4/100
## 帰れない二人 ### 第四章 教育格差の影
「どうしたの?」
柚希の問いかけにヨシオは苦笑した。
「いや……久しぶりに人の温もりを感じた気がして」
夕暮れの公園。
ベンチに並んで座る二人の間には奇妙な静寂が流れていた。
風が木々を揺らし、遠くで車のクラクションが鳴る音だけが聞こえる。
「私、今日学校で何もしゃべれなかった」
突然、柚希が口を開いた。
「クラスメイトに英語で話しかけられて……」
「何と言ったんだ?」
「『日本人なのに英語上手いね』って。だから黙っちゃった」
ヨシオは姪の横顔を見つめた。
帰国子女の才女と言われているが、
本当は心細い思いをしているのだろう。




