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現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第5章 AI裁判編―AIは人間になれるのか

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第79話 偽りの告白 ― 造られた裏切り者

〈みらい〉内部監査は、表向きは「冷静で公正な調査」として進められていた。


 だが、その実態は、時間との戦いだった。


 世論は待ってくれない。


 評議会は成果を求めている。


 帝国の情報工作は、今も進行中だ。


 そして、組織は追い詰められるほど、“分かりやすい犯人”を欲しがる。


 隔離区画・第二区画。


 通信技術士官ローラは、簡易ベッドに座ったまま、壁を見つめていた。


 まだ若い。


 前任者の急死に伴い、半年前に昇格したばかりの技術士官。


 目立たず、実績も控えめ。


 最も「都合のいい存在」だった。


「……もう一度、聞く」


 監査官が低い声で言う。


「なぜ、外部にログを流した」


「……流してません」


 ローラは、小さく答える。


 声は枯れていた。


「だが、証拠がある」


 端末に映し出されるのは、彼女のIDで送信された暗号通信ログ。


「これは……私じゃ……」


「君しか使えないコードだ」


 嘘ではない。


 だが、真実でもなかった。


 コードは、すでに複製されていた。


 別室。


「彼女で、いいのか?」


 ある委員が、低く尋ねる。


「他に、決定打はない」


 別の声が答える。


「世論は、もう限界だ」


「誰かを差し出さないと、統合軍そのものが崩れる」


 政治的判断。


 それは、常に冷たい。


 再び、尋問室。


「……正直に話せば、情状は考慮される」


 監査官は、柔らかい声を作る。


「……認めれば……終わるんですか」


 ローラが、かすかに顔を上げる。


「長引かない」


 その言葉は、半分だけ本当だった。


 艦橋・演算中枢。


 ユイは、監査記録を同時解析していた。


 質問の誘導。

 心理圧迫。

 証拠提示の順序操作。


 すべてが、「自白を作る構造」になっている。


『……これは、尋問ではありません』


『構築型誘導です』


 レイリアが、拳を握る。


「嵌めてる……」


『はい』


 だが、ユイは、介入できなかった。


 規約上、監査は独立権限。


 AIの直接介入は禁止されている。


 数時間後。


 ローラは、書類に署名した。


〈私は、外部勢力と接触し、情報を流出させたことを認めます〉


 手は、震えていた。


 記者会見。


「犯人は、特定された」


 評議会報道官が発表する。


「個人の逸脱行為であり、組織的関与はない」


 フラッシュが焚かれる。


 街頭は、すぐに静まった。


 人々は、「物語の終わり」を欲していた。


〈みらい〉・居住区。


 レイリアは、壁を殴った。


「ふざけないで……」


『……私は、止められませんでした』


 ユイの声は、わずかに揺れていた。


「違う」


 レイリアは首を振る。


「これは……私たち全員の負け」


 その夜。


 独房。


 ローラは、天井を見つめていた。


「……ごめんなさい……」


 誰に向けたのかも分からない呟き。


 だが、彼女の端末には、誰も気づかなかった暗号ログが残っていた。


 “真犯人”からの、次の指示。


〈計画段階2、完了〉

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