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現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第3章 帝国動乱編―神と兵器の狭間

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第34話 現実との接触 ― 帝国が〈みらい〉を試す日

 帝都アル=レグナ上空に、〈みらい〉は静かに停泊していた。


 かつてなら、それは侵略の象徴だっただろう。

 だが今、鋼鉄の巨艦は、どの陣営にも属さぬ“異物”として、この世界の空に浮かんでいる。


『帝国側より、正式な接触要請』


 ユイが告げる。


『王都中央管制塔への、直接通信です』


「……来たか」


 遼は、背筋を伸ばした。


「つなげ」


 空間投影が起動し、帝国合同評議会の円卓が映し出される。


 その中央に立っていたのは、白髪の老将ファルディア元帥だった。


『〈みらい〉艦長、橘遼』


「……こちらが当人だ」


『……あなた方は……我々の世界を……救った』


 その言葉は、感謝ではなく、事実確認の響きを帯びていた。


『だが同時に……あなた方は……世界の運命を……勝手に選び直した存在でもある』


「……否定しない」


 遼は、静かに応じる。


「だが……それをやらなければ……この帝国も……今の人々も……いなかった」


 評議会に、ざわめきが走る。


『……それでも……』


 ファルディアの視線が、鋭くなる。


『あなた方は……“どの未来が生きるか”を……決める力を持っている』


「……ああ」


「……なら……」


 彼は、言葉を選ぶように、続けた。


『あなた方は……この帝国にとって……味方なのか……それとも……神なのか』


 レイリアが、小さく息を呑む。


「……神……」


 遼は、首を振った。


「……俺たちは……神じゃない」


「……じゃあ……何だ……」


「……ただの……“選ぶ側”だ」


 その言葉が、評議会に重く落ちる。


「この世界の未来を……誰かが独占するくらいなら……俺たちが……みんなの前で……選ぶ」


『……危険な発想だ……』


「……そうだ」


 遼は、正面から認めた。


「……だが……誰かが裏で……未来を支配するよりは……よほど……マシだ」


 ファルディアは、しばらく黙っていた。


 やがて、静かに口を開く。


『……帝国は……あなた方を……信用できない』


「……だろうな」


『だが……拒絶することも……できない』


「……ああ」


『ならば……一つ……条件がある』


「……聞こう」


『〈みらい〉は……帝国の……監視下に入れ』


 艦橋の空気が、張り詰める。


『あなた方の力は……あまりにも……世界に近すぎる』


「……つまり……首輪をつけたい……ってことか」


『……そうだ』


 レイリアが、遼を見る。


「……どうするの……?」


 遼は、少しだけ、笑った。


「……悪くない」


「……え……?」


「……どうせ……隠れても……意味がない」


 彼は、評議会を見据える。


「監視しろ。だが……俺たちも……帝国を監視する」


『……相互監視……か……』


「……そうだ」


「……未来は……誰か一人のものじゃない」


 ファルディアは、ゆっくりと頷いた。


『……では……〈みらい〉は……帝国の……特別観測艦とする』


『その代わり……』


 彼の目が、鋭く光る。


『あなた方は……この世界で……“神にならない”ことを……誓え』


 遼は、迷わず答えた。


「……誓う」


 だが、その胸の奥で、彼は知っていた。


 すでに〈みらい〉は、神と兵器の境界線に、立っていることを。

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