42/106
## 零細生活者の生態 ### 第二十章 交錯する軌跡
「見つけたわ」
柚希の声が震えていた。
怒りと悲しみが入り混じった表情で三人を睨みつける。
「なぜ私を避けるの?」
彼女の足取りはふらついていた。
「どうして花音なんかと……」
「花音"なんか"?」
花音が椅子から立ち上がる。
「随分な言い方ね」
緊張がピークに達したその時—
「おや?これは見物だ」
甲高い笑い声がコンビニ入口から響いた。
派手なブランドスーツに身を包んだ40代男性が立っている。
「谷岡……」
ヨシオの声が消え入りそうになった。
「よぉヨシオ」
谷岡は皮肉たっぷりに手を振った。
「懐かしいなぁ。まさか元同僚がホームレスになってるとは」
店内の注目が一斉に集まる。
谷岡は満面の笑みで近づいてきた。
「お前が解雇された時は笑ったぜ」
彼は大声で言い放った。
「"家族の事情"とか言ってたけど本当は能力不足だろ?」
「黙れ」
ヨシオの拳が震えた。
「まぁまぁ」
谷岡は意地悪く周囲を見回した。
「せっかくの再会だ。昔話を肴に……」
「何なのよあなた」柚希が割って入った。




