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ド底辺ホームレス中年男の俺がJK姪っ子に告られる!?  作者: やまけ〜


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再び対峙する者たち

リィファが踵を返すと同時に、大ホールには氷のような沈黙が落ちた。


彼女のヒール音だけが大理石の床に響き、その背中が柱廊の影へと吸い込まれていく。


「……」


花音が小さく息を呑んだ。


ヨシオの拳はまだ固く握られたままだったが、表面的には微塵も動揺を見せていなかった。


「大変失礼いたしました」


伯爵が苦悩に満ちた声で言葉を絞り出す。


「我が娘の無礼はひとえに私どもの教育不足の責任です」


「伯爵閣下こそ過分なお言葉です」


ヨシオは低く頭を下げた。


「これほどの由緒ある名家では品位に対する苛烈さも致し方ありません」


その返答は殊勝極まりないものだった。


しかし声の底に隠された冷徹な棘を花音だけが敏感に感じ取っていた。


「お姉様……」


彼女は涙ぐんだ目でヨシオを見る。


その潤んだ瞳には妹としての罪悪感だけでなく、別の種類の憂いが漂っていた。


「すみません」


「君の責任じゃない」


ヨシオは咄嗟に彼女の肩へ手を置こうとした。


しかしその動作は唐突に現れた第三者によって遮られた。


「騒々しいですね」


再び開け放たれたホールの扉から姿を現したのは、黒曜石のような瞳を持つ二十代半ばの女性だった。


背丈は花音より高く華奢ながらも風格がある。


「ルシアお姉様」花音が安堵とも焦燥ともつかぬ声で呼ぶ。


「一体どうして」


「親戚からの電報が届いたの」


ルシアと呼ばれた女性はゆっくりと歩み寄りながら言った。


挿絵(By みてみん)


「もっともそれより気になることがあるわね?」


彼女がヨシオに視線を留めた途端空気が変わった。


温度さえ下がるような錯覚に花音が身震いする。


「初対面の紳士へ初手でナイフを突き付ける妹というのは」ルシアの口調は穏やかだが刃物のような鋭さを帯びている。


「我が家の恥であり我が国の汚点だと思うのだけれど」


リィファが睨まれると背筋を強ばらせた。今度は逆に圧倒された形だ。


「ルシア姉さんそれは」


「弁明は不要よ」


ルシアは優雅に扇子を広げた。「これから皆で昼餐を摂る筈だったのでしょう?お父様」


「ああ」伯爵が憔悴しきった顔で肯く。「だが……」


「なら尚更」


ルシアがヨシオに向かって微笑んだ。


「客間で少しお時間をいただけます?私の愚妹が貴方に償いをせねばなりませんから」


言葉遊びのような言い回しの中に強制力が込められていた。


リィファが顔を引き攣らせる横でヨシオはただ静かに頷いた。


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