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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第3章 四賢者の試練巡行
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56 帝国への旅立ち

ハガン帝国に向かいます。

 ルートとの話し合いから数日、優太達は賢者の洞窟でレベリングをしたり、日課の身体強化魔法筋トレをしていた。

 そして、ルートから「出発の準備ができた」と呼び出されて優太達は商人ギルドへと来ていた。

 商人ギルドに着くと、ルートがこっちに手を振りながら近付いてくる。


「おっ、来たな兄ちゃん達、馬車の準備は出来てるから何時でも出れるぞ」

「どちらへ行かれるおつもりですか?」


 意気揚々と優太達の元へと歩いてくるルートの後ろからモノクルを掛けた痩身の中年男性が丁寧な口調でルートを呼び止める。

 その声にルートは、一瞬表情を強張らしたが直ぐに元に戻して後ろを振り返る。


「ベーシック……」

「また、ギルドを空けられるおつもりですか……」


 ベーシックと呼ばれた男はルートの声に被せて更に畳み掛ける。

 そんなベーシックにルートは表情を引きづらしている。

 当のベーシックはルートの横を通り抜け、優太達の前に行き丁寧に自己紹介を始める。


「初めまして、ベーシック・ロンドと申します。当ギルドにて支店長を務めております」

「ユウタ・ヤノだ」

「レイナ・ヘンティルですよろしくお願いいたします!」

「ルナ……」


 それぞれの自己紹介が終わると、ベーシックは優太へと頭を下げる。

 レイナがおろおろと動揺していると、優太は「はぁ」と溜め息をつく。

 優太の態度に再びベーシックは頭を下げる


「ありがとうございます……さて」

「ま、待て、ベーシックこれも仕事で……」

「言い訳は結構! 商人ギルドにおいて会長と言う役職にいながらギルドの仕事をサボるなど言語道断です!」


 それから暫く、ベーシックによるルートへの説教が続くのであった。




──────────────────────────




 ルートの魂が抜け始めた頃に、突然シェリィが現れてベーシックに何かを伝え始める。


「支店長、そろそろお時間です」

「そうですか……良いですか会長、今回は大目に見ましょう……ですが! 帰ってきたらしっかり業務に務めて下さい、分かりましたね!」

「はい、分かりました……」


 ベーシックはルートに釘を刺すと、優太達に再び頭を下げてその場を去っていった。

 脱け殻になっているルートへと近付き、優太はしゃがむとちょっとジト目気味にルートに声を掛ける。


「いつまで寝てる、早く行くぞ“会長”」

「何か棘が有る気がするんですが!?」


 優太のあんまりな対応にルートは勢いよく顔を上げると抗議の声をあげる。

 そんなルートを無視して優太はギルドの外へと出る。


「兄ちゃん、馬車は此方だ」


 ギルドから出た優太はしばらく辺りを見渡すと、ルートが馬車のある道を指差して歩きはじめる。

 暫く歩くと少し見馴れたルートの馬車が見えてきた。


「よし! 少し不測な事態は起きたが出発だ……帝国までの道のりは長いから護衛は頼んだぜ兄ちゃん」

「ああ」

「……」

「おー」


 ルートは馬車に乗ると、優太達に声を掛ける。

 しかし、一人少し暗い顔をしているのにルートが気付く。


「どうかしたのか嬢ちゃん……顔色が悪いぞ?」

「あっ……い、いえ! だ、大丈夫です!」

「……」

「んー?」


 ルートに指摘されたレイナは慌てて表情を取り繕い「さー、帝国に向かって出発です!」とテンションを無理矢理上げながら馬車へと乗り込む。

 それに続いて優太達も馬車へと乗り込むのだった。




 馬車に乗り込むと優太は変なテンションのレイナに声を掛ける。


「レイナ」

「な、何ですか?」


 優太の言葉にレイナはぎこちない笑顔を浮かべながら返事を返す。


「怖いのか……帝国に帰るのが……」

「……っ!!」


 優太の一言に核心を突かれたのか、レイナはさっきまでテンションは無くなり心なしか少し震えている様だった。

 そんなレイナの様子に心配したのか、ルナがレイナの横に座りピッタリと寄り添う。


「ルナ……」

「レイナお姉ちゃん……怖い時はいつもこうやっておかあさんがやってくれたよ」


 ルナの拙い言葉での励ましにレイナは少し笑顔になる。

 そんな二人を見て、優太は然り気無くレイナに語り掛ける。


「心配するな……もしもの時は腕ぐらい引いてやる……」

「ユウタさん……はい、よろしくお願いします……」


 優太なりの優しさのお陰か、レイナの震えはいつの間にか収まっていた。

 しばらくすると朝早かったからか、レイナとルナは寄り添いながら眠ってしまった。


「……呑気な奴らだね」


 そんな二人を見て呟く優太の顔はいつもより少し柔らかい表情だった。




ドドドドドッ


 またしばらく時間が経ち、優太がうとうとし始めた時の事だった。

 地揺れを感じる、更に揺れと音が此方へと近付いてきている。


「おい兄ちゃん!! ちょっと出てくれ緊急事態だ!!」


 焦ったルートの声に優太と音で目を覚ましていたレイナとルナもすぐさま外へと出る。

 すると、遠くに砂埃をたてながら此方にもうスピードで近付いてくる何かが見えた。


「ありゃあ“サウザンドセンチピード”だ。本来なら帝国の向こう側の砂漠の夜にしか現れない魔物だ! 何でこんなところに!」

「センチピード……百足か?」


 ルートの言葉に優太は改めて砂埃の主を見据える。

 そこには、巨大で長くいくつもの筋の有る体に無数の足、更に背中の甲殻は夜空の様に黒なのにキラキラと輝いている。


「かなりヤバイ魔物だ……甲殻はナイトモンドって言う夜空に良くに似た輝きでとてつもない強度の鉱石で出来てる、その上あの体躯だ突進されたら一溜りもないぞ。しかも、このままだと街も危ない……兄ちゃん何とか出来ないか?」

「やれるだけやってみよう」


 優太の返事にルートは「頼りにしてるぞ」と優太を信じてか馬車から離れなかった。

 また、優太は優太でサウザンドセンチピードに少し違和感を感じていた。

 その違和感とは、所々に大きめな傷があったり甲殻が薄汚れているのだ。


「あのサウザンドセンチピードは弱ってる……とにかく腹を見せて貰おう!」


 優太はそう言うと、センチピードの下から突き上げるように岩の柱を出現させる。

 すると、センチピードは予期していなかった攻撃におもいっきり反り返り甲殻の無い腹を晒す。


「ルナ! 思いきりやれ!」

「うん! てーい!」


 優太の指示にルナは頷くと、思いっきりセンチピードに回し蹴りをお見舞いする。


ギャェェエエ!


 すると、センチピードは街道の脇へとひっくり返りなが突っ込んでいき、そのまま動かなくなった。


「やったな、兄ちゃん!」

「まだだ、ちょっと様子を見てくる……ここで待っててくれ」


 優太の言葉にルートも「わかった」と了承する。

 ルートが頷くと、優太はレイナとルナを連れてサウザンドセンチピードが倒れいる場所へと向かうのだった。

 こっそりと改造していた魔道具をもって。

こっそり改造しているので作業している描写はないです。さあ、何をするつもりなんでしょうなぁ

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