第18話《恋の概念のねこ アムリア》
第18話《恋の概念のねこ アムリア》
《ちゅどん!》
ねこにゃんとぴょこにゃんが、ピンクのねこの目の前で爆発した。
――にもかかわらず、そのピンクのねこは無傷。
爆風も破片もすべて爆発の中心に吸い込まれ、瞬時に消滅していた。
アムリア「……ダーメネー。まったく何なのよアイツら。いつも話の途中で爆発しちゃって。たぶんアタシの魅力なのよネー。次また来たら、もっと爆発させちゃお〜っと♪」
ーー
スタスタと立ち去るピンク色のねこ。
その種族はおそらく《スコティッシュフォールド》だが、見た目は他のねこたちとは明らかに違っていた。
ショッキングピンクの体毛は不自然なほど発光している。
青空のようなスカイブルーの瞳はガラス玉のように大きく、どこか人形じみていた、
一般に、ねこの性別は生殖器で判断されるか、オス・メスの身体サイズの違いで判別される。
しかしこのピンクのねこは子猫サイズだが、くびれた腰と細長い四肢を持ち、遠目にも “女子” とわかる。
そして、自我があり「自分」を理解している話し方。
概念のねこの中でも《異質》と《魅力》が際立っていた。
そんな彼女の姿を遠くから双眼鏡で見ている、二匹のねこがいる。ーーねこにゃんとぴょこにゃんだ。
先ほど爆発したのは、ふたりのクローンである。
---ー
ねこにゃん「(´-ω-`)……これで何体目にゃ?」
ぴょこにゃん「もう10体目にゃ。まだ直接のコンタクトは無理にゃ。でも、今回のほうが耐久時間更新したにゃん」
ねこにゃん「やっぱ、あのピンクに《恋心》持った時点で爆発するように設定しといて正解だったにゃ」
ぴょこにゃん「安全策としては当たりにゃ。クローンといえど、おりたちとほぼ同じ意識構造してるからにゃ」
ねこにゃん「それにしても10体って。《困難》なんて初めてにゃん」
ぴょこにゃん「エスネコ分裂してから《初めて》だらけにゃ。並列思考でクローンの意識は感知できるけど、もし完全に接続したままだったら、すぐ本体まで浸食されてたにゃ。怖っ…。」
ねこにゃん「これ……《感情》ってやつかにゃあ。もう少し生命体ってモノを理解すればコントロールできるもんじゃないのかにゃ?」
ぴょこにゃん「たぶん無理にゃ。そもそも、おりたちが《生命》なのかも、定義できてないにゃ」
ねこにゃん「確かに。おりたちコピーやパラレル体は作れるけど、それだけじゃ「子孫」とは呼べにゃいもんね」
ぴょこにゃん「《子供》や《家族》を残すって概念は、時間の流れがあるから意味があるにゃ」
ねこにゃん「《無限》の存在なら、バトン渡す必要がないにゃ。そもそも《存在》じゃないしにゃ。……ん?じゃあ、エスネコって、おりたちの《子供》なのかにゃ?」
ぴょこにゃん「あれは……わからん。考えても無駄なことしかわからんにゃ。でもたぶん《恋》って生命をつなぐ過程で必要な感情なんだにゃ」
ねこにゃん「《喜怒哀楽》はパターン化できたけど《恋》は全部入りで、しかも暴走型にゃ」
ぴょこにゃん「(*≧ω≦)暴走か…。」
ーー
ねこにゃんの言葉に、ぴょこにゃんの使ってない演算装置が動き出した。また、ねこにゃんも、その変化に呼応する。
《自我はアルファてありベータである》
そもそも二柱は独立した自我を持つが、「ベア」であり「一つ」である。
ーー
ねこにゃん「なあ、爆破装置、取ってみる?」
ぴょこにゃん「……おまい、それナイスアイデアにゃ!いっそのこと、クローンたちが《恋の奴隷》になるとこまで観察してみるにゃ?」
ねこにゃん「でもそれ……一つ問題があるにゃん」
ぴょこにゃん「にゃんだ?」
ねこにゃん「その状態になったクローンたち、どうするにゃ?学習だけして…消す?」
ぴょこにゃん「いや、それは「何となく」だがイヤにゃ。うまく言語化できにゃい。そのとき……おりたち、どんな気持ちになるにゃ?」
ねこにゃん「……だったら、最初から《特攻》するかにゃ?」
ぴょこにゃん「おまい、単純で助かるにゃ」
ねこにゃん「それ、ほめてるにゃ?皮肉にゃ?」
ぴょこにゃん「もちろんほめてるにゃ。《特攻》って概念、見落としてたにゃん。おまい天才にゃ」
ねこにゃん「おり、全然わからんにゃ。説明聞くのめんどくさいから、意識つなぐにゃ」
ぴょこにゃん「おっけーにゃ。今、つなげるにゃ」
《知》の共有モード。
超高層並列循環思考が起動する。
《ピカ!》
二柱の額と額が近づき、間に小さな真紅の稲光が走る。
ねこにゃん「(*≧ω≦)にににに。概念むずかしいねん。」
ぴょこにゃん「(*≧ω≦)コラ。ねこらしく語尾に、《にゃ》をつけろにゃねん!」
《恋》とはまるで無縁の、二人の《恋》の攻略が始まった。




