重なる欲情②
「優しくしてくれますか?」
問いかけの意味するところを察してヨシオは静かに彼女の額に額を合わせた
深い沈黙が流れた。
湯気に包まれた浴場でリィファの睫毛が微かに震えている。
「怖くないか?」
ヨシオの声は湯気のように柔らかかった。
リィファは答えずに彼の頬にそっと手を伸ばした。
その指先が彼の顎鬚を探りながら滑り降りていく。
水面下で二人の指が絡み合った。
「本当は……」
彼女の囁きが湯気に溶ける。
「怖いんです」
ヨシオの喉が微かに動いた。
彼女の肩をそっと抱くと温もりが肌に広がる。
「無理はしなくていい」
「違う」
リィファの額がヨシオの胸に押しつけられた。
小さな肩が震えている。
「怖いけど……欲しいんです」
湯面が波打った。
彼女の唇が彼の首筋を這うとヨシオの体がわずかに強張る。
「お前は何を望んでいる?」
「わからない」
その声は泣きそうでいて狂おしい。
「ただ……止まらない」
噴水の水音が静かに響く中、二つの鼓動が同じ速さで高鳴り始めた。
ヨシオの大きな掌がリィファの背中をゆっくりとなぞる。
彼女の背筋が弓なりに反ると、湯面に波紋が広がった。
「優しくしてくれますか?」
問いかけの意味するところを悟りながらもヨシオは躊躇した。
その迷いを感じ取ったリィファが強く抱きつく。
「早く……」




