4話
─ピッ
目の前で本の持ち主は横たわっていたが
数分ですべて消え、そこには白い床があった。
「私の……せいじゃない…
わ、私は火が使えるか試しただけ…そう…
試しただけ……悪くない…」
─ピッ
[ 頁人に変化があるため画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
[ 継承可能なものを取得したことにより
頁人:初代に継承システムが解放されました。
解放と同時に理解済みです。]
─ピッ
「先に進みたいけど、どうしたら…?」
とにかく何もないこの部屋。
真ん中に台座があるのみ。
台座に近寄るあやかは
台座にあるくぼみが気になった。
「なにかここに置くんだろうけど、ここには
何も無いし、私も何も持ってない。でもこれ……
本と形が似てる…?
何もないし、置いてみよっと」
あやかは本をそこへ置いてみた。
他に試せるものがない。
……ヴー……ヴ……ピー…
部屋に正解なのか不正解なのか
どちらとも言えるし
どちらとも言えない音が5秒ほど鳴る。
鳴り終わると、声が聞こえた。
先程の音同様に
アナウンスとも受け取れるが
塔が喋ってるとも受け取れる。
『頁人の本を受け付けましたよ。
──止めるか消してください。
あなたを見ていますよ。』
「合ってた?みたい?とにかく塔を登って行こう。
それより誰だったんだろ…」
言葉はすぐ消え、無音に戻る。
あやかの目の前には階段が現れていた。
ただまっすぐの階段ではなく、螺旋階段。
本を取り、進む。
「これを登って行けばいんだね
でも、足が思うように動かないな…
重いし…体冷たいし……エアコン効きすぎ…?」
─ピッ
[ 頁人の移動と変化を確認しました。
画面を切り替えます。]
.,……ザザッ…ウィーン
移動距離:20段ぐらい
体温:下がってる
動作:軽快さの消失
寿命:残り数スクロール
─ピッ
あやかは螺旋階段を登っていく。
特別な階段じゃないのに
1段1段が異常に高く感じる。
足を上げるのもやっと。
ようやく登りきった。
─ピッ
[ 塔の2階層到達、おめでとうございます。]
[これからも、安心して下へ進めてください。
また、頁人に変化があるため
画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
寿命:終わった
継承:開始
[ あなたの指の動きにより
頁人:初代の命がなくなりました。
スクロールは常時確認しています。]
[ これより、自動的に継承を開始します。
しばらくお待ちください。]
【継承開始……】
【人物データを読み込み中……】
【継承内容を確認中……】
【成功……】
[ 継承は成功しました。
継承後の頁人を表示するため、
画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
頁人:2代目
名前:絢香
初期設定:火
状態:健康
継承:初代から引き継ぎました。
他頁人の殺害の有無
するな
行け
ある
[ 安心して下へ進めてください。]
─ピッ
あやかは登りきってそのまま倒れ
言葉を発する前に死んでしまった。
同時に、継承が始まり成功した。
「いててて…階段でコケちゃった。
なんか高くない?この階段、きのせい?」
倒れていたあやかの姿は消え
倒れていたままの形でそこへ現れた絢香。
「でも、擦りむいたりしてないしよかった。
ただ…手がなんか気持ち悪い
手汗……じゃない、ならなんで?」
絢香はもう片方の手に握られていた本を開く。
不思議に思うことはなかった。
ほぼ直感に近い感覚で理解した。
「そう…私は2代目なの
手の気持ち悪さはこれか…。
仕方なかったのかもしれないね。とにかく
私はちゃんと私に渡せたんだね。
じゃあ、私も私になにか渡さないとね。」
─ピッ
[ 頁人の変化と目的の更新が
あるため画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
目的:塔を登る
目的:排除
体温:39.5、正常
状態:問題なし
動作:絢香のものを再現、軽快
─ピッ
「さて、行かなきゃ
リュックと本と、よし!いくぞー!」
絢香は目の前の扉を開ける。
あやかは登りきっただけ。
キーー…ザバー…ザバー……
波の音。
扉の先に広がっていたのは広大な海。
絢香はその砂浜に出た。
絢香以外には誰も見当たらない。
「おおー!海だー!まぶしー!あちぃ〜!
日焼けしちゃうな、えっと……
げ、日焼け止めないじゃん!
ていうか!何も入ってないけど!??
もういっそ焼いちゃおう!
黒ギャルになっちゃうか!!」
リュックに本を入れ、置いて
海でジャバジャバと1人はしゃぐ絢香。
─ピッ
[ 頁人の火の使用を受け付けました。]
【許可……】
[ 火の使用が許可されました。
直ちに、実行します。]
─ピッ
「……足は冷たいんだけど…足以外……
あ………あつ…い……なぁ
太陽……あ…あ…あつすぎ……い」
ボッ……パチ…パチパチ……
ジュッ…ジュッ……
燃える音と水に落ちる火の音が
波の音の中に混ざった。
一瞬で焼かれた。真っ黒に。
─ピッ
[ 頁人に変化があるため画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
頁人:2代目
名前:絢香
状態:焼えた
原因:自分への火の使用
継承:可能
死因:自殺
[ あなたの指の動きにより
頁人:2代目の命がなくなりました。]
[ これより自動的に継承を開始します。
しばらくお待ちください。]
【継承開始……】
【人物データを読み込み中……】
【継承内容を確認中……】
【成功……】
[ 継承は成功しました。
継承後の頁人を表示するため
画面を切り替えます。]
……ザザッ…ウィーン
頁人:3代目
名前:綾香
初期設定:火
状態:健康
継承:2代目から引き継ぎました。
他頁人の殺害の有無
初代からの死
するな
[ 継承できなかったものと
新たに継承できるものを取得しました。
継承できない場合があるのは、仕様です。
安心して下へ進めてください。]
─ピッ
絢香は立ったまま焼死体になり、
足だけは海へ流された。
砂浜には本の入ったリュックのみ。
「……ここ…は…?あれ?なんのドア…?」
─ピッ
[ あなたは綾香です。]
[ 色々お任せします ]
─ピッ




