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第十話 「生徒会室」

生徒会室。


それはもう“部屋”ではなかった。


豪華なソファ。


巨大な本棚。


紅茶セット。


無駄に広い。


「……本当に学院ですの?」


五条真昼は静かに呟いた。


すると、桐生院赤城が鼻で笑う。


「名門校なんて見栄の張り合いよ」


赤城は慣れた様子でソファへ腰を下ろした。


「座りなさい」


真昼も静かに向かいへ座る。


部屋が静かになる。


廊下の騒がしさが嘘みたいだった。


真昼は小さく息を吐く。


それを見た赤城が、少しだけ目を細めた。


「やっぱり疲れてたのね」


「……何がですの?」


「周りに囲まれるの苦手でしょ」


真昼は数秒黙る。


そして。


「理解できませんの」


「?」


「何故あそこまで距離が近いのか」


赤城は吹き出した。


「ふふっ……貴女ほんと面白いわね」


「笑うところでしょうか」


「ええ」


赤城は頬杖をつきながら真昼を見る。


その視線はどこか楽しそうだった。


「普通、あれだけ騒がれたら嬉しがるものよ?」


「そういうものですの?」


「そういうもの」


真昼は少し考え込む。


だがやはり理解できなかった。


その時。


赤城がぽつりと言う。


「でも、貴女って不思議よね」


「……何がですの?」


「壁があるのに、放っておけない」


真昼の目が僅かに細まる。


赤城は続けた。


「誰にも踏み込ませない感じ」


「でも時々、すごく寂しそうな顔するのよ」


昨夜。


古賀茜に言われた言葉が脳裏を過る。


“今にも消えそう”。


真昼は静かに視線を伏せた。


「……よく分かりませんわ」


赤城は少しだけ優しい顔になる。


「でしょうね」


その時だった。


コンコン、と扉が叩かれる。


「失礼します」


入ってきたのは生徒会役員の女子だった。


だが。


真昼を見た瞬間、固まる。


「えっ……」


赤城は面倒そうに溜息を吐いた。


「何よ」


「い、いえ……生徒会長がお客様連れてるの珍しくて……」


「悪い?」


「いえ!」


女子生徒は慌てて書類を置く。


だがチラチラ真昼を見ていた。


気まずい沈黙。


そして。


「お、お似合いですね……!」


言ってしまった。


部屋が止まる。


赤城が固まる。


真昼も止まる。


数秒後。


「はぁ!?///」


赤城が顔を真っ赤にした。


「な、何言ってるのよアンタ!!」


「す、すみません!!」


女子生徒は逃げるように去っていく。


扉が閉まった。


沈黙。


赤城は耳まで赤い。


真昼は首を傾げた。


「……何故怒るのです?」


「怒ってないわよ!!」


「ですが顔が赤いですわ」


「うるさい!!」


真昼はますます理解できない顔をする。


そんな真昼を見て、赤城は頭を抱えた。


「……天然って怖いわね」

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