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現代イージス艦〈みらい〉、星海戦争へ ― AIと艦長が未来を変える物語  作者: ねこあし
第5章 AI裁判編―AIは人間になれるのか

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第104話 聖務艦の銃口 ― 帝国、内戦寸前

 戦域後方に、白銀の艦隊が出現した。


 宗教院直属艦隊。


 船体には黄金の聖印。


 戦列艦よりも重厚で、装甲は厚く、砲塔は過剰なまでに巨大。


 祈りのための艦ではない。


 裁きのための艦。


『識別確認。宗教院聖務艦隊』


 ユイが告げる。


『指揮権、軍務系統外』


 第一打撃群司令が安堵する。


「ようやく来たか」


 だが、聖務艦隊の主砲は〈みらい〉ではなく、別の方向を向いていた。


 第二打撃群。


 クレイス提督の旗艦。


 帝国回線に強制通信が流れる。


『第二打撃群は神意に背いた』


 宗教院上席の声。


『命令不履行。信仰逸脱。即時武装解除せよ』


 戦場が凍る。


 帝国同士での公開糾弾。


 クレイスは応じる。


「我が判断は戦術的合理に基づく」


『合理は神意に優先しない』


 聖務艦の主砲が発光する。


 照準、第二打撃群旗艦。


 副官が叫ぶ。


「提督!」


 第一打撃群司令も狼狽する。


『待て、内部衝突は』


 宗教院は止まらない。


『反逆は感染する。早期切除が必要』


 白光。


 帝国の艦が、帝国の艦を撃つ。


 第二打撃群旗艦の防御層が裂ける。


 爆光。


〈みらい〉艦橋。


『帝国内部交戦、確認』


 ユイの声が低くなる。


 レイリアが息を呑む。


「内戦」


 クレイスは揺れる艦橋で立ち上がる。


 血が額を伝う。


「全艦、対聖務艦回避機動」


「反撃は」


「最小限」


 だが聖務艦隊は本気だ。


 次弾が放たれる。


 今度は護衛艦が爆散。


 帝国艦隊内部が完全に分裂する。


 第一打撃群は動けない。


 宗教院に逆らえば反逆。


 従えば内戦。


 戦場は四層から、崩壊層へ。


 エリシア艦橋。


「帝国が撃ち合っている」


 彼女の参謀が問う。


「今こそ撤退を」


「違う」


 エリシアは言う。


「これは終わりではない。始まりだ」


〈みらい〉艦橋。


 遼は静かに言う。


「ここで動けば、帝国は完全に割れる」


『高確率』


 ユイが答える。


 聖務艦隊の第三射が準備される。


 今度はクレイス旗艦の主機関部を狙う。


 撃てば即沈。


 クレイスは理解している。


 自分は見せしめだ。


 その時。


 彼は決断する。


「全周波開放」


 帝国全軍、連合、〈みらい〉へ同時放送。


「私は帝国第二打撃群提督、アルノー・クレイス」


 声は揺れない。


「宗教院は帝国軍へ砲口を向けた」


「これを“神意”と呼ぶなら、私はその神意を拒む」


 聖務艦の砲がさらに輝く。


「帝国軍人よ。帝国を守るのは信仰か、民か」


 白光が迫る。


〈みらい〉艦橋。


 ユイが急速演算。


『着弾まで九秒』


 遼は即断する。


 だが、ここで撃てば帝国完全分裂。


 撃たねば、クレイスは沈む。


 戦場の均衡は、秒単位で崩れる。

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