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4/10

4話

─ピッ



目の前で本の持ち主は横たわっていたが

数分ですべて消え、そこには白い床があった。


「私の……せいじゃない…

わ、私は火が使えるか試しただけ…そう…

試しただけ……悪くない…」



─ピッ



[ 頁人に変化があるため画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


[ 継承可能なものを取得したことにより

頁人:初代に継承システムが解放されました。

解放と同時に理解済みです。]



─ピッ



「先に進みたいけど、どうしたら…?」


とにかく何もないこの部屋。

真ん中に台座があるのみ。


台座に近寄るあやかは

台座にあるくぼみが気になった。


「なにかここに置くんだろうけど、ここには

何も無いし、私も何も持ってない。でもこれ……

本と形が似てる…?

何もないし、置いてみよっと」


あやかは本をそこへ置いてみた。

他に試せるものがない。



……ヴー……ヴ……ピー…



部屋に正解なのか不正解なのか

どちらとも言えるし

どちらとも言えない音が5秒ほど鳴る。


鳴り終わると、声が聞こえた。


先程の音同様に

アナウンスとも受け取れるが

塔が喋ってるとも受け取れる。


『頁人の本を受け付けましたよ。

──止めるか消してください。

あなたを見ていますよ。』


「合ってた?みたい?とにかく塔を登って行こう。

それより誰だったんだろ…」


言葉はすぐ消え、無音に戻る。


あやかの目の前には階段が現れていた。

ただまっすぐの階段ではなく、螺旋階段。


本を取り、進む。


「これを登って行けばいんだね

でも、足が思うように動かないな…

重いし…体冷たいし……エアコン効きすぎ…?」



─ピッ



[ 頁人の移動と変化を確認しました。

画面を切り替えます。]


.,……ザザッ…ウィーン


移動距離:20段ぐらい


体温:下がってる


動作:軽快さの消失


寿命:残り数スクロール



─ピッ



あやかは螺旋階段を登っていく。

特別な階段じゃないのに

1段1段が異常に高く感じる。

足を上げるのもやっと。


ようやく登りきった。



─ピッ



[ 塔の2階層到達、おめでとうございます。]


[これからも、安心して下へ進めてください。

また、頁人に変化があるため

画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


寿命:終わった


継承:開始


[ あなたの(マウス)の動きにより

頁人:初代の命がなくなりました。

スクロールは常時確認しています。]


[ これより、自動的に継承を開始します。

しばらくお待ちください。]


【継承開始……】


【人物データを読み込み中……】


【継承内容を確認中……】


【成功……】


[ 継承は成功しました。

継承後の頁人を表示するため、

画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


頁人:2代目


名前:絢香


初期設定:火


状態:健康


継承:初代から引き継ぎました。

他頁人の殺害の有無

するな

行け

ある


[ 安心して下へ進めてください。]



─ピッ



あやかは登りきってそのまま倒れ

言葉を発する前に死んでしまった。

同時に、継承が始まり成功した。




「いててて…階段でコケちゃった。

なんか高くない?この階段、きのせい?」


倒れていたあやかの姿は消え

倒れていたままの形でそこへ現れた絢香。


「でも、擦りむいたりしてないしよかった。

ただ…手がなんか気持ち悪い

手汗……じゃない、ならなんで?」


絢香はもう片方の手に握られていた本を開く。

不思議に思うことはなかった。

ほぼ直感に近い感覚で理解した。


「そう…私は2代目なの

手の気持ち悪さはこれか…。

仕方なかったのかもしれないね。とにかく

私はちゃんと私に渡せたんだね。

じゃあ、私も私になにか渡さないとね。」



─ピッ



[ 頁人の変化と目的の更新が

あるため画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


目的:塔を登る


目的:排除


体温:39.5、正常


状態:問題なし


動作:絢香のものを再現、軽快



─ピッ



「さて、行かなきゃ

リュックと本と、よし!いくぞー!」


絢香は目の前の扉を開ける。

あやかは登りきっただけ。



キーー…ザバー…ザバー……



波の音。

扉の先に広がっていたのは広大な海。

絢香はその砂浜に出た。


絢香以外には誰も見当たらない。


「おおー!海だー!まぶしー!あちぃ〜!

日焼けしちゃうな、えっと……

げ、日焼け止めないじゃん!


ていうか!何も入ってないけど!??

もういっそ焼いちゃおう!

黒ギャルになっちゃうか!!」


リュックに本を入れ、置いて

海でジャバジャバと1人はしゃぐ絢香。



─ピッ



[ 頁人の火の使用を受け付けました。]


【許可……】


[ 火の使用が許可されました。

直ちに、実行します。]



─ピッ



「……足は冷たいんだけど…足以外……

あ………あつ…い……なぁ

太陽……あ…あ…あつすぎ……い」


ボッ……パチ…パチパチ……

ジュッ…ジュッ……


燃える音と水に落ちる火の音が

波の音の中に混ざった。


一瞬で焼かれた。真っ黒に。



─ピッ



[ 頁人に変化があるため画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


頁人:2代目


名前:絢香


状態:焼えた


原因:自分への火の使用


継承:可能


死因:自殺


[ あなたの(マウス)の動きにより

頁人:2代目の命がなくなりました。]


[ これより自動的に継承を開始します。

しばらくお待ちください。]


【継承開始……】


【人物データを読み込み中……】


【継承内容を確認中……】


【成功……】


[ 継承は成功しました。

継承後の頁人を表示するため

画面を切り替えます。]


……ザザッ…ウィーン


頁人:3代目


名前:綾香


初期設定:火


状態:健康


継承:2代目から引き継ぎました。

他頁人の殺害の有無

初代からの死

するな


[ 継承できなかったものと

新たに継承できるものを取得しました。

継承できない場合があるのは、仕様です。

安心して下へ進めてください。]



─ピッ



絢香は立ったまま焼死体になり、

足だけは海へ流された。


砂浜には本の入ったリュックのみ。




「……ここ…は…?あれ?なんのドア…?」



─ピッ



[ あなたは綾香です。]


[ 色々お任せします ]


─ピッ

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