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救出劇の真実
花音と思い呼んでみるが返答は無い。
誰だ?
「おじさん私だよ、さ、つ、き・・・」
「……紗月?」
呟いた瞬間少女の眉が跳ね上がった。
否定のサインだ。
しかしその表情は紗月特有の勝ち気な眼差しでもなければ花音の計算高い微笑みでもない。
「違うでしょう?」
声に含まれる苛立ちが柚希そのものだった。
なんでここに?
焦点が合わず無意識に手を少女の顔にやる。
柔らかでみずみずしい弾力のある頬。
この感触は
やはり柚希だ、間違いない。
焦点が定まると
路上に膝をつき心配そうにヨシオの顔を覗き込む姪の柚希がそこにいた。
(まさか……)
意識が徐々に明瞭になると共に状況が理解できた。
歩道橋の支柱に凭れかかる自分。
傍らで膝をつくセーラー服姿の少女。
青白い頬を伝う涙の筋。
間違いなく柚希だ。
「お前……どうしてここに?」
嗄れた声で尋ねると柚希は手早く応急処置を続けながら答えた。
「おじさんが病院を追い出されたって……噂で知って」
言いながらポケットから取り出したタオルハンカチで額の汗を拭ってくれる。
柑橘系の香りがふわりと漂う。
これは柚希のいつもの匂いだ。




