20/107
## 雨の約束 ### 第十四章 溢れ出るもの③
ヨシオは思わず彼女を抱きしめた。
橋の柱に背を預けながら、
柚希の小柄な体を雨から守るように。
「誰がそんなこと言った?」
彼の声は雨音よりも大きかった。
「お前のことを気にかけてない人間なんていない」
柚希の体が硬直した。
「嘘つき……またそうやって優しくして……」
「嘘じゃない」
ヨシオは彼女の耳元で囁いた。
「俺はただ……」
言葉が途切れたのは柚希の指が彼の襟を掴んだからだ。
「叔父さん」
彼女の吐息が首筋にかかる。
「ほんとに私のこと……」
その問いかけは終わらなかった。
代わりに彼女の唇がヨシオの頬に触れた。
濡れた肌と温かな息遣い。
「柚希......」
ヨシオは身を引こうとしたが、
柚希の腕が彼の首に絡みついた。
「逃げないで」
彼女の囁きには切実さがあった。
「今夜だけ……お願い」




