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力の均衡③
**一週間後の診察室**
凛太郎の指導のもとで行われた運動療法によりヨシオは奇跡的に回復を遂げつつあった。
まだ全力疾走は無理だが日常生活レベルなら可能になっていた。
「あと三日で目標ラインだね」
カルテを確認しながら少年が評価する。
「その調子なら大丈夫だと思う」
希望の光を見るような表情で医師志望者が微笑む。
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**同時刻 ダイニング**
雅也のスマホが鳴った。
画面には『内閣官房』の文字。
緊張した面持ちで受け取る姿に家族全員が注目する。
「もしもし……はい、承知致しました」
通話内容を推測する必要はないほど深刻そうな口調だった。
数分後電話を切った雅也の顔が青ざめている。
「父さん?」
凛太郎が恐る恐る声をかけると父親は深呼吸した。
「緊急の閣議決定だ。官邸に行かねばならない」
普段以上に硬い声色だ。
「すぐに?」柚希が驚く。
「四十分後に迎えが来る。荷造りを頼む」
嵐のように慌ただしくなった屋敷内でヨシオの存在さえ忘れ去られそうになっていた。
そんな中ふと思い出すように雅也が振り返った。
「そう言えばヨシオ君」
「はい?」
畏まって応じるヨシオに父親が厳しい目を向ける。
「この家から退去してもらう件だが……」




