清算への一歩
ヨシオは自嘲気味に笑った。
「当然の報いだと思っているよ」
重苦しい沈黙が流れる店内で二人の間に大きな亀裂ができていく感覚があった。
だが同時にそれこそが誠実さの表れなのかもしれないと感じる真実であった。
「私……どうしたらいいか分かりません」
真実が小さくつぶやいた。
「でも信じるしかないと思います。ヨシオさんの言葉も柚希さんの気持ちも……」
その言葉に救われる思いだった。
少なくとも一人の人間に対して本音で向き合えたという事実だけで少し心が軽くなる。
「ありがとう……」
---
翌朝職場に着くと既に柚希の姿はなかった。
通常授業開始前なのだから当たり前と言えばその通りだが心臓が早鐘を打っている。
資料室に入りながら昨日の一件を思い出した瞬間、パソコン電源ケーブルを足で引っ掛けてしまいデスクトップパソコンを派手な音を立てて倒してしまった。
「なんだこの体たらくは……」
自己嫌悪に陥りつつも業務に集中する。
昼休憩のチャイムが鳴り響いた時には疲れ果てていたところに思わぬ人物から声をかけられた。
「お疲れ様です!」
振り返るとそこには真実と同じくらいの年代と思われる女性職員が笑顔で立っていた。
「休憩時間一緒になりませんか?」
誘いを受け入れたヨシオは食堂で向き合いランチタイムを共有する。
他愛もない会話が始まりやがて話題は新入社員としての悩みへと発展していく。
「皆さんすごく優しいんですけれどプレッシャーありますよね」
「確かにそうだな」
共感しながらも自身の劣等感まで吐露する事態となり思わず笑いあうこととなる。




