57 サウザンドセンチピードとスカウト
碧の仮面の色違い探しに田舎を駆け回ってます。
優太達はとある魔道具を持って、サウザンドセンチピードの元へと来ていた。
その魔道具とは改造した“使役の首輪”だ。
因みに改造する前の効果は……
《使役の首輪》……魔物を使役するための首輪、力を認めさせるか心を通わせる事で魔物を使役できる。
そして、改造後の効果は……
《眷属の首輪》……使役の首輪に強力な魔力が込められ変異した首輪、仲間にした魔物は魔力の主の眷属となり魔物自身が思う主との関係に近い姿に変異する。
良く分からない効果が発現している。
ともあれ、優太はこの眷属の首輪を持ってサウザンドセンチピードの元に来ていたのだった。
『ぬうぅぅぅ、人間か……』
サウザンドセンチピードの元に来ると、突然頭の中に渋く低い声が聞こえてきた。
「レイナ」
「私も聞こえました」
「ルナも!」
優太は全員に聞こえている事を確認すると声の主であろうサウザンドセンチピードへと視線を向ける。
すると、サウザンドセンチピードは何処か悔しそうに優太達に話し掛ける。
『まさか、彼奴等だけで無く……斯様な人間に迄にも……』
「なあ、サウザンドセンチピードは全員しゃべるのか?」
そんなサウザンドセンチピードの恨み言を遮って優太はそう質問する。
サウザンドセンチピードは少し悲しそうに言葉を返す。
『ぬぅ、恨み言ぐらい言わせぃ……いや、人の言葉を解し、操るのは我の様な皇帝種のみじゃ……言うても最早皇帝ではないがの……』
「あの……何かあったのですか?」
サウザンドセンチピードの物言いにレイナが恐る恐る聞いてみる。
『ふっどうせ死ぬ身じゃ……話しても変わらんか……裏切られたのよ同じサウザンドセンチピードにな……お陰で傷は致命傷で我は永くは持たん……のう人間よ……我に止めをさしてくれないか?』
「断る、悔しく無いのか? 裏切られて、追いやられて人知れず死んでいく何て……だから、俺と来い俺の眷属になれば生きれるしいつか復讐も出来るぞ」
優太の言葉にサウザンドセンチピードは怒りを露にする。
『何を言い出すかと思えば……侮るな!! 我は砂漠の王たるサウザンドセンチピードの皇帝種である!! そんな我に眷属になれだとその不遜な物言い万死に値するわ!! しねぇぇ!!』
怒りに身を任せ優太にその巨体を叩き付ける。
「ユウタさん!!」
「お父さん!」
しかし、優太はその場に居たのだった、決して動かずサウザンドセンチピードの攻撃を受け止めたのだった……当然身体強化を使ってだが……
『……何という胆力、度胸……身体強化魔法を使っているとは言え出来ることでは無いぞ』
「見ての通りだ流石に骨が何本か逝ったが……魔力を通せば元通りだ……」
優太は何事も無かったようにそう言った。
そんな優太にレイナが駆け寄っていって烈火の如く怒り出す。
「何を考えているのですが!! もしかしたら死んでいたのかもしれのですよ!? もし、もし、そうなったら私……私」
「……ルナもお父さんいなくなっちゃうの嫌だよ!!」
レイナは最初は怒っていたのだが途中からもしもの事を思い浮かべたのかポロポロと涙を流してしまう。
ルナに至っては既にぼろ泣きで優太に抱き付いて来ていた。
そんな二人を見て優太は物凄く申し訳なさそうにしていた。
「二人共すまなかった……」
『……所詮は一度死んだ身……最早皇帝でも無いか……ならばいつか復讐出来ると信じて……我のこの身、と新たな生をお主等の為に使おう! さあ、首輪を我に着けよ』
身を寄せ会う三人にサウザンドセンチピードはそう語り掛ける。
その言葉に優太は眷属の首輪をサウザンドセンチピードへと掲げる。
すると、首輪の大きさが変わりサウザンドセンチピードの頭の後ろの筋にすっぽりと装着される。
『ぬう!! 何だ? 身体の様子が変だ』
「大丈夫か?」
サウザンドセンチピードがそう言った直後、サウザンドセンチピードの姿が縮んでいき人の形ななっていく。
そして、眩しい光が収まるとそこにはクラシックなメイド服に身を包み、心なしか光る美しい黒髪のキレ目の美女が立っていたのだった。
「なっ、何だこれは……まさか人の姿になるとは! しかも傷も治っている!」
「もしかして、サウザンドセンチピードなのか? そう言えば効果に“魔物が思う主との関係に近い姿に変異”すると書いてあったな」
「なるほど、でも何で女性なんでしょう……どう聞いて男性の声だったのに……」
優太達がそう疑問に思っていると、サウザンドセンチピード本人から予測を話す。
「おそらく、使用人姿なのは身も生と言ったからじゃろうな……むっ、使用人らしく敬語でしゃべるか……んんっ、そして女性の姿になったのは使用人としてレイナ様とルナ様のお世話を鑑みてと思われます……そもそも我々魔物な性別は御座いませんから」
「凄いです。違和感なく使用人ですよユウタさん」
「ああ、でも戦力としてはどうなんだ?」
優太の言葉にサウザンドセンチピードはメイド服の袖口から小さいムカデを鞭の様に出現させて近くの木々を薙ぎ倒した。
「ご心配なく、むしろ前より調子が良いぐらいです……それとご主人様……どうか私めに名前をお付け下さい」
そう言われて優太は少し考える。
「サウザンドセンチピード……夜の魔物か……よし、お前の名前は“千夜”だ」
「千夜……ありがとうございます。これからは千夜と名乗らせて頂きます」
「よろしくお願いします! チヨさん」
「よろしくおねがいします!」
名前が決まって直ぐに、レイナは千夜の手を握って新しい仲間を歓迎する。
ルナも千夜の事が気に入ったのか千夜に躊躇い無く近寄って行く。
「はい、レイナ様、ルナ様、これからよろしくお願い致します」
「よしルートの所に戻るか、かなり待たせてるからな」
こうして、新しくサウザンドセンチピードの千夜が仲間に加わったのだった。
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ルートの元へと戻ると、最初は少し驚いた表情をしたが直ぐに元の表情を取り繕い優太達を迎える。
「お帰り……あー、どうだった? サウザンドセンチピードは……」
「問題無い。それより使用人を迎える事にした」
優太の言葉は突拍子の無い事だったが、ルートは少し視線をメイド服の女性に向けると何事も無いように受け入れた。
それはルートの商人としての勘と、幾つもの修羅場を潜った経験から導き出された一つの答えだった。
(深入りしては行けない……)
「そうか……その……紹介してくれると有難いのだが」
「分かりました、この度主人様……ユウタ様へと仕える事になりました千夜と申します……以後お見知りおきを」
自己紹介を終えた千夜にルートは「ルート・ルーウェンだよろしく」と軽く握手を交わす。
その際に千夜はルートの耳元で小さく囁く。
『いい判断だ商人……我も主の知り合いならば悪いようにはしない……詮索しなければな』
握手をしている手の袖口からルートの手を撫でるようにムカデが這うがルートは決して手を離さずに冷や汗を流す。
そして、数秒で千夜が手を離しルートは解放される。
「おい千夜……あまりルートを困らせてやるな……」
「ふふっ、少し悪戯をしただけです……私は御者席で外を警戒しながら行きますご主人様方はゆっくりしていて下さい」
ルートの事で優太に注意されるが千夜はどこ吹く風でさっさとルートの横へ乗り込む。
先に馬車に乗り込んでいたルートが死んだ目をしていたのは言うまでもない。
「それじゃあ、出発!」
新たな仲間を加えて優太達は再びハガン帝国へと馬車を進めるのだった。
次はいよいよ帝国入り




