尋問の午後
**昼食前**
リビングでスマホを取り出す。
紗月宛ての文章を打ち始めたその瞬間――
**ピンポーン**
インターホンが鳴った。
「誰だろう?」
柚希がモニターに向かう後ろ姿を目で追う。
液晶画面にはスーツ姿の人物が映っていた。
年齢は四十代半ばくらいだろうか厳格そうな面持ちだ。
その名前を聞いた瞬間凛太郎の表情が変わる。
急いでスリッパを履き玄関へ駆け寄った。
「お帰りなさい父さん!」
(え?)
ヨシオが驚いている間に扉が開かれ紳士然とした男性が現れた。
高級ブランドの革靴にノータイでワイシャツ姿。
「おや」
男性の視線がヨシオに注がれる。
「久しぶりだなヨシオ君」
穏やかながら威厳のある声色だった。
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「で、どういうことだ柚希」
玄関先で父・宇津木雅也の声が冷たく響く。
スーツの生地が高級なだけに迫力が倍増している。
「なんでこんな……」
言葉を選ぶように一度区切った後、容赦なく吐き捨てた。
「薄汚い男が家にいるんだ」
「お父さん!」
柚希が即座に反論するも威圧的な視線に言葉が詰まる。
四十代とは思えぬ鍛えられた体躯から発せられるプレッシャーは半端ではない。
「失礼ですよ!」
少女の声が震えている。
ヨシオは無言でリビングから出て行くべきか迷ったが動けなかった。
脚が床に吸い付いたように固まっている。
「汚いとは何ですか!」
柚希が必死に詰め寄るが雅也は一瞥もくれない。
ヨシオの方だけを凝視している。
視線だけで刺し殺されそうな鋭さだ。
「怪我人なんです!」
突如第三者の声が介入した。
凛太郎だ。
エプロン姿のままキッチンから飛び出してきた。
「詳しく説明しますからお入り下さい」
場の主導権を奪う手腕は医学博士を目指す少年ならではの冷静さだった




