世界へ突入!!
高次元のねこ世界も「にゃんけん」も、すべてオレ(41)が見ていた「明晰夢」だった……!?
脳みそがバグりかけた41を待ち受ける、シラフで起きる謎のテレパシー現象。
80年代アングラの匂いと異次元の波長が混ざり合う、現実パートの開幕です!
第23話《幻聴テレパシー》
ここは東京N23区。
新宿ダウンタウン西側の住宅街にある、蔦の絡まる一軒家。──41の家。
ーー
《ピピピピピ。ピピピピピ…。》
目覚まし時計の音ーー。
オレ《ぬあ?!》
オレ《…。》
オレ「んーーーーっとぉ!」
《バサァ!》
タオルケットを一気にめくる。
オレ「…ふう。生きてる…。」
オレ《起きた…んだよな?》
オレ《また、あの夢…。続きどうなったんだろ…。》
ーー
オレ「ふぁー。よく寝たわー。」
オレ「今日見た夢、面白いから忘れないようにメモしとくかー。…いや、待てよー。もし、突然、死んじゃって、こんなの見つかったら、アタマがイカれてたって思われ…?うーむ。」
オレ「あ、ヤバ。また独り言、言ってる。あ…これも独り言だ。」
オレ「なんだかなー…。」
ーー
オレは最近、面白い夢を見るようになった。
きっかけは、あのLSDで見た異空間の幻覚かもしれない。もともと明晰夢はよく見てたけど、最近のは明らかに違う。
夢の中で、長い長い物語を「見させられてる」ような感覚。
ねこたちが二足歩行で、デタラメな構造の街を楽しそうに遊んでるんだ。
オレはそれを、間近で見てる。
彼らの会話を聞いて楽しんでる。
ーーでも、話すことはできない。
映画でも、仮想空間でもない。
あまりにもリアルすぎる。
しかもその世界では、自分の姿が見えない。
さっき見てた夢では、ピンク色のかわいいねこが店で握手会をしてた。そこに何か揉め事が起きて、2匹のねこが仲裁に入る。──結局、じゃんけんで決めようって話になってさ。
でも、じゃんけんの出し方が変なんだよ。
まず、ねこなのに指が見えるのもおかしいんだけど、小さいなりにきちんと形を作ってて…。
しかも、かけ声が「にゃーんけーん、ぽいっ」だって。
「にゃんけん」? ねこだから?
店を出ると、そこには古代遺跡みたいな巨大な石板が立っていて、「にゃんけん」のルールがレリーフで刻まれてた。
・ねこぴーちゅ
・スーパーグー
・オーケーパー
・ねこぴーちゅキラー
この四すくみのじゃんけん。
──まるで、何かを教えられてるような夢だった。
これまで明晰夢で閃いたり、悩みの答えが見つかったことはあったけど、今回は違う。
見せられて、覚えさせられてる。そんな感覚。
だから最近、寝るのが楽しみになってきた。
また続きを見たいんだ。
ーー
ジュンやサル、ケイにも話してみたけど──
返ってくるのはいつも同じ反応。
「作ってるだろ」
「イカれてる」
「狂ってる」
「やりすぎじゃない?」
……ああ、話さなきゃよかったって後悔する。
まぁ、そりゃそうだよな。
オレだって自分で「アタマ大丈夫か?」って思うレベルだもん。
でも、もし《あちら側》から「まだ同じ夢見てる?」って聞かれたら、オレはきっと「見てるよ」って答える。
ーーいや、
「また、来たよ」かな?
オレ《マジでだんだん狂ってきてるんだとしたら…?》
ーー「あんた、狂ってるよ」
ーーオレ「自分は狂ってないだろうか?って考えてるうちは大丈夫らしいぜ」
元カノとこんなこと話してたな…。
ネガティブな感情が空気を重くする。
言葉にならない不安。
何に怖がってる?
オレは何者で…。
欠損した記憶。
欠損した感情ーーオレにないもの。
モヤっとしてるけど確かに《ある》
そして、確実に《ない》
小さいときから、これに何度も向き合ってるけど、わからないんだ。
ーー
オレ《(*≧ω≦)無理!まだ大丈夫だろ。そんときはそんとき!》
オレ《あの夢は特別!見てみなきゃ、伝わらないよな。だって──映画?アニメ?違うな…。もっとリアルな…。疑似体験?いや、明晰夢だからな。カラダはないけど体験してる?…。》
オレ《バグるー。やっぱりこれはケイたちには説明できねえ。伝わるとしたら…。…しか、いねえよな。》
オレ「(*≧ω≦)よし!終わりー!」
これ以上考えるのやめよう。
追求してたら、意識が何光年も先に飛んでっちまう。
ーー
オレ「今日は…ヒマだー。」
さてさて、何しよう。
夕べも、いつものようにみんなで大騒ぎしてたんだよな。でも、みんなそれぞれ用事があるって帰ってった。
ジュンとも同棲してるわけじゃないし、今日はオレ一人。
オレ《つまんない。寂しい。…こんなとき『チェリー』がいてくれたらな…》
ーー
だけど、この夢の話がしたくてたまらない。
「にゃんけん」を誰かと試したくてたまらない。
そうなったら、一択しかない。
──Mちゃんに聞いてもらおう。
Mちゃんなら、きっと面白がって聞いてくれる。
ーー
そんなことを考えていた時だった。
ーー「41!」
オレ「( ・-・)…Mちゃん?」
オレ「( ̄~ ̄;)んーーっ!?」
後ろから──「41」って呼ばれた。
間違いない。聞き慣れたMちゃんの声。
オレ《(´・ω・`; )……え? 幻聴?オレ、起きたばっかりだぞ。何もキメてない。完全にシラフ?…だよな?」
でも確かに、聞こえた。
オレ《呼ばれた…》
反射的に、Mちゃんに電話をかける。
《トゥルルルルル!》ーー《カチャ》
オレ《お、珍しい。ワンコールで出た。》
オレ「もしもーし。41でーす。Mちゃん?」
──次の瞬間。
受話器の向こうで大騒ぎが始まった。
Mちゃん「ギャアーーー!おい!マリちゃん、この電話41だよ!」
マリちゃん「うそ!キャー!なんでー!?」
Mちゃんと奥さんの声が、受話器から漏れてる。
オレ《( ̄~ ̄;)え?なにごと?》
そしたら、Mちゃんが電話口に戻ってきて、こう言ったんだ。
Mちゃん「(*≧∀≦)アハハハハ。あー。びっくりしたー。ちょうど、マリちゃんと41の話しててさー。41、何してるかなって話してたんだよ。そしたら、いきなり電話鳴って、出たら41なんだもん。驚かせるなよなーw」
オレ「えー!マジでっ!?オレもびっくりだわ。電話する直前に、Mちゃんに『41!』って呼ばれた声が聞こえたの。だからすぐ電話したのさ。そしたら……。あれ?Mちゃん?聞いてる?」
また電話が遠のいて、受話器から奥さんとMちゃんのやり取りが聞こえてくる。
Mちゃん「マリちゃん、マリちゃん!41もオレに呼ばれた声が聞こえたから、すぐ電話したんだってさ!何だこれー?アハハハハ」
マリちゃん「キャー!こわーい!なにそれアンタたちー!」
そしてMちゃんが、再び受話器に出る。
Mちゃん「いいから、今からうちに来い!こっちで話そう!」
オレ「りょーかーい!すぐ行く!じゃあねー!」
Mちゃん「すぐ出ろよ。」
オレ「え?」
Mちゃん「どーせ、今からキメるんだろ。オマエは、そっからモタモタするからさ。時間もったいないから、そのまま出ろよ。」
オレ「さっき起きたばっかなんだよー。シャワーも浴びてないし…。」
オレ「(*≧ω≦)いいから!じゃあね!」
《ガチャ》ーー
オレ《切られたー》
勢いのまま話して、Mちゃんちに、すぐ行くことになった。
オレ《あれ?》
オレ《……え? てことは──Mちゃんと奥さんがオレの話してたら、オレの幻聴になって、オレを呼んだってこと?まるでテレパシーじゃん。》
オレ《そのうち、電話なんていらなくなるかもなw》
オレ「(*≧ω≦)やっとわかった。今さらかよ。そりゃビックリするわー」
オレはいつもこうだな。
アタマが悪いわけじゃないと思うんだけど、理解が遅い?
ま、よくわかんないけど
──Mちゃんとの不思議は、昔から「当たり前」だ。
Mちゃんは、日本でも超有名なベーシスト。
一回り以上年上だけど、一番大切な友達。
19の頃に出会ってから、ずっと可愛がってもらってる、オレの道標みたいな人。
恩人であり、オレを作った人だ。
ーー
さぁ、とっととシャワー浴びて準備しよう。
ベース担いで遊びに行ってさ。
音でペチャクチャしゃべるんだ!




