第二十七話 「初めてのお出かけ」
仕事の関係で更新が遅くなりますが2日にいっぺんは更新します
日曜日。
快晴。
朝九時。
駅前。
五条真昼は待ち合わせ場所に立っていた。
着物姿。
いつも通り。
周囲の視線が集まる。
だが本人は気にしていない。
数分後。
「待たせたわね」
声がした。
振り向く。
そこには、桐生院赤城がいた。
私服だった。
白いワンピース。
長い黒髪。
学院とは違う雰囲気。
真昼は少しだけ目を見開く。
赤城が不安そうに聞いた。
「……変?」
真昼は即答する。
「綺麗ですわ」
沈黙。
赤城が固まる。
数秒後。
顔が真っ赤になった。
「そ、そういうの自然に言うのやめなさいよ!!」
「事実ですが」
「だからよ!!」
朝から騒がしい。
二人は駅へ向かう。
生徒会の買い出し。
それが目的。
……のはずだった。
ショッピングモール到着後。
問題が発生した。
「人が多いですわね」
「休日だし」
「戦場より多いですわ」
「比較対象がおかしいのよ」
赤城が呆れる。
すると。
近くを通った女子高生達が立ち止まった。
「えっ」
「見てあれ」
「美人……」
真昼だった。
着物姿が目立ちすぎる。
女子達がひそひそ話し始める。
赤城は何故か少し不機嫌になった。
「……行くわよ」
そう言って真昼の腕を引く。
真昼は首を傾げる。
「どうしましたの」
「別に」
不機嫌だった。
本人も理由は分からない。
買い出しは順調に進んだ。
文房具。
備品。
資料ケース。
色々購入する。
そして。
気付けば昼。
赤城がお腹を押さえた。
「……お腹空いた」
「食事にしますか」
「そうしましょう」
二人は近くの喫茶店へ入った。
窓際の席。
注文を終えた後。
珍しく静かな時間が流れる。
その時。
赤城がぽつりと呟いた。
「兄様のこと」
真昼が顔を上げる。
「一輝ですの?」
「ええ」
赤城の表情が少し曇る。
「ごめんなさい」
予想外の言葉だった。
「何故謝るのです?」
「迷惑掛けてるから」
真昼は少し考える。
そして。
「別に構いませんわ」
即答だった。
赤城が目を丸くする。
真昼は続ける。
「貴女は何も悪くありません」
静かな声。
赤城はしばらく黙っていた。
やがて。
ふっと笑う。
「ありがと」
その笑顔を見て。
真昼は少しだけ安心した。
だが。
二人は気付いていなかった。
店の外。
向かいのビルの上。
黒服の男が双眼鏡を覗いていることに。
そして。
その映像を見ている男がいることに。
スマホの画面越し。
桐生院一輝は楽しそうに笑った。
「へぇ」
目が細くなる。
「赤城」
「お前もそっちか」
そして。
画面に映る真昼を見ながら。
静かに呟く。
「ますます欲しくなったな」




