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初夜の朝②
「痛むか?」
無骨な問い掛けに花音が小さく首を横に振る。
「少し……ですが幸せなので平気です」
微笑みの中の翳りが昨夜の冒険を物語っている。
清廉潔白だった肉体が一度歪んだ曲線を覚えてしまえば二度と以前の形に戻れない—それは金属疲労現象と同じ原理かもしれない。
「手……繋いでいきましょう」
唐突な提案にヨシオが目を丸くする。
伯爵家の格式に反する行為だが花音にとっては夫婦同伴の外出に等しい聖域だ。
「バレたら怒られますけど」
茶目っ気混じりの宣言と共に—
指と指が自然と絡み合った。
廊下へ踏み出した瞬間から背筋に冷たいものが走る。
使用人たちの視線が集中砲火のように突き刺さる感覚だ。
「あの二人……」
「まさか昨夜……?」
影からの噂声が見えない刃物となって肌を切り刻んでいく。
花音の手のひらが僅かに汗ばんでいることに気づいた—緊張は彼女の方が多いらしい




