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少年の善意
口籠もるヨシオを無視して少年は本を拾い上げ埃を払った。
「これいいのかな……」
独り言のように呟くとゴミ箱から取り出しヨシオの前に差し出した。
「捨てているから持っていきゃいいじゃん」
差し出された文庫本の表紙には女性作家の恋愛小説タイトル。
裏表紙にはカフェの無料引換券が挟まれている。
「ありがとう……」
素直に感謝を述べるヨシオの掌が震えた。
この地域で初めて他人から与えられた善意かもしれない。
「でもなぜ……?」
少年は肩をすくめた。
「なんとなく。捨ててあるのもったいないし」
それだけ言うと友人に呼ばれ階段を駆け上がっていった。




