第六十七話 「共闘」
割れた窓から次々と漢江会の構成員が部屋へなだれ込む。
「若頭!」
「援護します!」
刀を構えた男達が一斉に真昼へ向かった。
真昼は紫雲の前へ立つ。
赤い刀を静かに構えた。
「下がっていてください」
「でも……!」
「大丈夫です」
その一言だけだった。
次の瞬間。
男達が飛びかかる。
真昼は一歩踏み出した。
一閃。
二閃。
三閃。
部屋に金属音が響く。
構成員達が次々と倒れていく。
だが数が多い。
次から次へと押し寄せてくる。
「囲め!」
「逃がすな!」
真昼は無言のまま刀を振るう。
その時だった。
「どけ」
低い声が響く。
構成員達の動きが止まる。
一輝だった。
「若頭……?」
「聞こえなかったか?」
一輝は冷たく部下達を見渡す。
「この戦いは俺のものだ」
「ですが……」
「下がれ」
その一言に逆らえる者はいなかった。
構成員達は戸惑いながら後退する。
真昼は一輝を見つめる。
「何のつもりですか」
「興醒めだからだ」
一輝は刀を肩に担ぐ。
「大勢で一人を囲んで勝っても意味がない」
「俺が勝つ」
「俺がお前を倒す」
その瞳に迷いはなかった。
真昼は静かに答える。
「私は貴方を倒して、紫雲を連れて帰ります」
「そうこなくちゃな」
一輝が笑う。
再び二人が向かい合う。
だがその瞬間。
部屋の外から慌ただしい足音が響いた。
「若頭!」
一人の構成員が駆け込んでくる。
「何だ」
「五条会です!」
その言葉に部屋の空気が変わる。
「五条会の構成員が本部を包囲しています!」
真昼の表情がわずかに変わる。
「父上……」
一輝は小さく笑った。
「やっぱり来たか」
窓の外を見る。
ビルの周囲には黒塗りの車が何台も止まっていた。
次々と降りてくる黒服の男達。
五条会だった。
先頭には柊組の組員達の姿もある。
「若頭の救援に参りました!」
館内に緊張が走る。
全面戦争。
その四文字が現実になろうとしていた。
一輝はゆっくりと真昼へ視線を戻す。
「面白くなってきたな」
しかし真昼は首を横に振る。
「違います」
「ん?」
「面白い戦いではありません」
真昼は刀を構える。
その瞳は一輝だけを見据えていた。
「これは、貴方が始めた争いを終わらせるための戦いです」
その言葉に、一輝は静かに笑った。
「なら証明してみろ」
再び二人が踏み込む。
同時に。
漢江会本部の外では、五条会と漢江会の激突が始まろうとしていた。




