役所での断絶
「もちろんです」
職員は書類を差し出した。「ですが期待しないでください。特に……」
彼女は言葉を選ぶように間を置いた。
「前科があっても適正な罰を受けた方は平等に扱われますが……審査は厳しくなります」
必要な書類を受け取り、指示された通り最寄りの区役所へ向かった。
昼下がりの陽光が容赦なく照りつける中、ヨシオは足取りが重い。
区役所の社会福祉課窓口は混雑していた。
列に並ぶ人々の顔を眺めながら、皆それぞれ事情があるのだろうと思った。
「次の方ー」
呼ばれて窓口に進み出た。
「生活保護申請です」
ヨシオは震える手で書類を提出した。
若い男性職員が素早く目を通す。
「春野ヨシオさんですね」
彼はコンピュータの画面を見ながら呟いた。
「48歳……健康状態良好……失業歴あり……」
その独り言のような分析が嫌な予感を煽る。
「申し訳ありませんが」
職員は顔を上げた。
「当面は認められません」
「え?」
ヨシオは思わず声を上げた。
「まだ正式な審査前なのに?」
「ハローワークでの求職活動履歴が一切ない状態では」
職員は事務的に告げた。
「少なくとも半年分の就職活動記録が必要となります」
「でも……」
ヨシオは抗議しようとしたが言葉が出ない。言い訳のような理由は通用しない。
「まずは仕事を探してください」
職員の声は冷たく響いた。
「それがすべてです」
その瞬間、ヨシオの中で何かが砕け散った。
真実の励ましも、福祉事務所での微かな期待も、すべて砂上の楼閣だったと悟る。
「わかりました……」
彼はかろうじて礼をして窓口を離れた。
背筋を丸めて出口へ向かう姿は見るからに落胆していた―




