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ド底辺ホームレス中年男の俺が姪っ子に告られる!?  作者: やまけ〜


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## 温もりと境界線 ### 第六章 石鹸の香り


「お風呂入りたいでしょ?」


食器を洗いながら柚希が言った。


「使っていいよ」


ヨシオは思わず顔を上げた。


「いいのか?」


「当たり前でしょ」


彼女は水道の蛇口を閉めた。


「その臭いで一緒にいたくないし」


それは明らかな皮肉だったが、


ヨシオの目には安堵の色が浮かんだ。


最後に湯船に浸かったのはいつだったか思い出せない。


「着替えは?」


「俺の服がある」


柚希は寝室の方を指した。


「パパが昔使ってたバスローブとTシャツがあるから使って」


ヨシオは感謝の言葉も言えずに風呂場へ向かった。


脱衣所で服を脱ぎ始める。


着古したTシャツの襟には黒い汚れがこびりついていた。


浴室に入ると鏡に映る自分の姿に愕然とする。


無精髭に覆われた顔


痩せて骨張った身体。


かつての健康的な体型は見る影もない。


シャワーを捻ると熱い湯が飛び散った。


数秒間目を閉じていたヨシオは突然後ろからの物音に気づいた。


「あ……ごめん」


扉の隙間から柚希の声が漏れた。


「タオル忘れてた」


「大丈夫だ」


ヨシオは咄嗟に洗面台の方を向いた。


「自分で取るから」


「違うの!」柚希の声が裏返る。


「髪洗う用のコンディショナーが浴室の棚にあるから」


「ありがとう」


ヨシオは答えながら自分の裸を隠すように立ち尽くした。


「あと……」


扉が少しだけ開き、柚希の赤らんだ顔が覗いた。


「パパの服は棚の上に置いておくから」


その瞬間、視線が交錯した。


柚希の目が大きく見開かれ、次の瞬間慌ててドアを閉めた。


「ごめん!」


床に水滴が跳ねる音が続いた。


柚希の足音が遠ざかる。


ヨシオは深い息を吐き出した。


若い娘との距離感を測りかねている自分に苦笑いする。


風呂場の鏡に映る中年男の姿が情けなく思えた。


頭から湯を被りながらヨシオは考えた。


なぜ彼女はここまで親切にするのだろう?


母親のように接してくるのか?


それとも単なる好奇心か?


「出てきたら髪乾かしなよ」


扉越しに柚希の声がした。


「ドライヤーは洗面台の右側の引き出しにあるから」


ヨシオは曖昧に頷いた。


湯気に包まれた浴室の中で、久しぶりに人の温もりを感じていた。


それが不思議なことに居心地よく感じる。


社会の底辺に落ちて以来、初めてかもしれない感覚だった。


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