押し寄せた黒潮
**午後二時 警察庁 特殊捜査室**
「証拠映像を公開します」
雅也が記者会見場で宣言する。
同時に大型スクリーンに映し出されたのは官僚たちの不正行為映像。
「ルナインターナショナルによる贈収賄」
「旧華族連盟による法曹界への圧力」
次々と明らかになる真実に記者たちのフラッシュが眩しく光る。
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**同時刻 花音の社交サロン**
「ご覧になっていましたか?」使用人が最新情報を伝えに来る。
「もちろんよ」優雅にお茶を啜りながら花音が呟く。
「計画通りですもの」
「では……」
「次は紗月の番ね」妖艶な笑みが深くなる。
**午後三時 国立競技場周辺公園**
「ヨシオさん!」
柚希の声が芝生に響く。
ベンチに腰掛ける二人の周りには平和な日常が広がっているはずだった――
突然の銃声が炸裂する。
弾丸はヨシオの右肩をかすめた。
「紗月!?」
遠方の茂みから現れたのは漆黒のドレスに身を包んだ紗月だ。
彼女の背後には銃を持った傭兵たちが控えている。
「ゲームセットよ」
冷徹な声が耳に刺さる。
「最後のお願いを聞くつもりだけど……」
「ふざけるな!」
ヨシオが反論する暇もなく新たな銃声が鳴り響いた。
肩に命中した弾丸の威力は想像以上だ。
地面に倒れ込む直前、柚希の叫び声が聞こえた。
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**同時刻 警察庁特別対策本部**
「狙撃許可は出ていないぞ!」
雅也がマイクに向かって怒鳴る。
モニターにはリアルタイム映像が映し出されている。
「現場制圧できません!」
「今すぐSWATを派遣しろ!」
矢継ぎ早の指示が飛び交う中で通信機が鳴った。
**ピピッ**
「こちら凛太朗です」
「状況は?」
「遅延弾使ってるみたいです。到着まであと10分……」
「耐えろ」
父親としてではなく国家官僚として命を下す雅也の姿に凛太郎は複雑な表情を見せた。
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**国立競技場 VIPエリア**
花音が優雅な仕草で双眼鏡を覗く。
眼下の様子に満足げな笑みを浮かべる。
「素晴らしい展開ですわね」
傍らの秘書に同意を求めると彼女は慌てて頷いた。
「そろそろ撤退しますか?」
「いいえ。もっと楽しませて頂戴」
扇子をパタパタさせながら楽しげに語る伯爵令嬢。
しかしその瞳の奥には氷のような冷徹さが宿っている。




