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ド底辺ホームレス中年男の俺がJK姪っ子に告られる!?  作者: やまけ〜


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美しき蛇の争い

美しき蛇の争い


**国立競技場VIP専用ヘリポート**


ローター音が唸りをあげる中降り立ったのは漆黒のドレスに身を包んだ紗月だった。


額には薄く汗が滲み怒りのあまり顔が引き攣っている。


「よくも……」


警備主任の襟首を掴み上げる姿は狂気に満ちていた。


「よくも私の計画を台無しにしてくれたわね!」


背後から優雅な足音が近づく。


振り返った瞬間紗月の表情が凍りついた。


「あら紗月さん」


扇子を仰ぎながら現れたのは花音だ。


伯爵令嬢らしい微笑みの裏に毒針のような冷徹さが垣間見える。


「随分と派手に遊んでいらしたのね?」


皮肉めいた口調に紗月の目が吊り上がる。


「それはお互い様でしょ?」


一触即発の空気が張り詰める中両者は睨み合いを続けた。


「そもそも初めから不可解だったのよ」


扇子をパタリと閉じる花音。


その仕草ひとつにも計算高い演出が見え隠れする。


「ヨシオさんの逮捕計画を密かに進行させるなんて……」


「あなたこそ!」


紗月が激昂する。


「表では協力しつつ裏で官僚工作していたんじゃない?」


「ビジネスは多角化するものですわ」


涼しい顔で受け流す伯爵令嬢。


その右手がゆっくりとスカートの裾を探る。


カチリと音がして隠しナイフが露わになった。


「ヨシオさんを独占したい気持ちは理解できます」


花音の声音が柔らかくも冷たく響く。


「でも一人だけが幸福を得る時代は終わったようですわね」


「なんですって?」


紗月の怒りが沸騰点に達する刹那彼女の手にも刃物が出現した。


親指でスプリングを押すと細い銀針が飛び出る暗器だ。


「こうなったら手段は選ばないわ」


伯爵令嬢が優雅なステップで距離を詰める。


「私にも愛人の一人や二人はいるけれど……」


突然瞳孔が開き猟奇的な笑みを浮かべた。


「今回の獲物だけは譲れないのよ!」


「傲慢な!」


紗月が突進する。鋭い指先の針が伯爵令嬢の胸元を狙う。


「あなたの好きなヨシオさんと一緒よ!」


ギィィンッ!


金属が激しく擦れる音と共に火花が散る。


花音が間一髪でナイフを構えた防御態勢だ。


しかし次の瞬間――


ヒュンッ!


紗月の爪先蹴りが花音の手首を捉えた。


激しい衝撃に伯爵令嬢が苦悶の声を上げる。


「グッ!」


落とされたナイフが床で乾いた音を奏でる。


「油断大敵よ!」


畳み掛ける紗月の指先が喉元へと滑り込む。


細長い針が花音の顎下に突きつけられる寸前――


ピタッ


伯爵令嬢の首筋で紗月の動きが止まった。


花音の左手が彼女の肘を抑え込む格好だ。


「ウフフ……やっぱり甘い」


花音の唇から鮮血が滴る。


明らかに喉を掠めていた。


「私を舐めないでいただきたいわ」


「あなたこそ!」


紗月が吼える。


二人の女子高生が至近距離で睨み合う異様な光景だ。


美貌と知性を併せ持つ彼女たちの狂気が美しさと禍々しさの境界線上で踊る。


「ヨシオさんが欲しければ私と戦えばいい」


花音の目が狂気に濁る。


「あの卑しいホームレス男を跪かせる栄誉は私のものよ!」


「ふざけないで!」


紗月が力を込めなおすも伯爵令嬢の抑制は鋼鉄の如き強度で動かない。


「彼は私のペットなのよ!」


「下品ね」


花音の嘲笑が火に油を注いだ。紗月の全身が震えはじめる。


次の瞬間――


パキンッ!


何かが折れる音。


紗月の手首が不自然に曲がっていた。


無理な角度で固定されたまま激痛に顔を歪ませる。


「あぁっ……」


「可哀想に」


優雅な仕草で扇子を広げる花音。


その隙間から鋭い視線が注がれる。


「でも同情はしませんわ」


パチンッ!


勢いよく閉じた扇子が風切り音と共に紗月の頬を打った。


「う……くぅっ」


痛みと屈辱で膝をつく紗月。


それでもなお眼光だけは爛々と燃え盛っている。


「いつまで調子に乗って……」


その言葉を遮るように花音がゆっくりと歩み寄る。


「終わりにして差し上げましょう」


踵が床を叩くリズミカルな音とともに伯爵令嬢の影が伸びていく。


「永遠の」


「やめなさいっ!」


突然の怒号に両者の動きが止まる。


階段を駆け上がってきたのは柚希だった。


必死の形相で制止を求める姿に一瞬だけ憎悪の炎が鎮まったように見えた。


「二人ともどうか冷静に……」


「お黙りなさい」


花音が冷たく言い放つ。


「庶民の娘に言われたくないわ」


「そうだね」


紗月がふらつきながらも立ち上がる。


その表情には奇妙な安堵が混じっていた。


「こんなところで潰し合うより……」


「そうね」


花音の瞳が鈍い光を放つ。


「共通の獲物を追いましょう」


「え?」


柚希が困惑する間にも二人は互いの傷を見合って微笑みはじめた。


それは狂気と呼ぶに相応しい共犯者の笑みだった。


「決着は後回しよ」紗月が肩を支えてもらいながら宣言する。


「ヨシオさんは私たち二人の玩具なんだから」


「ええ、そうね」


花音の瞳に怪しい輝きが蘇る。


「生死すら私たちが決めるわ」


柚希の背筋を冷たいものが伝った。


彼女たちの狂気に飲み込まれる前にこの場を離れなければならない。


咄嗟に踵を返した時――


**ピピッ**


柚希のスマホが震えた。


表示される名前は"真実"。


救急現場から緊急連絡だ。


『ヨシオさんが危ない!手術が必要だ!』


メッセージを見るなり反射的に身体が動いた。


階段を転げ落ちるように降りていく柚希を見送る二つの視線は氷のように冷徹だった。


「ほほう」


花音が興味深げに呟く。


「あの子も必死ね」


「邪魔にならないといいけど」


紗月が嘲笑う。


「私たちの楽しみを奪われないようにね」


「それよりも……」


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