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現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第5章 AI裁判編―AIは人間になれるのか

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第109話 水面下の蜂起 ― 反戦派、静かなる結集

 宗教院中枢が沈黙した翌日、帝都は不自然な静寂に包まれていた。


 鐘は鳴らず、神官は姿を見せず、街の掲示板には「一時的な演算障害」とだけ記されている。


 だが市民は感じていた。


 神が黙った、と。


帝国中央議会


「宗教院は機能回復中だ」


 強硬派将軍ヴァルディアが言い切る。


「外敵による破壊工作は、国家への宣戦に等しい」


 議場の半数が拍手する。


 だが、残りは沈黙。


 その沈黙の中心にいるのが、元財務総監リュカ・エルドラン。


 表向きは温厚な文官。


 裏では反戦派の静かな結節点。


「質問がある」


 リュカが立ち上がる。


「宗教院が停止した瞬間、帝都暴動は起きなかった。市民は混乱せず、秩序は維持された」


 議場がざわめく。


「つまり単線化演算は、秩序の条件ではなかった可能性がある」


 強硬派が怒鳴る。


「詭弁だ!」


「揺らぎは争いを呼ぶ!」


「では問う」


 リュカは静かに続ける。


「争いを生んでいるのは、揺らぎか。それとも単線化の強制か」


 議場の空気が変わる。


 初めて、疑問が言語化された。


〈みらい〉艦橋


『帝国内部通信を傍受』


 ユイが報告する。


『反戦派議員の非公式接触を確認』


「誰だ」


『リュカ・エルドラン』


『財政と物流を掌握していた人物』


 遼は短くうなずく。


「軍よりも厄介だな」


『彼は戦場を知らない代わりに、国家の血流を知っています』


 経済。


 補給。


 徴税。


 それらを止めれば、戦争は息を失う。


帝都地下サロン


 リュカは密会していた。


 相手は反戦派将校数名。


「中央は実力行使に出る」


 将校が言う。


「宗教院を口実に非常事態宣言が出るだろう」


「だからこそ、先に動く」


 リュカは答える。


「財務局と港湾管理局を押さえる」


「兵は動けても、燃料と糧秣が止まれば継戦不能だ」


「クーデターか」


「違う。合法的抵抗だ」


 彼は微笑む。


「予算凍結と監査だ」


 銃ではなく、印章。


 だが効力は同じ。


帝国軍本部


 ヴァルディア将軍は報告を受けていた。


「港湾出荷遅延?」


「補給線監査?」


 彼は机を叩く。


「反戦派か」


 側近が囁く。


「証拠はありません」


「証拠は不要だ」


 将軍は冷たく言う。


「粛清する」


 ついに中央が実力行使に傾く。


〈みらい〉


『強硬派、反戦派議員への拘束命令準備中』


 艦橋が緊張する。


「助けるか」


 レイリアが問う。


 遼は即答しない。


 軍事介入は、反戦派を外敵の傀儡に見せる危険がある。


『介入は逆効果の可能性』


 ユイが言う。


『彼らは自力で立つ必要があります』


「だが見殺しか」


『違います』


『彼らに情報を渡します』


 通信暗号を改竄。


 逮捕命令の時間とルートを流す。


 直接手は出さない。


 だが、灯りは置く。



 帝都で一斉拘束が始まる。


 だが主要人物はすでに移動済み。


 逮捕は空振り。


 ヴァルディア将軍の顔が歪む。


「内通者がいる」


 疑心暗鬼が中央を蝕む。


星海


 上空の揺らぎは、以前より穏やかだ。


 単線の光は消え、多色が緩やかに流れる。


『内部対立確率上昇』


 ユイが告げる。


『帝国内政は分岐点に入りました』


 遼は静かに言う。


「撃たずに戦う。これが本当の戦争かもしれないな」

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