勇者パーティーが全員問題児なんだが!?
夜。
宿屋。
俺はベッドに寝転がりながら天井を見ていた。
祭りを思い出す。
勇者ガチャ。
源さん。
勇者管理局。
ペガサス。
いろいろありすぎて頭が追いつかない。
俺。
「源さん、かわいそうだったな〜」
床を転がるオメちゃん。
「勇者の辿る運命だ」
「しょうがない」
俺。
「しょうがなくねーだろ」
「あの歳で魔王討伐は、酷すぎるだろ?」
オメちゃん。
「運が悪かった」
しばらく沈黙。
俺は寝返りを打った。
そして。
決心する。
「な〜」
「俺さ〜」
オメちゃん。
「なんだ」
俺。
「源さんと一緒に魔王討伐行こうと思う」
オメちゃん。
即答。
「死ぬぞ」
でも。
気持ちは決まっていた。
俺。
「源さん一人はかわいそうじゃん」
「それにさ」
「異世界でスローライフもいいけど」
「やっぱり俺は冒険したいんだよ」
「せっかく異世界来たんだし」
「やりたいことやりたいじゃん?」
少し間を置く。
「だからさ」
「オメちゃんも一緒に来てくれない?」
オメちゃん。
沈黙。
数秒。
そして。
「……」
「ま、いいけどな」
俺。
「え!?マジ!?」
「てか、軽っ!」
俺たちに、感動のシーンは無理だった。
オメちゃん。
「ニャルルには声かけなくていいのか?」
俺。
「あいつの加護、戦闘向きじゃないし、なんか悪いじゃん」
オメちゃん。
「そっか」
「じゃ〜、明日早いから、もう寝ろ」
俺。
「わかってるよ」
少し間があった。
「……オメちゃん、ありがとう」
オメちゃん。
「……」
* * *
翌朝。
街の門。
旅支度を整えた俺とオメちゃん。
すると。
門の前に怪しい男が立っていた。
緑のローブ。
長い杖。
無駄にキメた立ち姿。
そして。
無駄に自信満々。
俺。
「誰あれ?」
「オメちゃんの知り合い?」
オメちゃん。
「知らん」
男が振り向く。
ニヤリ。
そして叫んだ。
「よく来たな!」
「我こそは!」
「5属性魔法を自在に操る!」
「伝説の大魔導師!」
「五芒星マグナ・G・翔太!!」
バサァッ!!
ローブが翻る。
風も吹いてないのに。
俺とオメちゃん。
「・・・」
「・・・」
痛い。
痛すぎる。
なんだろう。
まるで、自分を見ているような気分になる。
翔太。
「おい!」
「なんとか言えよ!」
俺。
「お前も転生者か?」
翔太。
「そうだ」
「お前もか?」
俺。
「なんか一緒にされたくない」
オメちゃん。
「一緒だろ」
俺。
「こんなのと、一緒じゃねー!」
翔太。
「てか、なんだそのサッカーボールは?」
「ふざけてるのか?」
「魔王討伐だぞ!」
「遊びじゃないんだぞ!」
俺。
「うるせー!」
「厨二病みたいな、わけわかんない名前のヤツに言われたくねー!」
「オメちゃんは俺の大切な仲間だ!」
翔太。
「え!?仲間?」
「使い魔とかじゃないの?」
俺。
「な・か・ま・だ!」
その時。
パカパカと響く音。
ペガサスだった。
背中には源さん。
そして。
昨日どさくさに紛れて乗っていた、銀髪の少女。
さらに後ろから歩いてくるガレイル。
源さん。
「帰りたい……」
俺。
「まだ言ってる」
遠くから声が聞こえた。
「お〜い!」
「待つにゃ〜!」
振り向く。
ニャルルだった。
大荷物を背負って走ってくる。
ニャルル
「やっぱり、来てたにゃ」
「私も行くにゃ」
俺。
「お前来たの!?」
ニャルル
「オメちゃんといる方が、配信バズるにゃ」
「冒険の方が広告収益見込めるにゃ」
俺。
「ブレねぇなぁ……」
さらに。
ユニコーンが牢屋を引いてやって来た。
俺。
「また変なの来た」
牢屋の中。
先日の金髪美女だった。
ガレイル。
「シェンリンさん、よろしくお願いします」
頭を下げるガレイル。
シェンリン。
「あぁ?ガレイル!」
「代わりが見つかるまでだからな!」
「忘れるなよ!」
俺。
「帰れ」
シェンリン。
「お前が帰れやーーー!!」
俺。
「ひ〜、怖い!」
「俺、あいつ苦手だ〜〜」
ガレイルが袋を配る。
ガレイル。
「勇者同行者にはこれを支給する」
中を見る。
袋。
カード。
俺。
「何これ?」
オメちゃん。
「アイテム袋とキャッシュカード」
俺。
「異世界にもキャッシュカードあるの!?」
ガレイル。
「当たり前だ」
「毎月勇者同行手当が振り込まれる」
俺。
「給与出るの!?」
ガレイル。
「無給で魔王討伐行くわけねーだろ」
俺。
「意外とホワイト!」
ガレイル。
「いや、ブラックだろ」
俺。
「だよな」
そして。
いよいよ出発。
兵士達が一斉に敬礼する。
ガレイル。
「勇者御一行に敬礼!」
兵士達。
「魔王討伐の吉報をお待ちしております!!」
門が開く。
俺達は歩き出した。
その時。
バゴン!
突然、魔法のような扉が閉まった。
すり抜ける俺たち。
振り返る。
銀髪の少女の顔が挟まっている。
銀髪少女。
「痛い痛い痛い!」
「助けて!」
俺。
「何やってんの!?」
翔太。
「馬鹿なのか?」
俺と翔太で引っ張る。
少女。
「もっと優しく!」
「顔がもげる!」
なんとか救出成功。
俺。
「お前……」
「無限おにぎりの加護の子だよな?」
少女。
胸を張る。
「ピコリ・ローデンよ!」
「将来は王子様と結婚する予定!」
俺。
「予定?」
ピコリ。
「そう!」
「前世では結婚できないまま47歳で死んだの!」
「だから今度こそ!」
「王子様と結婚して幸せになるの!」
俺。
「……」
オメちゃん。
「痛いな」
ニャルル。
「痛いにゃ」
ピコリ。
「うるさい!」
「若い頃はモテたのよ!」
俺。
「たぶんその性格だと思う」
ピコリ。
「顔面Bランクに言われたくない!」
俺。
膝から崩れ落ちる。
精神攻撃。
クリティカルヒット。
俺。
「俺の顔面、Aランクじゃないのか……」
しばらく歩いた後。
翔太が周囲を見回した。
翔太。
「しかし……」
「なんか人多くないか?」
沈黙。
俺。
ニャルル。
オメちゃん。
「お前が言うなー!」
「お前が言うなー!」
「お前が言うにゃー!
こうして。
勇者。
剣聖。
配信者。
大魔導師(?)。
喋るサッカーボール。
婚活おにぎり女。
毒舌治癒師。
問題児だらけのパーティーが完成した。
俺達はまだ知らない。
この旅が。
想像以上に面倒臭いことになるのを。




